GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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62戦目:受けて立とう!!

 某所。1人の痩せぎすな男が屈強な男達に囲まれて作業をしていた。彼の表情は憔悴仕切っており、何かしらの作業に従事させられているのが見て取れた。

 

「折角、復讐のチャンスを与えてやっていると言うのに。まだ、成功しないのか。バイラス?」

「わ、私はもう連中と関わりたくないんだ! 頼む、解放してくれ!」

 

 バイラス。かつてはセキュリティソフト会社の社長をしていたが、自身の会社もウィルスをばら撒いてマッチポンプを行っていたことがバレて、社会的地位を失った。

 これらが公表された恨みから、軌道エレベーターのAIをハックしたり、続く第2の事件を幇助したりと。世界を2度も危機に陥れた男である。どちらの事件もとある少年少女達によって阻止されているが。

 

「解放? 貴様の様な犯罪者が生きられる場所があると思うのか?」

「うっ……」

 

 リーダー格と思しき屈強な男に詰められて、バイラスは言葉を失った。

 彼は自発的に世界を危機へと陥れたのだ。もはや、世界中の何処にも彼の居場所はない。故に、こうした非合法的組織に永遠に搾取されるという破滅しか待ち受けていない。

 

「お前が進める未来は復讐しかない。お前を許さない社会を許すな。それに、上手く行っているではないか。あのAIに」

 

 重ねて来た悪事が全て自分に返って来た。だが、真っ当に生きることは敵わないとするなら、全てを巻き込んで道連れにしてやるのも悪くはない。破滅的な願望に突き動かされようとした時、カランと。音が聞こえた。

 瞬間、凄まじい閃光と爆音が響いた。五感の殆どが奪われ、ドタドタする振動だけを感じている中。バイラスは浮遊感を覚えた。誰かに運ばれているのだ。

 

「な、何者だ!?」

 

 自分を連れ去って行く人間は何も答えない。ひょっとしたら、自分達がやっていることがバレて始末をしに来たのかもしれない。だが、もはやどっちでも良かった。人生の幕引きがほんの僅かに早くなるだけだ。

 視界が回復して来た頃、周囲は騒がしくなっていた。見れば、物々しい装備をした隊員達が建物へと入って行く。軍用車両と思しき物も停まっている。

 

「自分の名前は言えますか?」

「ば、バイラスだ。その声は……!」

 

 五感が戻って来た今なら分かる。目の前の男には見覚えがあった。自分を煽り立て、第2の事件を幇助させた男。

 

「はい。お久しぶりです」

「な、ナジール。貴様、何故ここに!」

 

 あの事件では裏切られ、投獄されたので顛末は見届けていない。ただ、世が変わっていない所を見るに成功しなかったのだろうという察しは付いていた。

 

「贖罪ですよ。私が灯した災禍の炎を消す為の」

 

 まるで意味が分からなかったが、一先ず自分の命の危機が去った事だけは分かった。彼らは直ぐに、この場を後にした。

 

~~

 

「(この男。強い!!)」

 

 セリトは舌を巻いていた。グスタフの『ドーラ・MAX』はビルダーズパーツを再現のみに用いており、洗練された美しさを最大限に引き出す戦い方をしていた。

 本当に勝つことだけを考えるのなら、ヒット数を稼ぐマイクロミサイルランチャーを各所に取り付けたりすればいい。見た目が邪魔になるなら非表示にすればいい。そんな甘えを一切廃した造詣だった。

 

「(この少年には見どころがある)」

 

 一方、グスタフもまたセリトに感心していた。ガンプラの出来の良さもさることながら、ビルダーズパーツの使い方から戦い方に至るまで漲る情動を感じさせる。何としてでも、共に勝つ! という、勢いはさながら二人三脚の様な連携感を感じさせた。

 

「これだけ洗練された美プラでこんだけ強い相手とは初めてっすよォ」

「これだけ楽しそうな美プラで俺に挑んで来たのは、お前が初めてだ。敬意を表し、持てる全力で迎え撃つ!! ドーラ!!」

 

 少し離れた場所で文と戦っていたドーラが反応し、すーぱーふみなを蹴り飛ばしたかと思えば、グスタフの『ドーラ・MAX』の隣に立っていた。

 

「おいおい、アンタがそこまでやる程の相手なのかい?」

「美プラをネタとして愚弄する程度の相手ならば、俺が叩きのめしてやる所だったが、全力で推しと共に戦って来る相手なら! 俺もドーラと共に戦いたい」

「よぅし。じゃあ、見せてやろうじゃないか! 新入り!! こっちに寄こしな!」

 

