GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】 作:ゼフィガルド
「GBBBBの中で起こる全ての出来事がオレのパワーだ!! 攻略サイトやパーツレベル等だけで積めない経験や出会いこそが最大のパワーを生む!」
対戦が始まって意気揚々と突っ込んで来たボーボボがVCで怒涛の勢いで捲し立ててきた。ガンプラのみならず本人まで自由であるらしい。
「そのパワーの前じゃ効率など、机上の空論に過ぎん!! GBBBBで一番大事なモノ? 強いモノ? そんなものは決まっている!!」
敵ながら、中々にGBBBBにおける体験に拘りがあるようである。
この熱量は上位クランに誘われても不思議ではないと、アラタとタオが脱帽する中、ボーボボが締めくくった。
「効率だ――――――――!!!!」
「えぇーっ!!!? どっちやねん!!?」
今日、出会ったばかりと思えない呼吸の合い方に、後方で見ていたカオスがゲラゲラ笑っていた。これにはアラタも賞賛を送る外無かった。
「ナイスツッコミだぜぃ」
ボーボボであることは見た目以外にもこだわっているらしく、武器は鼻毛真拳をモチーフにした鞭使いであり、リーチの長い攻撃と怒涛の口上を前にしては怯まざるを得なかった。
「ク~クックックック。俺達が当て馬にされそうな空気が漂ってんだよなァ。コレがアニメとか漫画なら、手違いで出会った上位陣グループと拮抗する主人公チームみたいな感じなんだろうが」
クルルの両腕に握られていたのはアトミックバズーカだった。だが、アラタは怯むことは無かった。
「へっ。知っているぜ。ソイツは攻撃範囲とパーツアウト能力は高いけれど、攻撃力自体は高くないし、継戦能力は低いんだ。一発撃ったら、俺達の番だぜぃ!」
「よ~く、勉強しているじゃねェか」
クルルからアトミックバズーカが放たれた。凄まじいまでの爆風で3機が吹っ飛ぶが、態勢を立て直した。さぁ、反撃だ! と、勇ましくブーストを噴かしたが。ふみなアバターが言った。
「敵機『クルル』。カートリッジなどの合計により、射撃容量に高いブースト、射撃コスト-100%以上のバフが掛かっています」
「それって、まさかやと思うけど」
「連射して来ますね」
禁断のアトミックバズーカ連射である。南極条約激怒不可避の爆風パラダイスを前に、アラタ達は中空を舞い続けていた。
「浮かび過ぎ―!!!」
「やられ千葉ァ!!」
ずっと宙を舞っていたアラタの機体はボーボボの頭上からの攻撃で地面へと叩きつけられていた。幸運にも追加攻撃を食らわなかった、タオは思った。
「いや、宙に浮かばせてきたん、そっちやん……」
「爆風のエフェクトや攻撃範囲のせいで動作も重くなっています。回線からやられるかもしれません」
まさかのバトルシチュエーションその物を潰す方向で攻撃して来るとは思わなかった。レートがややコマ送りの様になり、動きが固くなる。
正に絶体絶命の状況。ボーボボが止めを刺そうと近付いて来た時、アラタの機体が立ちあがった。
「ふっ、こんな緊張状態。学園の方でアイツと対峙した時以来だぜ……!」
「アイツだと?」
「そう。アレは俺が学園内の部活動で活動していた時のことだ」
なんで、この状況で態々語り出すんだろう? と、タオは疑問に思ったが、自分のことをあまり話さないアラタのことを知る良い機会だと思い、ダウン状態を続けていた。そして、いざ彼が語り始めようとした時、ボーボボが彼を殴り飛ばしていた。
「浸り過ぎーー!!」
「やられ千葉ァ!!」
さっきから、テンションの乱高下が激しすぎてタオは頭がおかしくなりそうだった。ふみなアバターが疑問を浮かべる中、後方ではカオスの機体が笑い転げていた。だが、話途中で攻撃を食らったアラタは怒りに燃えていた。
「許さねぇ。よくも、ここまで俺の存在を蔑ろにしてくれたな。潰してやるぞ…!」
彼の怒りに呼応する様に、ガンダムタンクが真っ赤に染まった。
ただならぬ雰囲気を感じたボーボボとクルル。そして、味方であるはずのタオまで息を呑んでいた。
