GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】 作:ゼフィガルド
かくして、GBBBBにおいて極めて珍しい美プラ合戦が始まった。美プラに挟まるガンダム・タンクの存在は気になるにしても、この光景はプレイヤー達を大いに盛り上げた。
ロビーには、ユーザー達によって思い思いの魔改造が施されたすーぱーふみな、ギャン子、モビルドールメイが集まっている。
「す、すげぇ。まるでGBBBBの粋を集めたカーニバルだぜ」
「百鬼夜行やろ」
「アンタの同級生も一員でしょ」
マシマが感じ入っている中、タオがドン引きしながら答えていた。だが、リンは残酷な事実を述べていた。隣ではカルパッチョが悔しがっている。
「なんで、ドーラの奴は美少女カテゴライズで私はトランスフォーマー分類なのよ!!!?」
「ムーヴぅ。ですかねぇ?」
片や、女王様と言うキャラ付けでしっかり美女をしている中、片や美少女アバターを使いながらニューリーダー病を発症させて襲い掛かったバカ。
カルパッチョが幾ら抗議しようと、シーナが述べた事実の前では沈黙する外無かった。過去は消えない。
「コレが2人の目指した理想の空間なのかなぁ……」
もうちょっとこう、カッコいい感じのガンプラが集まる場所を提供してくれるかと思いきや、集まったのはアホばかり。でも、皆も楽しんでいるし良いのかな? と、ミサが納得する為に隣にいるコウラに同意を求めようとしたが。
「……」
「コウラちゃん?」
当の本人は眉間に皺を寄せていた。怒っているかどうかはさておき、話し掛けられる状態ではなさそうだった。ロビーに設置された巨大モニタには『真TALE・レコ』とグスタフの『ドーラ・マックス』がスクリューウィップとビームリボンで激しく打ち合っていた。
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2人のバカが無知で無恥なる光景を繰り広げていた。互いの機体にムチが絡みつき、緊縛状態に陥っている。2機とも機体のパーツレベルは高い為、出力的には拮抗していたが構造上の問題があった。
「なんで、こんなに拘束がきつく……!」
「それは、お前の対象への理解が問題だ」
グスタフが重い口調で告げた。どういうことかと思ったが、セリトは自らの機体を見下ろした。
アラタが製作したこの機体は、レコの垂乳具合も見事に再現している。胸部周りのパーツにビームリボンが絡みついていたのだ。
「そ、そうか! この垂乳のパーツがビームリボンの拘束力を強化する土台になってしまっているのか!!」
「気付いたようだな。一方、俺のドーラMAXは胸部の盛り具合に拘っている。だから、お前のスクリューウェッブが絡み付いた所で、形の良い乳房を前にはずり落ちて行くしかない」
ガンプラの完成度が戦力に影響するという話はもはや常識であるが、形そのものが影響を及ぼすというのは珍しい。だが、セリトは不敵に微笑んでいた。
「だが、アンタの機体の胸には何が詰まっているのかな?」
「ドーラへの愛だ!」
「それじゃあ俺には勝てないな。何故なら、この胸にはレコちゃんへの愛に加えて……」
真TALE・レコの胸部が光った。シュツルムファウストなら巻き付けているビームリボンで破壊され、自爆されるだろうと睨んでいたがこれは違う。直ぐに、グスタフの機体は飛び退いた。
瞬間、彼が居た場所を砲撃が通り過ぎて行った。シュツルムファウスト以外の武器も内蔵しているらしい。
「メガ粒子砲も詰まっているんだぜ?」
「乳首―ムと言う訳か。だが、俺には一切不要。この造詣さえあればいい!」
寡黙な人間の様に見えて、フリーダムフリートに所属することもあってノリ自体は良い人なのかもしれない。多少性的であってもギャグ調であれば許されるかどうかはさておき、彼ら以外はそこそこ真面目に戦っていた。
「私以外の男どもが私の為に戦っている! これが力だ!」
ドーラ本人が使う『ドーラ・オリジン』の武器は鞭でもビームサーベルでもない。デス・アーミーが使う棍棒だった。
射撃武器も兼ねているのか、ずっと棍棒を握っている。対する文も応戦しているが、相手の攻撃が早すぎて防戦を強いられていた。
「まるで、殴り慣れているかの様に無駄なく振るいますね」
