GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】 作:ゼフィガルド
「アラタくぅ~~ん! 友人の窮地に駆け付けたよぉ!」
別に同じ部屋である必要はないのだが、フリーダムフリートの面々もビアンカのメンバーが気になったのだろう。果たして、リアルではどんな姿なのかと。
カオスとアラタ達は知り合いであるが、他の面々は互いのギャップに驚いていた。
「マジかよ。ドーラさん、ネカマやったんや!」
「いや、俺としてはグスタフ……のリアルにビックリしているんだけど!?」
「私としては、2人がまんま過ぎて逆にびっくりしているわ」
タオとセリトが同時に叫び、ドーラも驚いていた。ネカマの存在自体は珍しくないにしても、リアルで遭遇するとは思わなかったのだ。ネナベに関しては、ミサと言う前例があるにせよ、グスタフの様なイカツイアバターを使っているのが可愛らしい少女。というギャップはあまりにデカかった。
「お母様から、ネトゲをする際には女性アバターは使わない様に。と、注意されていましたので」
「分かります。可愛い娘がネトゲと言う魍魎跋扈の世界に飛び込んで行くのを心配しない親はいませんから」
シーナも頷いていた。実際、GBBBBの治安はお世辞にも良いとは言い難い。青少年に有害な部分も多いし、歴史が積み重ねて来たガノタと言う非常に扱いが難しい層もいる。
「グスタフちゃんはドーラとはリアルで知り合いとか?」
「別のネトゲを一緒にプレイしていたので、その時に。お母様とも顔見知りです」
「だから、今は私がこの子の保護者って訳」
「家族ぐるみの付き合いって訳か。良いな」
マシマも笑っていた。ゲーム内のムーヴはグスタフちゃん(仮)を保護する為の物だったのかもしれない。そう言った微笑ましいやり取りがある一方で、正反対の光景も当然ある訳で。
「クラメンに聞ぃたけど、お前。俺の悪口言うてたらしいな」
「まぁまぁまぁまぁまぁ、クロカンテさん落ち着いて」
屈強で強面な男性から凄まれたら、ネット弁慶でしかないカルパッチョはチワワの様に縮こまる外無かった。ボス戦には、まだ移っていなかったのでアラタがフォローに入っていた。よく見れば、彼も微妙に足が震えているが。
「まぁ、ええわ。これに懲りたら暴言控えるんやで」
「はい……」
その場ではペコペコしているカルパッチョを見て、ほぼ全員が確信していた。その場しのぎで頷いているだけだと。
「新田君の周りって、面白い人が集まって来るよね」
必死にクロカンテに立ちはだかっていた彼を指差してニヤニヤしている丹生の脇腹を、コウラが突いていた。あまりに愉快な面々が集まっていた。
「『フリーダムフリート』『ニシワキエンジニアリング』『ビアンカ』『マイスター・ジン』。GBBBBの総力戦って感じがしませんか。マシマさん?」
「確かにな。てか、ユーキ。お前ら、仕事とかの方は大丈夫なのか?」
「はい! こんな状況ですからね。仕事にもなりゃしません。それなら保全がてらにコチラを手伝った方が建設的でしょう?」
プロチームからすれば、GBBBBの風評に傷がつくのは死活問題なので、ある意味これも業務の一環なのかもしれない。
「よぅし! 我々がこの問題を解決した暁には、ここに居る者達でオフ会をしよう! そう考えたら、やる気も出て来ないか!」
カオスが両手を叩いてから言った。折角、集まったんだから仕事をして終わりというのも味気ない。そして、彼の提案に賛同する所があったのか。マイスターことタクマも言った。
「終わりを見据えた目的があるのはモチベーションにも繋がるだろう。解決した暁にオフ会に移るなら、費用はこちらが持つ。何かしらの形で今回の労働に対する報酬は用意したいと考えていた」
幾らGBBBBがプレイできなくて困るから有志のユーザーに無償奉仕をさせて。というのは、あまりに不健全である。タクマとしても労働の報酬はキチンと用意したいと考えていた。勿論、オフ会に不参加な人間もいるだろうが。
