GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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67戦目:バトろう!!

 公式のバトルと違い、ユーザー同士でのカスタムマッチはステージの選択や時間設定なども変えられる。配信と言うこともあり、長引かない様に制限時間は短く、ステージも一番狭い物が選ばれた。

 

「新兵器とベテランファイター! 対するは、今を時めく2人! この試合、どうなっちゃうの~!?」

「勿論、勝ちに行くぜぃ! 俺は相手に花を持たせるなんて器用なことは出来ねぇからな!」

 

 やるからには勝利を目指さないと動画的にも面白くならない。戦力比的には、ミサ達がやや不利と言った所だろうか。

 

「忘れがちだけれど、カルパッチョさんもフリーダムフリートで幹部していたし、バトルトーナメント3回戦じゃ、キッチリ戦果を挙げていたよね……」

 

 リンが息を呑んだ。今となっては、すっかりネタ配信者と化しているが、ファイターとしての実力は衰えた訳ではない。古巣との叩きの時も終始カオスに押されていたが、考え方を変えれば、彼女はGBBBBでも屈指の実力者である彼相手に耐え凌ぐだけの力があるのだ。

 アラタの実力は今更、言うこともない。恐らく、GBBBBで最も実力を伸ばしているプレイヤーと言っても過言ではないだろう。

 

「大丈夫。リンだって、ちゃんと戦えるだけの実力は付いている。このGBBBBで一番のビルドファイターを傍で見続けて来た私が言うんだから、自信を持って」

 

 妹の緊張を見かねたのか、ミサから励ましの言葉を掛けられた。

 自分だって彼らに追いつくべく特訓もしたし、対戦ではアラタを追い詰める所まで行った。ならば、もっと自分の実力を信じるだけだ。

 

『READY。GO!』

 

 お互いの機体がフィールドに降り立ち、システム音声がバトルの開始を告げた。全機体が一斉に中央に駆け付けた。リンが反応できたのは、このシチュエーションで何が起きるか? というのを、正しく予想出来ていた為だ。

 

「(これは動画配信だから、視聴者的にも盛り上がるバトルが期待されている。その上、長引かせないことを考えたら速攻での勝負になる)」

 

 引き撃ちや遠距離からのドラグーン攻撃で粘った所で、前衛をミサのアザレアブレイジング一機だけに任せることになる。姉の実力を疑っている訳ではないが、あの二人を止められるとは思えない。

 先に彼女が撃破されたら、残されたリンは即座に落とされる。故に、彼女自身も前に出て戦う必要があった。ミサのアザレアブレイジングが繰り出したビームトンファーとガンダム・タンクの拳法がぶつかった。

 

「アラタ君。こうして君と戦うのって、これが初めてだっけ!」

「先輩を打ち負かしたビルドファイターの実力! 実は以前から興味があったんだぜぇえい!」

 

 アザレアブレイジングを相手に技巧で勝負を仕掛けるのは不利と悟ったのか、ガンダム・タンクは拳法を使いつつも、脚部の重量を使って跳ね飛ばそうと猛進して来た。これは数少ないタンク型の脚部を持つ機体だけが取れる戦法だった。

 迫りくる質量に対し、ミサを怯む様子も見せずに側面に周り込んで蹴り倒そうとしたが、アラタが構えていたシールドを凹ませるだけに終わっていた。

 

――

 

 一方、リンの『カーネーション』はカルパッチョの『ガンダムドローレス』を相手取っていた。

 

「ニシシシシシ! 最近、良い所ないけれど今日は勝つんだからね!」

 

 両腕をアビスガンダムの物にしているので、疑似的にではあるが変形しての飛行も可能だった。機体の前面にビームランスを展開しての突撃戦法は、あまり遭遇することが無いので対処が難しい。

 

「(こう言うのって、避けた後に出来る隙を見て反撃をすれば)」

「ところがギッチョン!」

 

 リンはドラグーンを展開して反撃の機会を伺っていたが、カルパッチョの機体は機体の制御を取るのが上手く、避けてもすぐに次の突撃態勢に移っていた。

 

「行って! ドラグーン!」

 

 花弁のようなバックパックから、さながら種子の様にドラグーンが射出された。GBBBBのドラグーンはアッパー調整が入っていることもあり、追尾性も攻撃頻度も高い上、敵機からの攻撃で破壊されない様に回避挙動も取る。

 

「そいつらの破壊方法、あのバカ達が散々見せてくれたから分かるし!」

 

 すると、ドローレスは変形を解いた後。両肩部のシールド90°近くまで展開された。裏面が見える程に展開され、バックパックのバラエーナ改2連装砲まで展開したかと思うと、これらを一斉に掃射しながら激しく上下に動きながら回転し始めた。ボーボボやカオスがやっていたファンネル系武装の破壊方法だ。

 

「(この人、やっぱり強い!)」

 

 ギャグみたいな動作に見えるが、周囲に展開されたファンネルを落とす方法としては秀逸な物ではある。ただ回転しているだけでは避けられるので速度に強弱を付けつつ、上下移動も並行しているのだから並大抵の技量ではない。

 何よりも、あの1戦で見た方法を直ぐに覚えて、実戦で投入できる辺り、カルパッチョもまた実力者であった。だから、リンも停まっている訳には行かない。

 

「そこ!」

 