 ドーラが号令を発すると共にグスタフがビームリボンを構えてしゃがみ込み、ドーラの機体が大きく下がった。すると、上空からアトミックバズーカの砲弾が落ちて来て、彼女の後ろで炸裂した。

 このゲームにフレンドリファイヤは無いが、アトミックバズーカ程に規模が大きい物だと多少の物理演算が働き、味方機でも吹っ飛んだりすることはある(ダメージは無いにしても)。その勢いを受けて、加速したドーラ・オリジンが全力で棍棒を振るった。グスタフの『ドーラ・MAX』が錐もみしながら飛ぶと同時に、彼はビームリボンを激しく振るっていた。もしも、該当作品を知っている者ならば必殺名を叫んでいただろう。

 

「アレは、超級覇王電影弾……」

「違うね。コイツは超ド級八十鮮血破壊砲だ!!」

「(なんで八十なんだろう……)」

 

 セリトが疑問に思ったのも束の間。このままでは、破壊砲弾と化したグスタフによって自分と文は引き潰されてしまうだろう。周囲を巻き込み、引き裂きながら肉薄する相手に回避と言う生温い行動が許されるとは思えなかった。

 ここまでか。と、セリトが諦めかけた瞬間。文のすーぱーふみなが薄く緑色に輝いていた。

 

「文ちゃん?」

「以前、アラタの覚醒を受けた時の感覚を思い出して再現してみたけれど、これで受けられると思う。セリト、相手が野球で勝負するなら。私達も同等の方法で返すべきだと。それがGBBBBの作法だから――負けられない」

 

 すると、文のすーぱーふみなは全身の防御を固める態勢を取り、棒立ちしていた。セリトには何をすべきなのか直ぐに分かった。

 

「嫌だ! 俺には出来ない!!」

「やるんですよ! 貴方は、姐さんを。レコさんを敗北者の機体にしたいんですか。私も、負けたくない!」

 

 彼女の叫びと共に放たれる緑の光が強くなる。普段はお澄ましさんの文からの激しい叱咤を前に、セリトは覚悟を決めた。迫りくる破壊砲弾を前に、緑色の光を放つすーぱーふみなを掴んで、構えた。

 

「うぉおおおおおおおおお!!!」」

 

 背後のスラスターを器用に操作して、大回転を始めた。荒れ狂うグスタフ破壊砲弾に向って突き進む。周囲に発生しているビームリボンによる攻撃判定が、真TALE・レコとすーぱーふみなを刻む中、暴風の如き勢いにも押し負けずにセリトはバットと化したふみなを離さない。

 

「いっけぇえええええええええ!」

「うぉおおおおおお!」

 

 2機のガンプラのパーツがガリガリと削られ、次々とパーツアウトして行くが踏ん張り続けていた。真TALE・レコのブースターが最大出力で噴いていた。

 あまりの全力振りにバックパックが焼け落ち、煙も上げようとする中。彼の機体が前のめりに進んだ。

 

「すまない。ドーラ」

 

 グスタフは打ち返され、特大ホームランが上がった後、空中で爆散した。セリトが勝利の余韻に浸り掛けた瞬間、ほとんど無傷のドーラ・オリジンが目の前に現れた。

 

「あ……」

「アンタも同じ所に行くんだよぉ!!」

 

 ボロボロとなっていた真TALE・レコが同じ様に高く打ち上げられた。先の一撃で耐久力が限界を迎えていたこともあり、グスタフと同じ様に空中で爆散した。

 

「セリト!」

「アイツの挺身に報いてやるのが、推しの義務ってモンさ! お前も、ここで倒されるんだよォ!!」

 

 先の破壊砲弾の一撃を受け止めたことで、すーぱーふみなも相当に耐久力を消耗していたこともあり、ここで彼女も撃破されるかと思っていた。……だが、折れたのはドーラが使っていた棍棒の方だった。

 彼女は冷静だった。直ぐに射撃武器に切り替えていた。しかし、この一瞬は文にとって値千金だった。一瞬で飛び込み、懐に潜り込むとガーディアン覚醒の防御力を活かして、ビームサーベルで滅多刺しにしていた。

 

「こ、こいつ! なんで、未だ動けるんだ!?」

「負けられない。ここで、負けられない……!」

 

 折れた棍棒型ライフルを至近距離でぶっ放しまくるが、文の機体は止まらない。その勢いたるや恐怖すら感じさせる物だった。

 

「こんの、小娘がぁああああああああ!」

 

 折れた棍棒をなおも叩き付けた所で、完全に使い物にならなくなった。そして、最後の一刺しがドーラ・オリジンを貫いた。機体が停止したことを確認しようと近付いた時、熱源反応を感知した。

 

「後は任せ」

 

 間もなくして、2機をアトミックバズーカの爆風が呑み込んだ。

 

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