遊戯王 決闘探偵 -雲と鉄-   作:T3PO

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b、b、BRUN(2400)


閑話休憩 月の少女は紅い目で笑う

閑話休憩 月の少女は紅い目で笑う

 

 

 

お嬢とそばかす娘が街に戻った夜。

悪党どももまた、自身のアジトへと戻っていた。

 

お嬢たちの住む「柿野坂町」から車で1時間半。

表には大きなビジネスビル達が並木通りの様に並び、裏手には居酒屋とキャバレー、決闘バーが並ぶ巨大都市、「セントラルタウン」。

最も今は、中南米の浮浪者がうろつく様な、多くのドラッグ患者が歩く危険な街となっているが・・・。

 

その中でも特に古い雑居ビル。奇しくも、探偵が事務所を構えているビルと同じようにボロボロで寂れたその建物の地下一階に、「四人組」のアジトはあった。

 

元々は売れないバーだったそのアジトは、キッチンの前に置かれた二組のソファーと介護用の大きなベッド。そして「札束を山ほど盗んでそのまま海外逃亡できます」な巨大スーツケースが一丁置かれ、全く一貫性の無い雰囲気である。

そして、件の元凶。四人の実行犯達は目的の為、厳かにソファーに座り向かい合う。

 

 

友情を捩じり。TVを利用して決闘ドラッグを散布した女。「アイドル」。年齢28歳。性別♀。先日までの「如何にもアイドル」なイタイふりふりのワンピースは既に捨て。白いシャツと黒のスーツを着た、女性指揮者の様な出で立ちを見せる。

 

その捨てられた「ふりふりドレス」を補完したようような「ロココ様式」のピンクの派手なドレスを着こなすのが「男の娘」。年齢15歳。性別♂。鼻歌まじりにスマホをいじり、ネットの中で濁流の様に荒ぶる「情報」を調べる。にわか物書きが自分の駄文の反応を小まめに気にするように、自分たち一味が「社会」に起こした凶行の波紋を調べる。

掲示板に書き込まれる「感染率13%越え」「家族が行方不明に」「ドラッグ患者に店が壊された」などの悲鳴を見て、ニヤリと彼は笑う。

 

「仮面神父」は何かを思い、考える。年齢32歳。性別♂。

実のところ彼が最も真剣に計画を成功させようとしていた。彼はまた一つ計画を進める為のアイディアをまとめる。そんな彼を、彼の相棒「竜神姫サフィラ」はまたロクでもない事を言い出すのだろうと、ある種の期待を持って眺める。

 

 

そして最後の一人は。陶器の様に真っ白で、万象に無関心、といった顔。

月の子(モンデンキント)」。年齢16歳。性別♀。「男の娘」の姉。

月の子は、牛が一度口にした草を繰り返し胃の中で食すように、本能のレベルでついさっき自身が行っていたデュエルを反芻する。でなければ彼女は「無関心な顔」どころか「死んだ顔」になってしまうのだから。

 

どこから聞きつけたかは知らないが、「ここに事件の関係者が潜んでいる」と聞きつけた熟練の決闘者を二人。一人は「ヴォルカニック」。もう一人は「カウントダウン」を操っており、中々の手慣れであったが・・・。結局のところ、「月の子」のデュエルは彼らを叩きのめし、決闘ドラッグの闇へ突き落とした。

 

口火を切るのはいつも、「神父」。

最優先すべきタスクを解決するため。

 

 

仮面神父「そろそろ始めますかねぇ。いよいよ。我らの計画「修羅三千世界」も中盤戦。いや終盤戦になりますねぇ。各々、役割は理解していますかぁ?」

 

アイドル「分かっている。ボク達は。1週間後。全世界に向けて「決闘ドラッグ」をまき散らす。」

 

男の娘「目標達成は「人口の7割」。計算上ではそれだけ感染者を出せば、必要な「デュエルエナジー」はすぐ溜まる。そだよね?」

 

仮面神父「ええ。その通り。ですが、既に我々の存在は知られつつあります。勇気ある方々は妨害を仕掛けてくるでしょう。」

 

男の娘「あの「機皇帝」。次会うときにはウチが叩きのめしたる・・・。」

 

仮面神父「何にせよ、私達には妨害者を追い払う「兵士」が必要です。「決闘」だけを望み、これ以上の修羅を夢見る「兵士」が。この三日間で兵士をどれだけ手の元におけるかが、最期の「作戦」の成功率を左右する事間違えないですねぇ。」

