遊戯王 決闘探偵 -雲と鉄-   作:T3PO

30 / 38
第二十話「奇跡の距離」及び「アーティスト」

そばかす娘「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!勝ったぞォおおおおおおおおおおッ!!!」

 

そばかす娘&お嬢 WIN - 妻 LOSE

 

 

妻「はあ。アレだけデッキが回って負けるとは思わなかった・・・。」

グラン「見 事 だ  った。」

 

そばかす娘「あたし達は勝った!約束だよ。この事件に。」

 

妻「約束は守る。貴女達を私たち、「対策チーム」へ招き入れる・・・貴女達入れても4人しかいない小さなチームだけれど。よろしくお願いします。」

グラン「よろ しく。」

 

そばかす娘「よっしゃ!やったぜお嬢!」

 

お嬢「・・・ええ。」

 

妻「今日は一旦ここでお開きにするわ。明日またここに来て下さい。・・・ちなみにこの後は探偵さんのお見舞いに行くつもりですか?もしそうならば、私が車で送っていきますが。ついでにまだ安全なレストランでランチでも。美味しいイタリアンのお店を知っていまして。」

 

そばかす娘「まじ!やった!アタシもう腹ペコでさ。お嬢も行こうぜ。」

 

お嬢「・・・ごめんなさい。少し疲れちゃって。今日は先に家に帰るわ。」

 

ワイド「―――マスター」

 

お嬢「ワイドさんも気にしないで。お師匠の看病に行ってあげて頂戴。」

 

ワイド「――――了解しました。」

 

お嬢「今日はありがとうございました。また明日、必ずここに来ます。」

 

事務的な言葉を告げると逃げるかのようにお嬢は扉を開けて出ていった。

 

妻「・・・うう。上手く誘えなかった。難しいわね、お誘いするのって。」

グラン「ドン まい」

 

そばかす娘「アンタ、デュエル中とのギャップ凄いな。普段のテンションは控えめなのにさ。」

 

妻「悪い癖なのよね・・・。ひょっとしてあっちの子はイタリアン嫌いだったのかしら・・・?」

 

そばかす娘「いや。違うんだ。アイツ、プライドというか意志が固いんですよ。「さっきのデュエル、序盤速攻で退場した自分が、直接勝利を決めたアタシと同じ扱いでチームに参加する事が許せない。」そんな事を悩んでいる。」

 

妻「追わなくていいのかしら?」

 

そばかす娘「まさか!そんな見え透いた気遣いしたら、アイツ、逆ギレしかねえというか。その辺は、大丈夫。でなきゃ、最高の決闘者を目指すなんて言えないよ。」

 

ワイド「―――――マスター――――」

 

 

・・・

 

バスの振動に揺られながら私、お嬢は考える。

この事件にこれ以上私が関わっていいのかと。

 

冬のある日には、カード強盗団のヤンキー君に負けて。

春の初めには、サフィラ使いの仮面神父に負けて。

初夏の先日、お師匠に負け・・・いや、最初に会ったときもボロ負けしてたわね、私。

そして今日、グランエル使いに何も抵抗できずに蹂躙された。

 

そばかす娘は強い。彼女は決闘の技術というだけでなく、勝負どころでの覇気がある。

それは、「競技」としてデュエルを嗜んでいた私にはなく、強盗として絶対に負けられない「真剣」の決闘を経験したあの子だからこそ持つ物。きっと、「守るもの」があったお師匠や、それを裏切ってまで悪に加担したアイドルさんも持つ物。

私にはそれがない。「覇気」を持つための「理由」がない。

 

恩人に報いる為の理由も。

守りたい希望も。

混濁とした記憶も。

 

 

これ以上、私が関わっていいのか。

私に何が出来るのか。

 

 

「やっぱりですねぇ。いつだって迷える子羊には、暗雲とした湿気が漂う。」

 

後部座席からのネットリとした声。

私はこの声を聴いたことがあるッ!!

