GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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93戦目:決着まで、後少し。

「なんや? 攻撃の勢いが弱まっとる……」

 

 ガンダムヘッドとデスアーミーの軍団を惹き付けていたタオ達は、相手の攻勢が弱まっていることに気付いた。攻撃パターンが単調、あるいは棒立ちになっている。これはミッションでもよく見られる光景だった。理由は分かっている。

 

「多分、マザーAIと同期している文が自分の方にリソースを割いているから、コイツらに回す分が無くなっているんだ」

 

 マシマがIフィールドバリア内から射撃を繰り出して、次々と動きを止めたNPCを撃破して行く。先程までは倒したら倒した分だけリスポンしていたが、今はそう言った様子は見当たらない。

 

「タオさん、マシマさん。私達も皆の元に駆け付けませんか? 私達の火力ならば、ここに居るNPCを殲滅出来る筈です」

 

 ビアンカ突入部隊として先陣を切り開いたシーナ達の機体は火力偏重になっている。リスポンしないと言うなら、この場に沸いたNPC達を一掃することも難しくはない。

 

「せやな。僕も皆の元に駆け付けたいし、やったりましょ! しゃあっ! フューラーザタリオンの火力みせたるわ!!」

「チクラミーノの血筋を継ぐ、このタンク・ガンダムの火力を思い知らせてあげましょう!!」

「……面影。何処?」

 

 タオとシーナが思い思いに火器をぶっ放す中、彼らが存分に立ち回れるようにケアをしているマシマは、間違いなくビアンカ内で1,2位を争う実力者でもあった。同時に掛け替えのない常識人でもあった。

 

~~

 

 タクマとミサを相手取っているコマンドクアンタとスーパーストームの動きは、NPCとは思えない程に有機的で激しい物だった。

 数で押せばいいデスアーミー&ガンダムヘッド軍団とは比べ物にならない程に、演算能力のウェイトが割かれているのだろう。実際、この2人を抑えるにはそれだけのリソースが必要だった。

 

「捕まえたぁ!!」

 

 事態が動き出したのは、ミサのアザレアブレイジングがコマンドクアンタにタックルを仕掛けたことからだった。腰元から掴みに掛かったかと思えば、固めた拳で相手のつま先を打ち抜き、身動きが取れなくなった所で逆立ちの姿勢へと移行して、まるで弾丸の様に跳ねた。

 突き出した両足がコマンドクアンタの頭部を吹っ飛ばし、カメラが機能しなくなった一瞬は、この状況においては致命的だった。

 

「オラァー! くたばれー!!」

 

 空中へと跳び上がったかと思えば、右足を突き出して関節の各所とバックパックからスラスターを吹かして全力で突撃した。コマンドクアンタの全身を貫き、地面に縫い付けた。間もなくして、GN粒子を撒き散らしながら爆散した。

 対するタクマは、スーパーストームから放たれる散弾の雨を前に接近できずにいた。この武装は彩渡商店街時代に彼が愛用していた物ではあるが『近接信管化』等のアビリティは搭載されていない為、脅威度は控えめになっている。だとしても、やはり取り回しになれているのかとことん嫌な所に撃って来る。

 

「丁度、溜まった。一気に決めさせて貰う」

 

 騎士エクシアから赤色の光が放たれる。重ねて、トランザムも発動したのか機動性も同時に向上していた。腰から引き抜いたGNダガーを投擲すると、まるで吸い込まれるようにしてショットガンへと突き刺さった。

 だが、このNPCは判断力に優れていた。直ぐにショットガンを放棄して、脚部にマウントされていたGNソードⅡロング/ショートの2本を引き抜き迎え撃った。だが、格闘戦に調整された騎士エクシアに対しては分が悪かった。

 

「終わりだ」

 

 騎士エクシアが構えたGNソードⅢの先端からアサルト覚醒の光が溢れる。まるで、炎の様に揺らめく刀身はスーパーストームを切り裂いた。胴体を両断された、スーパーストームは間もなくして爆散した。

 立ち塞がる門番を倒して一呼吸を置いた所で、ミサがズカズカと歩み寄って来た。

 

「タークーマー!! なんで、さっさと倒さないのよ!」

「スーパーストームのショットガンがヒットすると、そのまま撃破まで絡めとられるからな。前Verの筐体で、俺がどれだけアレを使い込んでいたか知っているだろう?」

 

 ミサの脳裏に過ったのは両手にショットガンを構えたタクマの機体だった。

 あの頃はアビリティに『近接信管化』という爆発を引き起こす物があった上、パーツアウトを引き起こしやすくなる『雷属性』まで付いていたのでパーツを剥ぎまくっていた。

 

「流石にGBBBBでは、あのアビリティは実装しなかったんだ」

「ゲームバランスに関わって来るからな。現時点でもあまりバランスが良いとは言い難い物にはなっているが」

 