 

男の娘「具体的な方法はどうしますか?ウチが考えるに、1.手短に、既にジャンキーと化した連中を集める。2.手間がかかるけれど新たに決闘への適正ある者を洗脳する。・・・ま、期間の短さから言えば、1.しかないんですが、その辺の適当な決闘ジャンキーじゃあデュエルの腕ヘボイかもしれないし。」

 

仮面神父「両方、ですねぇ。時間稼ぎ用の「兵士」はこのセントラルタウンの適当な連中で十分。勝てる腕のある「本命」や兵士を指揮するある程度の理性を残した「指揮官」はダイレクトにセレクト。それが適切。それが適任。」

 

アイドル「・・・なら。ボクがその「指揮官」を探す役目を果たすべきか。「芸能人」としてのツテ使えば有名なプロデュエリストと会う位、簡単。」

 

仮面神父「いいえ。貴女はダメ。」

 

アイドル「ッ!何故!?」

 

仮面神父「ぅーん。そんな怒鳴らないで下さい。これはそもそものクライアントである貴女の為を思って言っているのに。カルシウム足りていないのであれば早急にミルクをお持ちしますが?」

 

アイドル「下らない事を言うな。何がボクの為だ!?」

 

サフィラ「さっさと理由を話してあげろ。貴様の言動は一々腹立たしい。」

 

仮面神父「姫様のご命令ならばその通りに。単純なことです。この計画の最終地点。貴女は無事でなければならない。いえ、私達はいいのですよ。貴女と違い、私や彼ら姉弟は、ある意味で「計画を達成する」事そのものが目的なのですから。しかし、貴女は違う。あくまでこの度の計画は「手段」に過ぎない。そうですよね?クライアント様?」

 

アイドル「・・・ああ。そうだよ。」

 

仮面神父「そうであれば、その目的に辿り着く前に少しでも危険のある仕事をさせるワケにはいかない。ただそれだけの事。この仕事、私と弟君の二人で行います。」

 

男の娘「ウチ?まあ適任。姉さん行かせるワケには行かないし。だよね?姉さん?」

 

月の子「・・・」

 

男の娘「無視ですかー。まあいつも通りだけど。具体的には候補いるの?その「司令塔」。」

 

仮面神父「ええ。勿論。奇跡的にも候補者は二人。いずれもクライアント様には馴染みのある方々。」

 

アイドル「!!そういう事か・・・」

 

仮面神父「ええ。デュエルドラッグの根本に深く関わりすぎているから「こちら」に引き込むべきです。彼、「探偵」は。幸いにもアイドル様の御健闘のお蔭で彼は既に感染者。それを利用すべきです。」

 

アイドル「ッ!だが!」

 

仮面神父「それに。そうする事で貴女の決心もつくのではないですか?彼を助けたいという貴女の望みの。」

 

アイドル「・・・そうだな。確かにその通りだ。・・・任せるよ。」

 

仮面神父「ふふふ。では、」

 

男の娘「待った!候補者のもう一人ってのは・・・?」

 

―――ドクン―――

 

あり得ない程大きな心臓の鼓動が鳴り響く。

少女をこの世へ繋ぎとめる心臓が、あってはいけない悲鳴を上げる

 

弟の質問は答えられない。

それは。このアジトで最も優先すべき「問題」が動いたから。

 

男の娘「!」

仮面神父「ッ!」

アイドル「!!!」

 

流れる金髪を揺らしながら、か弱い少女、「月の子」は立ち上がった。

その目は虚ろ。この世を見ず。己の空白を埋める「誰か」を求め・・・。

 

月の子「・・・デュエル。デュエル、デュエルデュエルデュエルデュエルデュエルデュエル!!!」

 

男の娘「不味い!姉さん!!落ち着いて!!この状況!誰かが決闘しないと!止められないッ!」

 

アイドル「ッ!このタイミングで暴走!!誰が決闘する!?ボクが行くか!?お前が行くか!?」

 

仮面神父「いいえ。さっき言った通り。まだここでリスクを負うわけにはいかない。ですから、用意は既に。」

 

仮面神父が颯爽と置かれたスーツケースを開くッ!!

中には・・・!!

 

仮面神父「目を覚ましましたか?」

 

武将「・・・ッ――――――!!!」もごもご!!

 

ガムテープで両手両足口を封じられた、武将コスプレの男の姿ッ!!!

