第十八話 決闘修羅の世界
この日。五月のゴールデンウィークを終えた、本来ならば「これから会社行きたくない」「学校行きたくねェェェェえ。」そんな緩んだ気持ちで溢れるありふれた連休明けの筈、だった。
その一日で全国のセキュリティにかけられた緊急電話の数は約30万件。普段一日の平均電話件数の約2.3倍であるが、実際にはそれらも氷山の一角。「かけたくても、かけられぬまま堕ちた」件数を加えると更に4倍は下らないと想定される。
呼び出しの件はいずれもこの様な内容だった。
「急に近くにいた友人、家族が暴れ出し、半狂乱のまま決闘を求めた!理性が効かない‼助けてくれ!!」、と。
様々なケースがあるがその多くが、
「決闘をしながら、暴力事件も起こした!」「堂々と強盗まで!!」「むしろセキュリティが決闘を乱暴な決闘を持ち掛けてきた!!」「小学校教諭が性的な発言をしながら小学生に決闘を持ち掛けた」「家に帰ると介護疲れに苦しんでいた妻と、嫁いびりを趣味としていた姑が互いに「死ね」と絶叫しながら決闘していた。」
などと、何らかの欲求と付属したと思われる決闘であった。
また、通報の中には、「トイレに並ぼうとしたら、その順番をめぐって決闘を持ち込まれた。」「就職のため面接に訪れた一般企業の人事が、「決闘に勝てば入社させてやる」と言って来た。」「夫と今日の晩御飯を外食にするか出前にするかで口げんかをしていたら、唐突に夫がデュエルディスクを起動させた。」「告白した女の子の返答が、「私と決闘して勝てば良かろう。」だった。」などの、暴徒ではないが、唐突に判断基準を決闘に任し迫る者も見受けられた。
最悪のケースは、「暴徒に負けた決闘者が、そのまま暴徒になってしまった。」というパターン。件数こそ全体の5%に過ぎず、絶対に敗者が暴徒化するワケでないが、この感染の事実は聞いたものにゾンビハザードの恐怖を連想させ、多くの市民は家に閉じこもり、休み明けとは思えぬほどの出社率となった。
マスコミはこの事態を「決闘病事件」「決闘ドラッグの流行」などと騒ぎ立てる。
政府や各町の行政は対応を迫られるが、具体的な決断はとれぬまま。むしろ、トップの人材が「決闘病」に掛かってしまう場合も多く、どの町も身動きが取れないままだった。
そうした中、警察組織「セキュリティ」だけが手当たり次第に感染者を収容するという対応も見せるも。原因解明や根本的解決は何もわからぬまま、事態は黙々と悪化していた。
・・・
山道のデュエルの翌朝。探偵事務所に新しい朝日が差し、私は目を覚ます。
ソーセージを炒める時の食欲を誘う匂い。先に起きていたそばかす娘が朝食の準備をしてくれているのかしら。
用意された朝食と、少しだけ眠気の波に身をまかす朝8時半。
・・・昨日あった事を思い出さなければ最高の朝だっただろう。
そばかす娘「やっと起きたか、寝坊者め。」
お嬢「昨日ぶっ続けでD-ホイールの運転したのよ。疲れて当然だわ。」
そばかす娘「そりゃそっか。ま、そろそろ起きな。朝ごはん熱いうちにさ。」
お嬢「・・・ええ。」
・・・
「「頂きます」」
黙々と食べる二人の食事。
いつもなら居たはずの、事務所の主の探偵さんも、その相棒たるオボットのワイドさんも今はいない。
お嬢「御馳走様。洗うのは私がやるわ。」
そばかす娘「いいよ。慣れているし。あたしがやる。探偵さんが戻るまであたしがハウスキーピングしてやるんだから。」
お嬢「・・・案外、貴女は平気なのね。」
そばかす娘「なにが?」
お嬢「何がもないでしょ!お師匠と、アイドルさん。それからこれからの事全般的に!!」
そばかす娘「ああ。うん。」
お嬢「貴女はどうするつもりなの!これから!お師匠は倒れて入院だし、ワイドさんだって姉妹のマスターたちと一緒にどこか行っちゃうし!こんな事になって、私達これからどうすればいいのよ!」
そばかす娘「うーん。・・・フフ。」
お嬢「なに、笑っているのよ!」
そばかす娘「いやゴメン。や~ッと、アンタが年下なんだなって実感できてさ。ちょっと可笑しかったんだよ。」
お嬢「真面目に話して!!」
そばかす娘「いたって真面目だってあたしは。こうゆうときこそ、慌てない。するべき事をするしかないだろ?・・・強盗団の頭やっていた時は、こんな風な落ち着つかせ方出来なかったけれど、今は不思議と落ち着いてられるよ。」