 ドラグーンを迎撃しているカルパッチョに向けて、バックパックにマウントされていた高出力ビーム砲を放った。命中することは無かったが、ガンダムドローレスはドラグーンの迎撃を止めて、変形した後。突っ込んで来た。

 

「ニシシシシ! 秘密兵器はGOOD☆NIGHT! 私がファイナル真兵器ってことで、決勝戦にも出場よーッ!!」

「意味分からないし!!」

 

 相手の突撃を避けると同時に、両腕に内蔵されていたビームサーベルで切り掛ったが、アビスガンダムの腕に取り付けられていたシールドに阻まれて、本体には届かなかった。

 

「欲しけりゃ、くれてやるわ!」

 

 彼女は損傷した腕部のシールド部分を自切すると同時に、手にしていたルプスビームライフルで撃ち抜いた。すると、内蔵されていた魚雷や実弾兵器に反応して、爆発を引き起こした。

 

「うわ!?」

 

 爆炎で視界が遮られた一瞬の内に、カルパッチョが姿を消していた。彼女が索敵をする間もなく、アラート音が鳴り響く。下方からビームランスを構えた、ドローレスが突っ込んで来ていた。

 

――

 

「チィーッ!」

 

 先程、シールド越しに蹴り飛ばされた衝撃で距離の出来たアラタはハイパー・バズーカを打ち込んでいたが、アザレアブレイジングを捉えられずにいた。

 砲弾を避ける、蹴り飛ばす。こんな離れ業をやってのける辺り、彼女がマイスター・ジンと同じチームに居たというのも納得できた。

 

「覚醒。使わないんだ!」

「使うまで溜まらねぇんだ!」

 

ここに来て、アラタは改めて自分の弱点を発見することになった。

今までは3VS3と言う形式で長時間化し易かったので気付かなかったが、覚醒が使える様になるまで一定時間を要するので、早期に勝負を掛けられると覚醒由来の耐久力が使えないのだ。

 

「だろうね!! だから、こうやってボコボコにしているんだけれどね!」

「大人げねぇ!!」

 

 ある意味最適解と言える行動なのかもしれない。ガンダム・タンクが拳法を使っているのは、タンクによる加速や重量による一撃を含んでのことなのだが、本格的な格闘機を前にしてはやはり辛い物があった。

 

「そろそろ、決めさせて貰うよ!!」

 

 向こうはボコボコに攻撃していたおかげでEXゲージもガッツリと溜まっていた。アラタは久しく感じることのない空気を感じた。このGBBBBに来た頃はよく口にしていた言葉だが、最近はめっきり口にすることも無くなっていたあのセリフだ。

 アザレアブレイジングの蹴撃でシールドが吹っ飛ばされ、破れかぶれに放った拳は関節を極められ、取り外された後、胴体に膝蹴りを食らった。あまりの一撃に宙に浮かび上がったガンダム・タンクを目掛けて、アザレアブレイジングが加速を付けての飛び蹴り『爆熱爆砕ブレイジングキック』が放たれた。

 

「やられ千葉ァ!!!」

 

 空中で身動きの取れないガンダム・タンクは強烈な一撃を受けて、吹っ飛んだ。別箇所で交戦中の2人の元へ。

 

――

 

「へ?」

 

 後一手でリンの機体を仕留められる所まで来ていたカルパッチョだったが、アザレアブレイジングによって蹴り飛ばされた質量弾と化したガンダム・タンクに吹っ飛ばされていた。

 全く予想していなかった方向からのダメージにドローレスの体勢が崩れた一瞬を見逃さず、リンは生き残っていたドラグーンを自分の周囲に集合させた。

 

「今!!」

 

 直接、カルパッチョの機体を狙うのではなくほぼ戦闘不能になっていたガンダム・タンクへと追い打ちをかけた。すると、機体が爆散して、密着していたガンダムドローレスがモロにダメージを食らっていた。

 

「クソぉおおおお!! 何やってんだアラタぁあああああああ!!」

 

 カルパッチョ、心からの憤怒だった。正直に言うと、自分は翻弄されてばかりで姉からチャンスを恵まれただけな様な気がしたが、それでも物にしない手はない。落ちていくドローレスは抵抗がてらに射撃武装をぶっ放していたが、カーネーションは左腕にビームシールドを展開して防ぎつつ、両腕に展開したビームサーベルでドローレスを貫いた。

 

「カメラを……止めるんじゃねぇぞ……」

 

 これがトドメの一撃となり、カルパッチョの機体も爆散した。程なくして、システムウィンドゥが彼女達の勝利を告げた。

 

「……嘘。私達、勝てたの!?」

「そうだよ。これで、初勝利だね。私もちょっと自信付いたかも」

 

 自分だけの力で勝てたとは思えないが、勝ちは勝ちだ。相手は両者とも実力者だっただけに、リンは自らの内に大きな自信が芽生えるのを感じていた。

 改めて、彼女は自分の機体を眺めていた。ミサに送られた機体だというが、これはもう自分の物だ。自分だけの。リンだけの『カーネーション』だ。

 

「うん。私、この『リン・カーネーション』でもっとバトルしてみたい!」

「よし。じゃあ、もっと色々と対戦してみようか」

 

 かくして、新機体のお披露目は十分すぎる程の結果を残す事となった。同時に、決勝戦に挑むメンバーに大きく左右することにもなる。

 

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