 

 

アイドル「!?コイツ、いつかのストーカー!?」

 

仮面神父「ええ!どこから知らないですが貴女の休業の噂、ひいては行方不明の噂を聞きつけて、必死で探していたみたいですよ。ちょっとした事情で、私と彼とは顔見知りですので、簡単に騙し、捕える事ができました。彼に、彼女とのデュエルをしてもらいましょう。」

 

武将「・・・!!!」

 

男の娘「あらー。残酷だね。「狩りの感覚を取り戻す為にライオンの前に置かれるウサギ」ってところかな?」

アイドル「・・・ッ。」

 

武将「!!!!!」もごもご

 

仮面神父「で・す・が。その条件ではあまりに彼に救いがない。そこで、ここに奇跡を植えましょうか。そう、武将殿。もしも貴方が勝ったなら、貴方の最大の希望。「アイドル」をここから解放してあげましょう。私達悪党の手から。」

 

アイドル「ッ!ボクは!!」

 

仮面神父「しー。貴女は我々に攫われた哀れなアイドル。そうですよ。・・・そしてそれを今救えるのは貴方だけです。武将殿。」

 

武将「・・・!!」

 

仮面神父「テープを外しましょう。ですが余計な言葉は要らない。今あなたは暴走するあの娘と決闘すればいい。いいですか?」

 

べりべりべり

 

 

武将「・・・ッ!!」っき

 

アイドル「・・・」

 

月の子「デュエルデュエルデュエルデュエルデュエルデュエルデュエルデュエルデュエルデュエル・・・!!!」

 

獲物を見つけた肉食動物の様に、歓喜で顔がにやり蕩ける。

一方、中肉中背、自信なし、最近まで通報物の、今でも若干危ないストーカー武将は、その希望たるアイドルに一瞬目線を送る。そしてすぐ、今にも自決しそうな悲痛な表情で、迫りくる獣へ視線の矢を構えるッ!

 

武将「・・・今、僕に出来るのは決闘だけ。ならば。それだけを一心不乱に受け止めるッ!!」

月の子「~~~~~~~!!!!!!!」

 

「「デュエル!!!」!!!」

 

武将 VS 月の子

 

 

武将「僕のターン!!「微炎星リュウシシン」召喚した上で、永続魔法、「炎舞―天機―」発動!デッキから、「暗炎星-ユウシ」をサーチする!更に、「リュウシシン」が居る時に「炎舞」の計略が起動したことで、更なる「炎舞」の罠をデッキからセットする!伏せられよ、絶対防御の舞!「炎舞-「天権」」!サンダー!!スネーック!!!」

 

男の娘「ふーん。案外この人、イイ動かし方。ゴルちゃんで再利用させあげたいね。」

 

武将「永続魔法「炎舞-「天枢」!通常召喚権を炎星に限り増やす!来い!「ユウシ」!!二体の炎星でX召喚ッ!!ソイヤソイヤソイヤソイヤ!!」

 

暗き乱世!

燃ゆる舞が、明日を照らす綺羅星へッ!!

 

武将「届けッ!貴女にッ!ランク4!「魁炎星王-ソウコ」!!」

 

魁炎星王-ソウコ エクシーズ・効果モンスター

ランク4/炎属性/獣戦士族/攻2200/守1800 獣戦士族レベル4モンスター×2

このカードをエクシーズ召喚した時、デッキから「炎舞」と名のついた魔法・罠カード1枚をセットできる。

また、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事で、獣戦士族以外のフィールド上の全ての効果モンスターの効果を相手ターン終了時まで無効にする。

このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分フィールド上の表側表示の「炎舞」と名のついた魔法・罠カード3枚を墓地へ送る事で、同じ攻撃力を持つレベル4以下の獣戦士族モンスター2体をデッキから守備表示で特殊召喚する。

 

月の子「!!!!」

 

武将「や、約束だ!コイツに勝てば、アイドルさんを解き放てよおお!!!」

 

仮面神父「ええ勿論。それも一つの「奇跡」。救いの形になるでしょう。」

アイドル「・・・。」

 

武将「はぁ・・・はぁ・・・はッ!ソウコの効果!デッキから新たな「炎舞」をセットする!来い!「炎舞-「天旋」!!そして、最期のカードを伏せる!ターンエンドだ!」

 

 

仮面神父「ほほう!完全なる軍略!!殊の外奇跡を起こしかねない!これだから決闘は辞められないッ!」

 

