GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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69戦目:お見舞いに行こう!

 数ある強豪を制して決勝戦へと駒を進めたビアンカであったが、現在問題が起きていた。

 

「駄目だ。文の奴、チャットアプリのメッセージも読んでねぇ」

「何があったんでしょうか?」

 

シーナが心配そうにしていた。カルパッチョが配信をした翌日から、文はパタリとログインしなくなったのだ。何か起きたのではないか?

 

「外部のチャットアプリも読んどらんってなると気になるね。ホンマに何があったんやろうか?」

 

 口にしておいて、タオも猛烈に心配になって来た。ひょっとして、事故に遭ったのではないか。あるいは事件に巻き込まれてしまったのではないか。

 

「急に愛想を尽かしたとか、やりたくなくなったとか。そう言う訳じゃないよね?」

「そんなバカな。文は俺と一緒にバトルトーナメント4回戦で共に戦った仲間ですよ? 本当にやる気が無かったら、自らをバットにしてくれなんて言う訳無いじゃないですか!」

「彼女、物静かだけれど割とぶっ飛んでいるよね」

 

 セリトが熱い言葉で否定してみたが、ミサは苦笑いを浮かべるばかりだった。そんなノリに付いて行ける人間の方が少ないのだ。ふと、セリトはあの時の言葉を思い出して、引っ掛かることがあったらしい。

 

「そう言えば、文の奴。レコちゃんのことを『お姉さん』だとか言っていたけれど、あれってどういうことだろう?」

「キャラ造りとかじゃねぇのか? 自分はレコちゃんの妹分って言うロールプレイをしていたとか。なんせ、フミナのアバターと機体でプレイしているしな。本当にフミナプレイしているなら、使っている機体は別の物になるけれどよ」

 

 マシマも言う通り、本当にホシノ・フミナでロールプレイをするならば機体は『ウイニングガンダム』か『パワードジムカーディガン』になる筈だが、実際に彼女が使っているのは、サカイ・ミナトが製作したという『すーぱー・ふみな(無許可)』だ。

 

「だとしたら、設定がチグハグじゃない? アバターと使用機体もそうだけれど、そのキャラ付けでレコの妹分って。何もまとまっていないじゃない」

 

 配信者としてキャラ造りに一家言があるカルパッチョとして申しさずにはいられなかった。彼女の言う通りであるし、ならばレコの妹分とはどういう意味だったのだろうか? 

 誰もが答えを出せずにいると、彼らにメールの通知が届いた。見れば、それはGBBBBの運営から出された物で、内容も同じだった。

 

『話したいことがある。VIPルームに来て欲しい』

 

 ただならぬ様子に全員が一斉に招待に応じた。すると、アラタも足を運んだことのあるVIPルームに訪れた。中では、マイスターのスーパーストームが待機していた。

 

「よく来てくれた。君達が悩んでいる用件を当てよう。文君のことだろう?」

 

 開口一番でマイスターが用件をピシャリと言い当てて来たので、全員に衝撃が走った。何故、彼が知っているのだろうか?

 

「タ……マイスター。何を知っているの?」

「その説明をさせて貰おうと思ったんだ。君達には決勝戦をベストメンバーで挑んで貰いたいからね。説明に関しては……」

 

 部屋に設置されていたモニタに電源が入り、カドマツの姿が映し出された。アラタ、リン、ミサは驚いた様子はなかったが、コウラが驚いた。

 

「まさか、カドマツさん!? AI研究の第一人者で、軌道エレベーターで起きた事件を解決したって言う凄腕の……」

『そこまで褒められるむず痒いな。どうも、カドマツだGBBBBのスタッフの1人だ。単刀直入に言おう、俺達は文が不調になった原因を知っている』

「え? なんで、開発スタッフさんが文の不調を知って……。あ! もしかして、文もスタッフの1人なんですか?」

 

 開発スタッフが彼女の不調を知っている原因があるとすれば、同じ職場で働いているとしか思えない。加えて、文は開発側と思しき発言を何度か漏らしていたこともあっての推測だったので、タオも自信があった。

 

『当たっているっちゃ、当たっている。文はな……AIなんだ』

 

 ビアンカのメンバーに動揺が走った。今まで一緒にいた相手がAI。業務などの遂行に関してAIは既に活用されているにしても、コミュニケーションの様な複雑な物にまで対応している等、聞いたことが無い。唯一反応できたのはミサだった。

 

「カドマツ。それって、ロボ太みたいなものってこと?」

『ロボ太の孫って所だ。このGBBBBは人間だけじゃなくてAIでも運用されているってことは知っているよな? 特に、そこにいるレコ好きの坊主とか』

「勿論っすよ。レコちゃんがアレだけ喋れているのも、AIを通してGBBBBの情報やトレンドを集められているからでしょ? ついでに、公序良俗に反していないかとかも判定されているとか」