お嬢「・・・するべきって何よ?」
そばかす娘「そりゃ、まず掃除して、冷蔵庫の中整理して。・・・それが終わったら、セキュリティに行って、あたし達が見たことを全て話そう。それとワイドさんと連絡とって探偵さんの入院している病院を教えてもらって。」
お嬢「そんなのは、分かっている。そんなの私だって分かっている!それでどうするのよ!」
そばかす娘「?アイドル探してブッ飛ばすしかないだろ?」
お嬢「!?」
そばかす娘「え!?何その反応!?アンタもそう思ってないの?」
お嬢「だって!セキュリティに話したとしてそれ以上私たちに出来る事なんて。こんな大事件なのよ!」
そばかす娘「らしくないな?アタシだって、この事件をいきなり一人で全部ひっくり返せるなんて思ってない。けど、あたしは、探偵さんの恩義に報いらないといけないんだ。だったらもう、飛び込むしかないだろ?」
お嬢「ッ。昨日はあんなに慌てていたのに。なんでそんなに落ち着けるのよ・・・。」
そばかす娘「アタシ馬鹿だからなー。一晩寝れば大体ウジウジした悩みは吹っ飛ばせるというかさ。」
お嬢「・・・分かった。私もあなたについていく。暫くはリード、お願いするわ。」
そばかす娘「いいぜぇー。それじゃ、飯食ったら皿洗ったら、セキュリティに行くぜ。」
・・・2時間後セキュリティの一室
私達が来ることを予測していたのか、婦警さんはスムーズに案内をしてくれた。
無機質なパイプいすが並ぶ会議所に私たちが入ると、既に先客が二人と一機のオボット。それから本来の体を一回り小さくした「アイン」の二機が、面接官の様に横並びに待ち構えていた。
そばかす娘「ワイドさんと!それにェーっと。」
グランエルアイン「グラン。 今 「アインモード」 だけ れ ど。」
スキエルアイン「名前くらい位覚えろ☆あたしはスキエル∞の精霊の、スキルだっつうの☆」
ワイド「そして。そう。私がワイドです。」
そばかす娘「ソレは知っている。」
ワイド「冗談です。」
お嬢「昨日は危ない所を救っていただき、ありがとうございました。お二人の、精霊のマスター。」
「気にしないでね。ワイドちゃんのマスターからのお願いですからね。」
「あのココロオドル決闘があるのなら、俺はどこでも出向く。」
「もう。またそんな頭のイカれた事言い出して。御免なさいね。この人、社会に適合できないタイプなの。」
そばかす娘「は。はぁ。」
2人のマスターはあらゆる意味で対極の印象を与える、一組の若い夫婦だった。
スキエルのマスターは渋みを醸し出す30代前半の男。
その姿は一般人に埋もれない役者めいた空気を持っていた。
薄いストライプの走る、漆黒のモッズスーツを一流ロック歌手の様に着こなし、鋭い目つきと顔つきは大空を舞う猛禽類を連想させる。実際、普段はセスナのプロパイロットを生業としていると、昨日スキルさんの背の上で聞いた。
グランエルのマスターは、夫とは逆に「The 一般人」な女性。
ヒョッロとした体つきに、真黒なメガネ、丸い目。例えるなら草原で辺りを伺うオコジョ。どこか落ち着きがなくて、ビクビクしている。
可愛らしいし知性も感じるが、そのか弱さは事件や決闘、まして横に座る謎のオーラ満々の男とは丸で縁が無さそうな雰囲気。
お嬢「・・・昨日は、気が張っていて名前位しか説明できませんので改めて立場を紹介したいです。私は探偵さんの弟子やっている者です。こっちのそばかすの娘は、」
そばかす娘「そばかす言うな!あたしは探偵さんの同居人です!」
夫「弟子か。あのワイゼル使いも随分丸くなったものだな。」
妻「うん。最期に私達夫婦に会ったときはまだプロリーグに辞めて探偵業始めたばかりだった。」
お嬢「お師匠とは、どんな御関係なんですか?お二人は。」
妻「三つ。一つは同じ「機皇帝」のマスターとして色々相談してもらったの。特に私がグランちゃんと巡り合った時に、夫と探偵君にはお世話してもらって。」
グラン「「ちゃん」は 辞めて。」
夫「二つ目は、決闘者としての「縁」。俺にとってはスキルとワイドの繋がりなどオマケだ。」
スキル「アンタ、結婚してからアタシに冷たくない!?昔はあんなに愛してくれたのに!?」
夫「馬鹿な事を。今でも愛しているさ。誰よりもな。」
スキル「ば、バカ!!///そーゆう事は御嫁さんいるのに言っちゃいけないんだよ!!」