武将「この軍勢は、アイドルさんに捧げるローマーンースッ!!破れるものなら破ってみよおおおおおおおぉぉぉお!!!」

 

月の子「アタシのターン。ドロー。通常魔法「ハーピィの羽箒」発動。相手の場、全ての魔法・トラップを破壊する!!」

 

男の娘「うげええええ!さっすが姉さん、えげつねぇぇぇえ!!」

 

武将「かあああああああああああああああああああああ!!!一歩先、二歩先を読むのが兵法ッ!!!そんな「軍略」!!僕には容易く破ける!!トラップカード発動!「スターライト・ロード」!!2枚以上破壊するカードを無効に!エクストラデッキから「スターダスト・ドラゴン」を特殊召喚する!!」

 

月の子「!!!」

 

スターダスト・ドラゴン⇒特殊召喚。

 

男の娘「おおおおおおお!?!?!?!?こいつ強いじゃん!?」

仮面神父「愛ですねぇ。ラブなパワーが漲っています。ですがぁ・・・?」

 

武将「どの様な戦略だろうと、潰し、突破し、返り討ちにしてくれr・・・ッ!!!」

 

 

一般的に、モンスターを倒すには二つの手段が在る。

攻撃による突破。効果による突破。その意味で現在、元ストーカー武将の布陣の突破は容易ではないと言える。

メインフェイズ1までの効果による突破は「天権」により防がれ、攻撃による突破は、伏せられた炎舞の力によりソウコは攻撃力3700まで上昇する事により困難を極める。加えてソウコを仮に突破できたとしても後続維持能力すらある、

そして、炎舞を攫う「ハーピィの羽箒」をもスターダストが封じた今。その布陣は頑固たるモノである。

 

だが、

だが。

 

 

にへらぁ

 

武将「・・・!!」

 

月の子「・・・」にへらぁ

 

月の子が・・・笑った。

ごく普通の少女の笑み。

 

アイドル「ッ!!・・・」

 

アイドルは思い出す。かつて己と親友を絶望の淵へ叩き落とした、もう一人の忌むべき友人を。だが、すぐにその笑みが、思い出した少女のモノとは似ていないと気づく。

決定的に違うのは「笑みの種類」。

あのグリムロの笑みが、「今しか出来ないものなのだから。」という一瞬一瞬を噛みしめるもの。決められた永い絶望から、瞬間の幸せへ身を投じた流動が生む「楽しむ笑顔」。

 

この少女の笑みは、「やっと帰れた」という、有り触れたソレ。先程までの冷たい狂気、無関心が暖かさで心穏やかに解かれる。傘を忘れ、冷たい雨に散々打たれ彷徨った後に風呂に入ったような、平穏を噛みしめる安堵の笑み。本来、興奮を呼び起こす決闘とはかけ離れた笑みを。月の子は噛みしめる。

 

だが、放たれる一手は…ッ!

虚ろな月の少女の目は、兎の様に真っ赤に染まるッ!!

 

 

月の子「あたしは、「真紅眼融合」を発動ー。」

 

武将「真紅眼融合!?融合か!?」

 

月の子「このカードは、レッドアイズ融合モンスターの専用融合・・・。その力はその素材をデッキから用意する事が出来るんだ。」

 

武将「なにい!?」

 

月の子「あたしはデッキから、「デーモンの召喚」と「真紅眼の黒竜」の二体を融合でーす!」

 

「偉大なる魔雷よ。凡骨ならぬ真紅の眼よ。悪魔と竜の力をその身に宿し、全ての可能性を駆逐せよ!!」

 

「融合召喚ッ。あたしの世界。「悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン」」

 

深紅の焔を背負う、大いなる魂の龍。「ブラック・デーモンズ・ドラゴン」があらわれるッ!!

 

悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン 融合・効果モンスター

星9/闇属性/ドラゴン族/攻3200/守2500 レベル6「デーモン」通常モンスター+「レッドアイズ」通常モンスター

自分は「悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴン」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):このカードが戦闘を行う場合、相手はダメージステップ終了時まで魔法・罠・モンスターの効果を発動できない。

(2):融合召喚したこのカードが戦闘を行ったバトルフェイズ終了時、自分の墓地の「レッドアイズ」通常モンスター1体を対象として発動できる。墓地のそのモンスターの元々の攻撃力分のダメージを相手に与える。その後、そのモンスターをデッキに戻す。

 

 

武将「!!攻撃力3200のモンスターがいきなり出てきたッ!!!」

 

月の子「バトル、バトルぅバトル。「デーモンズ・ドラゴン」で「スターダストドラゴン」を攻撃ー。「黒艶淡」。」

 

その余りにも強すぎる自らの闇の力によって薄まった、美しい黒い火焔弾がスターダストドラゴンを無残に溶かすッ!!!

