GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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4戦目:PvPをしてみよう!

『は~い! 皆さん! GBBBBのアイドル。レコでーす! ニュースの時間です! 本日の話題はこちら!』

 

 ロビー内に設置されている巨大モニタには多数の名前が並び、横にはツラツラと長い文章が書かれていた。注視してみれば『罪状』と銘打たれているのが特徴的だった。

 

『先日、ふみなちゃんのガンプラで卑猥なことをした人達もリストに並んでいますね~! ガンプラは自由ですけれど、人として守るべき最低限のことは守って下さいね! じゃないと、βテストで終わっちゃうかもしれないので!』

 

 自由と無法の違いは極めて曖昧な物であるが、誰もがGBBBBを愛しているので、流石にサービスの終了まで行きつくのは望んでいない。

 版権に限って言えば、グレーゾーンで済むか? というありさまだが、ガンプラを組み合わせているだけなので何も問題は無かった。

 

『私としても長くGBBBBが続いて欲しいから心を鬼にして告知しています! ……さて、暗い話題は程々に。明るい話題も行きましょう! 何処まで続くのか、マイスターの快進撃!』

 

 モニタの映像が切り替わりPvPの物となった。片方はSDガンダムも真面目な正統派俺ガンプラのチームであり、もう片方のチームは異形も異形だった。

 人参、ジャガイモ、玉ねぎをガンプラで再現した、チーム『カリー』はパイロットアバターも褐色肌のごつい男達がターバンを巻いた物になっていた。

 

『個性的な造詣ですね~! 皆さんの晩御飯を左右しそうな雰囲気が漂っていますね!』

 

 このネタガンプラが出て来てもウィットに富んだ実況をしてくれる辺り、レコはアイドルとしても実況者としてもハイレベルな存在であることは認めざるを得ない。では、試合は一方的な調理になるかと思いきや、そうではない。

 

「イヤーッ!!」

 

 ジャガイモの芽を再現していた超大型メイスが引き抜かれ、マイスター達の仲間である、SDガンダム使いに向けて突き出された。現GBBBBにおいて最強レベルのDPSを誇る攻撃であるが、騎士風のSDガンダムはひらりと避けていた。

 玉ねぎは自らの味を爆発させるようにして、大量のマイクロミサイルとアトミックバズーカを放って来たが、ドムをベースとした機体が爆風の中を突き進んで、みじん切りにしていた。

 

「くらぇええええ!!」

 

 人参っぽい機体はどうやらギャンをベースにしていたらしく、飛翔して専用サーベルを突き出して来た。超大型メイスに並ぶ程の高DPSと隙の無い連撃、加えて高い誘導性を誇る攻撃だったが、リーダー格であるマイスターが使う『マイスターガンダムスーパーストーム』はケルディムガンダムをベースとした機体であり、二丁拳銃が飛び出して来るかと思いきや。

 

「人参はすりおろすのが一番だ」

「!?」

 

 なんと、スーパーストームが取り出したのは二丁のショットガンだった。

 DPS的に高い訳ではないし、ヒット数を稼ぐならもっと別の武器があるのだが、彼はショットガンを愛用していた。

 これは対戦した相手にしか分からないのだが、彼の2丁ショットガンを食らうと不思議な感覚が迸る。まるで雷撃(パルス)に撃たれた様な衝撃が走り、放たれた散弾はまるで爆発を伴っているかのような威力で、機体のパーツを吹っ飛ばしていくのだ。瞬く間に、チームカリーは調理されてしまった。

 

『マイスターのクラン。これで99勝目です! もはや、彼らを打ち破れる相手はいないのか! 一体誰が彼を止めるのか! 彼らを打ち破る新星の登場に期待したいですね!』

 

 GBBBBのロビーで公開されているニュースを見ていたアラタはやはり、感激に打ち震えていた。

 

