GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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47戦目:ウッキー!! ろう!

「(アラタの話題が出て来たから、今日はガンプラ部の見学をして来たけれど。まだ、ハードル高いなぁ……)」

 

 ミサが帰って来るのはもう少し遅くなるので、リンは柄にもなく部活動の見学に行ってきた。アラタみたいに意気投合する人達と出会えるかと思ったが、部員は男子ばかりだったので、説明を受けるだけ受けて帰って来た。

 

「(ビルドファイターズトライみたいにはいかないかぁ)」

 

 ホシノ・フミナの顔が浮かんで来た。そのまま部活動で世界を目指していくというシナリオには繋がらず、彼女の顔をした奇々怪々なガンプラがワシャワシャと湧き始めたので、リンは想像を打ち切った。

 

「(駄目だ。浸食されている。私の中のフミナちゃんがアイツらに冒されている!)」

 

 もしも、ビルドファイターズトライを再視聴したら理由もなく噴き出しそうな気がした。こんなイメージを吹き飛ばそうにも、連中は強すぎる。

家に帰って、時間までGBBBBでもしてようと思っていると。ゲーセン前に人集りが出来ていた。その中に見知った顔が居たので、事情を聴きに行った。

 

「イラトお婆ちゃん。この集まりは?」

「あぁ、リンかい。何、ちょっとした大物が現れた。いや、帰って来たって言うべきかね?」

 

ドキッと心臓が跳ねた。タイミング的にもあまりに合致し過ぎている。

一体、中で何が起きているのだろうか? と思っていると、イラトはスマホの画面を見せていた。

 

「中で何が起きていたかって映像だよ」

 

 リンがスマホの画面をタップすると、業務用ロボットインフォちゃんのカメラを通して記録された映像が再生された。

 

『イヤーッ!!』

 

 ガンプラシミュレーターの様子が映し出されたモニタには、タイガーと呼ばれる初心者狩りが素組のカルラに切り刻まれている様子が流されていた。周りの少年少女は、この処刑現場を見て喜んでいた。

 

『ハッハッハ!  ざまぁみろ! 俺達みたいな純粋な少年少女に対して初心者狩りなんてするからバチが当たったんだ!』

『反省しろよ!』

『『『ワハハハハハ!』』』

 

 純粋を自称する割には随分と物騒なガキ共だった。傍にいた銀髪の青年がドン引きしながら、一人称視点の主であるインフォちゃんへと尋ねていた。

 

『インフォちゃん。このゲーセンって、こんなに治安悪かったっけ?』

『ガンダムとゲーセンが組み合わさった場所で、治安がマトモになる訳ないじゃないですか』

『うん。と、頷きたくはないな……』

 

 リンも普通に引いていた。どうやら、カルラ側のプレイヤーは悪質プレイヤーに制裁を下していたが、初心者狩りなんてするチンパンジーが反省する訳もなく、今度は別の機体を引っ張り出していた。少年少女が悲鳴を上げた。

 

『うわ! 信じられねぇ! コイツ、PG出して来やがった!』

 

 なんと。己の悪行を反省することも無く、負けたままでは引き下がれないという意地だけでとんでもない物を引っ張り出して来た。これにはインフォちゃんの傍にいた銀髪の青年も反応していた。

 

『タイガー。お前、そこまで落ちぶれて……』

『ひょっとしたら、このゲーセンは彼の憂さ晴らしと同時に、小さな自尊心を守る為の療養所だったのかもしれませんね』

 

 あまりに容赦のない物言いだった。ただ、流石に素組のカルラでPG相手はキツイのか、押され始めていた。

 

『兄ちゃん! 負けないで!』

『もしも、負けたらキチンと相手側を晒してあげるから!』

『晒すのは無しで!! ちゃんと勝つから!』

 

 周りの少年少女のモラルがあまりに低かった為か、カルラ側のプレイヤーが注意するという奇妙な状況になっていた。

 ただ、どちらにせよこんな地元環境でPG機体を引っ張り出してこられては迷惑でしかないので、インフォちゃんの隣にいた青年も、ポケットからガンプラ用のプロテクタースーツをポケットから取り出していた。

 

『ちょっと、黙らせてくる』

『片や世界トッププレイヤー。片や地元で少年少女イジメ。再戦のシチュエーションとしてはむご過ぎると思うんですよ』

 

 青年がカルラ側の援護に入った。現れたのは中世の騎士風にアレンジされた、エクシアだった。

 