 

武将「ぐおおおおおおおお!!!」

 

スターダスト・ドラゴン⇒破壊

武将ライフ 4000ー700=3300

 

月の子「まーだ。悪魔竜ブラック・デーモンズ・ドラゴンが戦闘を終えた後、墓地の「レッドアイズ」をデッキに戻して、相手にその分のダメージを与える。」

 

武将「!!!まだ侵攻は終えていたのかッ!!追撃ッ!?」

 

月の子「レッドアイズ・ブラックドラゴンをデッキに戻し、2400のダメージを与えるー。」

 

武将「ぬ・・・ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!おぽおお!!!」

 

武将ライフ 3300-2400=900

 

レッドアイズ・ブラックドラゴン⇒デッキへ

 

月の子「メイン2。魔法カード「紅玉の宝札」を発動。手札の「真紅眼の黒竜」を墓地に捨てて発動し、デッキから2枚ドロー。うん。カードを2枚伏せてターンエンド。もっと、もっと頂戴。もっと楽しい奴をさぁー。、」

武将「・・・!!!そうか・・・お前は魔物・・・!!」

 

月の子「魔物のぉ?あたしはただ、決闘しているだけ。それだけじゃない?いいからアタシを喜ばしてよー。」

 

 

目的を持ったテロリストと、幼稚園入ったばかりの幼子。仮に核爆弾のスイッチを握ったならば、どちらの方が恐ろしいのであろうか?

悪意と言うよりも、駄々っ子に近いその声が、逆にその場にいる者を恐怖させる。

 

只の会社員に過ぎないストーカー武将の心は凍り付く。

凍り付くから。凍り付くから、彼は口ずさんだ。

 

武将「・・・「一つ目のでーあいは・・・十字、霞、焔、結界」・・・」

 

月の子「・・・?」

 

武将「「二つ目は・・・森、龍、挟んで、玉、泡、・・・溶岩に風」・・・!!」

 

 

アイドル「!!!・・・」

 

男の娘「この歌は・・・「劇場版「端末世界戦記」の主題歌・・・は!!」

 

神父「ええ。主題歌「ソピア」。歌ったのはアイドル様でしたねェ。」

 

アイドル「・・・」

 

武将「「全て集って」・・・そう「集って幸せに」」・・・・・・・・・。貴女に届くか、なんてもうどうでもいいんです。それでも言わせてください。アイドルさん。本当にありがとう。貴女のおかげで僕は。大嫌いなこの世界を少しだけ好きになれた。生まれてきて。それで歌ってくれてありがとう・・・ありがとう!!!」

 

アイドル「ッ~~~~~~~!!!」

 

 

武将「おおおおおおおおおお!!!サンダーすねェええええええくうウぅ‼‼ドローおお!!ソウコの効果発動!!オーバーレイユニットを使い、獣戦士以外のモンスターの効果を無効にする!!!

 

月の子「させないー。リバースカードオープン。「ブレイクスルースキル」。ソウコの効果を無効にする。」

 

 

武将「・・・!!ならば!!トラップ発動!!「炎舞‐天旋」を発動!攻撃力を1000UPさせる!!」

 

ソウコ⇒攻撃力 3400へ

 

武将「バトルだ!!ソウコでそのレッドアイズを攻撃!!喰らえええええ!!レッドアイズ!!!」

 

月の子「ブラック・デーモンズ・ドラゴンとの戦いで、バトル中は罠が使えないと知って、今使うのね。面白いー。その知恵。その勇気。尊敬する。けれど、意味がなーい。トラップ発動、「和睦の使者」。この戦闘でのダメージ、戦闘破壊を無効にする。」

 

武将「・・・!!!」

 

月の子「ブラック・デーモンズ・ドラゴンの効果発動。バトルを終えた後、墓地の「レッドアイズ」をデッキに戻し、その攻撃力分のダメージを与える。焔に焼かれて逝ってえー。」

 

残酷にも竜炎は武将に纏わりつき、その身を焦がしていく。

 

武将「はぁ・・・はぁ・・・うおおおおおおおおおおおお!!!!」

 