「マイスター。まさか、強武器がナーフもされていないのに勝っちまうなんて。とんだ、ストロングボゥイだぜぃ!!」

「いや、多分年齢的にはマイスターさんの方が上やと思うんよ?」

 

 学生であることは分かっているので人のことをボゥイ呼ばわりするのはどうかと、タオが注意をしていた。一緒に映像を見ていたリンも楽しそうにして、ミスターガンプラ(もどき)は首を傾げていた。

 

「アレ? ミスター。どうしたの?」

「いや、前のバージョンの筐体で、こんな戦い方をする友人がいたんだがね。暫く音沙汰がなかったんだが、まさか、私を放置した上でGBBBBを楽しんでいる訳ではあるまいし」

 

 声には怒りと言うかシットリと言うか、何とも言えない感情が渦巻いている気がした。非常に声が掛け辛い時、タオとリンは決まってアラタの方を見るのだ。何とかしてくれと。

 

「ミスター。時に、ネトゲをするときはリアルの友人関係を放り投げたいときってのもあるんだぜぃ。まぁ、俺もそんな感じなんだけど」

「放り投げたい関係????」

「そうそう。実はここだけの話なんだけど、俺も学校で知り合いに粘着されがちだから、やっていることは伝えてないんだ!」

 

 ミスターが固まっていた。タオとリンも固まり、アラタは……彼としては珍しいが、身の上話をすることに気を取られて、相手への思いやりに欠如していたことに気付いたらしい。

 

「ふ、フフフ。ま、まぁ。そう言うこともあるよね。ウム!」

「た、偶々戦い方が似ているだけかもしれないし、あんまり落ち込まなくても大丈夫だと思うぜ!」

 

 精一杯のフォローはあまりに低レベルだった。ただ、これに関してはタオもリンも何も言えなかった。センシティブな話題と言うこともあって触れられないと考えたのか、空気を誤魔化す様にしてアラタが声を上げた。

 

「ちょっとはミッションを回してレベルも上がって来たしよ。俺達も対人戦、やってみねぇか!?」

「え? もうデビューするん?」

「まぁ、この間よりはちょっと強くなったけれど」

 

 見た目は変わっていないが、パーツのレベルは上がっている。アラタの機体も試行錯誤の末、ふみなを頭部に据え、胴体と脚部はガンタンク、両腕はジュアッグの姿に収まっていた。

 

「ミスター的にも行けそうだと思わねぇか?」

「あーうん、そうね。そうかもね」

 

 滅茶苦茶投げやりだった。空気の悪さを誤魔化す様にして、アラタがPvPのルーム設定をして……程なく、マッチングした。

 

「どんな相手やろ」

 

 低レベル帯でもビルドを整えている者達も珍しくない。ひょっとしたら、ボコボコにされてしまうかもしれないが、今の自分達が何処まで出来るか気になる。という挑戦心はタオの中にもあった。

 

「緊張する!」

 

 リンはどちらかと言えば楽しみなのが抑えられないと言った具合だった。先程、マイスターの試合を見た影響もあるのだろう。さて、対戦相手のチームがどんなものだったかと言うと。

 

「始めまして。お願いします!」

 

 元気よく挨拶してくれたのは良い。だが、相手チームは全員ふみなだった。ご丁寧にOPであるベアッガイの尻尾を肌色に染めて、胸元や臀部に装着させている。リンが悲鳴を上げた。

 

「いーやーーー!!!!」

「タオ。これはどういうことなんだ!」

「多分、BANされたからアカウント作り直した人らやね。なんで、未だアクセスできとるんやろ?」

 

 こういったことをする者達は二度とアクセスできない様にと言う処置が下されるハズだが、タオ達にも想像できない方法で返り咲いたのだろう。滅茶苦茶迷惑な話だが。

 

「良い対戦にしよう!」

「アンタ達と出会った時点で最悪よ!!」

 

