GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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52戦目:リベンジろう!

『バトルトーナメントもいよいよ3回戦! 残ったクランはいずれも名だたるクランばかり! そして、今回の試合は皆さんからの注目度も非常に高い物です。イベント上位常連クラン『フリーダムフリート』。彗星の如く現れ、あらゆる話題をかっさらっていく新生クラン『ビアンカ』!  さらに驚くべきことに! 今回の出場メンバーはなんと! 誰もが一度は『フリーダムフリート』で活動をしていたことがある者達ばかりなのです!』

『凄いね。数奇な縁というか、いや。特定の人物は出るべくして出た気もするのだが……』

 

 ミスターガンプラとレコは、今回のバトルに出場するメンバーの中に堂々と名を連ねている『カルパッチョ』の文字に視線をやっていた。

 

『GBBBBをお騒がせするニューリーダー系動画配信者はリベンジを果たすのか! それとも、お約束(愚か者ME☆GA!)に落ち着いてしまうのか!』

 

 ネット上に散らばるミームを扱える辺り、ますますレコは有機性を増していた。ロビーのモニタで視聴しているメンバーの大半がスタースクリームとメガトロンの再現機体を使っている辺り、彼らの期待度の高さがうかがえるようだった。

 

「なんか、あの人らを見ていると。ここがガンダムゲーって言うんを忘れそうになるんよね」

 

 前回の戦いのときは美プラで埋め尽くされていたが、今回はG1系で埋め尽くされている。もはやいつもの光景だが、いやいつもの光景だからこそ。タオの中の常識は常に揺さぶられていた。

 

「アレ? シーナは?」

「あの群衆の中にいるぞ。スタースクリームアセンで」

 

 リンが尋ねた所、マシマの機体がエモーションで指差していた。大量のデストロンの群れの中に、シーナはいた。スタースクリームの姿で。

 

「HAHAHAHA! これで、カルパッチョが勝てばリベンジ達成! 戦勝祝いでGOOD☆NIGHTになるって訳さ!」

 

 標準的GBBBB市民の姿になった彼女を見て、リンはそっと踵を返した。自分はまだ高みには至っていないらしい。

 

「リン。シーナはどうしてあんなことを?」

「文。私にも分からないことは沢山あるの」

 

 多分、ビアンカ内で分かる奴の方が少ないのではないのか。ロビーがG1でごった返す中、美プラ以外にあまり興味のないセリトが尋ねた。

 

「今日はミスターさん来ないんですか? 誰か連絡受けている人は?」

 

 試合の観戦は基本的に全員でやっているのだが、今日は彼だけがいなかった。事情を知っているリンが代わりに答えた。

 

「今日は調子が悪いから休むんだってさ」

「え? 大丈夫かな」

「休めば戻るさ。社会人は常に不調と隣り合わせだからな」

 

 タオが心配そうにしていたが、マシマが励ましていた。やや実感を伴っているので、心強くはあった。

 

「始まりますよ」

 

 文が言う。ステージに各選手が転送され、間もなくバトルトーナメント3回戦が始まろうとしていた。

 

~~

 

「〇ねぇえええええええええええええ!!!!」

 

 ゴースティング対策として配信をしていないから気が緩んだ……と言うことは無く、単純にフリーダムフリートメンバーの全員が憎いのか。

 カルパッチョのアビスガンダムをベースにした『ガンダムドローレス』はルプスビームライフルを連射していた。

 

「カルパッチョらしく、まずは前菜から平らげることにしよう。クロカンテ! ボーボボ! 作戦通りにな!」

「分かりました」

「気安く喋り掛けるな」

 

 従順な態度を見せるクロカンテに対し、ボーボボは常識や定石と行った物を嘲笑する様だった。2機はそれぞれ担当の機体へと向かった。

 両機体は近接戦用に強く調整されていることもあって、3VS3の形式をとるバトルにおいては、相手を引き剥がしてタイマンに持ち込むのがセオリーとされているが、コウラとアラタは固まって行動していた。

 

「先輩! 頼んだぜぃ!」

「えぇ。行きなさい!! ファンネル!!」

 

 コウラの機体こと『ガンダム・サファイア』はアトラスガンダムを始めとしたOVA系の機体が組まれた物であるが、今の彼女はバックパックをキュベレイの物にして、機体の各所にファンネルラックを増設していた。

 夥しい量のファンネルが飛んでいき、クロカンテのGガンダム系のパーツをベースにした『フレイムガンダムスペリオル』とボーボボに襲来した。

 

「なるほど。合理性偏重のコウラ君らしいアセンだ。ボーボボ、君ならどうする?」

 

 新しいパーツや武装と言うのは馴染むまでに時間が掛かる。だが、ファンネルの攻撃はオートで行われることもあり、操作の習熟を必要としない。加えて、先日のアッパー調整でかなり攻撃頻度も上がっている。

 2人の武装が近接戦用に偏っていることもあり、メタを張って来たのだろう。クロカンテが打開方法を尋ねると、ボーボボは自らの頭部に両手を添えて言った。

 

「ムリ」

「……」

「ム」「リ」

 

 きっと、実演しているのがガンプラでなければ『ム』の辺りで唇き窄まり、『リ』の時点でズラリと並んだ歯がよく見えたことだろう。クロカンテは己の中に闘志と殺意の混合物が湧き上がるのを感じていた。

 

