GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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75戦目:向かおう!

 多数のGBBBBプレイヤー達を巻き込んだデモ活動を主導していた、アラタであったが。現在、彼は正座させられていた。コウラ、リン、カルパッチョに囲まれてションボリしているガンダム・タンクには何とも言えないシュールさがあった。

 

「(どうやって、正座しているんやろ?)」

 

 エモーションで『正座』と言う物があるが、脚部がキャタピラになっているガンダム・タンクには出来る筈が無いのだが、何となくションボリして反省している様子だけは伝わって来た。

 

「アラタ。確かに、GBBBBはパーツによる性能差は無いし、貴方が使っているガンダム・タンクの頭部はバルカン位しか使えないけれど。だとしても、こんな土壇場でビルドを変更するなんて無謀よ」

 

 まず、先陣を切って来たのはご存じ正論パンチャーのコウラである。

 元より、GBBBBの風土をあまり馴染んでいない彼女は、健全化の流れに賛成していることがあることに加えて、バトルについても定石を好むこともあって、アラタに否定的であった。

 普段は空気を優先して、首を縦に振りがちな彼ではあるが、ここにおいては珍しく首を横に振っていた。

 

「これは、俺に沢山の出会いをくれたGBBBBへの恩返しなんだ。そして、今も何処かで見ているかもしれない文に対するメッセージでもあるんだぜぃ!」

 

 コウラは言い淀んだ。リアルでも付き合いのある彼女は知っている。

 GBBBBをプレイするようになってからアラタは明るくなったし、ビルドするガンプラのクオリティも上がっている。実績を引っ提げて来られたら、彼女も反論はし辛かった。

 

「でも、決勝戦まで日が無いのよ? 私の方でもPRがてらに配信するつもりだけれど、それまでに納得のいくビルドは出来るの?」

 

 カルパッチョの質問は彼女らしくシビアな物だった。アラタのビルド変更自体に反対している訳ではないが、結果を求めて来る所は彼女らしかった。

 

「勿論だぜぃ。なんたって、実績もあるんだからな! セリト!」

「まさか、もう新作を!?」

 

 アラタ作の美プラ『真TALE・レコ』がビックリ! の、エモーションを見せていた。

 ここに来て。とっておきを隠していたというのか。と思っていたが、それを言ったら『リン・カーネーション』なんて物を動かしている彼女も同じである。

 

「一応、聞くけれど。どんな機体なの?」

 

 リンが恐る恐る尋ねた。すっかりGBBBBに毒された彼女からすれば、ふみなはリビドーを持て余したプレイヤー達の悲しき触媒位の印象だったからだ。

 

「よくぞ聞いてくれたぜぃ。そう、まず俺の愛機であるガンダム・タンクをベースにして……」

「ふみな・タンクとか引っ張って来たら怒るからね?」

 

 最も安直な発想を言ったリンに対し、アラタは肩を竦めた後、ヤレヤレと言ったエモーションを取っていた。若干、イラァっとする仕草だった。

 

「俺がそんな安直な物を作る訳ねぇじゃねぇか!」

「じゃあ、今。見せられる? データ化していないなら、チャットアプリの方で画像を送信して貰える?」

「ちょっと、待っていてくれ」

 

 ゴソゴソとVCの方で作業音が聞こえて来た。恐らく、その場しのぎで言ったわけではなく、本当に準備していたのだろう。間もなくして、ビアンカの連絡用に使っているチャットルームに1枚の写真が上げられていた。

 映し出されているのは、ふみなだった。……だが、外装はGBBBBでよく見る、ジムカーディガン風のメイド服ではなく、原作のトライファイターズで着用していたタンクトップとスパッツだ。そこにデスティニーのバックパックや脚部にキャタピラ状のパーツをマウントしていたりと、何となく作りたい物は見えて来るが。

 

「なぁ、アラタ。これってガンプラや無くて『フィギュアライズスタンダード』の『あばたーふみな』の方ちゃうん? すーぱーふみなは?」

 

 タオの指摘にアラタが口を閉ざしてしまった。事情を知っている者は『まぁ、うん』みたいな、反応が返って来た。

 

「なぁ、タオ。それって、何が違うんだ?」

「そっか。セリト君はGBBBBのすーぱーふみなしか知らへんのよな。ちょっと待ってや」

 

 タオが、GBBBBのミッションでも現れる『すーぱーふみな』の組み立てレビューのサイトのURLを貼った。サイトを閲覧したセリトは唸っていた。

 『ぶ』とまで言い掛けて、彼は言葉を呑み込んだ。美プラ使いとして、その先を言ってはいけないという使命感が働いたからだ。同じ様にリンもURLの内容を閲覧して、口籠っていた。

 

「なんで、こんなに違うの?」

「単純に発売した順番やね。『すーぱーふみな』は美プラの開拓者で、そこから8年以上の月日が流れて『フィギュアライズスタンダード』の方で『あばたーふみな』が出たんや。そりゃ、改良されまくっとるよ」

 

 ガンダムやロボット系の外観はゲーム内のモデリングでも満足できる物が多いし、立体化も映え易い。だが、フィギュアではなく組み立てる美少女プラモを開発するのには非常に難儀したことであろう。

