GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】 作:ゼフィガルド
アラタ達が激闘を繰り広げた後には、何故か未だに消滅しないまま飛頭蛮ふみなの頭部がゴロリと転がっていた。大量の首が転がっている光景は実にサタニックでファナティックだった。
「なにこれ、漫☆画太郎の一コマ?」
「多分、ここに居る奴らでそのネタが分かるの俺達位じゃね?」
あまりの惨状にカルパッチョがポツリとこぼしたが、タオやリン達は首をかしげるばかりだった。なお、セリトは思考がフリーズしているのか動きがぎこちない。
「セリトさん。しっかりしてください! 文ちゃんを助けるんでしょう!」
「そうだ。俺は、この屍を踏み越えて進んで行くんだ!」
直ぐに感情移入とテンションを合わせられるのがシーナの強みであるが、同時に事態を余計にややこしくするデメリットも備えており、セリトが面倒臭そうな状態に陥っていた。一方、コウラはスッキリとした顔をしていた。
「アラタ。やっぱり、暴力。気に入らない物を殴れるって素晴らしいわ」
「ゲーム内に留めておきましょうね」
もしも、ガンプラバトルが無かったら彼女は少年院辺りにいたんじゃないんだろうか。仲間を救いに来たのに、急に未来に暗雲が立ち込めた辺りで、彼らの目を覚ますべくカドマツが口を出した。
『このフィールドは制圧した。次からのエリア構成なんだがな……』
アラタ達が進んだ先には幾つもの扉が並んでいた。ゲーム画面内に扉の先にあるエリア構成が映し出されるが、ぽつんと1つのエリアがあるだけだった。それは、どの扉の先も同じ様になっていた。
ある程度、ゲームに慣れている者達なら、このステージ構築の意味が分かるだろう。
「カドマツ。もしかして、コレ。ボスラッシュ?」
『ま、定番だな』
ミサ以外も予想していた通りだった。最終ステージの様な雰囲気を出しているだけに会って、今までのPGが勢ぞろい。というのも定番ではあるが、これには皆も渋い顔をしていた。
「全PGのボスラッシュとかだったら、怠すぎるんだけれど!!」
まず、真っ先に文句を言ったのはカルパッチョだった。PGやMA等、巨大機体とのバトルは絵面こそ悪くは無いが、装甲を剥いでいくように攻撃ヵ所が限定されていたりと、面倒臭いギミックも多い割にはパーツも入手できないので、ボスバトルはユーザーからの評判も良くない。
「でも、全員で囲んで叩けばすぐに終わるはずよ」
『……凄い言い辛いんだが。扉に入れるのは3人限定らしい』
「は?」
今回のミッションで数の暴力に慣れ切っていたコウラが抗議の声を上げていた。ここまで来て、何故面倒臭い仕様にするのだろうかと。
「露骨に時間稼ぎに来たな。まぁ、俺達は9人いるし。1回で3つ攻略できると考えようや。扉の数は13だとして……」
マシマが扉の数を読み上げた所で全員が溜息を吐いた。この短時間で13回も攻略しないと行けないのか、と。人のやる気を奪うには十分すぎた。
「でも、やればいずれは終わるんだぜぃ。扉の先に何が待ち構えているかは分からねぇけれど、クリア次第次の課題にチャレンジして行こうぜぃ!」
アラタが励ましはしたが、ここまで快進撃だったのに急にせき止められるような真似をされたら多少は辟易する。だが、そんな流れを吹き飛ばす様にしてリンが声を上げた。
「うん! ここを突破して、皆で文を迎えに行こうよ! そしてさ、バトルトーナメント決勝戦を皆で挑むんだ!」
「……せやね。マイスターとの戦いが待ち構えているんや。こんなトラブルなんかに屈している暇なんてあらへんよ!」
普段は気弱なタオも乗って来たので、他の皆も鼓舞された。そして、3つのチームに分けて扉に入って行った。
~~
アラタ達がマザーAIに続く道をハクスラしている間、タクマやカオス達も次々とエネミー化したアドウェアプログラムを撃破していた。
「流石、GBBBBのトッププレイヤーなだけにあるね。カオスさん、どうですか? この騒ぎが収まったら、俺達と一戦やりませんか?」
この駆除作業に参加しているメンバーの中には、ガンブレ学園の関係者として丹生以外にもフドウの姿もあった。