夫「どうすればいいのだ俺は。」
妻「というか妻としてその発言は許しがたいですが・・・。」
夫「・・・すまん。」
お嬢「その、縁というのは?」
夫「昔、お前の師匠とは誇りを賭けて決闘を交わしたことがある。アレはココロオドル、いい決闘だった。だが、若気の至りのしょうもない話だ。今は気にしないでくれ。」
妻「三つめの繋がりは、一つ目の延長線。私達、カードの精霊を制御できるマスター三人は、「カードの精霊」など超常の力が事件を引き起こしたときに、それを調査するセキュリティの特別部門に属していて。」
そばかす娘「そんなの、全然聞いてなかったよ・・・。」
妻「非常事態でしか集められない閑職だから。実際に要請が出たのも今回が初めてだし。探偵君は説明しなかったのだと思う。」
お嬢「それじゃあ。」
妻「うん。貴女達が見た事、聞いたこと。探偵君に何が起きたかを私たちに教えて下さい。お願いします。」
夫「敵の戦力、戦法、思考法。その全てをだ。俺に寄越せ。」
そばかす娘「お嬢。」
お嬢「ええ。丁度、今回の事を誰に報告すればいいのか困っていた所なの。渡りに船だわ・・・。そう。まず話すべきは・・・」
・・・数十分後。
お嬢「・・・という事よ。それが私達の体験した全て。」
夫「首謀者は、三人か。「デュエレストの強盗団事件」を裏で操っていた思われる男、仮面神父に、昨日お前たちを襲撃したロココ様式の女装男子。そして。探偵の友人のアイドルの三人、か。」
妻「感染経路は、TV番組とインターネット、感染者との直接的な決闘での敗北。もう。本当に怖いわ。」
そばかす娘「奴らが何を狙っているかは分からないけれど、解毒の方法も持っているみたいなの。だから早く奴らを捕まえないと!!」
夫「・・・納得した。」
妻「ええ。この市でも既に相当な数の感染者が出ているの。数にすると5000人ごえね。」
そばかす娘「そんなに!?!?」
お嬢「うちの市の人口は5万人。視聴率通りなら当然の数値よ。」
夫「大半はセキュリティ部隊が収容したようだがな。漏れてまだ暴れまわる者も当然いる・・・。このまま感染者が増えてゆけば、内戦の起こる無政府状態のようになるだろう。混沌とした修羅の世界。・・・それはそれでココロオドル世界かもしれないがな。」
妻「あなた?」
グラン「最 低」
ワイド「冗談でも不快だと判断します。」
夫「・・・冗談だ。」
スキル「キャハハ☆味方いないー。孤立無援のホタル族系な感じで、家庭内に味方いなさすぎ☆やっぱり結婚は人生の墓場じゃない?」
そばかす娘「えーっと。あの?」
妻「ごめんなさい。身内な話をしてしまって。今日は本当にありがとうね。わざわざ来てくれて。」
・・・?んん?この「ありがとうね。」を私は何回も聞いた事はあるわ。
そう、友人に遊びの誘いをかけたら都合が悪かった時の、一定の感謝と拒絶を意味する。これからの繋がりを意味しない方の。
夫「この街は既に戦場に沈みかけている。行き来たように徒歩では危険だ。セキュリティのアッシーを呼ぶ。帰宅はそれに乗ってくれ。」
妻「後の事は・・・私達に任せて頂戴。」
そばかす娘「!?」
はい。来た。「ここまで」の言葉。
夫「その顔。納得できていない。ここからの闘い、当然自分たちも踏み込むべきだと考えていたようだな。」
そばかす娘「当然よ!あたし達は、探偵さんの過去もアイドルの野郎も知っている!あたしが殴らなくてどうするんだよ!あの犯人を!ここまで来て「後は任せろ」?ふざけんな!」
妻「そちらの子も同じ?」
お嬢「・・・ええ。どんな結末になるかは分からないし、私が関わるだけの資格があるかも分からないけれど。ここで途切れてしまうなんて。私も許せない。必ず貴方達の力になる様に務めるから。お願い。協力させて。」
夫「・・・ッふ。お前の予想通りになったな。ワイゼル。」
ワイド「ええ。彼女たちは強い意志を持っています。」
そばかす娘「どういう事だよ、ワイドさん!」
妻「ワイドさんね。貴女たちが必ずそう言うだろうと、私たちに教えてくれていたのよ。」
夫「だから。既にその問いに対する答えは用意している。お前。任せたぞ。」
スキル「キャハハ☆ちょっくら感染者狩りしに行ってくるわ。グラン姉さんも、アンタもちゃんと仕事するのよ。」
がら。
スキエルのマスターとスキルさんは。