「ヤバいぜ、ボーボボ」
「くっ!」
「ほぅ。これは!!」
戦いに駆り出されている2人は、ガンダム的に言えば『プレッシャー』の様な物を感じ、背後に控えていたカオスは面白い玩具を見つけたと言わんばかりに喜色を浮かべていた。ガンダムタンクが飛翔し、アラタが叫んだ。
「落してやるぞ、カオス!!!」
「え?」
完全に想定外だったのか、猛接近して来たガンダムタンクの手から強大なエネルギーの塊が放出され、まるでビームサーベルの様にして用いてカオスの機体である『ブラックロータス』のパーツを吹っ飛ばしていた。
「いや。なんで!!?」
「いいえ、的外れな攻撃とは思えません。油断しきっている相手側のボスを一撃で落とす。日本史の戦いでも似た様な例があったはずです」
ふみなアバターが言っているのは、恐らくだけが桶狭間の戦いの事だろうか? 言われてみれば、頷けないことはない。ただし、それは相手と自分側のレベルが似た様な物だったら。という前提があってこそだが。
「参ったなぁ。まさか、こっちに攻撃して来るとは思わなかった。パーツも取られちゃったしね。いや、もしや君が私のパーツ目当てだったんなら、大した物だよ。だがね!」
やはり、パーツのレベル差もあってかブラックロータスのパーツを弾き飛ばした物の、大したダメージにはなっていなかったらしい。
「私は大人げないよ?」
弾き飛ばされたパーツが引き寄せられ、元の状態に戻った瞬間。ブラックロータスはバックパックのアロンダイトを引き抜いて、ガンダムタンクを切り上げた。レベル差もあり、オールパーツアウトを引き起こした後、『M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲』を放った。
「やられ千葉ァ!!」
先程まではやられそうでやられていなかったが、胴体だけになったアラタの機体は、空中で砲撃を食らって爆散した。
初心者相手に一切手加減の無いフィニッシュコンボを決めている所を見て、タオは絶句していた。上位ランカーの力はあまりに圧倒的だった。
「よし、今日はこの辺りにしておこう。結果は追って通知するよ。それと、突発的だったけれど、相手をしてくれてありがとう。実りの多い戦いだったよ」
「(嫌味かいな……)」
上位クランのプレイヤーは人格も兼ね備えている物だと考えていたが、あまりに一方的にボコられたこともあって、タオの中で彼らの心象はかなり悪化していた。ふみなアバターの機体もダウンしている。
「ある種当然の結果でしたが、アラタの機体に起きた現象には興味があります。ミッションが終わった後、少し調べてみましょう」
最終WAVEが対人戦へと切り替わった為、ミッションは失敗に終わったが、GBBBBにおいてはミッションが失敗してもキチンと報酬は受け取れる。
大量のガンプラに混じって、1つだけ異様にレベルの高い物があった。アラタが吹き飛ばした、ブラックロータスのパーツだろう。
「(こ、これを使えば……)」
一気にミッションが楽になる。だが、受け取っても良い物かと考えた。自分はずっとダウンしていただけだったのに? 少し考え、売却を選ぼうとして……やっぱり回収していた。
~~
「なぁ、タオ。なんか、さっき俺の機体。赤く光っていたんだけれど、あれも何かのバグか?」
ミッションが終えた後、あんまり凹んでいないアラタのタフさを羨ましく思いながら、タオは検索をしていた。
「アレは『覚醒』やね。一部のプレイヤーだけが使える能力って話で、使える奴はメッチャ珍しいねんで!」
「他のプレイヤーが使えない能力を使って優位に立ち回るってチート行為に当たらねぇか?」
喜ぶかと思ったら、滅茶苦茶シビアな答えが返って来た。よく言えば、フェアプレー精神の持ち主でもあるのだろうが。
実際、この辺りの扱いはタオにも分からない所だった。チートとして見られているのか、1つの能力として見られているのか。
「その辺は心配ない。私も運営に問い合わせをしたことがあるからね。結果、問題はないそうだ」
「カオス……」
