GBBBBは無法地帯【本編&DLC編完結】   作:ゼフィガルド

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EX1:正式サービス開始まで 2 ※最新作映画のネタバレを含むかも

 イラトゲームセンター。昼間は散々GBBBBの関係でガンプラバトルをしたと言うのに、打ち上げの後でもプレイする位には気に行っているらしい。

 使用する機体は、トッププレイヤーであるマイスター・ジンが手掛けた機体。本来は自分の姉に向けて贈答したガンプラであるが、故あって自分の愛機となっている。

 

「だぁあああ!」

 

 対戦者が使っているガンプラは、GBBBBで最も遊ばされている機体『すーぱーふみな』をカスタムした物で、近接戦仕様に作られている。

 自機である『リン・カーネーション』は中距離を得意レンジとしているので近付かれたら終わりだ。花弁の様なバックパックから射出されるドラグーンは、さながら花粉めいていた。

 

「ここはGBBBBじゃないんだぜ!」

 

 アッパー調整の入ったGBBBBとは違い、このゲームセンターの筐体ではファンネルの攻撃頻度と追尾性能はマイルドな物になっている。

 ドラグーンを捌き、あるいは撃墜して悠々と近付いて来る。腰部にマウントされている高出力ビーム砲を放った。対戦相手に直撃はしないが、周囲に漂っていたドラグーンに着弾して爆発が起きた。

 

「!?」

 

 至近距離で爆風を浴びてバランスを崩した隙に肉薄したリン・カーネーションが、両腕部から展開したビームサーベルで切り掛かる。

 だが、近接戦は相手に分があった。一瞬の交差だったが、振り下ろすより先に両腕を掴まれて、膝蹴りを食らった。少なくないダメージが入り、更に至近距離で砲撃を食らった。機体の耐久がゴッソリと持っていかれたが、相手は直ぐに離れた。僅か後、対戦相手がいた場所にドラグーンの砲撃が着弾した。

 

「やるな!」

 

 自分を囮にした一撃だったが、避けられた。GBBBBでの挙動ならば確実に直撃になっていただけに仕様の違いに歯噛みした。

 

「なーんて、ね」

 

 直後、対戦相手の美プラの背面にドラグーンの一撃が浴びせられた。

 近接戦で相手を拘束した上で、更に避けられた場合の第2撃も用意していた。怯んだ一瞬に投擲したビームサーベルが相手の左肩部に突き刺さった。

 

「ッチ!」

 

 左腕がダラリと下がって動かなかったので、右腕だけで対応していたが、やがて捌き切れなくなった。空いた胴体をビームサーベルで切り裂いた。

 上体がずるりと落ちて、間もなく爆散した。正直、考えて動けていたのかどうかは微妙だったが、勝てた。タイマンでの勝利は初めてだった。

 

「強くなったな、リン」

 

 GBBBBで自分の手を引き続けてくれた少年は悔しんでいた。だが、同じ位の嬉しさもあったのか、直ぐに笑顔に切り変わった。

 

「私がここまで来れたのは、皆の……」

 

 勝利したことで気が大きくなっていたのだろう。果たして、感謝だけで終えて良いのか。先程、自分の姉は大胆な告白をしていたじゃないか。乗るしかない、このビッグウェーブに。

 

「ううん、アラタの―――」

 

~~

 

「おーい、朝飯出来ているよ~」

 

 姉であるミサの間延びした声に起こされた。良い場面だったのに強制中断された。寝ぼけ眼を擦り、リビングへと降りるとトーストを始めとした朝食が用意されていた。

 

「お姉ちゃん、おはよ~」

 

 最近のミサはすごぶる上機嫌である。普段は、口にはしないが仕事に行くのを嫌そうにしているのだが、ここんと所はずっとモチベが高い。というか、テンションが高い。

 

「なんか寝顔が凄い幸せそうだったけれど、良い夢を見てた?」

「そんな所」

 

 今朝見た夢を思い出して、リンはちょ~っぴり溜息を吐いていた。良い夢だったからこそ、現実とのギャップを噛み締めざるを得なかったからだ。

 

「悩んでいるねぇ。まだ、この間の打ち上げ後のこと気にしている?」

「うん。あの時、勝てていればなぁ」

 

 あの打ち上げ後、リンはアラタとガンプラバトルをしたのだが、後一手と言う所まで追い込んで、負けてしまったのだ。

 

「アラタ君も凄かったよ、アレ。私も決まったと思ったもん」

 

 態勢を崩した所に投擲したビームサーベルはアラタの機体である『すーぱーふみな・轟』の左肩部に刺さった。

 だが、彼の判断は早かった。使えないと踏んで、突き立っていたビームサーベルを用いて左腕を自ら切り落とした。と、同時にまるでサッカーボールの様に自切したパーツを蹴り飛ばして来たのだ。

 

「まさか、あそこから反撃されるなんて思わなかったよ」

「ここら辺は経験値の差と言うしかないね。でも、残念に思っているのは試合の結果だけ?」

「どういうこと?」

「も~しか~して~。試合に勝てたら、あわよくば。とか思っていなかった?」

 

 自分が成功したからって、脳内がピンク気味になっていないだろうか。朝だと言うのに元気が過ぎる。

 

「な、何の話?」

「妹よ。隠さなくても良いんだよ。お姉ちゃん、あの日はあまりに見せつけちゃったからね。感化されるのも致し方ないってことサ」

 

 いつもは頼れる姉が急にウザく感じた。しかし、6年もの期間を掛けたのだから、素直に祝福したい気持ちも同時に存在している。

 