一瞥すると何の躊躇もなくガラス窓を開けると。
三階建ての十二分に飛び降りれば即死しそうな高さの空へ。
飛んだ。
お嬢「ちょ!?」
そばかす娘「な!」
グラン「大 丈夫。」
次の瞬間、スキルさんにパラグライダーの様に捕まって飛行する彼の姿が。
さっきまで浮かべていたアンニュイな表情は微塵もない、やっと自由になれたという様な爽快感溢れる顔。
グラン「五月蠅い、妹。当然、仕事はする。」
妻「もうスキちゃん、鬼小姑ね・・・」
お嬢「えーっと。結局私たちの要求は・・・?」
妻「えっと。そうそう。それね。今すぐ決めましょうか。決闘で。」
2人「!!」
妻「貴女たちも決闘者なら、決断は決闘で決めるべき。そう思って・・・くれるよね?・・・二人纏めて掛かってきて。私が見定めます。」
お嬢「2VS1の変則ルール!?」
そばかす娘「・・・ナメられているの?あたし達?」
妻「えっと!ごめんなさい。そうじゃないの。私のスタイル上、そっちの方がやりやすいのよ。丁度公平になるわ。それで。」
そばかす娘「だから、その言い方が!舐めているようにしか聞こえない!!」
ワイド「――――提案を承諾する事を推奨します。」
お嬢「ワイドさん?」
ワイド「この方の決闘の勝ち方はかなり特殊です。御嬢様――――訂正。マスターが目的を達成したいのであれば、この提案。乗らねば勝機はかなり下がる判断します。」
グラン「 私も、お願いする。私のマスターの為、に、も。お願い。」
お嬢「・・・分かったわ。どんなスタイルだかは知らないけれど、必ず勝つわ。」
そばかす娘「足、引っ張るなよ!お嬢!」
お嬢「ククク。「らしい」台詞ね。・・・この決闘に私達が勝てば、貴方達と一緒に渦中へ向かう事を認めてくれますね?」
妻「うん。約束します。ルールは、貴女達二人はライフ4000で私は8000。1ターン目は攻撃無し。順番は、お弟子ちゃん、私、居候ちゃんでいい?」
そばかす娘「いいぜ!やってやる!!」
お嬢「行くわよ!!」
妻「よかった。さあ頑張るわよ。グランちゃん。」
グラン「 は い 」
「「「デュエル!!!」」」
お嬢&そばかす娘 VS 妻
ライフ4000×2 VS ライフ8000
お嬢(2VS1のデュエル。ライフは合計すれば同じ値だけれど、手札の差は愕然。なによりも、2ターン連続でこちらが攻撃出来るのは圧倒的なアドバンテージ…。その順番は、そばかす娘⇒私。出来る事ならば。あの子がモンスターを使って攻撃⇒その対応で妻さんが罠やモンスターを消耗⇒弱ったところを華麗にダイレクトアタック決めて勝利!という流れを作りたいのだけれど。)
妻「久々に若い子とデュエル・・・大丈夫かな?」
グラン「マス、ター。落ち着いて。」
このデュエル、そんな単純なモノじゃ無いはず。決める時は一気に決めれる様に、確実にアドバンテージを確保する!
お嬢「私のターン!永続魔法「召喚雲」を発動!自分の場にモンスターがいない時、手札からレベル4以下の雲魔物を特殊召喚出来る。現れなさい、「雲魔物アルトス」。そして、「雲魔物アシッドクラウド」を召喚する。二体の天使族のレベル4モンスターでX召喚を行うわ・・・!!」
雲魔物アルトス×雲魔物アシッドクラウド=・・・!!!
お嬢「出でよ!可愛らしき天使、ランク4、「フェアリーチアガール」!!」
フェアリー・チア・ガール エクシーズ・効果モンスター
ランク4/光属性/天使族/攻1900/守1500 天使族レベル4モンスター×2
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。デッキからカードを1枚ドローする。「フェアリー・チア・ガール」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
妻「やだ。可愛いモンスターね。」
お嬢「チアガールの効果発動。素材のアシッドクラウドを墓地に送り、1ドロー!これでターンエンドよ。」
お嬢の場 フェアリー・チア・ガール 召喚雲 手札3枚
そばかす娘(っは!何が可愛らしいモンスターだよ!この下衆お嬢、1ターン目は攻撃できないルールを利用して、確実に生存して次の自分のターンでドローを決めれるフェアリーチアガールを出しやがった!!2ドロー確保!姑息で下衆だよ、本当!)