 GBBBBのゲームバランスは未だに微妙な所にある。特定の武器種が強すぎたり、OPパーツの猛威等。解決するべき課題は大量にある。

 

「それはさ、長い時間かけて解決して行こうよ。その為にも、このGBBBBを終わらせない為に、私達も頑張らないとね」

「そうだな。君の仲間もこちらに向かっている様だ」

 

 マップ表示を見れば、デスアーミー&ガンダムヘッド軍団を相手にしていたタオ達がこちらに向かってきている。このまま合流して、デビルガンダム本体へと乗り込む算段であるが、ミサには一つだけ訂正しなければならないことがあった。

 

「タクマ。君の仲間、じゃない。私達の仲間。でしょ?」

「……そうだったな」

 

 ちなみにこの遣り取りはゲーム内だけではなく、同室にいる者達から見られているので各々が好き勝手に色々と言っているのだが、こういうのを一番ネタにしそうなカルパッチョと言えば。

 

「ホッ、ホッ、ホアァアァーッ!! ホギャギャアアァッ!!!」

 

 相当厳しい状況にあるのか、人間の言葉も忘れて猿叫を上げていた。そんな彼女を見つめるフリーダムフリートのまなざしは優しかった。カオスは持って来たバッグから高級バナナ『金の房』を取り出した。

 

「お猿さん。バナナ、いるかい?」

「いらねーよ!!!」

 

 ミサがトッププレイヤーと思い出に耽っている中、奇声を上げて戦う彼女には人として大切なものが欠けている様な気がしたが、仲間の為に戦っているということでひとまず見逃された。

 

「ドーラ。マイスターとミサさんは恋人同士なの?」

「そう言うのは詮索するのも野暮ってモンよ」

 

 女子として非常に興味が湧く内容ではあるが、ドーラに窘められていた。その一方、フドウが感慨深そうに見ていたので、丹生が声を掛けた。

 

「先生、どうかしたんですか?」

「いや、やっと進歩があったんだなって」

「なるほど。ウカウカしていられませんね」

 

 どうにも自分の周りには、そう言った話が発生しやすい様な気がした。コウラの方に視線をやると、彼女達のバトルフィールドであるデビルガンダムの胴体部分には大量のデスアーミーに加えて、ウォルターガンダム、ヘヴンズソード、グランドガンダム、マスターガンダムまで出現していた。グランドマスターガンダムの存在も相変わらずだ。

 

「どわーっ! なんや、コレ!? メッチャ、凄いことになっとるやん!?」

「それだけ、向こうも必死になっているってことだろ。おーい! カルパッチョ! セリト! コウラ! 俺達も手伝うぞ!!」

 

 ここまで突破して来たタオ達が全員合流し、デビルガンダムの胴体部分では大乱闘が発生していた。攻撃を出せば、何かに当たるという位には密集していた。

 

「コレ、自宅のPCとかでやったら確実にクライアントが落ちる奴ですね」

「もう、誰が攻撃して来ているか分からないですって!!」

 

 あまりの大盛況ぶりに却って冷静になっているシーナ、そして予想通りパニックになっているセリト。

 

「ホッ、ホッ、ホアァアァ!!! ……はっ!?」

 

 室内に響く猿叫を真似しそうになっているコウラ。そして、もはや猿と化したカルパッチョ。あまりに凄惨な光景が広がっていた。タオは聞かずには居られなかった。

 

「マシマさん、マイスターさん。強くなるってことはこう言うことなんかな?」

「いや、コイツらのマナーが悪いだけだ」

「ルールを守って楽しくプレイ。その心を忘れないでくれ、私との約束だ」

「これ、最終決戦だよね? なんで、今更チュートリアルみたいなこと言ってんの?」

 

 これにはミサも苦言を呈さずにはいられなかった。自分達が楽しんでいた界隈の民度が悪化していたことを認めたくなかったのかもしれない。

 多数の応援が駆け付けて来たのを見て、カルパッチョはようやく正気を取り戻して、直ぐに皆の元に駆け付けた。

 

「待っていたわ! さぁ、皆! 早くコイツらをやっちゃいましょうよ! ここまで来てエンジンも温まっているでしょ! さぁ! 遠慮なく!!」

「カルパッチョさん。もしかして、ワザとやっています?」

 

 堪らず、シーナが尋ねた。もしも、ワザとやっているなら女優だしとんでもない胆力の持ち主だが、彼女にそんな物が備わっているとは到底思えなかった。

 

「まぁ、期待に応えるのがマイスターの役目だがね」

「素敵!!!!」

 

 多数を相手にするのは騎士エクシアでは不利と悟ったのか、機体をコマンドクアンタへと変えていた。手には、2丁のショットガン。

 

「よっし! 後、ちょっと! 最後まで駆け抜けよう!」

 

 ミサが号令を飛ばす。騒ぎの終わりは目の前まで迫っていた。

 

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