 

お嬢「アンタはッ!!」

 

仮面神父「お久しぶりですねぇ。」

サフィラ「すまんのう。この馬鹿がどうしてもお嬢ちゃんと話したいと言って辞めなくてのう。」

 

お嬢「・・・今すぐ、セキュリティを呼ぶと言ったらどうするかしら?」

 

仮面神父「それはないですねぇ。実のところ、貴女は私達に問いたい事がある。そうじゃないですか?」

 

 

お嬢「・・・ッ。」

 

仮面神父「場所を変えましょう。この近くの一番美味しい喫茶店へ案内してください。」

 

 

・・・喫茶 「タイム・カプセル」

 

 

ウェイトレス「ご注文は?」

 

仮面神父「ケーキセットを二つ。チーズケーキとモンブランで。」

 

ウェイトレス「畏まりました。」

 

お嬢「貴方、仮面付けているのに飲むの・・・?」

 

仮面神父「ご安心を。口の部分を大きく作っていますので、易々飲食可能です。」

 

お嬢「そう。それで、わざわざ私に会いに来た理由は?金持ちの娘の私を誘拐でもして、軍事金を得ようとでもしているのかしら?」

 

仮面神父「いえいえ。我々、そこまで救いようのない下衆ではないですよぉ。」

 

お嬢「それは冗談かしら?外を見て頂戴。いつもなら、このストリートは私達学生がダラダラ買い食いしながら帰る、陽気で馬鹿げた通り道。それが今や、セキュリティ隊員がいるのを一々確認して、放課後直行帰宅。速足で駆け抜ける道になっている。全部、決闘ドラッグと、その感染者の暴走が原因よ。そんな事をしておいて、よくもまあ「下衆ではないと」言えた者ね。」

 

サフィラ「100%、正論じゃのう。」

 

仮面神父「いやぁ、その通りですねぇ。その通り。我々は、とんでもない極悪人です。ですがねぇ。本当に、私達の行った行為は、「下衆」でしょうか?」

 

お嬢「下衆よ。天変地異張ってからのデーモンの宣告位、確実に。」

 

仮面神父「何故、貴女はデュエルをしますか?」

 

お嬢「全スルーの上に宗教勧誘?お断りよ。」

 

仮面神父「そこには二つ。宗教的解釈がお嫌いなら、科学的な理由を教えましょう。」

 

お嬢「貴方、言いたい事を全部言い切らないと話してくれないタイプね。いいわ。さっさと吐きなさい。」

 

仮面神父「我々の本能。有史以来、我々は「決闘」による力を最大のエンターテイメントとしていた。全ての文明は「決闘」に導かれて。いやむしろ、「決闘」こそが全ての文明の始まり。原始の記憶です。」

 

お嬢「気づいている?ソレ、十二分に宗教的解釈よ。」

 

仮面神父「いえいえ。「決闘者の生存本能」が科学的に証明されている。十二分に現実的な理由です。」

 

仮面神父「多くの方は「決闘ドラッグ」は欲望を解き離し、理性を決闘に変化させると思っているようですが。逆です。むしろ原始の記憶。全ての根源である「決闘本能」を安らかに解放している。本来の自然な姿はドラッグ患者の方なのですよぉ。」

 

お嬢「最悪にクレイジーね。貴方。その狂った原始主義の為にこんな事を?」

 

仮面神父「20%程は。」

 

お嬢「馬鹿なのかしら?1000000000歩譲って「決闘本能」とやらが人間の根本だとしても。それを道徳なり芸術なり発展なりで抑えるのが「文明」じゃない。ただ裸の畜生に成り果てるだけの原始主義なんて、地獄そのものよ。」

 

仮面神父「小気味よいお嬢さん。正確には「修羅」の方が適切だと思いますがねえ。けれど、考えてください。貴女のお師匠の人生を。苦悶に満ちた人生を。」

 

お嬢「・・・何が言いたいの?」

 

仮面神父「「人が何故デュエルをするのか?」。それこそ、古の国を賭けた、人類の虚無を賭けた、破滅の未来を賭けた、二つの世界を賭けた、幾つもの次元を賭けた、超絶なる決闘が生まれたワケを。それだけのものを「決闘」に託した、その理由が。」

 

お嬢「そんなの・・・それは。」

 

サフィラ「・・・」

仮面神父「それは、人は運命を選択出来ないから。誰もが自らの意思を100%肯定できないから。だから。我々は「決闘」するしかないのですよ。」

 

