GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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74戦目:物申そう!!

「カドマツ。やはり、俺は反対だ。GBBBBの正式サービス開始に向けて、規制を強化するだなんて。ユーザー達を委縮させることに繋がる」

「俺も苦言は呈したが、やはりスポンサーの意向には逆らえない」

 

 タクマは歯噛みしていた。如何に、彼がGBBBBおよびビルドファイターとしてトップクラスの実力を持っていたとしても、最後に物を言うのは金だ。

 

「ウィルは、何も言っていないのか?」

「特にはな。正直、アイツがGBBBBの人気の理由を把握していないとも思えないんだが」

 

 GBBBBが人気を博しているのはゲーム性の面よりも、婉曲的に表現して独特なガンプラによる話題性の部分が大きい。これらを規制した場合ゲームの魅力が半減する所か、既存のユーザーすら逃げ出しかねない。

 

「ガンダムゲーは他にも稼働している物があるのだから、GBBBBの強みを自ら消していくことには疑問ではあるけれど」

 

 アクションで分類されるガンダムゲーだけを見て、既に稼働中のゲームは多い。ハイスピードアクションで有名なVSシリーズ、重厚で重々しいバトルが売りのバトルオペレーションシリーズ。

 GBBBBはアクションとして見れば大味な部分も多く、バランスも良好だとは言い難い。にもかかわらず、一定数のユーザーが居るのは自由度の高いカスタマイズ性にある。

 

「やはり経営としては、自分達が投資しているサービスが大衆受けする物にしたいんだろうな。考えてみろよ。『私は美プラを魔改造して対魔忍にしたり、人面犬にしたりするゲームを支えています』って、なったら。どう思う?」

 

タクマも返答に窮した。こればっかりはスポンサーに同情する所でもあった。しかし、ガンプラを愛する者として納得する訳にも行かなかった。

 

「だけど、ガンプラは自由であるべきなんだ。俺はアメリカでもビルドファイターとして戦って来た。『マイリトルポニー風雲再起』からノーベルガンダムに生やした『FUTA』。他にもモンスターをイメージした『ガンダムTR-6:MONSTER』等。自由な作風には感銘を受けていた」

「お前『Xvideo』か『Porn Hub』が主催する大会にでも出ていたの?」

 

 なんで、アメコミ調とかを持って来ずに魔窟の物を拾い上げて来るんだと思っていたが、タクマはニヒルに笑っていた。

 

「ジャスティスリーグとアベンジャーズモチーフは見飽きた。それだったら、むしろ俺が言った奴の方が熱意を感じないか?」

「そうだな。話から狂気は感じられるな」

 

 アメリカでの生活。ミサと離れざるを得なかった状況は彼の精神を蝕んでいたのかもしれないと思うと、カドマツは目頭が熱くなった。

 

「そう言った自由さ。己の中に在るリビドーをガンダムと言うキャンパスで描けることがガンプラの魅力なんだ。それを規制せざるを得ないだなんて、寒い時代だとは思わないか?」

「お前の頭を冷やすには丁度良い寒さだぞ」

 

 カドマツの意見も上の方に迎合しそうになる位には、タクマにも情熱が迸っていた。彼らがどう思おうが上には逆らえないし、GBBBBを運営するAIも意向を汲み取って規制の度合いを強めている。当然、抗議のメールは多数届いたし、引退宣言をする者も少なからず出ている中、大きな動きがあった。

 中心人物は現在GBBBBで最もホットなクランのリーダー『アラタ』と大規模クランのリーダー『カオス』だった。彼らからメールが届いていた。

 

 

『我々はー! GBBBBの自由な作風を重んじる者達であるー!』

『運営はユーザーの想像力に対するヘイトBANを止めろー! R-18じゃなきゃ、ちょっと位いいだろー!!』

 

 ガンダム・タンクとブラックロータスの近辺には素組のふみながずらりと並んでいた。さながら『私達は自由を奪われました』みたいな感じだが、結構ホラーめいた様相だった。

 

「カドマツ。なんだこれ?」

「俺に聞かないでくれ。正直、モニタ見た瞬間。ビクッとした位なんだから」

 

 思い思いに暴れたらBANされる可能性も考えて、非暴力・不服従的な態度を見せていた。これにより大衆を統制した健全で正式な抗議に仕立て上げたのである。……問題は運営がこれをどの様に見るかという話だが。

 

「レコが対応する。ことはないよな?」

「あぁ。流石にデモの交渉人にマスコットを立たせるのは今後的に考えても良くない」

 

 普段は打ち首云々でブチギレかましている彼女ではあるが、アレはユーザー側に非があるからこそ笑っていられる物であって、運営側に非がある場合に使ってしまえば彼女のイメージにも響きかねない。と、なると。自然と交渉に向かうのは運営側のプレイヤーとなる。ピコン、とタクマのスマホが鳴った。

 

「……俺が応対して来いってことらしい」

「行ってこい。骨は拾ってやる」

 