 リンが抗議の声を上げたが、試合は始まった。さて、見た目は最悪と言うか凍結レベルの物であるが、彼らのファイターとしての腕は良かった。

 作り直したばかりと言うこともあって、パーツレベルはアラタ達が使っている物よりも遥かに低いのだろう。だが、立ち回りや連携はベテランプレイヤー然とした物だった。彼らに対抗できているのは、パーツレベルの差によるものが大きい。

 

「ビルダーズランクとパーツレベルでのマッチングがあっても、こうなるんね!」

 

 とは言え、このハンディキャップは立ち回りを学ぶ上で非常に有意義な物ではあった。どのタイミングで攻撃のカットに入るか、攻めとサポートの交代タイミングなど。いつの間にか削ったつもりでも戦線に復帰している。

 

「あ……」

 

 最初に穴を突かれたのはリンだった。相手チームの2機のふみなからビームガトリングガンの集中砲火を浴び、脚部がパーツアウトを起こしたのだ。

 

「え。嘘、動けない!?」

 

 バトル中にパーツアウトをした際の影響は大きい。例えばヘッドパーツが外れたら、ターゲティングが出来なくなるし、両腕が取れた場合は所持していた武装や対応するEXスキルが使えなくなる。

 だが、一番ゲーム的に影響が大きいのは脚部だろう。まず、一切の行動が出来なくなる。回避運動も反撃も出来なくなる上、もう一つ。大きな問題があった。

 

「アカン!」

 

 タオが抑えに入ろうとした所で、ビームガトリングによる攻撃が入った。

 一撃はまるで痛くないが、連続してダメージを受け続けることによるパーツアウトと怯みが痛かった。アラタも同じ様に抑えられていると、残った1機がリンの機体の前に立った。足を振り上げる。

 

「あ」

 

 思いっきり機体を踏みつけた。レベル差が無ければ一撃で粉砕されていた程のダメージが入る。脚部がパーツアウトした相手にのみ、仕掛けられる特殊技『グラウンドブレイク』は決まればほぼ相手を確実に撃破できる技だった。

 リンの機体に脚部パーツが戻ろうとするが、それよりも相手のグラウンドブレイクの連続攻撃が決まり、彼女の機体は大破した。

 

「嘘やろ!? これだけレベル差あるのに!?」

 

 パーツレベルは自分達の方が高い筈だ。タオが叫んだ拍子に、彼が使っている機体の脚部が飛んだ。

 1機減ったら、不利になるのは言わずもがなであり、アラタは抵抗がてらにジュアッグ砲を撃ったが、さしたる程の効果は得られなかった。

 

「もうアカン!!」

 

 そして、彼の機体も同じ様に撃破された。残されたアラタが3機を相手に勝てる訳もなく、一斉にビームガトリングの斉射を受けていた。

 

「やられ千葉ァ!!」

 

 3機のふみなによる踏みつけを食らった彼の機体は間もなく大破した。彼らの初陣は苦々しい結果で終わった……。

 

~~

 

「あー。その、なんだ。私も引き留めるべきだったとは思っているが」

 

 先程の投げやりな対応を思い出して、ミスターは困っていた。まだ、対戦に出るには早すぎるとは思っていたが、勇んでいた彼らを止めることは出来なかった。

 

「アレ。ほぼ、初心者狩りやん……」

「あんな変態集団に負けるなんて!!」

 

 リンが悔しがっていた。あんな変態集団に出くわしたこともそうだが、討伐出来なかった自分達の不甲斐なさにも腹を立てていた。

 

「次は絶対に負けねぇぜい!」

「そうだ。アラタ君、その意志だ。だけど、我々にはまずやらねばならないことがある」

「反省会と特訓ですか?」

 

 ミスターの言うことを無視して対戦に出たのだから、そこら辺から始めると思っていたタオだが、彼は首を横に振った。

 

「いいや。これだ」

 

 ミスターが開いた画面には『通報』というボタンがあった。3人は暫し考えた後に頷き、揃ってボタンを押していた。

 

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