お嬢「それが貴方の「宗教的な答え」。」

 

仮面神父「ええそうです。「決闘」ならば、自らの意志を。憤りを。力を。悲しみを。覚悟を。邪悪を。運を。心の底から表現できる。そしてその果ての結果に、受け入れることが出来る。「ああ。「決闘」という儀式の果てに勝てたのだから、私の意志は成し遂げられていいのだ。世界が認めた」。いや、「「決闘で負けたのだから、この心意気は消えるべきものだった」のかと受け止められる」」

 

仮面神父「「決闘本能」が絶えず血潮を流れる事が、「人類に「運命」は荷が重すぎる」と証明しています。」

 

仮面神父「例えば。あの探偵さん。仮に彼の苦悩も決闘本能に全て預ければ、瞬く間になくなるでしょう。「あの時殺すべきだった」「そもそも関わらなければ良かった」「もう少し早く行動すれば」「あの時負けるべきだった」「親友を巻き込むのではなかった」「P型スクラップで挑むべきだった」「恥ずかしがってないで、もっと早く彼女の事を知ろうとすべきだった」。そんな今更どうしようもない苦悩を未だに味わいながら「保留の答え」を出し続ける。それが、貴女の言う「人間の文明」ですか?「理性」ですか?」

 

お嬢「・・・」

 

仮面神父「彼の半生は確かに悲劇だ。ですが、決して珍しいワケではない。

貴女には前にも言いましたね?「10年間親の遺産を食いつぶしてネトゲだけしています、社会的繋がり零の引きこもりです。」のも「生きている」と言いますか?「10年間目が覚めません、只々暗闇の脳死患者です。」のも「生きている」と言いますか?そんな苦しみ、あまりにありふれている。「家族の病気と介護」「自身の不成功」「出生の悲しみ」「只々不運」。誰だって抱えている「闇」は平等。

街を出なさい。生まれ、老い、病み、死ぬ、絶対的な四つの門がそこにはあります。誰もが救われない子羊。むしろ文明が発展するからこそ。精神を抑制させようとするからこそ。門は「五つ」に、「六つ」「七つ」「八つ」と増えていく。その苦しみを「自分のせい」「誰かのせい」。「あーすればよかった」「これでよかった」と半信半疑であっちこっちに揺れるから、いつまでも誰もが救われない。心の平和は訪れない。」

 

仮面神父「故に私は「奇跡」を起こす。全ての世の苦しみは、「決闘」でしか解決できない。元凶の苦しみが取り除けないのであれば、それにまつわる苦痛や葛藤、後悔という「苦しみ」を「決闘」という「理性」で消しさる世界。それこそが、私にとっての「修羅三千世界計画」。それが我々に残された最後の奇跡。」

 

お嬢「壮大に狂っているわ。そうね。きっと貴方は「確信犯」。」

 

仮面神父「ええ。私は「確信犯」。正しいと思うから動く。只それだけですよ。」

 

お嬢「・・・ねえ。カードの精霊、「竜姫神サフィラ」。貴女のマスターの在り方は、許されていいのかしら?」

 

サフィラ「ふん?」

 

お嬢「「聖なる光で世界を祝福する竜達の女王。平和を受け入れる人々を祝福するが、平和を乱す者には容赦しない。」それが貴女の正体。ならば、ここに一人、平和を大いに乱す者がいるのだけれど。」

 

サフィラ「ふむ。全くもってお嬢ちゃんの言う通り。もしたった今、この馬鹿と出会ったのであれば即刻、断罪していたじゃろうに。」

 

仮面神父「おお、怖い怖い。」

 

サフィラ「じゃがのう。今。全人類の「救い」を最も真剣に捉えているのは。悔しいがこの馬鹿げた男なのじゃ。」

サフィラ「それに、のう。情けの無いことなのだが、わらわにはもう「根本たる平和」が分からなくのう。神に捧げられる「祝祷」は、変える事が出来ない現実の裏返し。「奇跡」を求める声は、「奇跡」が起こらないから生まれくる。いくら時代が移ろうとその祈りは堪えなかった。」

 

お嬢「だから、この男の策に任すというの?」

 