「ぶっ殺してぇ…」

 

 このゲームにフレンドリファイヤの設定は無いが、もしもあったらぶん殴っていたかもしれない。そんな彼らの様子を見ながら、コウラは高笑いしていた。

 

「なんて愚かな連中なの! いいわ! そこで仲間割れしてくたばっていると良いわ! 私の手間も省けると言う物!」

「先輩。完全に悪役のセリフだぜぃ」

 

 と言いつつ、アラタも遠距離からバズーカを放っていた。これでは、歴戦の猛者たるクロカンテも接近できず、一方的に嬲り殺されるだけだ。

 2機ともファンネルを切り払おうとするが、これらのCPUもよく出来ており。2機の近接攻撃が絶妙に届かない距離を保ちながら攻撃を続けて来た。

 

「不味いぞ、ボーボボ!」

「慌てるな! 短い時間だが、こういった窮地をも打ち破る絆の力を共に培って来たじゃないか!! 力を合わせて切り開くぞ!」

「そうだな!」

 

 後輩からの力強い励ましにクロカンテの中に僅かながら湧いていた焦りは雲散霧消した。この程度でビビっては、フリーダムフリートの幹部など務まる訳もない。互いに背中合わせになり死角を無くしたと思ったのも束の間、ボーボボはクルリと振り向き。クロカンテの脚部を掴んだ。

 

「え?」

「オラァーーッ!!!」

 

 すると、彼は背面のスラスターを吹かしてクロカンテを武器に見立てて、大回転を始めた。一見すると狂人的な行動にしか見えないが、アラタもコウラも意図を掴み取っていた。

 

「(そうか! クロカンテを武器にすることでファンネルの距離感を誤認させ、迎撃できる距離まで引き付けたのか!)」

「(おまけに彼の機体は近接戦用機体で頑強に仕上げられている! 凶器として振り回すには最適の機体!!)」

「うわぁああああああ! 助けてくれぇええええええ!!!」

 

 ビアンカの2人は考えを整理するのに忙しくて、クロカンテの渾身の叫びは一切聞こえていなかった。

 だが、実際にファンネルは激しく座標位置が移動する2機を認識できず、適切な距離を取れなかった為。フリーダムフリート友情サイクロンによって破壊され尽くされていた。凶器として用いられたクロカンテのHPはあまり減っていなかったが、激しい画面の動きにちょっとだけ疲れていた。

 

「よくもオレの大切な仲間を傷つけたな!!! 絶対に許さん!!!」

「えぇーーーっ!!?」

「先輩! 来るぜ!!」

 

 一応、常識人であるコウラは責任を擦り付けられた事や怒涛の展開から一瞬、思考が麻痺してしまい動きが止まった。だが、ボーボボの動きは止まることが無かった為、アラタが迎撃に躍り出ていた。

 鼻毛真拳の様に振舞われていた鞭の一撃は、アラタのガンダムタンクが突き出した拳法によって防がれていた。直ぐに、彼女も正気を取り戻してよろけているクロカンテを始末するべく接近していたが。

 

「キミなら、こっちに来ると思ったよ」

 

 だが、何と。クロカンテはボーボボのノリと実力行使に振り回されてもすぐに再生する恐ろしい程のリカバリー能力が備わっていた。よろけている一瞬を狙ったコウラは、却って彼の得物である専用サーベルで貫かれていた。

 辛うじて胴体への一撃は避けたが、肩部を貫かれてしまった為。ボロリとパーツが外れ落ちた。

 

「意外ね。クロカンテさんがあんなノリに付き合うだなんて」

「このクランは『フリーダムフリート』だ。自由であることは強さに繋がる。ボーボボは新しい風を呼び込んだ! 私は炎! 風に煽られ、更に高く燃え上がる!」

 

 コウラに並んで真面目な彼であるが、真面目も行き過ぎると案外ギャグの領域に突入するのかもしれない。

 彼の得物は以前までのバージョンではメイスに並ぶ強武器として有名だった専用サーベルだ。ナーフはされたが、未だに刺突から繰り出される連続攻撃は強力だ。彼女も対抗するべくビームサーベルではなく、ドリルランスを取り出していた。こちらはアップデート後の強武器として静かに有名になり始めている。

 

「行きます!!」

「来い! コウラ君!!」

 

~~

 

「無駄無駄無駄無駄ァ!!」

 

 フリーダムフリートのリーダーの実力は伊達ではない。幹部だったカルパッチョは一方的な攻撃に晒されていた。だが、カルパッチョも決してめげない。

 

「私はこんな所で! 負けられないのよ!」

「ほぅ! 以前までなら許しを乞うていた所だろうに!」

 

 以前は『お許しください…』と言って降参したが、結局許して貰えず追放された。

 自分がここまで頑張る理由が何なのか? ビアンカの為に頑張りたいから? あるいは、人気集めにしか使っていないガンプラバトルにも矜持が生まれたから? いや、そんなセンチメンタルな理由ではない。

 

「お前を引き摺り下ろして細切れにしてやる為だよぉおおおおおお!!!」

「この愚か者めが!!」

 

 カオスのブラックロータスがバックパックから引き抜いたアロンダイトでカルパッチョのドローレスをぶん殴っていた。何処まで行っても、彼女の安定感は揺るぎなく、視聴者を大いに喜ばせていた。彼女は人気動画配信者(芸人)である。

 

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