GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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49戦目:思い出そう!

「マザーAIの基幹部分の開発に携わった君としては、今回のバトルトーナメントで見られたレコ君のような『揺らぎ』があるAIが生まれることは予想出来ていたかね?」

「はい。AIと言うのは、オレ達が思うより遥かに複雑です。時には、開発者である親元の思惑を離れて、予期せぬ変化を見せる場合もあります」

 

 スポンサーに呼び出されたカドマツとモチヅキは質疑に応じていた。

 宇宙ステーションの管理にも用いられているAI。これらの技術の発展は、世界中から大いに興味を集める物であり、試験運用場としてGBBBBは多額の援助を受けていた。

 

「だが、こういった揺らぎは危険ではないか? それこそ、映画の世界の様に。人間に反旗を翻すような思考に繋がる場合もあるのでは?」

「いいや、むしろある程度AIに自己判断が出来る揺らぎの幅を持って貰わなくては困る。言うことを聞くだけなら、既存のプログラムだけで十分だ。最も、そう言った物は利用されやすいと相場が決まっているし、先日の宇宙ステーションでもあった様に。ウイルスやクラッキングの危険性も考えねばならない」

 

 出席者同士も意見が分かれていた。人間に従順なAIを望む声もあれば、ある程度は人間の支配から放たれた部分での運用を求める者もいる。どちらも一概に間違っているとは言い切れない。

 

「その『揺らぎ』が、オレ達にどんな風に作用するかを観測する。もう少しGBBBBの経過を見てから判断しましょう」

 

 GBBBBはビルダーやバカ共が跋扈するだけの場所ではない。彼らを当てることでAIがどの様な挙動や変化を起こすかを観察する試験場でもある。

 ゲーム内のAIは基本的に誰かに肩入れするようなことはなく、システムが多少人間っぽい反応をする程度だったが、レコが起こした行動は公平性を欠いた物であった為、興味を持たれていた。

 

「カドマツ君が作り上げたものが、生み出したAIが更なるAIを作り出したとしたら、情報管理ネットワークの構築に掛かる労働力が……」

「だが、AIが生み出すAIに任せすぎれば、基幹部分を掌握された際のリスクも……」

 

 捕らぬ狸の皮算用を始めている者達もいた。顔にこそ出さなかったし、出資して貰っている恩はあるにしても、やはり内心としては落胆せざるを得ない。

 

「まだまだ、AIが『友達』になる日は遠そうだな」

 

 唯一、彼の内心を理解していたモチヅキだけが同意してくれた。

 AIには課題も多い。技術的な問題だけではなく、社会に浸透するまでのハードルも高い。だが、カドマツに諦めるつもりはなかった。

 

「(タクマ、ミサ。そっちじゃ一足先の再会を楽しんでいるか?)」

 

 本当の所を言うと、さっさと切り上げて横にいる合法ロリと一緒に彩渡商店街で行われているであろう、同窓会へと向かいたいと。若干、貧乏ゆすりをしていた。

 

~~

 

「えー!? この人、マイスターなの!?」

「リン。声を小さく」

 

 周りの客が聞き耳を立てている様子は無さそうだったが、何処で誰が聞いているかは分からない。アラタに注意され、リンは咄嗟に掌で口を覆った。

 

「そうなんだよ~。コイツ、私を放ってネトゲでマイスターやっているんだよ。ソレスタルビーイングじゃなくて、ソレシタラブーイングだよ」

「ミサ。大分酔っているな?」

 

 余程、嬉しいのか酒が進んでいた。焼き鳥を齧り、刺身をムシャムシャしている。アラタがリンに耳打ちをしていた。

 

「いつもこんなん?」

「いや、こんなにはしゃいでいるお姉ちゃん。初めて見た」

 

 妹であるリンから見ても非常に珍しい光景であるらしい。6年ぶりの再会、互いに大人になったこともあってスマートなやり取りがあるかと思ったが、彼らの時間は止まったままだったのだろう。

 

「いや、何となく怪しいとは思っていたんだよ? だって、マイティーストライクフリーダムガンダムの時に行われた期間限定イベントミッションあったじゃん? アレを作れるの、タクマしかいないしね。プレイしていて懐かしい気持ちになったよ」

「あの時、出会った皆は別々の道に進んだからな。タイガーだけは変わらず地元で初心者狩りしていたけれど」

「そこはもうちょっと変わっていて欲しかった」

 

 2人して笑っていた。こんなに楽しそうにしている2人が、どんな道を辿って来たのか。アラタの好奇心がくすぐられた。

 

「もし、良かったら。あの時のイベントミッションの詳細がどんな物だったか、教えて貰えませんか?」

「良いよ。最初に出したPG機体はカマセって奴が持って来た物でね……」

 

 かくして、ミサの口から2人の足跡が語られる。最初は寂れた商店街のゲームセンターから始まり、予選も突破できなかった弱小チームであったが。

 

「その戦いで、オレは『覚醒』が使えるようになったんだ。そう言えば、あの時にカドマツとも出会ったんだよな」

「そうなんだよね。あの時は、くたびれたおっさんだと思っていたけれど。いや、実は結構凄かったんだよね」

「GBBBBの開発にも関わっているしな。そして、オレは彼との出会いを通じて最後のチームメイト『ロボ太』と知り合ったんだ」

「ロボ太? ねぇ、アラタ。知っている?」

「いや、知らない」

 

 リンもアラタも聞いたことがないチームメイトの名前が出て来た。人命とは思い辛い名前だが、何かしらのあだ名だろうか?

