GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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 DLC3弾。ギャン子、ナイトストライク、サラちゃん! ……ちょっと待ってくれ。公式のネタ供給に追いつかない。

 え? SEEDFREEDOMの前日譚も? 待ってくれ。追い付かない。


50戦目:ゲろう!

「お姉ちゃん達、今から大人の時間を過ごすのかな……」

「あぁ。きっと、バルバトスでミカなことになるんだ」

 

 ここから先は、未成年お断りの世界だったのでアラタはリンを送り届けていた。どうやら、彼女達は昼間に立ち寄ったホビーショップの住宅スペースに住んでいるらしい。

アラタも帰路についても良かったのだが、顛末が気になるのか。2人は店の奥にある作業用スペースでガンプラを組み立てていた。

 

「最後まで行くと思う?」

「いや、多分タクマさんのことだから途中でガンプラバトルとかになって有耶無耶になるよ。もしくは、俺達が去った後にカドマツさん達がやって来るとかで」

 

 正に予想通り、小料理屋『みやこ』では本格的な同窓会へと移行して、ミサが暴れているのだが、アラタ達は知る由もなかった。

 

「なんかさ。マイスターって、クールな人だと思っていたけれど、案外ヘタレな所があるよね」

「タクマさんも好きな娘の前では、普通になっちゃうんだろうな」

 

 流石にRGは時間が掛かるのか、中々に終わらない。ひょっとしたら、ミサ達が帰って来る方が早いかもしれない。

 

「アラタには、そういう人っているの?」

「どう思う? いるとしたら、誰だと思う?」

 

 アラタは悪戯っぽい笑みを浮かべていた。身長が自分と同じ位しかないのに、こういう精神的な余裕を見ると、やはり年上なのだと言うことを再確認した。

 

「わ・た・し♡」

「大丈夫? お姉さんの惚気に中てられていない?」

「にべもなく、否定するなぁ!」

 

 ちょっとだけ期待をしていたのに。何を? と、自問しつつ。実際の所、リンの勘は悪くない。だが、いきなり答えを出してしまっては会話が終わってしまう。なので、総当たりで行くことにした。

 

「シーナさんとか?」

「趣味は結構合うし、付き合いも多いけれど。なんて言うか、会話の中で度々住んでいる世界は違うなって思うね」

 

 忘れがちだが、彼女はお嬢様である。フレンドとしての交流を続けることは難しくは無いだろうが、リアルでの付き合いになれば次元の違う難しさが待ち受けてそうだ。

 

「文?」

「好きとか以前に、見ていて心配なんだよな。なんか、見守っていないと悪い奴に騙されるんじゃないかって気がする」

 

 他のメンバーよりも自意識と言うか、そう言った人生経験のような物を少なく感じるので、ひょっとして相手は自分達よりも年下かもしれない。そう言った考えがあるので、恋愛感情とかの段階には行かなさそうだった。

 

「じゃあ、カルパッチョさん?」

「正直言うと、俺はアレの中身は男だと思っている」

「なんてことを言うの」

 

 繰り出すネタや思考に女性らしさが薄いというか。配信者としてリスナーに合わせた物になっているのかもしれないが、ムーヴ的に女性として考えるのは難しいという、とてつもなく酷い評価が下されていた。

 

「……じゃあ、お姉ちゃん?」

「優しくて良い人だけれど、流石に間男にはなりたくない」

 

 こういう常識的な所を聞いていると、GBBBBでいつも見ているアラタらしさを感じた。そして、最後の1人の名前を上げた。

 

「コウラさん?」

「どうだろうな。ちょっと、先輩とは難しいんだ」

 

 男子グループとの距離は言わずもがな。女子グループとも仲良くやれているアラタだが、コウラとの距離感だけは微妙……というより、何処となく遠慮している感はある。

 

「そもそも、2人はどういう経緯で知り合ったの?」

「それを語るには……もう、この際だから言うけれど。俺、ガンブレ学園って所に通っているんだ」

 

 模型屋の娘として、名前は聞いたことがある。世界的に見ても珍しいガンプラ技術に関する研究や開発を行っている専門学校で、世界的に有名なビルダーやファイターを何人も輩出しているだとか。

 

「道理でアラタもコウラさんも強いんだ。やっぱり、部活に入って知り合って。みたいな?」

「そんな所。でも、当時の先輩は半端なく荒れていたっていうか……」

 

 アラタの眉間に皺が寄って行く。あまり思い出したくない事なのだろう。

 実際、コウラの気性はかなり激しく、アラタやシーナのような緩衝材的人員がいるから、何とか落ち着いている様には見える。

 

