GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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64戦目:振り返ろう!

 かくして。バトルトーナメント4回戦は終了し、『ビアンカ』はマイスターのクランと戦う権利を得た。一新興のクランに過ぎなかった彼らが、ここまで上り詰めたシンデレラストーリーが話題にならない訳がない。

 そして、そんなネタを嬉々として使う奴がいた。GBBBBのスタースクリームだとか、頭ニューリーダーとか散々なあだ名を付けられているが、以前よりも動画の再生数を伸ばすことに成功したカルパッチョだ。

 

「まぁね。私はね。このクランが大成することは最初から予想していたのよ。フリーダムフリートは安定し過ぎて、停滞の空気が漂っていたからね。けしからんと思って、私が喝を入れてやろうと思ってあんな謀反劇を起こしたんだけれど」

「凄いな。長期連載の漫画でもそこまでの後付けはしねぇぜ……」

 

 毎回、彼女の配信にアラタが出演してくれるのは、付き合いが良いだけではなく、クランのリーダーとして彼女の失言に目を光らせていると言うこともあるのだろう。なので、実況中に結構な頻度で小言を言っているのだが、視聴者には軽快な遣り取り位にしか思われていなかった。

 

「今までイベントの様子とかも配信していたけれど、今日はバトルトーナメント決勝戦に向けてのメンバーの意気込みを聞いてみたいと思います! ちなみに、アラタはオオトリを頼むからしっかり決めてね」

「そんな物を背負った俺はさながら、ストライクルージュだぜぃ」

「では、まず。栄えある初期メンバーのタオ君からです。あ、ちなみにインタビューの準備はしていないので突撃取材になります!」

「え……?」

 

 視聴者からは『リーダーの反応、素じゃね?』だとか『頭スタースクリームな上にアストロトレインとブリッツウィング並の行動原理』『1人、トリプルチェンジャーかよ』。等、実はトランスフォーマーのゲームをやっているんじゃないかと言うコメントで埋まっていた。

 

「こう言うのってね。原稿を考えてやって、読み上げるのが一番詰まらないのよね。私達の中に脚本家が居る訳じゃないしさ」

「お、お前。メンバーがログインしているのを見ただけで配信始めたのか」

「お~い! タオ~!」

 

 アラタの心配も他所にカルパッチョは早速、タオを見つけて駆け付けた。

 彼も今を時めく『ビアンカ』の一員として、SD好きのプレイヤー達に囲まれていた。そこまでは良い。問題は、ここがGBBBBであると言うことだ。

 

「先の美プラ対戦を見て目覚めたんだ。俺達SD系も美プラビルドに参入するべきだって」

 

 美少女キャラクターのデフォルメと言うのは珍しくないが、GBBBBでは顔の造詣を細かく変えられる訳ではない。故に、顔はふみな据え置きでナイトガンダムのビルドをしているのは尊厳破壊を超えた凌辱の領域であった。

 

「寝ぼけてないで、はよ普通のビルドにしよな。ナイトガンダムも泣いているで」

「し、しかし。対魔忍がいるんです。姫騎士ふみなもいなければおかしいでしょう」

「だからって、軽々にナイト部分に飛びついたらアカンやろ……。そう思って、僕もナイトふみなを用意して来たんや」

 

 そう言って、彼はマイルームに戻ってすぐにナイト調のふみなを持って来た。

 言うだけにあって、SD系統のパーツの大きさを調整したり、雰囲気の近いHGのパーツやビルダーズパーツを加えることで無理のない造詣になっていた。

 

「タオ。お前、成長したな……」

「なんか、一発目なのに〆みたいな反応されたら困るんだけれど」

 

 昔は細々1人でビルドをしていたのに、今はこんな衆目の前で臆することなく、ふみなーの一員も兼ねていることにアラタは感動していたが、インタビューをしなければ始まらない。

 

「やっほー、タオ君~!」

「アレ? カルパッチョさんとアラタやん。どないしたん?」

「かくかくしかじか」

「なるほどぉ、決戦前にインタビューって言う訳やね。うわ、何かめっちゃ緊張するわ。何話したらええんやろ?」

 

 当たり前だが、打ち合わせが無ければこういったグダグダになる。だが、カルパッチョの口からはスムーズに質問が出て来ていた。

 

「最初にリーダーとフレンドになったって聞いたけれど、今までの付き合いの中で一番印象に残った思い出はなぁに?」

 

 GBBBBにおいては、アラタと一番付き合いが長いのはタオだ。ゲーム内だけではなくリアルも含めて色々と思い出はあるが。

 

「やっぱり最初に受注したミッションやな。間違えてハードモードを受けて爆散した後に受注し直したら、ボコボコにされているリンが飛頭蛮ふみなとケンタウロスふみなに助けられていたんよね」

「お前は何を言っているんだ」

「ところがどっこい。現実だったぜぃ」

 

 今では毒され過ぎて感覚が麻痺しているが、もし初心な人間があの光景を見たら、速やかにゲームをアンインストールしていたかもしれない。ひょっとして、あの体験は一種のストレステストだったのかもしれない。

 

「だけど、衝撃的なクランが生まれるには衝撃的な体験は必須だったのかもしれませんね。決勝戦に向けての意気込みをどうぞ!」

「いや、ホンマここまで来たのが信じられへんわ。実は、今もちょっぴり現実感がないんよね」

「今に至るまでが怒涛過ぎたぜぃ」

「(まぁ、アンタは試合に出ていないのもあるだろうけれど)」

 

