GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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43戦目:ラッシュろう!

『は~い! 皆さん、バトルトーナメントは楽しんで貰えていますかー! 先日、白熱の第1回戦がありました。残ったクランはいずれも名のある所ばかりです! 第2回戦もとびっきりの戦いが見れることでしょう!』

『うむ。私も目を離せないね! ただ、1つだけ不満があるんだ! これだけ楽しいイベントの最中なのに。クランに参加できなかったプレイヤーが、モヤモヤしているのを見るのが心苦しい!』

 

 バトルトーナメントに参加できなかったプレイヤーの心境を代弁する様にして、ミスターガンプラが述べた。それに対し、レコが不敵に微笑んでいた。

 

『フッフッフ。やはり、いいバトルを見ていると闘争心が刺激されるのも無理からぬ話。変なビルドでリビドーを発するより、やっぱりバトルでハッスルすべきだと思うんです!』

 

 激上手AIジョークを繰り広げながら、モニタには『バトルイベントミッション』開催! という告知がされていた。

 

『5WAVEの間に得られたポイントを競うバトルイベントです! 撃破のスマートさ、掛った時間。これらで評価され、ランキング上位者には称号が送られます! このイベントは個人でのみ参加が可能なので、奮ってご参加下さい!』

 

 バトルトーナメントによって闘争心を抱えていた者達は喜んでいた。

 例え、イベントに参加できなかったプレイヤー達が居ても見捨てる様な事をしない運営の懐の広さに感動している中、ミスターガンプラの手にはタブレットが出現していた。

 

『うん? レコ君。少し待ってくれ。何か、運営から追加の告知があるらしい』

『え? 何でしょうか?』

 

 どうやら、2人にとっても寝耳に水だったらしくレコも覗き込んでいた。すると、ミスターガンプラが噴出し、レコがぐにゃりと表情を歪めていた。

『公開しないと駄目ですか? 後悔しますよ?』というレコの小声をマイクが拾い上げ、ミスターガンプラの『いや、これがお仕事だから』という、世知辛さが見える小声も拾い上げていた。

 

『えー。たった、今。緊急情報が入りました。何と、新規の機体が実装されることが決まりました!』

 

 これまで先行実装などの形で少しずつ実装されていたが、モニタには一気に4機のMSが表示されていた。ダブルオークアンタフルセイバー、フルクロス、戦国アストレイ頑駄無、ペーネロペー。

 いずれも人気が高く、ユーザー達から歓声が湧き上がった。ただ、レコ達の表情は晴れないままだった。やがて、意を決したように口を開いた。

 

『私は、カスタマイズイベントや普段のロビーの様子を見てGBBBBを見守って来ました。このゲームもサービスである以上、ユーザーから人気を得る為の物を実装するという方針は良く分かります。ただ、メイジンも言っていました。ガンプラは自由だが、人として最低限のルールはあると』

 

 GBBBBのプレイヤーにとっては馬耳東風も良い所の標語であるが、これが何を意味するかは理解していた。カッコいい機体を弄れる? 

連綿と続くガンプラの楽しさだ。だが、ここに来て財団Bはガンプラにカッコいい以外の魅力を編み出した。モニタに映し出されたのは、ふみな、メイに続く美プラ――ギャン子だった。

 

『こ、今回の4機に加えて! バトルイベントミッションの報酬で各パーツがランダムにドロップします!! カラーリングは変更できませんからね! 出来ませんからね!! 変なことしないで下さいよ!!?』

 

 ユーザー達の盛り上がりは、昨晩のバトルトーナメントの比にならない程の物であった。多くのユーザーがバトルイベントミッションに駆け込んで行く姿を見ながら、セリトはニッコリしていた。

 

「これはもう。レコちゃんが実装されるのも時間の問題だなって」

「何故、バトルトーナメントをやっているなか。私達の話題が薄れる様な真似を……?」

「多分、参加できなかったユーザーの陳情が行ったんだとおもうぜぃ?」

 

 シーナが首を傾げる中、アラタが可能性を述べていた。GBBBBユーザー達はガンダム好きであり、同時に美プラも大好きなのだ。

 運営としても非常に慎重な判断を要しただろう。自由さをウリにしていると、どうしてもバカが出現する。女性ユーザーも取り込みたい運営としては、美プラの実装は一種の劇薬的な側面があるのだ。

 

『レコ君。無言でニーズヘグを振り回すのは止めてくれ』

 

 来るべき未来を予想して、レコはニーズヘグを振り回していた。ツインビームサイズでない所が、本人の殺気立った様子をよく表していた。

 普段はロビーでガンプラを自慢しているだけの連中だが、目の前に餌をぶら下げられた瞬間。バトルイベントミッションのランキングが凄まじい勢いで更新されていた。プレイヤー達の悲鳴があちこちで響いていた。

 

「無いよぉ! 僕のギャン子! 無いよぉ!!」

「急げっ。乗り遅れるな。ギャン子を掴むんだ」

「ガンプ・ラッシュだ」

 

