GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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65戦目:落ち着こう!!!!!

「お待ちしておりました」

 

 招集を掛けられたタクマとカドマツを迎えてくれたのはメイド服を着た女性だった。クール、というよりも気怠そうな表情を下げており、客人を迎える人選としては微妙な気がした。

 

「ドロシー。久しぶりだな。ウィルからの呼び出しと言うことは」

「機器による盗聴などを避ける為、特別室にご案内いたします」

 

 ビルに案内された二人はエレベーターで地下まで降りた後、保管所にスマホやガンプラも預け、専用の衣服へと着替えて、更にセキュリティを幾つも通過した上で、ようやく目的の部屋に辿り着いた。

 屈強な看守が控えている部屋に入ると、室内はガラス板で仕切られていた。タクマ達が入った部屋の反対側に居た人物を見て、カドマツが驚いていた。

 

「お前、バイラスじゃないか」

「……あぁ、貴様は」

 

 食って掛かるような様子も見せないことから、相当に辟易していることが分かった。タクマがドロシーへと視線を送り、経緯の説明を求めた。

 

「それは彼らと一緒に聞いて下さい」

 

 少し遅れて、タクマ達が来ている物と同じ衣服を着た男性が入って来た。

 中東系の顔立ちをしており、表に居た看守達にも劣らない程に屈強なガタイをしていた。

 

「お久しぶりです。タクマさん、カドマツさん」

「ナジール。お前まで居るのか。一体、今まで何を?」

「罪滅ぼしです。私と同じ様な連中の暴走を止める為に動いています。彼、バイラスはそう言ったグループに囚われて、工作活動に従事させられていました」

 

 餅は餅屋。かつて、世界を転覆させようと企んだ彼だから知っているコネクションや団体もあるのだろう。だが、カドマツには腑に落ちないことがあった。

 

「自分からやっていた訳じゃないのか?」

「私のような犯罪者に居場所があるとでも?」

「彼には大きな前科がありますからね。社会に出た所でマトモに暮らすことも適わない中、攫われたのです」

 

 自業自得。と言えば、それまでだが。如何に相手が悪党であろうと、やはり破滅した姿を見るのは気分の良い物ではない。

 

「何も残っていない私にも技術力と知識だけはあった。連中の復讐に乗るつもりはなかったが、断れば何をされるか分からないから協力させられていたんだ」

「彼らは、貴方に何をさせていたんですか?」

「……世界規模でのAIへの攻撃だ」

「なるほど。確かにアンタは適任だ」

 

 ハッキリ言って悪党のカスではあるが、唯一カドマツはこの男の技術力だけは認めていた。世界で最も堅牢なセキュリティを誇る軌道エレベーターを司るAIへの攻撃に成功したことのある男なのだから。

 

「AIを攻撃してどうするつもりだ?」

「そんなモン知らん。だが、幾らか攻撃実験はしていた。世界中にあるAIで制御している設備に不具合を起こしたりとかな」

 

 タクマの脳裏に過ったのは、やはり軌道エレベーターだが、果たして何度も同じ施設を攻撃するだろうか? バイラスも技術者としては相当な物だが、日進月歩で進化を続ける件の施設のセキュリティを破れるとは思わなかった。

 

「他に何か知っていることはありますか?」

「俺が協力していたデータに関しては、憶えている限りは吐いたぞ。……それ以外だと、お前達に言っても良いかどうかということが一つ」

 

 バイラスがタクマとカドマツの方を見た。2人共覚えが無い訳ではないが、きっと碌でもないことだ。タクマが促した。

 

「言ってくれ」

「分かった。……我らの悲願を阻止したタクマとカドマツを許すな。と、連中は頻りに呟いていた」

 

 2人としては血の気が引く話でもある。遠い世界の話で、念の為に身を隠していたが、やはりキチンと恨まれていたらしい。

 

「だけど、直接的な報復に出ていないことから、そう言った面で何かをするってつもりは無さそうか」

 

 カドマツが言ったのは、タクマを少しでも安心させる意図があってのことだろう。ただ、ガンプラバトルをしていただけなのに。

 

「私から言えることは、精々気を付けろという位だ」

 

 今まで、GBBBBで蠢いていた何かしらの作意の輪郭がようやく見え始めて来た。それは、自分達の過去から湧いて出て来た物でもあった。

 

~~

 

「ビルダーズパーツは身体的な特徴に留まらない。使い方次第では、カメラアイの部分にアニメ調なハイライトを入れることも出来る」

「この無機質さがレコちゃんの再現感。があって、結構気に入っているんですけれど。やっぱり、2D的なレコちゃんが再現できるならそれも良いっすね」

 