 タオとアラタがしみじみとしている中、カルパッチョは内心で冷めた考えが浮かんでいたが、一切表には出していなかった。

 

「は~い! じゃあ、次のインタビューに向かいましょ~~!」

 

 かくして、決勝戦前のクランPRの様な動画配信になろうとしていたのだが、アラタは猛烈に嫌な予感がしていた。……忘れがちだが、ビアンカのメンバーも大概濃いのだ。

 

「(いや、まさかメンバーの素行不良で決勝戦取りやめなんてことは起きねぇ、よな?)」

 

 と言っても、急遽配信を中止させる訳にも行かない。それにGBBBBのことだ。並大抵のことでは視聴者も動じない程度には訓練されていることだろうと信じて、アラタはカルパッチョの後を付いて行った。

 

~~

 

 VIPルーム。マイスターを始めとした一部関係者のみが入れる場所であり、現在この空間にはマイスター以外にカオスともう1機。『アータル』と呼ばれるSDガンダム使いが居た。部屋内のモニタにはカドマツの姿が映し出されている。

 

「主殿、耳に入れておきたい報告があります。カオス殿、席を外して頂きたい」

『大丈夫だ。今朝、各方面で話を付けて来てな。GBBBB内におけるコイツの発言力と影響力も鑑みて、協力者として正式に認められた』

「という訳だ。アータル君、今後ともよろしく」

 

 カオスのフレンドリーさと反する様にアータルは怪訝そうにしていたが、カドマツが言うなら仕方がない。

 

「ビアンカに所属している『文』と呼ばれるアバターのデータに著しい変化が現れています。通常のデータ蓄積や運用とは訳が違う」

「それならばドーラからも話を聞いた。バトル中、アラタ君が見せていた『ガーディアン覚醒』の様な物を使った。とね」

 

 セリトやアラタ達の白熱したシーンに話題を持って行かれがちであるが、文が見せた最後の猛攻も密かに話題として挙がっていた。ダメージ計算的にも、ドーラのあの攻撃を受けて動けるのはおかしいと。

 

「カドマツ。あの時のログからして、チートなどは確認されたか?」

『いや、あれは『覚醒』の挙動だ。だが、アイツが使えるとなったら少し話が変わって来る』

「彼女がAIだから。かね?」

 

 3人の視線がカオスへと集まった。やはり、元スタッフと言うこともあって、一般のプレイヤーでは分からないこともある程度は把握しているらしい。

 

「彼女はプレイヤー達の行動や感情を観測する為にマザーAIから遣わされた端末であるが、そんな機能が設けられているハズが無い。もしも、そんなことが出来てしまったら、皆の中に潜り込むという役割が果たせなくなる」

 

 アータルも言う通り。現状、GBBBBにおいて覚醒プレイヤーは注目の的になりやすい。もしも、彼が言う様に文が情報収集を目的としたAIであるならば、目立つ要素は取り除かれているハズだ。

 

『あるいは誰かが使える様にしたか。嫌な予感がする』

「私もだ。もしも、私がGBBBBやAIの風評を傷つけたいなら、行動を起こす絶好の機会だからね。ユーザーの関心も集まる大舞台は打って付けだ」

「だろうな。私も悪意を持つ側の人間ならば、そうする」

 

 だが、一体何をするつもりなのだろうか? それが分からないなら手の打ちようが無いと考えていると、モニタに映し出されているカドマツのスマホが鳴った。数分ほど画面から消えた後、彼は神妙な顔をして戻って来た。

 

「マイスター。ちょっと、緊急の用事が出来た。招集だ」

「了解した」

 

 内容は1つも話されていなかったが、お互いに察することはあったらしい。直ぐに彼はログアウトをした。カオスとアータルが残された。

 

「少し聞きたいことがある。貴方のクランに居た『ボーボボ』という男。彼がAIだったと言うことはご存じか?」

「薄々はね。思えば、あのキャラクターは便利だ。多少おかしな言動をしていても、持ちネタとして扱えるからね。加えて、余計なことを離さずとも原作のセリフを引用すれば、会話らしい会話もしなくて済む」

 

 AIの進化は目覚ましく、人間と有機的なコミュニケーションを取ることも可能であるが、それでもまだ一部は及ばない所もある。

 

「知った上で採用をしていたと?」

「実力は本物だったからね。私はAIについては今でも考えているが、それ以前にフリーダムフリートのリーダーだ。組織を運用する上で有能な存在なら、嫌いな人種でも取り上げるよ」

 

 やはり、この男は有名クランのリーダーを引き受けるに相応しい器の持ち主だと、アータルは思っていた。自分の好き嫌いを無視して取り立てるという采配は難しい。……のだが。

 

「では、なぜカルパッチョ殿を……?」

「アレも有能ではあったからだ。ただ、人格があそこまでカスだとは思っていなかった。増長するにしても、クラン内の立ち位置を上げる位だとは思っていたが、まさか謀反までして来るとは思わなんだ。流石に好き嫌いを抜きにしても、示しは付けねばならん」

 

 AIすら超越した非合理(バカ)の極み。に関しては、同じ人間であるカオスとしても度し難い行動であったらしい。

 

「まぁ、追放した時は最高の気分だったがね!! その日は、嬉しすぎてハーゲンダッツを2個も開けてしまったよ」

「随分と可愛らしい豪遊ですな……」

 

 どうやら呑み込めているという訳ではなく、単純に我慢しているだけであるらしい。これはAIとしても採用すれば人間の負担が減らせるのではないかと、アータルも検討していた。

 

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