GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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 ☆10評価ありがとうございます! うわぁああ。せ、セリト君がとんでもないことに!


45戦目:再会しよう!

 バトルトーナメント2回戦の様子は運営の方でもモニタリングされていた。

 他を寄せ付けない圧倒的な強さを持つフリーダムフリートも注目されていたが、やはり一番関心を集めていたのは『ビアンカ』の試合だった。

 まさか、AIが特定の選手に対して激励を飛ばすという珍事態にカドマツは手を叩いて笑っていた。

 

「いやぁ。『アイツ』と言い、AIは本当に面白い可能性を含んでいる。それを引き出したあのプレイヤーも大概だけれどな」

 

 セリトの活躍もあり、ビアンカは2回戦を勝ち上がっていた。

 試合の様子を見ていたマイスターは、プレゼントを待ちきれない子供の様に笑みを浮かべていた。

 

「カオスが来るか。アラタ達が来るか。楽しみだよ」

「その前に、俺達の同窓会が来るんだが」

 

 カドマツは画面にメッセージを表示させた。ゲーム内のDMで届いた物であり、久々に彩渡商店街で会おうという約束をしており、日時は明日だ。

 彼女の件になると一気に弱腰になるマイスターだが、今回は余裕を漂わせていた。バトルトーナメントで繰り広げられている勝負を見て心を奮い立たせたのだろうか。いや、違う。

 

「もしも、ミサがカンカンに怒っていたら一緒に受け止めてくれ。カドマツ」

「いい年こいた奴が、おっさんに泣きつくんじゃねぇ」

 

 ヤレヤレ。と言った様子で受け止めようとする仕草があまりに板についていた。パァっとマイスターの表情が明るくなったのも束の間。スポンサーの方から連絡が入って来た。ピキーンと、マイスターにNT的直観が走った。

 

「はい、こちらGBBBB運営部リーダーカドマツです」

『おぉ、カドマツ君か。実は、バトルトーナメント2回戦での試合中。レコ君が面白い挙動を見せただろう? その件について、話し合いがしたいと言うことだ。佐成メカニクスからモチヅキ君も呼んでいる。AI有識者の意見が欲しい。明日、本社に来て欲しい』

「分かりました。丁度、俺も話し合いたいと思っていました。席を設けてくれたことを感謝します」

 

 プッと通話を切った。カドマツは会社員だ。スポンサーの言うことは絶対だ。個人的なことは一先ず置いておかねばならない。

 

「カドマツ。その会議、後日に回せないか?」

「俺の首が飛ぶぞ。ちなみに嬢ちゃんが休みを捻出したってことも知っているよな?」

 

 マイスターと違ってミサはOLなのだ。朝起きて、ご飯食べて、会社行って……を繰り返している彼女が、どんな思いで今日の休みを取って来たか。

 しかも、カドマツだけじゃなくて彼の同僚である合法ロリことモチヅキまで引っ張られているとなれば、マジでタイマンでの遭遇になる。

 

「そうだ。明日の会議を早めに終わらせれば、間に合うよな?」

「そのまま各方面へのプレゼン作成も含めた話し合いもするから、1日拘束は確定だぞ」

 

 そんなバカな。こんなワザとらしいタイミングでの介入なんてあり得るのか。

 いや、ならば自分もカドマツに付いて行って……と考えたが、頭を振った。これ以上、彼女を放って行きたくはなかった。

 

「だが、心細い。誰かいないか? ウィルとか。ミスターガンプラとか」

「両方共忙しいに決まっているだろ」

 

 片方は社長だし、片方はレジェンドとしてGBBBBを始めとして各方面に引っ張りダコ。ガンプラバトルが強い自由業の彼と違って、時間の都合が付き難い。

 誰か付き合ってくれる奴がいないかと、スマホの画面をフリックしていると。視界の端にバトルトーナメント2回戦の様子が映っていた。アラタがニシワキX-01に対して、至近距離で砲撃をキメてリーサルを取っているシーンだった。マイスターは閃いた。

 

「彼だ!!」

「え? おま……いや、確かに俺とモチヅキの分の料金は出しているけれどよ」

 

 金を払ったのにキャンセルと言うのは勿体ない。ならば、自分とミサを引き合わせてくれた彼を誘ってみるとして。もう1人は誰を誘おうかと考えていた。

 

~~

 

「カドマツゥウウウウ!!」

「うわ!? お姉ちゃん、どうしたの?」

 

 バトルトーナメント2回戦翌朝のことである。突如として、姉がシャウトしていたのでリンが慌てて駆け込んで来た。

 

「いや、ちょっと。同窓会をしようと思っていたんだけれどね、急に2人も来れなくなってさ……」

「以前、ガンプラチームを組んでいた人達? 急にどっか行っちゃったって言う」

「うん。でも、アイツと2人っきりで会うのはちょっと……」

 

 こんなに優しくて頼りがいのある姉を放ってどっかに行く奴がいたとしたら、ソイツはとんでもなく薄情な奴なのだろう。リンの眉間に皺が寄った。

 