 

 

武将ライフ 900-2400=-1500

 

WIN月の子―武将LOSE

 

武将「ぐ・・・あああ。」

 

月の子「勝ったあぁぁぁぁぁぁぁあ・・・。終わっちゃった・・・」

 

倒れ込み、地に伏せる武将。

勝利の喜びを一瞬だけ噛みしめるとまたすぐに、死人の顔に戻った月の子。

 

月の子「もう・・・終わっちゃった・・・そうだ、植え付けないと。」

 

そして思い出したかのように決闘ドラッグを移そうと武将に近づく、が。彼女よりも早くかける者が一人。アイドルが武将の目の前でしゃがみ込んだ。

 

月の子「・・・?」

 

武将「はぁ・・・はぁ・・・アイドル・・・さん。」

 

アイドル「・・・すまない。」

 

そういうと、デュエルディスクから緑の閃光が放たれ、武将を決闘修羅へと堕とす。

その、意識と理性が封印される最後の最後の最後の瞬間。彼は残った全身の力を使って口を動かす。

 

 

武将「・・・幸せに・・・アイド・・さ・・・」

 

アイドル「!!!・・・ああ。」

 

ばたん。

完全に顔を落とす武将。また一人の男が決闘修羅へ化した。

 

アイドル「・・・御免なさい、月の子(モンデンキント)。貴女の仕事を奪ってしまって。」

 

月の子「・・・べつに。あたし、決闘したいだけだし・・・」

 

そういうとまた、金髪の少女は黙り込んだ。きっと、今起きた決闘を反芻し。その事だけに夢想するのであろう。

 

男の娘「今の「エサ」。多分、アイドルさんが捕まっているんじゃないって分かっていたんじゃあないかな?」

 

アイドル「・・・」

 

仮面神父「ええ、そうでしょうねェ。でなければ、あんな言葉は出なかったでしょうし。もっと苦しんで逝ったでしょう。奇跡ですねェ。最後の最後を、憧憬の人の無事を確信し、心安らかな気持ちで迎えられるというのは。」

 

アイドル「・・・なぁ、神父さんさぁ。そもそも彼がストーカーになれるだけのボクの情報を渡したのは。キミなんだろう?」

 

仮面神父「はい、その通りです。」

 

アイドル「なんでそんな事をした?」

 

仮面神父「う~~ん。それはですねェ。貴女にとって「救い」になれるかもしれない。そう考えたからです。」

 

アイドル「救いだと?」

 

仮面神父「はィ。貴女が得られなかった時間を、あの男性の愛が埋めたならば。貴女の「苦しみ」はなくなります。いえ、勿論根本的には私、貴女にこの計画にいて欲しいのですが、何分職業病といいますか。迷える子羊がいると手助けしたくなるのですよ。」

 

アイドル「下らない事をしたね、キミは。ボクにとっての救いは、「修羅三千年世界」計画による目的を果たすことだけだよ。無駄無駄無駄。」

 

仮面神父「そうでしょうかねェ。確かに彼は貴女の救いにはならなかったけれど。ですが今、貴女がもう戻れない道を進む事を後押ししてくれた。一つの縁の終り方としては奇跡的だと思いますがねェ。」

 

アイドル「・・・」

 

仮面神父「貴女もそれが分かっていたから、貴女自らの手で彼を落とした。そうでしょう?」

 

アイドル「・・・ああ。そうだ。ボクはもう戻れない。片道だけの道を往く。」

 

仮面神父「ええ。その通り・・・。」

 

 

月の子「・・・デュエル・・・デュエル・・・デュえ!!!」

 

男の娘「ちょ!!!また姉ちゃん発作!?もー勘弁してよ・・・」

 

仮面神父「おやおや、いけませんねェ。また新しい生贄を拾ってこなければ。・・・アイドル様、行きましょう。」

 

踏みにじった花の数はもはや数えきれないし、それを考える暇もない。

越えた境界線を振り向かない様に、この修羅道をまっすぐ進み、地平線の果てにかつていた場所が沈むまで往かなければ。

アイドルはそう思った。

 

アイドル「ああ。行くよ。さっさとやろう。ボクが幸せになるまで。」

 

閑話休憩 月の少女は紅い目で笑う。エンド。

 




今回の話は短めなのもあって。で、明日も連投になります。
どうかよろしくお願いいたします。
レッドアイズカテゴリ楽しみでやんす。
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