 ただし、マイティーストライクフリーダムガンダムの時とは違い、こちらは滅茶苦茶に確率を絞っているのか、ドロップ報告が本当に少なかった。

 せめて、バトルトーナメントが終わった後にやって欲しかった。サーバーの負担がとんでもないことになりそうだ。

 

「こんちゃー。って、なんかロビーが滅茶苦茶盛り上がっているけれど」

「何か更新情報出たん?」

 

 ログインして来たリンとタオは何処となく疲れた様子だった。そして、直ぐに告知の内容を知って絶句していた。

 

「バカなの!? バカなの!!? なんで、まだ美プラ実装するの!?」

 

 ふみな先輩が散々に尊厳破壊された事実は、運営に何も響いていなかったらしい。しなびていたリンに活力が戻る中、グルングルン回るイベントランキングを見たタオは思った。

 

「なんで、普段はネタ機体ばっかり使うのに。ちゃんと実力があるんやろうな」

「一種の到達点のような物かもしれません。強くなる。という目標を達すると、余裕と共に視界が開けて行くのは武術にも通じるものがありますね」

「開けた先にあるのが魔改造ふみなって言うんは、あまりに惨いやん?」

 

 疲れていてもしっかりとツッコミ役を果たそうとするタオの律義さに感心していた。モニタではバトルイベントミッション用に実装されたPG機体がボコボコにされていた。攻撃の挙動やパターンが複雑だと言うのに、対応できているプレイヤー共は一体、なんなんだろうか?

 

「にしても、2人は特訓の方は上手く行っているのかぃ?」

「まだ上達はハッキリと感じられへんけどね。でも、色々と学ぶことは多いわ。バトルトーナメントまでに仕上がるとは思えへんけど、またアラタと一緒に戦いたいね」

「私も。正直、ちょっと距離が出来ちゃっているけれど。直ぐに詰めて行くんだからね!」

「こんなに直向きだなんて。2人は間違いなくエンデヴァーボゥイ&ガァルだぜぃ☆」

「なんか、終始曇ってそうやな……」

 

 こうやって互いに支え合い、切磋琢磨し合える環境は喜ばしい物だった。一度できた実力差に膝を折って疎遠になる。なんてことも珍しくは無いのだから。

 

「でも、これじゃあ今晩のニシワキエンジニアリング戦。あんまり話題になりそうにないっすね」

 

 先日のMBブレイカーズとの対戦はそこそこ話題になった。

 所属している団体の関係上。フドウの名前が出ることはなかったが、機体や動かし方の癖からプロプレイヤーではないか? と推測する声も飛び交い、それを迎え打ったアラタは『ネタもこなせるファイター』という評判が定着していた。

 だが、今夜はそう言った盛り上がりは望めそうにない。何故なら、プレイヤー達は血眼でギャン子を掘り当てようとしていたから。

 

「あるいは。あまり運営としてもバトルトーナメントの結果に興味が無いのかもね」

「お。カオスじゃねぇか!」

 

スーッと向こうから近付いて来たのはカオスのブラックロータスだった。

アラタは歓迎しつつ、プロフ画面でカルパッチョがログインしてないかをヒヤヒヤしながら見ていた。

 

「興味が無いって?」

「実力者を集めても結局は似た様なメンツばかりになりがちと言うことだ。GBBBBはもっと沢山のプレイヤーに活気づいて欲しいのだろう。見給え。このやる気溢れる光景を……」

 

 カオスが慈しむような視線の先には、ギャン子の頭部を入手したバカが早速魔改造ふみなの頭を挿げ替えていた。ただし、好き勝手にやってこれ程の苦労がBANされるのが嫌なのか、控え目にはなっていたが。

 

「素晴らしい? ねぇ、シーナ。これって素晴らしいの?」

「はい。やはり、欲しい物の為に永遠に射幸心を煽られ続ける。コレがネトゲの醍醐味なんですよ」

 

 最近は発言少ないこともあって忘れていたが、このお嬢さんも結構トンチキだった。リンは自分の考えに同意してくれそうな人間を探したが、タオ位しかいなかった。

 

「1回戦突破のお祝いをしに来たんだが、今日は騒がしいし。2回戦を突破した時にまとめてお祝いしよう。……あるいは、その時は手合わせをお願いする挨拶も兼ねるかもしれないがね」

「そん時は、3度目の正直を見せてやるんだぜぃ?」

 

 今の所、対カオス戦は全敗しているが、今度こそは勝つと言わんばかりに拳を突き出すエモーションを繰り出していた。これに応えるようにして、カオスもまた拳を突き出すエモーションを返していた。

 

「じゃあ、アラタさん。今晩に向けての最終調整と行きましょう。タオ達はどうする? ランキングイベント?」

「せやなぁ。ちょっと、何処まで動けるか試してみたいし。社会人組の皆がインするまでは時間あるから、僕もちょっと挑んでみるわ」

「……ギャン子ちゃんは兎も角。私も実力は確認してみたいしね」

「うむ! 若人が精進してくれると、一ガンプラ愛好家としても嬉しいよ! 君達の勝利を願っている!」

 

 カオスは世辞でもなく本当に嬉しそうにしていた。各々がやるべきことに打ち込む中、彼はモニタに表示される告知をジィっと見ていた。

 

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