「なんで、そんなに荒れて?」

「俺の口からは言えない。ただ、そのせいで俺はとある男に恨みを募らせることになったってだけ。ガンブレ学園じゃ英雄みたいな人なんだけれどね」

 

 暈してはいるが、そういうことなのだろう。リンも自分の考えを述べる気は無かったが、アラタは恨みつらみが募っているかブツブツ言っていた。

 

「アレに比べたらタクマさんは、ぴゅあぴゅあハートだよ。見ているこっちも応援したくなるから、今日は付き合ったって言うのに」

「そ、そうなんだ……」

「てか、アイツもハーレムってあり得ないだろ。ラノベの主人公かよ。幼馴染、委員長、ギャル、後輩、先輩、アイドル、先生って何人攻略するつもりだよ」

「ガンブレ学園に何が?!」

 

 もしかして、自分が思うよりも爛れた場所なのかもしれない。ガンプラバトルで破壊するべきは常識であって、倫理観ではない。

 

「ちなみに、このレースを勝ち抜いたのは幼馴染だ。負けヒロインだなんて、とんでもない。セオリーをヤタノカガミで跳ね返したんだ。ただまぁ、色々と引きずりまくったらしい」

「0083を見ているのに何も学んでいないのかな?」

 

 痴情の縺れはガンダムよりもマクロスなイメージがあるのだが、物語は大抵綺麗に終わるにしても、現実ではそうは行かない。

 

「最初に部活に入った時は空気ヒエッヒエッだったんだぞ。ていうか、信じられるか? 件の幼馴染。コウラ先輩と同じ部活に入っているんだぞ」

「部員減りそう」

「後輩ですが……部室の空気が最悪です。って感じだったけれど、俺はよく先輩の隣で作業していたから」

「え? なんで、態々空気が悪い所で?」

「リン。お前もGBBBBをやって分かっただろう? ガンダム好きが面倒臭い人種だってことを」

 

 リンはGBBBBのロビー画面を思い出していた。跋扈するトランスフォーマー、日々増えて行くギャン子の存在、未だにリビドーの発散対象とされているふみなパイセン。キャラ再現の土台と化したメイ……。

 

「面倒臭いというより、変態ってイメージが強いね」

「間違ってはいないか。んで、当時の俺はクソ真面目だった。だから、面倒臭い話をしなくてもいい先輩の隣は都合が良かった」

「人を弾避けみたいに……。それで、後は自然と仲良く?」

「そんな感じ。良い所もあるけれど、悪い所が多すぎる」

 

 自分の姉とタクマと比べても、大分拗れた関係なのだろう。仲が良いか悪いかすら分からない。ただ、適切な距離感は保てて無さそうだった。

 結構話をしていたこともあって、アラタは『RX-78-2 ガンダム Ver.2.0』を組み終えていた。素晴らしい造詣にうっとりしていた。

 

「はぅ……。やっぱり、美しい。勝つためにガンタンクと言う悪魔に魂を売り飛ばしてしまった俺を叱るような出来だ」

「ガンタンクに罪を擦り付けるのは止めようよ」

 

 これまた、ガンプラ用のプロテクタースーツに納めて、店を出ようとした。すると、入り口付近で店主のユウイチが驚いていた。

 

「ミサ!?」

「オーノホ! ティムサコ!! タラーキー!!!」

「久々の同窓会で思ったよりテンション上がっちゃったみたいで」

 

 タクマとカドマツによって担がれている彼女は、捕縛された宇宙人めいた様子だった。口からは意味の分からない呪文みたいな鳴き声が漏れている。

 

「う~ん。俺達、間に合わない方が良かったのかどうか」

「ある意味良かったと思うし、ある意味悪かったとも言える」

 

 カドマツが首を傾げているが、モチヅキはウンウンと頷いていた。どうやら、アラタが予想していた展開になっていたらしい。とりあえず皆で店の奥まで行って、彼女を布団の上で寝かせ付けた。

 

「タクマさん。この方が?」

「そうだ。カドマツ、この子がアラタ君だ」

「セトと似ているな。リアルじゃ始めまして。カドマツだ。で、こっちが俺と同じく。GBBBBの開発に携わっているモチヅキ」

「娘さん?」

「ちげーよ! カドマツと同期だよ!」

 

 アラタとリンが目を剝いていた。いやいや、まさかそんな。と思っていたが、財布から免許証を取り出して見せつけて来たので、認めざるを得なかった。

 

「世界って、思ったよりファンタジーなんだな……」

「私がファンタジー側の存在だって言いたいのか?」

「半ばな。俺なんて、腰も肩も痛くなって来たし、加齢臭もして来たってのに、お前は6年前から何も変わらない……」

 

