GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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56戦目:守ろう!

 バトルトーナメント3回戦翌日。準決勝に当たる4回戦に向けて、ビアンカでもメンバーの選出についての話し合い……よりも前に、昨日のニュースについての雑談が行われていた。

 

「なんか、昨日は色々な所でトラブルあったらしいで。電車が遅延したり、ゲーセンとかみたいな所でサーバーの調子がおかしくなったりとかしたらしいんよ。幾つかのWEBサイトも繋がり難くなってたし」

 

タオ達は試合を観戦していたので気付かなかったが、色々な所でトラブルが起きていたらしい。こういった事態が起きた時に予想されることは1つ。

 

「もしかして、サイバー攻撃でしょうか?」

 

 シーナが可能性を述べた。AI等も運用される現社会において、情報が持つ価値は飛躍的に高まっている。これらを抜き取ったり、あるいは人質に取って交渉しようと企む者達も後を絶たない。

 

「そうよ。本当に勘弁してほしいわ。折角、匿名掲示板で昨日の感想を言おうとしたら、アクセスできなくなっていたし」

「いや、元々アク禁食らってたんじゃね?」

 

 カルパッチョがぶーたれていたが、多分。サイバー攻撃があろうがなかろうが、アクセスできなくなっていたであろう未来を予想したマシマに、皆が同意していた。

 

「まさか、それでGBBBBがプレイできなくなる。ってことは止めて欲しいよね」

「せやなぁ。僕もここ以外、ネトゲやっていないし。つーか、ネットできひん様になったら、ガンプラ組み立てる位しかないし。セリト君はどう?」

「学校の宿題やって、予習やって、塾の宿題やって、過去問解いて、真TALE・レコを眺めて……」

「セリトさんは真面目なのですね。とてもいいことだと思います!」

 

 シーナが甚く感心している傍ら、自分の回答が真面目系クズの物だったことを自覚せざるを得なかったタオはそっと目を逸らしていた。

 

「つーか、お前。そのガンプラ、リアルでも持ってんの?」

「俺が組み立てた訳じゃなくて、アラタさんから貰ったんだけれどな」

「自信作だぜぃ☆」

 

 3回戦の時に見た胸部シュツルムファウストを思い返せば、納得できなくもない話だった。リンは渋い顔をしていたが。

 

「あんまり美プラが持て囃されまくっていると、このGBBBBがガンダムゲーじゃなくて美少女ロボゲーになっちゃうよ」

「コズミック☆ブレイク」

「何年前のゲームだよ。お前、本当に学生?」

 

 そう言っているマシマは結構おっさんなことになるのだが、GBBBBには着実に美プラの波が押し寄せつつあった。バトルトーナメント3回戦のハイライトが流れていたモニタが切り変わり、レコとミスターガンプラの2人が映し出された。

 

『先日のバトルトーナメント3回戦は盛り上がりましたね!!』

『うむ。私は引退した身ではあるが、昨晩はついついガンプラを弄り倒してしまったよ』

『熱い勝負は、誰の心にも響くんですね! この暑い情動! このバトルトーナメントに参加した人達以外にも分け与えたい! そう言った思いから、なんと! 新規パーツ実装のお知らせです!』

 

 レコは楽しんでいるが、一同はシンと静まり返っていた。別にこれは喜んでいない訳ではない。いや、嬉しがってはいるが、彼らは味を占めていたのだ。前回のギャン子実装のサプライズに。ステイ、ステイ。

 

『ゲーマルク・ハンマ・ハンマ。Hi-νガンダムのカトキバージョンにバリエーション。そして、ギャン子も正式実装です!』

 

 ここら辺でワァっと声が漏れた。ようやく、地獄の堀作業が終わり、皆で一緒にギャン子を遊び倒せるのだと喜んでいた。犠牲者が増えたとも言えるが。

 その後も新規に実装される機体が読み上げられていく。ビギナ・ギナ。ZZガンダムと強化型ZZガンダムのカトキバージョン。ガンダムヴィダール。ユーラヴェンガンダム(最終決戦仕様)と言った瞬間、ユーザー達がピタリと止まった。

 

『おーっと! レコ君。アレを忘れちゃ駄目だろ?』

『そうでした! なんと! 新規でSD機体! ナイトストライクガンダムが実装されます!! いや~。いずれも魅力的なラインナップですね!』

「っしゃぁあああああ!!」

 

 SD好きのタオは歓喜の咆哮を上げていたが、他のユーザー達は微動だにしない。本当は大トリにスゲェ物を待たせてあるんだろ? ほら、喜ばせてみろよと言わんばかりにお地蔵さんだった。