 

 この膨大なプレイヤーに対処するには人力では限界がある。故に、GBBBB内では逐次AIにより情報が集積され、公序良俗に反するビルドをしたプレイヤー達は随時首を切られている訳だが。

 

『そう言ったデータ的の集積以外にも、マザーAIはプレイヤー達とのコミュニケーションや思考を調査する為に端末AIも放っている。ガンダム00的に言えば、イノベイドみたいな物だな』

「じゃあ、そのマザーAIって言うのが『ヴェーダ』みたいな物で、文が『イノベイド』って考えたら良いの?」

『良い例えだ。そう思ってくれていい』

 

 リンの例えはガンダム好きには非常に分かりやすい物だった。文の正体について分かった所で、アラタが本題に入る様に促した。

 

「文がどんな存在かは分かったけれどよ。なにか、不調が起きたのか?」

『そうだ。平たく言えば、ウィルスに感染している』

 

 ここで風邪? なんて言い出す程にITに疎い人間はいない。ただ、そうなったときに気になることがあるとすれば。

 

「もしかして、僕らの方にも何か感染していたりとかします?」

『いや、大丈夫だ。この部屋に入って来た時に確認させて貰っている』

 

 もしも、自分達がウィルスのキャリアーとなったら、暫くGBBBBへのログインを控えねばならないかもしれなかったので、全員が安心していた。

 

「カドマツ。文ちゃんがウィルスに感染したら、遡ってマザーAIって言うのも危なくなるんじゃない?」

『だから、一旦彼女は隔離させて貰っている。だけど、彼女に感染したウィルスってのが厄介でな。除去するのが難しいんだ』

 

 ウィルスの除去の具体的な方法なんて誰も分からない。精々、セキュリティソフトをインストールして……位の知識しかない。ただ、ミサはアテがあるのか普通に話を続けていた。

 

「前みたいに、ウィルスをエネミー化してぶっ叩くみたいなことは出来ないの?」

『単純なウィルスだったらな。今回はそうもいかないんだ』

 

 モニタの映像が切り変わった。すると、大量のメッセージログが表示されたので、幾らか必要な所がピックアップされた。

 

――

 

『GBBBBには沢山のビルドがある。ここがゲームである以上、ガンダムの版権元から許可が出ている以上、プレイヤーの発想力や表現は保護されてしかるべき』

『でも、作品のイメージを毀損しかねないビルドはどうなのだろう。『すーぱー・ふみな』は美プラとして有名で、一般的には可愛らしい物として通っている。でも、GBBBBでの扱いは『可愛い物』や『カッコいい』物から逸脱している』

『表現は保護されて然るべき。でも、作品の価値やイメージを守ることも正しいこと。二つの正しさが矛盾している。どうして、こんなことを考えてしまうんだろう。私に何が起きているの?』

 

――

 

「これは文の考えなの?」

『本来なら観測とコミュニケーションが主軸になっていた彼女に強制的にループが発生してしまっている。怖いのはこの状況が進んだ場合だ。もしも、これが文と言う端末を通して上に行った場合、GBBBBが正しい物だけしか認めない場所になったとすれば』

 

 作品のイメージを毀損しかねないということでネタ機体は危うくなるだろう。また、他作品の再現機体もやはり危うくなるだろう。そして。

 

「ちょっと、ちょっと待って下さい! そんなことになったら、ふみなさんで遊べなくなるじゃないですか!!」

 

 猛抗議をしたのはシーナだった。模範的GBBBBプレイヤーとしてふみなで遊べなくなるのは彼女にとって大問題なのだろう。

 

「それって問題なのかな……」

「GBBBBもマシな世界になると思うわ」

 

 ただ、リンとコウラは別に良いんじゃね? 位の反応をしていたが、これにはセリトとマシマが首を振っていた。

 

「自由度を無くして、規制を強めたゲームが最終的に立ち行かなくなるなんて有り触れた話だぞ?」

「それに、カッコいいか可愛いみたいな機体しか認められないGBBBBなんて詰まんねーよ」

 

 やはり、この自由さこそGBBBBの魅力と思っている人間も多い。文が掛かっているウィルスは、この世界を揺るがしかねない物だった。

 

『何とか、バトルトーナメント決勝戦までには間に合わせるつもりではあるが、彼女がこういった状況にあることだけを知っておいて欲しい』

 

 悔しいが、今の自分達に出来ることは無さそうだった。他にも色々と気になることはある。

 

「誰が彼女にウィルスを感染させて?」

「私達の方で調査中だ。君達も気を付けてくれ」

 

 マイスターにそう〆られた。他にも色々と聞きたいことはあったが、疑問がちゃんと伝えられる形になっていなかったので、一旦ビアンカのメンバーは部屋から出て行くことにした。

 

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