 

「ロボ太はね。玩具用ロボットでAIが動かしていたんだよ。ほら、途中でサタンガンダムが出て来たWAVEがあったでしょ? アレ、ロボ太に起きた問題を解決する際に入った時のステージだったんだよね」

「懐かしいな……」

 

 先程まで楽しそうにしていた2人に、しんみりした空気が漂った。あまり触れるべきでは無いだろうが、アラタは踏み込んだ。

 

「ロボ太はどうなったんですか?」

「遠い場所に行っちゃったよ。今の、私達じゃ届かない所に。でも、何時かは迎えに行くよ。生きている間に行けたら良いんだけれど」

 

 死別。という訳ではなさそうだが、少なくとも直ぐに会いに行けるような距離にはいないのだろう。

 

「じゃあ、お姉ちゃん。最後の『ダンディライアンⅡ』は?」

「う~ん……あの話は何処までして良いのかなぁ。タクマ?」

「ちょっと、あの件については相当難しい事情と言うか守秘義務があるから言えないんだけれど、オレ達が言えることがあるとすれば」

「すれば?」

「世界を救った。ってトコロかな?」

 

 …………久々に会ったミサの手前格好つけたかったのか。タクマは若干ドヤ顔になっていた。アラタはから揚げ皿に添えられているレモンを手に取った。

 

「リン。から揚げにレモン掛けて良い?」

「駄目」

「なんか反応してくれよ」

「慣れないことするからだよ」

 

 ただ、ここまで暈すと言うことは本当に喋れないのだろう。何が起きたかは、一介の学生には想像も付かなかった。

 

「その後、アメリカに修行に行くとか言って出て行ったかと思ったら、コマンドクアンタを引っ提げて『GBフェスタ』にやって来るし」

「あぁ。フドウ先生と知り合ったのも、その時でしたっけ?」

 

 バトルトーナメント1回戦の時に作ったチャットルームは今も生きており、そこでされた話を思い出した。

 

「そうそう。まさか、フドウ君が学校で先生やっているとは思わなかったよ。……んで、勝負を終えた後に問い詰めてやろうと思ったら、直ぐに逃げるし」

「あの時は色々とあったんだ。ホント」

「てか、それで思い出したんだけれど。なんで、カドマツまで連絡取れなくなったの???」

「何? タクマさんだけでなく、カドマツさんも?」

「皆、お姉ちゃんに何の恨みが……?」

 

 急に6年間放置されたら、普通は怒ってもいい筈だが。だが、これに関してはタクマがフォローに入った。

 

「待って欲しい。オレに関しては幾らでも責めてくれていいが、カドマツは関わって来た事件のこともあって、本当に身バレしたらヤバかったんだ。それもあって、連絡を取らなかったんだよ。下手したらミサも危なくなっていたからな」

 

 アルコールが回った頭でゆら~りと考えていたが、徐々に顔が険しい物になって行く。思い当る節があるのだろうか。

 

「言われてみたら、なんであんなことしていたのに、普通にOL出来ているんだろう?」

「そう言う所にカドマツの苦労もあったんだよ」

「本当に何して来たんですか……?」

 

 ガンプラバトルで世界を救った。というのが、本当に誇張でも何でもない事実なのかもしれない。ただ、仔細を知れば自分の身にも何かしらの危険が降り注ぎそうな気がしたので、尋ねるのは止めた。

 

「なんか、思い出話をしていたらさ。楽しかったことばかりが浮かんで来るね。……ねぇ、タクマ。この後、時間ある?」

「あぁ。バトルトーナメント決勝戦に向けての調整が」

「時間はあるそうですよ! ミサさん。俺、リンのことを送って行きますから! じゃあ、お会計よろしく!!」

「えぇ!?」

 

 アラタはタクマからせしめた戦利品を持って、リンと一緒に店を出た。残された2人の間の距離が縮まって行く。どんな強敵と対峙した時にも感じたことがない位にタクマの心臓が早鐘を打つ中。ノシノシと寄って来る者が2人。

 

「いや~。間に合った! 何とか、時間作って来れたぞ!!」

「お? もう出来上がっている?」

「助かった!」

「ボケェエエエエエエエエエ!!!!」

 

 正に話題にしていたカドマツとモチヅキの2人が、必死こいて仕事を切り上げてやって来たのだが、褒められる所か久々の再会がてらに痛罵が飛ばされていた。

 

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