そばかす娘(でも。この相手が一筋縄ではいかないのは、流石にあたしだって分かっている。だったら、やたら勝ち筋の多いお嬢の方があたしよりも攻略には向いている。だからあたしがするべき事は特攻!罠だろうと殴り続けて、この相手の戦略を暴き、消耗させてやる!)
妻「私のターン。ドロッ。それじゃあねぇ行けるかな・・・?。手札の、「アンブラルゴースト」の効果、発動。」
お嬢「アンブラルゴースト!?」
妻「このモンスターちゃんは、通常召喚が出来なくなる代わりに、レベル4以下の悪魔族と一緒に手札から特殊召喚出来るイイ子。現れて、アンブラルゴーストとマリスボラススプーン!」
アンブラルゴースト マリスボラススプーン⇒特殊召喚
アンブラル・ゴースト 効果モンスター
星2/闇属性/悪魔族/攻 200/守 200
自分のメインフェイズ時に発動できる。このカードとレベル4以下の悪魔族モンスター1体を手札から特殊召喚する。この効果を発動するターン、自分は通常召喚できない。「アンブラル・ゴースト」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
マリスボラス・スプーン 効果モンスター
星2/闇属性/悪魔族/攻 100/守 500
このカードがフィールド上に表側表示で存在する場合に「マリスボラス・スプーン」以外の「マリスボラス」と名のついたモンスターが自分フィールド上に召喚・特殊召喚された時
自分の墓地から悪魔族・レベル2モンスター1体を選択して特殊召喚できる。この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。「マリスボラス・スプーン」の効果は1ターンに1度しか使用できない。
妻「この二人の悪魔ちゃんでオーバーレイネットワークを構築。X召喚!!」
切って、裁いて、断って!
6でもない5審をたたきつけて!
「No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター!!!」
No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター エクシーズ・効果モンスター
ランク2/闇属性/悪魔族/攻1300/守 0
闇属性レベル2モンスター×2
相手の効果モンスターの効果が発動した時、このカードのエクシーズ素材を2つ取り除いて発動できる。その発動を無効にし、相手ライフに500ポイントダメージを与える。
No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター⇒守備表示でX召喚。
深紅の双剣を携えた地獄の裁定者が出廷する!!
妻「これで私はターンエンドかな?」
グラン「マス、ター。 慢心 しないで。」
そばかす娘「あたしのターン!ドロー!」
そばかす娘(・・・いやいやいや!!なにあのモンスターは!あのモンスターそのものは大した事ないモンスター。効果無効+バーン効果って言っても、素の能力が低すぎる!無理にあたしが攻めなくても、お嬢のチアガールで攻撃すれば十二分に突破できる!・・・けど。)
お嬢(その先の、この人が狙っている戦略が見えない!ランク2のデッキ、正確に「マリスボラス」のデッキって言うのは分かる。だけど。申し訳ない事に、ランク2主体のデッキには、決定力・火力があまりに足りない!あえて言えば、「古狸三太夫」位で、それは「マリスボラス」では出せない指定だし。他のランク2も効果は優秀でも打点の低いサポート向けのXモンスターばかり。まして2対1を覆せるようなモンスターはいない・・・!だからこそ、この人の自信の源が分からない・・・!!)
そばかす娘(ランク2で強いモンスターって。たしか博物館で見た「ナンバーズリスト」にあった、「ブラックミスト」位・・・?)
お嬢(もしくは。それらをランクアップさせる戦略・・・?でもそれでもパワー不足よね。)
妻「どうしたのかな?悩んでいる?ゆっくりでいいよ~。」
そばかす娘「悩んでもしょうがない!ゆっくりもいらない!直球一本勝負だ!BKグラスジョーを召喚!更に場にBKがいる時、BKスパーは特殊召喚出来る!」
BKグラスジョー⇒召喚
BKスパー⇒特殊召喚
そばかす娘「二体のBKでX召喚!!現れよ!BK拘束蛮兵リードブローだ!!」
BK拘束蛮兵リードブロー⇒攻撃表示でX召喚!!