「でも、リンにそういう人が出来たなら。私は嬉しいな。アラタ君なら、私も人柄は分かっているけれど……。早めに行かないと、結構危うくない?」

 

 ここら辺に関しては以前にリンも話したことがある。現状、他のクランメンバーで気がありそうなのは『コウラ』か。だが、気が変わって……ということも大いにあり得る。何より、カルパッチョが本当に女だったこともデカい。

 

「う~。でも、暫くGBBBBは遊べないし、一緒の時間が作れないってなると」

 

 そうなったら、同じ学校に通うコウラとベッタリになる訳だが。一緒にいる時間も長いし、趣味も同じだろうし。

 

「今更、別ゲーとかそういう訳にも行かなさそうだし」

 

 別のガンダムゲーに移行しようにも、ちょいとハードルが高いか。と、ミサが悩んでいると2人のスマホに通知音が鳴った。見れば『GBBBB運営チーム』からメールが届いていた。

 

「再開の目途が立ったのかな?」

 

 リンが期待に胸を馳せてメールの文面に目を通した。再開の目途が立った訳では無かったが、内容は2人を大いに沸かせる物だった。

 

「ガンダム最新作の試写会にご招待。……タクマも来るんだ!」

 

 パァっと上機嫌だったミサの顔が更に明るくなった。文面に『ビアンカ一同の皆様へ』という文言を見て、リンも同じ様にテンションが上がっていた。

 

「絶対にアラタも来る奴だ!」

 

 ガンダムの最新作! となれば、来ない訳が無い。だが、こういう話には落とし穴がある様な気がした。彼女が喜んだ『ビアンカ一同』という所が引っ掛かった。アラタも来るだろう。そして、当然。

 

~~

 

『いやぁ、試写会に呼ばれるっていよいよ業界人って感じがするわね! 私も配信者としてかなりの知名度になった訳だしね。フェニックスガンダムの様に復活した背信者で配信者とは私のことよ!』

 

 その日の晩のことである、チャットアプリを立ち上げてみればカルパッチョのマシンガントークが始まっていた。自尊心を満たすことに余念のない、彼女がこの招待をネタにしない訳が無かった。

 

『あの、カルパッチョさん? あんまり、外部に漏らしたりとかそういうのはしたらアカンで?』

『タオちんは心配性ね~。私ぃ? 有名配信者として企業からの案件とかあった時もちゃんと機密は遵守していたし?』

『不安だ……』

 

 マシマが打ち込んだメッセージは、このグループにいた該当者を除く全員が抱いていた物だった。本当に大丈夫だろうかと。

 

『ちょっと、そこは守るから安心しなさいよ。私がね、そう言う非常識なことをやる人間だと思っているの?』

『やった結果、このクランにいるんだが……』

 

 アラタから切実さが滲み出たメッセージが打ち込まれた。彼女の謀反劇に付き合わされた人間として、言わざるを得なかったのだろう。

 

『アレは戯れよ。カオスは所詮個人、でも私は企業とには従順なの』

『凄いわね、配信者の風評被害に一役買っている』

 

 コレにはコウラも悪態を吐いていた。余計な生臭さを見せるなと言う、彼なりのメッセージなのかもしれない。

 

『でも、最新作のガンダムですか。とても楽しみです』

 

 カルパッチョに場が支配されかけていたので、シーナが実にスマートに割って入った。やはりガンダムファンとしては、最新作のガンダムと言うのは魅力的だ。ティザービジュアルに描かれている1人の少女と新規のガンダムが興味を引付けて止まない。

 

『そうだな。水星の魔女や復讐のレクイエムと同じく、女主人公になるのかね? どの作品も面白かったし、脚本の時点で期待できるな!』

 

 マシマも楽しみを隠せずにいた。ただ、これに関してはそうで無い人間もいた。セリトから暫くの間『入力中』というステータスが表示された後、メッセージが打ち込まれた。

 

『でも、俺。ガンダムとかあんまり知らないけれど、見ても大丈夫なんすかね? 宇宙世紀とかもあんまし知らないし』

『そこは大丈夫じゃない? 流石に新作ともなった時に、前提知識が無いと分からない様な造りにはしないと思う』

 

 彼の不安を拭い去るべくミサがフォローした。例え、舞台が宇宙世紀物だったとしても、未視聴者でも分かる様に作品は作られている。相手はプロだ。

 

『私もあんまりガンダム詳しくないけれど、水星の魔女は楽しく見れたしね。多分、大丈夫じゃないかな?』

『でも、俺は不安だよ。先行上映だから、この作品が面白かったとしても皆とは共有できないし、悶々を内側に閉じ込めることになるんだ』

 

 アラタが口惜しそうに呟いていた。だが、リンは即座にチャンスだと気付いた。つまり、この話題は自分達だけの……。

 

『大丈夫よ、アラタ。私がいるじゃない』

『はい。私も居ますし、いつでも話せますよ』

「オ“」

 

 リンの口から変な声が漏れた。案の定、コウラが反応して来た……だけでなく、あの日。アラタのスマホに移動した文も返事をしていた。思ったよりも、彼は友人が多かった。

 

『いや、皆と語るなら試写会をしたその日の内にリアルで顔を突き合わせてやりたいね。そうだ、当日ガンプラバトルとかもどうよ?』

『良いですね。場所などが決まったら、周囲も調べて……』

 

 シーナもノリノリで頷き、当時の予定について色々と詰めて行く流れになった。だが、リンは諦めない。折角訪れたチャンスを無駄にはしまいと、姉の部屋へと駆け込んでいた。

 

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