「是非とも手合わせ願いたいね! ……そう言えば、丹生君から聞いたんだけれど、フドウ君。君は彼の学園で教師もしているらしいね。アラタ君、私のことについて。何か言っていた?」
GBBBB内ではテンションが高い男もリアルは真面目で普通な人間である。故にエゴサもしたくなるのだが、フドウは笑って返していた。
「えぇ。ちょっと、理事長とお話をしていた時にね。GBBBBやユーザーについて問われた時に、ちょうど。貴方の話が出たんですよ。その時、彼。なんて言ったと思います?」
「……う~ん。想像が付かないな。そもそも前提が明瞭じゃないからね。答えを聞いても良いかい?」
「『アンタにとっては『あんな奴ら』かもしれないけど、俺にとっては同じ時間を過ごした大切な友人達です』って、言い切っていたよ」
教師としては目上の物に対する物言いに対して、注意するべきだったのだろうが。フドウもまたガンプラバトルを愛する人間の1人であり、教師である。教え子が進む道を遮る様な真似をするつもりはなかった。
「ア~ラタく~~ん! コレ、私がヒロインならもうルート確定だよぉ! そんなこと言われたら、おっさんも頑張りたくなるじゃな~い!!」
カオスのテンションが爆上がりしていた。彼らの尽力もあり、次々とアドウェアが駆逐されて行く中、新たな報告が上がって来た。
『主殿。我々が介入していない一部地域でも、アドウェアが駆逐され始めている。原因を調べたところ、GBBBBのユーザー達が個人個人で対応をし始めている。ネットのSNSなどで有志が情報を広げたりしている様です』
動画配信者、攻略動画、対戦動画、ネタ動画。拡散力を持つインフルエンサー等が、このアドウェアに対抗するべく呼びかけを行っていた。再生数を稼ぐという目的もあるだろうが、この混迷を何とかしたいというのもあるのだろう。
状況が好転しようとしている中、スタッフが駆け込んで来た。そして、直ぐに用件を告げた。
「マザーAIに続くエリアへのアクセス権を解析出来ました! 現在、アラタ君達は大量のボスラッシュに挑戦しているんですけれど、数が多すぎます! 誰か手伝って下さい!」
「乗ったぁ!!!」
カオスが諸手を挙げて賛同していた。これには他のメンバーも続いた。真っ先に手を上げたのは、グスタフだった。
「セリトも居るんでしょ? 私も行く」
「えー。でも、カルパッチョが居るんでしょ? 行きたくないなぁ~」
「ええ機会です。リアルで顔合わせとけば、これから嘗めた口利かんでしょ」
ドーラが割と嫌そうにしている反面、クロカンテはノリノリだった。もしも、彼が直接来たらカルパッチョは今までの嘗めた口を改めざるを得なくなるだろう。彼ら以外にも続々と手が上がり始める。
「マシマさんも居るんでしょう! なら、ニシワキエンジニアリングのメンバーも向かって良いですよね!」
「フドウ先生。僕達も行きませんか?」
丹生の言葉にフドウが頷いた。彼らの様子を見ながら、タクマは思わず笑ってしまった。
「(アラタ君、これが君の紡いで来た物なんだね)」
かつて、ミサを危険から遠ざける為に距離を取り、人をも遠ざけて来た自分だったが、それは間違いであったと言わざるを得なかった。何故なら、こんなにも沢山の人達が、彼らの為に立ち上がろうとしてくれているのだから。
少し、陰りのある表情を見せるマイスターを見かねたのか。ライムが彼の肩を叩いた。
「何、自分だけ良い子ちゃんしてんだよ。お前も行きたいんだろ?」
「だが、私は……」
「ここは俺達に任せておけって。行ってやりな。俺だってな、リーダーが好きな女の為に頑張れる機会を作れる位には強いんだぜ?」
『主殿。……どうか、私の妹分を助けて欲しい』
いや、絆を紡いできたのはアラタだけではない。マイスターことタクマもしっかりと結んで来た物があった。1つ、頷いた。
「恩に着る。では、私もアラタ君達の援護に駆け付ける!!」
アドウェアの駆逐に当たっていたメンバーの中で生え抜きの精鋭達がアラタ達のいる部屋へと移動して、少し経った後。主にカルパッチョの悲鳴が響き渡ることになった。