そばかす娘「あたしはこれでターンエンド!お嬢!深入りしすぎるなよ!切り込むのはあたしがやるから!」
お嬢「!!ええ。頼むわよ。私のターン!ドロー!」
お嬢手札4枚へ
お嬢 手札内容
Bloo‐D
召喚雲
雲魔物―スモークボール
死者蘇生
お嬢(・・・ッく。手札が微妙に噛みあっていない!召喚雲もスモークボールも引いてしまった!!こんなの只の事故よ。幸いにも、Bloo‐Dはいるけれど。この状況で出すのはあまりにもったいない!このターンはまだ様子見ね・・・。)
お嬢「バトルよ!フェアリーチアガールでジャッジバスターを攻撃!」
No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター⇒戦闘破壊
妻「えええ!破壊されちゃった!」
グラン「当 然 .」
お嬢「メイン2!フェアリーチアガールの効果で1ドロー!・・・一枚カードを伏せてターンエンドよ!」
妻「私のターンね。ドロー。うーん。モンスターを一枚セット。リバースカードを2枚セットしてターンエンド。」
妻の場 モンスター一枚セット リバースカード二枚セット ライフ8000 手札2枚
そばかす娘「あたしのターン!ドロー!やっとまともに殴れる!!BKグラスジョーを召喚!」
BKグラスジョー⇒召喚
そばかす娘「あたしの場には「リードブロー」と「グラスジョー」!この二体でアンタの場をこじ開けて、そのままライフを半分削ってやる!バトルだぁ!リードブローで、そのセットモンスターを殴りぬけてやる!!」
妻「ふふ!やった!このセットモンスターは、「プチトマボー」!この子は破壊された時デッキから別のトマボーモンスターを二体まで呼んでくれる、イイ子。助けて頂戴。「プチトマボー」を守備表示で特殊召喚!」
プチトマボー チューナー(効果モンスター)
星2/闇属性/植物族/攻 700/守 400
このカードが戦闘によって破壊され墓地へ送られた時、デッキから「トマボー」と名のついたモンスターを2体まで特殊召喚できる。このターン、この効果で特殊召喚したモンスターはシンクロ素材にできない。
プチトマボー×2⇒特殊召喚
そばかす娘「だったら、そのトマト小僧もグラスジョーで殴る!いけえ!」
プチトマボー⇒破壊
そばかす娘「ッ!鬱陶しい時間稼ぎのモンスターを使いやがって!カードを一枚セット!ターンエンド!」
そばかす娘の場 BKグラスジョー BKリードブロー セットカード1枚 手札3枚
お嬢「いいえ。これで場が空き始めた!感謝するわ!ドロー!雲魔物アルトスを召喚!更に、場に水属性モンスターがいる事で、サイレントアングラーを特殊召喚出来る!」
妻「えええ?」
お嬢「二体の水属性モンスターでX召喚!出でよ、「No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ」!!」
No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ⇒X召喚
No.103 神葬零嬢ラグナ・ゼロ エクシーズ・効果モンスター
ランク4/水属性/天使族/攻2400/守1200 レベル4モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上に表側攻撃表示で存在する、元々の攻撃力と異なる攻撃力を持つモンスター1体を選択して発動できる。選択したモンスターを破壊し、デッキからカードを1枚ドローする。この効果は相手ターンでも発動できる。
お嬢「や~~~っと!貴女の裸のライフを抉れるわ!バトル!フェアリーチアガールでプチトマボーを攻撃!」
プチトマボー⇒破壊
お嬢「これで全滅!ラグナゼロでダイレクトアタックよ!」
妻「あいたたたた!!!」
妻のライフ 8000-2400=5600
お嬢「・・・これでターンエンドよ。プチトマボーはチューナーモンスター。エクシーズと見せかけてシンクロを決める戦略だったのかもしれないけれど。本当に手ごたえがないわね。何を狙っているか分からないけれど、このまま緩々とだらしなく負けてもらうわ。」
妻「………ひひ。」
・・・え?
私が飛ばす、「図る側がそんなレベルのデュエルでいいの?」という嫌味を込めた挑発。けど、それは狙った怒りや焦りを引き出せなかった。純粋な疑問を、グランエル使いの妻さんは見せた。
にやあ
それどころない。段々と、怯えは消えて行って。表情にも愉悦の笑みが・・・!!
妻「緩々?本当にそんな事風に思っている?ちょっと。それはおかしいんじゃないかな・・・?可笑しいよ?・・・うん。」
お嬢「・・・?」
妻「渾身の冗談だったらごめんさない。私のデッキは既に準備が整って。全開の力がこれから貴女を襲うというのに。まだ、殺気に気づいていないの?」
お嬢「!!何をバカなことを・・・!!」
妻「宣言しましょう。貴女にはここで負けてもらう。意図もたやすくあっさりと、濃厚な命の輝きを受けて!撃墜してもらう。」
そばかす娘「お嬢!そんなのハッタリだ!気にするな!」
お嬢「分かっている!私の場にはラグナ・ゼロがいる!下手にバンプアップさせるような奴が出るなら瞬時に破壊できる!」
お嬢(それに!伏せてあるカードは「リビングデッドの呼び声」!例えモンスターが破壊されても最低限の壁は引き出せる!何があろうと、このターンは乗り切れる!)