 なんたって美少女を表現する為の顔の造詣は2D的な物だからだ。これを立体で表現する為にどれだけの試行錯誤が行われただろうか? 先人達は果敢に挑み続けて来たのだ。

 

「えーっと、つまりアラタはすーぱーふみなちゃんで作ろうとしたけれど、顔の造詣に満足できなくて『あばたーふみな』で組み立てていたってこと?」

「はい……」

 

 GBBBBで云々言っていたのに、実物を目の前にして早々に別物に走ったことを恥じていたのだろう。アラタの返事は消え入りそうな物だった。

 

「いや、フィギュアライズスタンダードはGBBBBの方で使えねーだろ。多分、すーぱーふみなで組み立てる為の雛型として作っていたんだろ?」

「だから、言えなかったんだ。これはあくまでリアル用の物として考えていたからよ。……でも、これは天啓だと思ったんだよ。時代が、状況が、運命が! 俺にこれを使えって! 突き動かしている様な気がしたんだ!」

 

 マシマの言う通り、GBBBBはフィギュアライズスタンダードには対応していない。しかし、アイデアがあれば作りたくなってしまうのが表現者なのだ。

 しかも、どういう訳か本当に数奇なタイミングでお披露目の必然性が出て来たとなれば、全てに突き動かされている様だった。

 

「アレ? じゃあ、俺の『真TALE・レコ』は何で作ったんです?」

「モビルドールメイ。加えて、AIキャラってことでむしろメカっぽい要素は味になるだろぅ?」

 

 こちらも、すーぱーふみなと比べて後年に発売されたこともある。おまけに『真TALE・レコ』に使われている頭部は、2D的な方ではなく3D映えもするツインアイ型であったので、造形的にも無理なく作れたか。

 

「ていうか、部室でガンダム・タンクを弄っていたのはキャタピラを美プラにマウントさせる方法を考えていたのね……」

「ガンダム・タンクはタンクで愛着があるんだぜ? 何とか、作って来るからよ。皆も楽しみにしておいてくれよ!」

 

 ドン! と、宣言された。実際に構想もあるのだから無理なく行ける予想で張るのだろうが。……だろうが。リンが手を上げた。

 

「あの、アラタ。それって、私が使う『リン・カーネーション』もGBBBBプレイヤー的な美プラとして見られるってことよね?」

「何か問題が?」

 

 アイツらと一緒。フミナちゃんを飛頭蛮やケンタウロスにしたり、バズライト・フミナーとか対魔忍とかにしたりしている連中と同一視される。

 

「いーーーーやーーーー!!!」

「リン!?」

 

 妹が上げた全力の悲鳴にミサも戸惑っていた。だが、付き合いの長いタオとアラタには分かった。彼女のトラウマを刺激したのだと。

 

「り、リン? 大丈夫やって、リンのは正統派やし? ネタ枠とか変態枠じゃないからヘーキヘーキ! むしろ、輝かしさを打ち出して行こう!」

 

 タオのフォローを裏返せば、概ねの奴はネタで変態と言う暴言も良い所だが、実際にそういう奴が多いので仕方がない。だが、アラタがズイと前に出た。

 

「リン。俺達が守ろうとしているのは、そう言うGBBBBなんだ。俺達と共に過ごした、GBBBBライフ。その中で、ふみな達は悪い思い出ばっかりだったか?」

 

 懐かしむように問われた。リンは思い出す、自分を助けてくれた飛頭蛮ふみなとケンタウロスふみな。バズライト・フミナー。対戦で現れた如何わしい彼女達。文が作った、イシツブテ・ふみな。普段、ロビーで闊歩している変なの…………これらを一括りでまとめると。

 

「(碌な思い出がねェ……)」

 

 頑張って良い所を探そうとしたけれど、碌でもない物ばっかりだったので、こういう外無かった。しかし、認めがたい事ではあるが。これらの存在が自分達をここまで連れて来た面があったのは否定できなかった。

 最初に助けに来てくれた2人が居なければ、初期ミッションも達成できずに詰まらなくて辞めていたかもしれない。対戦で負けて悔しい気持ちがあったから、ここまで頑張れた。仲間が変なビルドをするから、自分の中でも自分を認める気持ちが強くなった。そして、周りが変なのばっかりだから、自分もちょっと位おかしなところがあってもいいと認める気持ちを持てた。

 

「……まぁ。悪い事ばっかりじゃなかったけれど」

「すっかり、染まって……」

 

 マシマがほろりと来ていた。自分でも意外だったが、思いの外このGBBBBに蔓延っている空気が気に入っているのだと、リンは自覚せざるを得なかった。

 

「なら、決まりだな。行くぜ、このGBBBBを守る為に! リン! タオ! 決勝戦、お堅い上の連中に見せてやろうぜ!」

「え? 僕も?」

 

 特にモノローグも相談も無く、自分も一員になっているタオは戸惑っていたが、セリトの機体に肩を叩かれていた。

 

「俺をこんなんにした責任。ちゃんと取れよ?」

「えらいこっちゃ……」

 

 だとしたら、自分は永劫償えないレベルの罪を背負っているじゃないか。リンが美プラに救われたのだとしたら、タオは美プラに巣食われていた……。

 

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