「勿論さ! 私は、かつて野球少女だったからね!」
「今は少女じゃないんですか?」
本人的には『もう野球はしていないんですか?』位の問だったが、どうにも受け取り方に齟齬があったらしく、ドーラの攻勢は増々激しさを増していた。
最後に。アラタと丹生が使う『ドーラ・ピューパ』は射撃戦を繰り広げていた。アラタがハイパー・バズーカを連射する中。丹生はアトミックバズーカを連射していた。
「このアトミックバズーカの連射。まさか……」
「ク~ックック。って言えば、思い出すかな?」
ワザとらしくボイスチェンジャーで、笑い声の部分だけを変えていた。
ボーボボが活躍している傍ら、もう1人がどうなっていたかも気になっていたが、こんな所にいたらしい。
「じゃあ、アンタはコウラ先輩が隣にいたって言うのに、知らんふりをしていたってのかよ!」
「キミだって、彼女に素性を隠していただろ? 本当はキミだって彼女を疎んじているんだ」
近距離通信である為、外部や作戦用のVCに漏れる事はないが、自分の心を抉り出して来るような言葉が一々アラタに突き刺さっていた。
違う。と否定することは出来ても、心の奥底で思っていることは本当だった。嘘を吐けば付くほど、言葉は軽くなる。だから、彼は意を決した。
「……GBBBBをやっていても効率厨。マイクロミサイルランチャーにナーフ前のメイスを勧められたら辟易もするに決まっているでしょ。でもね、そう言う押しつけがましい位に真面目な所も含めて先輩だ!」
「避けていた癖に」
ガンブレ学園のガンプラバトル筐体におけるバトル。通称『G-cube』と呼ばれるルールにおいて、アトミックバズーカは猛威を振るっていた。その関係もあって、丹生はこの武器種の取り扱いが異様に上手かった。
外しても、別の場所で行われているバトルへの影響力も計り知れず、チームメンバーであるセリトや文にも流れ弾が飛んで行っている。
「キミは何時だってそうだ。詰まらない機体しか作れないから、ネタガンプラに逃げて、イオリに感情をぶつけて、嫌われたくないから僕に当たり散らしている」
今まで、一方的に悪感情をぶつけていた相手から何も思われていない訳が無かった。そう言った幼稚さをアラタも自覚していないハズが無かった。
「自分はユイ先輩とよろしくやっているから、勝者の余裕か?」
「キミ達の不機嫌さにコントロールされるつもりは無いってだけ。何故なら、僕は自分に正直に生きているからね。不満と嘘だらけの君達と比べて、こんなにも輝いているのさ」
トランス系のスキルを使ったのか、丹生の機体が輝いたかと思えば、髪色が変わり袖付きのボディの下からガンブレ学園の制服を再現したと思しきボディパーツが現れた。
「……え?」
「蛹(ピューパ)から飛び立て、ユイ姉ェ!!」
あの時、どうして丹生が送ったガンプラの写真に対して『他の女を再現してからに!』という怒りが返って来なかった理由が分かった。恐らく、彼女は機体の下にコレを仕込んでいたことを察していたのだ。
『凄いぞ! 誰もがガンプラで愛を叫んでいる!! 白熱したバトルに青春は付き物だ!!!』
『なんか、一周回って楽しくなってきましたね!』
もう、実況もやけくそだった。ロビーはかつてない程の活気と熱気にあふれ、VIP専用ルームにおいてタクマと一緒に観戦していたカオスは感銘を受けていた。
「流石、私が見込んだだけにある。もしも、これが真っ当なガンプラでのバトルだったら、ここまで心湧きたつ勝負にはならなかっただろう。ジン君もそうは思わないかね?」
「なぁ、カドマツ。何故、コイツがVIPルームに居るんだ?」
『監視と言う名目でバトルトーナメント中に妙なことをしないかと言うのを見張ることもあってだ。本人は快く同意していた』
我が子を自慢したくて堪らないと言わんばかりにカオスがアピールポイントを紹介しまくっていたが、マイスターことタクマの心は平穏ではなかった。
「ほら! ジン君! 見たまえ! ガンダム・タンクは全高が低いからローアングルになりがちだ! 対する、ピューパは空中戦を得意としている! 両者を映そうとすると、ローアングルになりがちなんだ! つまり」
「(ミサ。俺は頑張っているよ)」
先日、再会した彼女を思い出しながら。というか、何ならロビーのビアンカ集団の中にいるアザレアブレイジングを見ながら、彼は泣き言を吐いていた。