 暫くの沈黙。発表がここで終わるなら、〆の言葉があるはずだ。ミスターガンプラはサングラスを掛けているから分からないが、レコの視線は露骨にそれていた。あまりに有機的な仕草だった。ひじょ~に言い難そうにしていたので、ミスターガンプラの方が口を開いた。

 

『このGBBBBは日本だけじゃなくて、各国でも展開されているんだ。今やガンプラはグローバル! 世界を繋ぐ架け橋と言っても良い!』

『ガンプラが見知らぬ誰かと知り合い、分かり合うことの切っ掛けになれるのなら、素晴らしいことだと思います!』

『そうだとも! だからね。皆も世界中の誰かから見られているということを念頭において、いや。今一度意識して欲しいんだ。ね?』

『ですよね! 晒し首チキンレースをするのはとても恥ずかしいことですからね! カッコいいガンプラ。あるいは可愛らしいふみなちゃん、時には他作品の再現をした発想力や見立ても趣深い所でありますからね!』

 

 それは運営からの絞り出すようなお願いだった。頼むから、世界に向けて恥を晒す様な真似は止めてくれと。ここにいる者達の大半はガンダムを見て育って来た。互いに歩み寄り、分かり合うことの大切さ。いがみ合い、争い合う空しさを誰よりも見て来た連中である。

 

『……じゃあ、これは君達を信用しての発表だ。この新規に実装される機体。いや、娘と言えば良いかな? 扱い次第では、我々は諸共道連れだ。レコ君、頼んだ』

 

 ユーラヴェンガンダム(最終決戦仕様)で察していた者達も多かった。普通の美プラが実装されるなら、勿体ぶりはするがここまで警告はされないハズだ。

 どうして、ミスターガンプラ達がここまで注意喚起をした上で発表をするのか、グローバルであることを強調するのか? 持ち前の学習力を用いて、短期間で美プラ勢になったセリトの頭脳がフル回転し、1つの答えを導き出した。

 

「分かった。答えはロリだ。ロリの美プラだ。ならば、答えは1つだ」

「きっしょ」

 

 カルパッチョからあまりに無慈悲な一撃が飛んで来た。思っても口に出すなよと男性勢は思ったが、もはやこれが彼の立ち位置なのだから仕方ない。

 そして、彼の予想通り。新規実装の大トリはモビルドールサラだった。歓喜よりも困惑の方が大きかった様だ。

 

『知っている人もいますが。日本は結構規制が緩いんです。態々危険な橋を渡る必要はないと運営も論議をしてきました。しかし、ガンダムやガンプラの世界を知って欲しいという、スタッフ達の熱意と努力によって実装されたんです。こればっかりは、マジで危険なことをしたら瞬間で打ち首になります。フリじゃありませんからね?』

 

 ふみなやメイで遊ぶのとは訳が違うレベルで危険だ。もしかしたら、ビルドした段階でBANを食らう可能性もあるかもしれない。

 

『こちらも期間限定イベントでドロップしますが、超低確率です。折角手に入れて、サラちゃんごとBANされるのは嫌ですよね?』

 

 何人かが口元を抑えていた。この手で引き金を引けというのか。と呟いていた奴もいたが、すかさず『消えるのはお前だぞ。グッドイヴニング』という心無い発言をする奴もいた。もう、滅茶苦茶だった。

 

『という訳で! 皆の良識と良心を信じているぞ!』

『また会えることを願って!』

 

 こんな悲壮な覚悟で新機体実装のニュースを聞くことになるとは思わなかった。そして、数人が顔を見合わせて頷いた。

 

「サラちゃんへのリビドーは、ふみなとギャン子にぶつけよう」

 

 彼らは静かに期間限定イベントに潜って行った。ギャン子の時の様な熱気はない様に見えるが、実際は違う。本当はコロニーレーザー位の熱量を持ったまま蠢いているのだ。レンジに入れられた爆発寸前のダイナマイトだ。

 

「ふみなちゃん達が人身御供になって可哀想……」

「オッス! オラ」

 

 リンが酷い目に遭わされる美プラ達を思い涙を流している中、アラタが要らんことを言いそうになっていたので、タオが頑張ってインターセプトをしていた。

 

「いつもはコウラちゃんがやってくれるところなんだけれどなぁ」

 

 今日は、文、ミスター、コウラもいないし集まりの悪いビアンカの様子を見ながら、マシマは溜息を吐いていた。

 

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