 カドマツが頷きながら言った。運営としても対応しない訳には行かないし、レコの評判に傷を付けたくはないので、突如として現れた人物としてではなく。正式な使者として、タクマは戦場へと向かった。

 

~~

 

「おや。運営からの遣いだ!」

 

 カオスが仰々しく宣言した。すると、ロビーに現れたマイスターのスーパーストームが彼らに歩み寄って来た。

 

「メールの方は拝見させて貰った。私も抗議をしている。ユーザー達の創造性はGBBBBにおいては掛け替えのない物だ。このサービスは運営が提供するというだけではなく、君達と一緒に作り上げて行く物であると考えている」

 

 GBBBBの頂点に立つ者として模範的な回答だった。だが、美辞麗句とは決まって胡散臭く、あるいは業務的に捉えられてしまう物だ。カオス達の周りにいる、ふみな達も厳しい視線を向けて来ている。

 

「どうだろうな? 何時だって、詐欺師の言葉は耳障りが良い物だ。この規制とて、後々には『GBBBBの健全化』等と謳われるのだろうよ」

 

 ここで直ぐに融和的な歩み寄りを見せてしまったら、ユーザー達の溜飲も下がらないと踏んでか、カオスが挑発的に切り込んで来た。言葉を発する前に、さり気なく手でアラタを制止していたのは、彼の今後を考えてのことだろう。

 

「だったら、彼らを納得させるほどのバトルを見せれば良い。美プラが不健全だとか、再現機体がどうだとか。そう言った理屈を塗り潰す程の物を」

 

 結構、力業で解決しようとしていた。それっぽいことを言ったのでヨシと納得させようとしていたが、アラタが口を出した。

 

「いや、マイスターさんよぉ。俺達が良いバトルを繰り広げたとしても、それは美プラとかビルドの規制云々を覆す話にはならねぇんじゃねぇのか?」

「なんで、そんなこと言うの?」

 

 ホビーアニメなら良い感じに導入部分になっていただろうに、冷や水をぶっかけられたので、思わずタクマからも文句が飛び出ていた。実際にアラタが言う通り、良いバトルと規制云々は関りが無いのだが。

 

「いや、待ちたまえ。私に良い考えがある!」

「カオス司令官!?」

 

 なんで、こいつらこんなにテンションが高いんだろう? と、タクマが疑問に思いはしたが、カオスは遠慮なく話していた。

 

「要するにだ。美プラが如何わしいだけの物だと思われているからいけないんだ! もしも、決勝戦でセクシィな美プラが出場したとして、彼らが格好良く戦ったどうだろう。きっと、お偉いさん達は考えを改め直すハズだ。こんな光景が見ることが出来たのは、自分達が幅広い創作幅を提供していたからだとね!」

「ハハハ。それじゃあ、まるで俺が決勝戦に美プラで出撃するべきだって言っているみたいじゃねぇか」

「そうだけど?」

 

 マイスターに向けられていた視線が一斉にアラタに向けられた。忘れていたが、このGBBBBのユーザー達は何よりも面白い物が大好きなのだ。規制の抗議に託けて、そんな話に持って行けたなら興味が出ない訳が無い。

 皆の意思を背負って前に出たら、背中から撃たれたなんてもはや悲劇めいている。いや、喜劇だけれど。

 

「ちょっと。マジで言ってんの……?」

「アラタ君。美プラを見くびっている連中を見返すには最も合理的だと思わんか? これはネタっぽく言っているが、本気で言っているんだ」

 

 言っていることは分からなくはない。美プラとかを規制しても良い、というのは見方を変えれば、彼女達の価値がそこまでじゃない。と判断してのことでもあるからだ。もしも、本当に魅力的だったらあまり弄れないハズだ。

 

「君達! 神聖な決勝戦を何だと思っているんだ!! アラタ君。君も断る所は断るべきだ」

 

 これにはマイスターも抗議したが、アラタは何かを考えている様だった。自分と一緒に要求を跳ね除けてくれることを期待していた彼としては、あまりに予想外だった。そして、彼からチャットが発信された。

 

「分かったぜぃ。今も遠くから見ている仲間の為に。俺も美プラで出るぜ!」

 

 今まで静寂に包まれていたロビーが一転して、歓声に包まれた。そして、何よりも彼の言葉の意味を理解したマイスターも納得せざるを得なかった。

 

「(そうか。君は文君の為にも)」

 

 仲間が残した形と一緒に決勝に挑む。なんて、実にロマンチックだ。ここがGBBBBでなければの話だが。カオスのブラックロータスは狂ったように拍手していた。

 

「素晴らしい!! 決勝戦は絶対に見なければ!!」

 

 蜘蛛の子を散らす様にして、ロビーに集まったふみな達がサーバーから去って行った。それから、SNSで局所的に広がるのは間もなくのことだったが、マイスターことタクマは思った。

 

「(ミサ。これが俺の望んだガンプラバトルかな?)」

「知らんがな」

 

 一応、ロビーにはミサもいたし、ちょっぴり声も漏れていたので。彼女にも伝わっていた。だから、何だという話でもあったが。

 

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