『お。タクマさん、ソイツはあの時の』

『アラタ君。行くぞ』

「え?」

 

 カルラと騎士風のエクシア。騎士エクシアとでもいう所だろうか? 雰囲気が似通っていることもあり、まるでファンタジーを見ている様でもあった。

 

『テメェらなんか怖かねぇ!!! 俺の給料をつぎ込んだPGでぶっ潰してやる!!!!』

『もっとマトモなことに使えよ……』

 

 タクマと呼ばれた青年が呆れながら言った。2機が駆ける。PGの脚部の装甲を瞬く間に破壊し、バランスを崩した一瞬を見計らって、造詣の甘い箇所をカルラの対艦刀が次々にぶった切っていく。

 騎士エクシアも同じ様にタイガーの機体を切り刻み、最後は2機がクロスする様に切り裂き、ちょうどX型の斬撃跡を残して、PG機体は沈黙した。

 

『嘘だぁあああああ!』

『すげぇ。こんな、テンプレートみたいなムーヴする奴って本当に居るんだ。ちょっと、俺感動しています』

 

 立つ瀬が無くなったタイガーは大慌てで筐体から出て行った。少しして、2人も出て行こうとしたのだが周りの少年少女が目を輝かせていた。

 

『俺と一緒にミッションやって下さい!』

『いや、対戦をお願いします!』

『あの。俺達、ちょっと予定があって』

 

 どうやら、少年少女達の晒し準備はそのまま宣伝になっていたらしく、ゲーセンの外には人が集まっていた。アラタが筐体から顔を出して、インフォちゃんに助けを求めたが。

 

『はーい。列を作って1人ずつ挑戦してくださいねー。ミッションは時間が掛かるので、無しですよー』

 

 そして、インフォちゃんが記録した映像は行列が少しずつ動いて行く退屈な物へと変わって行った。

 

~~

 

「何させてんの!?」

「いや、少年少女に夢を与えるのもチャンプの役目だよ。このイラトゲームセンターが交流の場として賑わったらあたしゃ、感無量だよ」

「そんな目が『¥¥』になってそうな顔で言われても説得力ないよ!?」

 

 古式ゆかしい例えであった。ただ、挑戦された二人は凄い勢いで返り討ちにしていく。タイガーの時と違い、自分から挑んで負ける分には文句は無いのだ。

 早い所、こんなバカなことを止めさせて。今晩の同窓会に連れて来なきゃ、と思って。リンは動きを止めた。

 

「(待てよ?)」

 

 考えてみたら、自分はアラタと対戦したことが一度もない。協力したことはあるが、真っ向から戦ったことは一回も無かった。

 実力的に敵わないだろうと思っていたこともあったし、もっと実力を付けてから挑むつもりでいた。……今の自分はミサやビアンカの皆に鍛えて貰って、それなりに実力を付けている。そして、なんの偶然か。ガンプラ部で見せる為に持って来た『ガンダムフレール』もある。

 

「なんだい。アンタも並ぶのかい?」

 

 何時か、は今だ。素組のカルラはきっと彼の愛機ではない。恐らくだが、近くのガンプラショップで購入して作った物を動かしてみたくなったとかだろう。

 だとしても、彼と戦える機会があるなら挑んでみたくなった。リアルの自分なら、考えられない積極性だが、きっと周囲に渦巻く熱気に中てられたのだ。列はサクサク進んで行く。それだけ、簡単に蹴散らされているのだろう

 

「はい。次は……って、アレ?」

 

 インフォちゃんも自分のことは知っているのだが、リンは『シーッ』と自らの鼻と口に人差し指を押し当てるジェスチャーをして、自分の名前を言わないようにと頼んでいた。インフォちゃんも頷いてくれた。

 筐体に入り、ガンダムフレールの情報を読み込ませる。ステージへと転送され、目の前にはカルラが1機。

 

「よろしく」

 

 GBBBBにおけるアラタの声質とのギャップに多少の驚きはありつつ、1つ。深呼吸をして挨拶を交わした。

 

「よろしくね。アラタ」

 

 息を呑むような雰囲気が伝わって来た。自分の存在を示すなら、この程度で十分だろう。今まで味方として頼もしかった彼と対峙する。

 セリトのクランとも戦ったが彼とは直接対決した訳ではない。恐らく、ビアンカ内で彼と戦ったことがあるのはコウラ位だろう。GBBBBより先んじて、彼との対戦機会を得たリンは、コントローラーを動かしていた。

 

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