 先日のバトルを通して友情を育んだセリトとグスタフが美プラ談議に興じていた。何故か、彼の隣ではマシマが先輩面をしていた。

 

「こうやって、ガンプラに興味が無かった人間がのめり込んで行く姿を見るのは堪らねぇな。アラタ。カルパッチョ。お前達もそうは思わねぇか?」

「う~~~~~~~~~~ん。真っ当な方向なら頷いていたんだけれど」

「これを切っ掛けに普通のガンプラにも興味が出るかもしれねぇぜぃ」

 

 コイツらにインタビューをしたら非常に面倒臭いことになりそうだが、配信の企画的にやらない訳には行かない。勇気を持ってカルパッチョはセリト達に割って入った。

 

「は~い! どうも! カルパッチョです! 今日はビアンカのメンバーに突撃取材を行っています! ズバリ、セリト君に聞きたいのは……どうして、美プラの道に走ったんですか?」

「まず、それを語るにはGBBBBのキャスターであるレコちゃんを語る所から始めるか。あの微妙に使い慣れていない、多分ガンダムに出て来たセリフを引用している拙さが成長具合と一緒に頑張っている感が出ているのが良いんだよね。

 でも、彼女が普通に活躍して真っ当にAIキャラクターをしているだけじゃ、そこまで興味が出なかったんだ。そんな娘が、このゲームに蔓延る尊厳破壊済みの美プラを見てキレ散らかしている様が、蓄積されたデータを超えた有機的な感情が見えて、凄く距離を近くに感じるんだよ。

 コレがさ、優しく注意したり業務的な言葉だけで済ませたら『所詮はコンプラに配慮されたシステムか』で納得するんだけれど、そんな物を一切気にしない放送コードに引っ掛かりかねない暴言が彼女を色付けてくれるんだ。

 現実じゃ、周りの目にビビってバカも出来ないし、SNSや掲示板でも共感しか打てないし自分が馬鹿らしく見える程、活力と生気に満ちた彼女の経緯と成長が見たい、近付きたいと思って彼女を再現した美プラを使っているんだ」

「「………………良い」」

 

 グスタフとマシマが腕組みをして深く頷いていた。よくぞ、ここまで見たいな雰囲気を出しているが、カルパッチョは視線を彷徨わせていた。マジでヤバいのには反応しきれないのだ。一方、アラタは反応を読み上げていた。

 

「『ガチ勢は違うな』。『負けたよ、お前には』。『お前こそが器だ』。プレイヤー達から温かい言葉を掛けられるセリトはラッキー☆ボゥイだぜぃ」

「あ、そうだ。マシマ! 元・プロのアンタからしてGBBBBの居心地はどう?」

 

 流石にヤバイと思ったのか、彼女は速攻でマシマにインタビュー対象を切り替えていた。こう言ったのにも慣れているのか、彼の反応はメディア受けの良い物だった。

 

「自由で良いと思うぜ。やっぱり、プロの世界って認められることが第一だからな。そう言った場所じゃ見られない、ビルドが見られるのは楽しいな。カッコいいも、可愛いも、面白いもあっていい。そんで、ビアンカには全部含まれているからな。ここは良い場所だよ」

 

 百点満点の回答だった。ただ、先程のセリトの物と比べてコメントの反応は芳しくなかった。カルパッチョもつい言ってしまった。

 

「つまんね」

「おかしなこと言ってねぇだろ!?」

「セリトの熱量後だから丁度良いんだぜぃ」

 

 アレが2連射されたら、きっと視聴者がするりと抜けていく。早めに去らなければ何が起きるか分からないと思って振り向いた先には、セリトのインタビューに感銘を受けたプレイヤー達によるレコ再現の大群が出来ていた。

 

「ウワァーッ!!?」

「カルパッチョちゃんの配信を見て来た。ここでやるしかないと思った!」

 

 酷い妨害である。直ぐに逃げても良かったし、アラタはさっさと移動したがっていたが、カルパッチョはやけくそになっていた。

 

「グスタフさん! セリト君! どのレコちゃんが良いと思いますか!?」

「まず、レシピを読み込んだだけの物は味気なくてイマイチだ。あちらのは……」

「『グスタフさんメッチャ喋るじゃん』『必要なこと以外は喋らないタイプ』。意外とグスタフさんも人気だぜぃ」

「なんでマトモなことを言った奴はスルーされんの……?」

 

 マシマが納得がいかなさそうにしていたが、カルパッチョの配信に集まる層を鑑みれば、不思議なことでも無かった。ビアンカのPR配信は何故か、ついでにフリーダムフリートの宣伝にもなっていた。

 

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