ふみなアバターが、やって来たカオスに反応していた。一方的にボコられたこともあって、タオが反応し辛そうにしていると。代わりにアラタが反応した。
「おぉ! アンタ、強ェじゃねぇか! しかも、使っているパーツも見事だ! 俺も早速使わせて貰っているぜぃ!」
「お気に召して貰えたら幸いだ。私からパーツアウトを奪い取る君の実力を称賛しての物だと思ってくれ」
滅茶苦茶ボコボコにされたというのにアラタは気にした風もなかった。器のデカさが違うとでもいうのだろうか。
「で、覚醒ってのは何だい?」
「一部プレイヤーのみが使える能力で、運営側もよく分かっていないらしい。バグだとか、当りID特典だとか色々と言われているが、使えるからには何か理由があると思っている。使えば、機体の能力は飛躍的に向上してバーストアクションと呼ばれる特殊な挙動も使える様になる」
「聞けば聞くほど、一部のプレイヤーだけが使えるのはずるくねぇか?」
「運営が許可している。と言うことは、バトルを一方的に有利にするという程でもないと判断しての事だろう」
もしも、使えばバトルをひっくり返す程の能力ならば運営側も規制をしているハズだが、そう言った物が無いことを考えるに言う程大したことは無いのかもしれない。
「データ解析によるとアサルト覚醒などでも攻撃力が1.2倍程に上がる位で、コンボ数を重ねた時に得られるバフの恩恵の方が上だと判断して、仕様と言うことで落ち着いているそうだが」
「あの。それって、データ解析って奴ちゃう?」
ネットゲームなどにおいてマスクデータを覗く行為は何かしらの規約違反に引っ掛かる可能性は高い。とは言え、自分で検証したりして導き出したデータならば文句も言えないが。
「まぁ、そう言う下らない結論で〆る者もいるがね。私はデータ以上の何かがあると思っているよ。だから、アラタ君だったか? 折角手に入れた力を使いこなす為にも。私達『フリーダムフリート』に体験入団してみないか?」
「えぇ!?」
「タオ。さっきから、驚いてばっかり」
上位クランは入団テストなども厳しく、簡単に入れる物ではない。
だが、入ってしまえば育成環境や人手が充実しており、少なくとも自分の様な個人と付き合うよりは格段と上達スピードも上がるだろう。となると、自分達の元に帰って来なくなるのではないかと言う不安が過った。
「ちょっと、リアルの関係であんまり団体らしい団体に所属したくねぇんだ! 折角、誘ってくれたのに悪いな!」
「ふむ。残念だ。だが、何時でも遊びに来てくれたらいい。入団は流石にハードルが高すぎたかもしれないからね。コレ、私のプロフィールカードだ」
上位クランのメンバーから直々にプロフィールカードを渡されるというのは、相当な出来事だ。一通り話した後、カオスは上機嫌な様子で去って行った。
タオとしては胸を撫で下したが、気になることはあった。以前にミスターガンプラに話した人間関係云々やボーボボに殴られて止めたこと。リアルで何があったのだろうか?
「なぁ、アラタ。なんか、リアルであったん? 前に粘着されている言うてたけど」
「そうなんだ。ソイツに見つかるかもしれないから、あんまりリアルな話は無しな」
もしかしたら、近くに潜伏している可能性もあるかもしれない。ならば、迂闊に喋る訳にもいかないかと。タオは口を閉じた。すると、切り出すタイミングを見つけたのか、ふみなアバターが口を開いた。
「色々とありましたが、今日のミッションは有意義な物でした。また、ご一緒してもよろしいでしょうか?」
「構わねぇぜぃ。でも、名前はなんていうんだ?」
「名前ですか? ……ふみな。は、キャラ名として被るのでよろしくはありませんね。では、文(ふみ)で良いですか?」
「打ちやすくてええね。これからよろしくな、文!」
タオとアラタもプロフィールカードを交換した。また一人、GBBBBを共にするフレンドが増えたことを喜ばしく思う反面、ふみなアバターと言うペルソナ故に周囲からの視線を凄い集めていたことを、当の本人達は気にすることも無かった。