妻「ドロー。フフフフフフ!!!!!「「ランク2」に火力はない」。その悠長、「命の力」を見くびった事が貴女の敗因。リバースカードオープン!永続罠「リビングデッドの呼び声」!墓地の「マリスボラス・スプーン」を蘇生させる!」
お嬢「あっちも「リビングデッド」!?」
マリスボラススプーン⇒特殊召喚
妻「この時こそ。手札から速攻魔法「地獄の暴走召喚」。発動!黄泉より溢れろ。悪意の糧!」
お嬢「!!いけない!!」
そばかす娘「あれは!同名モンスターを出しまくるやつ!」
妻「そう。殊召喚した攻撃力1500以下のモンスターを全て、デッキか墓地から呼び出すこの魔法。代償として、相手も場にいるモンスターと同名のモノを出せるのだけれど。その相手にはお弟子ちゃんを指名。そしてお弟子ちゃんの場にはXモンスターだけ。出すことは出来ない。」
地獄の暴走召喚 速攻魔法
相手フィールド上に表側表示でモンスターが存在し、自分フィールド上に攻撃力1500以下のモンスター1体が特殊召喚に成功した時に発動する事ができる。
その特殊召喚したモンスターと同名モンスターを自分の手札・デッキ・墓地から全て攻撃表示で特殊召喚する。
相手は相手自身のフィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、そのモンスターと同名モンスターを相手自身の手札・デッキ・墓地から全て特殊召喚する。
マリスボラス・スプーン×3⇒特殊召喚成功・・・!!!
そばかす娘「っつ!!やっぱりレベル2が三体!ブラックミストなのか・・・!!」
お嬢「「命の輝き」・・・「機皇帝グランエル∞のマスター」・・・「闇属性から成るランク2」!!違う!!!まさか!そんなあのカードを使いこなすというの!!」
妻「そのまさかよ!括目せよ!」
妻「レベル2の闇属性、「マリスボラス・スプーン」三体でオーバーレイネットワークを構築!!!X召喚!!」
四三の国からコンニチワ!
全ての命を下世話に弄れ!
「これこそが命の輝きを弾倉へと詰める魂の傀儡子・・・!!」
「No.43 魂魄傀儡鬼ソウルマオネッター!!!」
尖った指先が真っ赤な糸を垂らす。
獣の顔を模した地獄の傀儡子が、静かに笑う。
No.43 魂魄傀儡鬼ソウルマオネッター エクシーズ・効果モンスター
ランク2/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
闇属性レベル2モンスター×3
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。自分の墓地の「No.」と名のついたモンスター1体を選択し、装備カード扱いとしてこのカードに装備する。このカードが「No.」と名のついたカードを装備している限り、このカードは戦闘及びカードの効果では破壊されない。また、1ターンに1度、自分のライフポイントが回復した時に発動できる。このカードの攻撃力をその数値分だけアップし、相手ライフにその数値分だけダメージを与える。
そばかす娘「何コイツ!あたし知らない!こんなヤツ!!というか!口調が!変だし!」
お嬢「ッ!!レアすぎる!こんな癖のあるXモンスターを使う人がいた何て!」
妻「ソウルマリオネッターの効果発動!X素材を送る事で墓地の「No」を装備する!守りたまえ!「No.65 裁断魔人ジャッジ・バスター」!」
No.43 魂魄傀儡鬼⇒No.65 裁断魔人ジャッジ・バスターを装備
ジャッジバスターを引き揚げながら。妻さんは、メガネを外し放り投げる!!
妻「さあ。人形撃をはじめましょう!不肖。この私が取り仕切るのは荒ぶるロックな鎮魂歌!!」
お嬢(ッ!!何が、「普通の主婦」!この人段々とテンションを上げていくタイプ!!)