 実はこの人だけ、宇宙世紀的な所から転移して来たのではないかと思った。見た目は本当に小学生にしか見えないのだから。

 

「多分、10年後も同じ姿な気がする」

「そんなことはねーって! もう10年後にはね、もう大人としての魅力漂う女性になっているんだからな!」

 

 リンとしても信じて上げたかったが、中々に難しそうだ。

 涎を垂らしながら眠りに落ちたミサを傍目に、タクマはアラタとリンに頭を下げていた。

 

「2人共、今日はありがとう。本当に助かったよ」

「いいえ。タクマさんはキチンとミサさんと向き合ってくれたので言うことは無いですよ。何より、いっぱい買って貰いましたしね。グフフ」

 

 色々と大変だったが、キチンと報酬があるのでアラタに文句は無さそうだった。カドマツも頭を搔いていた。

 

「俺も久々に嬢ちゃんの顔を見れたから良かったよ。それじゃあ、俺達は先に戻るけれど。タクマ、お前はどうする?」

「俺も……」

 

 戻る。と言い掛けて、何かに引かれたのか振り向いた。見れば寝ぼけたミサが、彼の服の裾を掴んでいた。

 

「もうちょっとだけ居させて貰おうか。リン君、大丈夫かな?」

「うん! お……父さんに言って来るね!」

 

 リンと一緒に入り口まで行って、ユウイチに事情を説明した。彼は快く頷いてくれた。こうなったら、自分達は邪魔にしかならない。

 

「それじゃあ、リン。また、明日。早く寝ろよ」

「うん! アラタもまた明日! GBBBBで!」

 

 カドマツ達と一緒にアラタはようやくこの長い一日に幕を下ろそうとしていた。かつて、この商店街を盛り上げた伝説的なファイター達の素顔と思い出話に加えて、お土産もた~っぷりと持ち帰りながら。

 

――

 

 ベロンベロンに酔っぱらったミサが着ているスーツが皺にならない様に、慎重に脱がせてハンガーに掛けた後、改めて部屋を見た。

 彩渡商店街でチームを組んでいた頃のメンバーの写真や、大会で優勝した時に得たトロフィーなどが飾られている。棚にはコレクションケースに入ったアザレア・ブレイジングが飾られている。他には宇宙開発関連の本が幾つか並んでいた。その内の一つを手に取った。

 

「(この本で紹介されている会社。確か、親元が『タイムズユニバース』だったか。ウィルの会社、宇宙開発も手掛けているとは言っていたが)」

 

 ミサが宇宙開発に興味を持つ理由は直ぐに想像できた。自分は既に諦めていたのに、彼女は全く諦めていなかった。

 

「(ロボ太を放って、ミサを放って。何やっているんだろうな……)」

 

 ガンプラファイターとしては6年前とは比べるべくもない程に強くなった。だが、取りこぼした物があまりに多すぎた。何も振り返らず、ガンプラバトルだけが強くなった自分には何があるのだろうか。

 

「また、暗い顔している」

「起きていたのか」

 

 若干、目の焦点は合っていないが、意識はあるらしい。用意していたペットボトルの蓋を開けて、彼女に差し出すと一気に飲み干した。

 

「ぷはぁ。だって、今日色々と話していたけれど。タクマ、あんまり笑わなくなっていたから。出会った頃はよく笑っていたのに」

 

 強いだけでは駄目だと言うことは分かっている。何時だってガンプラバトルには真摯でいるつもりだったが、それでも振り切れない。

 

「皆を放ってまで進んでいる道だ。強敵や課題が現れると心は奮えるが、笑う。と言うことは少なくなかったもしれないな」

 

 チョイチョイと手招きされたので、何事かと思い寄ってみると。ズルリと引きずり込まれた。そのまま態勢が変わって、ミサにマウントを取られた。

 

「そんなに責任感感じているならさ。とってもら……ヴッ」

「お姉ちゃ~ん? パジャマ持って来……」

 

 パジャマを持って来たリンが部屋に入った時に見たのは、タクマに覆い被さるミサだった。

 まさか、大人の時間だったなんて! と思い、顔を真っ赤にした彼女とは対極的に、ミサの顔は真っ青になっていた。彼女の口からツォーンが放たれ、タクマの顔に降り注いだ。

 

「ギャー!!」

 

 一瞬で悲鳴に変わった。リンは部屋内にパジャマを置いた後、急いでタオルやら何やらを取りに走った。タクマは弱音を吐き、ミサがツォーンを吐き出すゲロい一日となっていた。

 

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