「えぇ~。皆さんに聞いた所、オフ会不参加者0人ってことらしいです。ッスゥ~、やっぱり。GBBBBって凄いんですね~」
「貝塚アッグ止めろ」
クロカンテの威圧から解き放たれたカルパッチョが訳の分からんことを口走る中、唯一ネタを理解していたのかマシマが律儀に反応していた。そんな遣り取りに笑いが起きる中、ユーキが何かを思いついた。
「そうだ! ここに居る皆さんのレベルは高いことですし。何なら、いつものクラメンとじゃなくて。この機会に別クランの人達と組んでボスに挑戦してみませんか? 例えば、僕とマシマさんが組むとして」
「例示で自分を出すことで、さり気なくメンバーを極めようとする手練手管。私じゃなきゃ、見逃しちゃうね」
押し寄せる会話の波に紛れて、ミサもなんか言っていた。世界を騒がす混迷を解決するにしては、あまりに緩い空気が出ていたのでタクマも苦笑いするしかなかった。
「とてもじゃないけれど、俺達の時とは大違いだ」
『そうか? 俺はこっちの方が良いと思うぜ』
「どうして?」
世界の危機ならばもっと真剣に向き合うべきだと。タクマと同じ様にリンも考えていたので、スタッフであるカドマツが緩い空気の方を好む理由がイマイチ分からないでいた。
『連中の目的はGBBBBに悪評を付けて、風評被害を及ぼすことだ。だから、それに対して一番の反撃って言うのはだ……ゲームを楽しんじまうんだよ。お前達が送って来た、下らない報復なんて楽しく解決してやれるんだと思い知らせてやるんだよ。コレ、見てみろよ』
カドマツが表示したのは、件のアドウェアに戸惑う中、ひょっこりと現れたGBBBBプレイヤーが解決したり、あるいは初めてチャレンジする挑戦者が解決して見せたり、過去の筐体で遊んでいたユーザーが眠っていた愛機を引っ張って来て復帰兵としての矜持を見せたり。ちょっとしたドラマが生まれていた。
「連中は俺達に対する仕返しとして、ガンプラバトルを貶めたかったんだろうが。むしろ、こちらのフィールドに上がって来てくれたなら幸いだ」
『あの時よりも味方は増えているしな。じゃあ、やっちまうとするか!』
「タクマ―! リン―! 早くミッションに行くよー!」
そうして、組まれた新生のパーティはぶっつけ本番の中、ボス戦に突入して行った。結果に関しては、彼らが仕損じることはまずないだろう。
~~
「(なんだ。これは?)」
アラタ達が集結するエリアの中。一種のチートである無限ジャマーと認識阻害によって、カドマツ達からも補足されずにいたラシードは苛立ちを募らせていた。
共に連れて来た同士達は道中でいとも簡単に容易く撃墜され、世界中にガンプラに対する嫌悪感と混迷を撒き散らすはずのウィルスは、自分達が憎んでいる平穏を謳歌する連中によって解決されようとしている。
「(ふざけるな)」
まるで、自分達の存在が茶番あるいは道化師の様に扱われていることに憤りを覚えていた。だが、自分にはボスを打ち倒すだけの地力は無く、ガンプラバトルと言う形式に頼らない方法でマザーAIにアクセスする方法が無い。
故に出来ることがあるとすれば、ただこうして身を潜めていることだけだった。見つかるかどうかという恐怖は無かった。今までの活動の中で潜伏することには慣れていたからだ。ただ、許せないことがあるとすれば。
「う~ん。美少女三銃士も悪くないかも。いや、男性率が2/3ってのが気になるんですけれどね」
「大丈夫。美プラを愛でる心があれば男女なんて些細な違いでしかない」
「そうだ。なら、セリトクンもウチに来ない? ボーボボが居なくなったし、ちょうど後埋めってことで大歓迎よぉ!」
自分を脅かしている障害を打ち倒した後に、歓談をしている連中の声を聴くことだった。自分がやって来たことは憎んでいた連中を楽しませる余興でしかなかったというのか。ラシードは下唇を噛み締めていた。