「ねぇ、私も付いて行っていい? お姉ちゃんのことを放って行った人がどんな奴なのか、一目見ておきたいの!」

「え? いや、でも……」

 

 普通に考えて同窓会のサプライズゲストに妹を連れて行くとか常識を疑う。

 だが、一緒に連れて行けば晩飯代が浮く。加えて、久々に会うこともあって心細さもあったのだろう。年下に頼るとは自分ながら情けなく思うが。

 

「駄目?」

「……アイツなら拒否らないでしょ。じゃあ、もう1人は」

 

 何の因果か。共通の知り合いは都合が付き難い人物が多い。社会人だから仕方ないにしても、どうしてこうも間が悪いのか。

 いや、1人だけいる。奇しくも、今回の同窓会に参加するメンバー全員と顔見知りの人間が。ミサは直ぐにチャットアプリを立ち上げた。

 

『アラタ君。ちょっと、付き合って欲しいことがあるんだけれど』

『マイスターからも来たんだぜぃ。そっちも誰かを?』

 

 どうやら、考えることは同じだった。かくして、彩渡商店街でレジェンド+おまけの同窓会の開催が決定された。その前に、明かしておかないといけないことがあった。

 

「リン。実は、ちょっと話しておきたいことがあってぇ……。もしも、私がGBBBBをプレイしているって言ったら、驚く?」

「え? ミスター?」

「知ってたんかい!!」

「いや、だってこれだけガンプラバトルの練習に付き合って貰ったら、流石に動き方や癖で分かるよ」

 

 自分の妹は想像以上に察しが良かった。一応、家にいるときはログインを控えたりはしていたが、強くなりたいという彼女のお願いに付き合っている内に気付いてしまったらしい。

 

「じゃあ、話も早いか。リンがネトゲで上手くやって行けるかどうか心配で見守っていたんだ」

「お姉ちゃん……」

 

 なんて優しい姉だろう! と、リンは更に感動していた。

 もしも、最初から姉と一緒に始めていたら自分はベッタリと凭れ掛かっていただろう。敢えて、彼女は距離を取ることで自分の成長を見守ってくれていたのだ。

 

「で。結論から話すけれど、今日の同窓会。アラタ君も来ることになった」

「は? なんで???」

 

 流石に自分が会いに行く相手がGBBBBのマイスターだと言う訳にはいかない。幸いにしてアラタは顔が広い。

 

「ちょっと、色々な縁があって知り合ったんだけれど。リンはオフ会みたいになるけれど、会いたい?」

「会ってみたい! タオ達も会っていたみたいだし、私もリアルのアラタが気になるしね。やっぱり、アバター通り黒人マッチョなのかな?」

「まぁ、会う時までのお楽しみってことで。じゃあ、私が仕事を終わったら、その足で一緒に行こうか」

「うん! アラタと会えるのも楽しみだし、お姉ちゃんを放って行った奴の顔をも見てみたいね」

 

 前半と後半のトーンの違いにミサはゾッとしていた。

 もしも、マイスターだとバレた日には、憧れのトッププレイヤーから軽蔑の対象になるかもしれない。6年間放って行かれたにしても、そこまで惨い仕打ちは出来なかった。

 

~~

 

 時間は少し前後する。バトルトーナメント2回戦を終え、ログアウトをしようとしたアラタにDMが入って来たのだ。相手はマイスターだ。

 

『アラタ君。個人的な話がしたい。この部屋に入って来て欲しい』

 

 何事かと思い、彼の招待に賛同すると専用のVIPルームに連れて来られた。今回の戦いを労ってくれるのかと考えていると、マイスターはエモーションで頭を下げて来た。

 

「頼む。私と一緒に同窓会に来て欲しい」

「ちょっと待ってくれ。どういうことなんだ?」

 

 かくかくしかじか。業務に関わることは誤魔化しつつ、同窓会の枠が2人分空いていることだけが語られた。共通の知り合いという名の緩衝材が来て欲しいという、実に素直で情けない要請だった。

 

「最近オフ会ラッシュ凄いな……」

「引き受けてくれるかい?」

「わ、分かった。ただ、お酒は飲めないんで」

「大丈夫、飲ませないから。代金もこちらが持つ。アルコール以外は好きな物を頼んでくれていい」

 

 もしも、コウラが居たら注意をしていただろう『安請け合いするな』と。

 だが、ミサから色々と話を聞いているので、6年ぶりの再会ともなればギクシャクするだろう言うことも考えて、アラタは引き受けることにした。時間と場所を説明すると、マイスターは溜息を吐いていた。

 

「アラタ君。生きるって、難しいな……」

「歳(AGE)を重ねても、ずっと難しいのが続くと思いますよ。マジで」

 

 バトルトーナメント3回戦まで時間があるのは幸いだった。いや、ある意味3回戦よりも大きいかもしれない戦いが2人に迫っていた。

 

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