妻「伏せられし札、開け!永続罠。「女神の加護」!!女神の加護は3000の命を私に授ける!!輝け命!」
妻ライフ 5600+3000=8600
女神の加護 永続罠
自分は3000ライフポイント回復する。自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードがフィールド上から離れた時、自分は3000ポイントダメージを受ける。
そばかす娘「ライフ回復!?それが何になる!!」
お嬢「ッ!なっちゃうのよ!!こいつの場合!」
そばかす娘「!?」
妻「ライフが回復した時、ソウルマリオネッタ―の力が漲る!このモンスターがいる時、一ターンに一度、回復した分の数値をバーンに変換して相手に与える。」
そばかす娘「なに!!!それじゃあ!!」
妻「フフフフフ!!魂に刻んで、命の轟!!お嬢さんへ3000のダメージ!!!「極楽連鞭」!!」
お嬢「ッ!!くううううううううううう!!!!」
お嬢ライフ4000-3000=1000
そばかす娘「キュアバーン・・・なのか。でも!まだお嬢のライフは!」
妻「いいえ。今のは余興。本編はここから。ソウルマリオネッタ―は、その回復した数値だけ自分の攻撃力に変換できる!」
そばかす娘「それじゃあ!」
妻「攻撃力は3000!!」
No.43 魂魄傀儡鬼ソウルマリオネッタ―⇒攻撃力3000
そばかす娘「これでフェアリーチアガールを殴られたら!もうライフが尽きる!」
お嬢「ッ!まだよ!攻撃力が変化したことで、私の場の「ラグナ・ゼロ」の力を発動!攻撃力が元々の数値と違う攻撃表示のモンスターを破壊する!!」
そばかす娘「そっか!今の効果そのものが条件のトリガーに!!」
妻「ノンノン!そんな手筋!地獄に届かない!「No」を装備している「No.43 魂魄傀儡鬼ソウルマリオネッタ―」は、効果でも戦闘でも砕けない!!」
お嬢「!!!」
妻「バトルよ!No.43 魂魄傀儡鬼ソウルマリオネッタ―でフェアリーチアガールへ攻撃!「四閃三獄」!!」
お嬢「っ。きゃあああああああああああう!!!!」
フェアリー・チアガール攻撃力1900 VS No.43 魂魄傀儡鬼ソウルマリオネッタ―攻撃力3000⇒フェアリー・チアガール破壊
お嬢へ1100のダメージ
お嬢ライフ 1000-1100=-100
LOSE お嬢
お嬢「く。くそ・・・」がく
そばかす娘「お‼おい!お嬢!!お嬢!!」
ワイド「――――」
グラン「貴女 の 仮マス。ター。大丈 夫? 」
ワイド「――――はい。」
妻「どう?二体一でゆっくりと追いつめていくはずの戦略が、一瞬で灰に帰る気持ちは?」
そばかす娘「ッ!!」
妻「次は、貴女の番よ。恐れないで。直ぐに終わらせてあげる。それが、決闘者として出来る唯一の餞。」
そばかす娘「・・・ッは!!舐めるなよ!アンタ!テンションが上がっているのかしらないけれど!あたしたちがアンタの戦略を知らなかった様に!アンタもあたしの戦略を知らない!あたしには・・・ッ!アンタを破る「策」がある!!」
・・・
同時刻。寂れた観光地。昔ながらの蔵造りの建物が並ぶ柿野坂町のやや郊外。
事件の影響を受けて、普段なら観光客と地元民が一定数見られる、この街道を道行く人は激減。
流行病の侵略を受けた時と同じように、殆どの学校は休校。また企業は出来る限りの業務を在宅ワークに変更し、それでも会社へ赴からければいけない社会人だけが、決闘廃人に目を付けられない様にとせかせかと歩く。
それと寂しくなった車道で見えるのはデリバリーバイク。多くの住民が食材や食事、生活用品を通信販売と出前に頼ったのだ。・・・運転手達は「必要とされている」という気持ちと「こんな時ばかり頼るな、客!」という苛立ちの二律背反で苦々しい表情だ。
・・・いや。もう少し、この街道をゆくモノはいた。
この世を彷徨う幽鬼の類が。生者を襲う。
サラリーマン「ひ!!君!!何をする!私は仕事中だ!早くこの手錠を外したまえ!!」
サバゲーの女「デュエル・・・しろって言ってるんだよおおおおおお!!お前まだえ!!アタシを置いていくのかよおおおおおおおお!!糞おおおおおおおお!!」
サラリーマン「ひいいいい!?!?この女!決闘ドラッグ患者かああああ!ちくしょセキュリティちゃんと収容してくれよおおおお!!」
サバゲーの女「さああ!デュエルだあ!お前、随分金持ちそうじゃねえかよ!いいスーツ着てさ!高~い給料もらって、いい社会的立場(パワー)持っててさ!!アタシに寄越せよおおおおお!!」
サラリーマン「誰か!!助けてくれええええ!!」
情けなさい悲哀に満ちた叫び声は・・・叶えられるッ!
がちゃッ!
夫「どけ。」
サバゲーの女「!!!デュエルアンカーぁぁぁ!?」
夫「一人にデュエルアンカーを二つ付けられた時、先につけられたものは自動で外される。・・・早く行け。そこの退屈そうな男。精々、その安寧を自分で守れるくらいには鍛えておけ。」
サラリーマン「ッ!!ありがとうございます!!!」だッ
夫「さて。とっとと始めようか。ココロオドル、決闘を…ッ!」
サバゲーの女「ぐおおおおおおおおおおおおお!!!どけえええ!!貴様に勝ってぇええ!!」
第十八話 決闘修羅の世界 エンド。