サフィラ「そうじゃ。神が生まれて以来一度も作り出すことが出来なかった真の平和は。人類の原始回帰によりもたされる。下らないが、乗ってみる価値はあってしまう。」

 

サフィラ「恐らく納得できないであろう、お嬢ちゃん。嬢ちゃんは、「奇跡」の意味を知っておるか?「奇跡」とは、干ばつの大地に降る雨の事ではない。目の前の無関係な出来事に、自らを削って干渉しようとした結果の事。」

 

仮面神父「貴女には分かるでしょう。私のクライアント様であるアイドル様が誰にも打ち明けない激情を秘めていた様に。かつて、探偵氏が惹かれた少女が自身の希望と絶望を整理出来なかった様に。探偵氏が決闘を楽しむ余裕を捨ててまで何かを守ろうとしたように。誰もが、閉ざされたモノを秘めている。分かるでしょう?あまりに遠くて、救えない。自分じゃあ何も出来ない、あの「距離」が。」

 

それは例えば、

ヤンキーたちのが、そばかす娘についていく為に、自らを怒りの河へ身投げした様に。

ショタ君が二つに裂けていく家族の中で行き場が無い孤独が、これからもずっと続いていく様に。

あのストーカー武将や部長にすらアイドルさんや地位に執着するだけの「流れ」があったように。

 

咎める事出来ない「感情」を。誰が悪いでもないけれど、誰にも打ち明かせない。どうしようもない感情を。きっと誰もが持っていて。大河に別たれた様に孤独なのだ。

 

仮面神父「けれど、時折。その「距離」を全く気にせず、馴れ馴れしく飛び越えてしまう者がいます。それこそが、「奇跡」。本来の「無縁」を。「孤独」を。やたらと具体的にぶっ壊す事。それが、奇跡。」

 

お嬢「それは、お師匠とそばかす娘の事を言っているのかしら?」

 

仮面神父「その通り!あれはまさしく奇跡ですねぇ。探偵氏には何も責任、義務がないのにも関わらず、ぽんと大金を支払った。アレこそ、「距離」を壊す奇跡。いや金がなくたっていい。それでもいいのです。誰だって誰かの「距離」を超える何て簡単に出来るのに。「大丈夫?」「何か手伝いましょうか?」「愚痴ってもいいよ。」「大変だったんね。でも、貴方は悪くないよ。」そんな安い言葉で十分に「万里の距離」を飛び越えて、心の罪は赦されるのに!!そうはいかないから、万人の心は別たれたまま。それすら我々は出来ない。故に、それは「奇跡」。」

 

仮面神父「そして、私も同じ。私達の策は「具体的」に「厚かましく」。そして、苦しみで別たれた心を「デュエル」という原始の言語によって救済するでしょう。だから、私は「奇跡」を起こす。」

 

サフィラ「それが真の心の平和につながるものならば、わらわは自らを邪なるモノへ喜んで落そう。漠然とした、虚ろの様な平和はもういらん。淡く起こりえない祝祷を聞くのはもう飽きたのじゃ。」

 

お嬢「・・・貴方達は似た者同士。狂信者だわ。」

 

仮面神父「ですって姫様。御揃いですよ。」

サフィラ「悲しいのう。まことに悲しい。こんな下衆に頼らざるを得なかった己が情けないない。」

 

お嬢「もういい。貴方達の講釈はもう結構。さっさと用事を言いなさい。」

 

神父「おや?既にその話題なのですがねぇ。単刀直入に言いましょう。貴女、こちら側に来ませんか?」

 

お嬢「!?馬鹿じゃないの!?そんな事、私がするわけ、」

 

仮面神父「ないですかねぇ。貴女の野望、実のところ我々の計画と近い位置にあると思いますが?」

 

お嬢「・・・ッ。」

 

仮面神父「「デュエルで世界征服」。素晴らしい夢です。世界の誰もが同じデュエルを心から楽しめる世界。貴女の事も調べさせて頂きましたよ。お嬢さん。貴女の野望の根源には「救われなさ」が蠢いている。まるで世の中のあらゆるモノが冷めていて、デュエルだけが価値があると言っている様です。ならば、我らの主張と何が違う?」

 

仮面神父「そして、貴女は私達に「理由」を求める。何故、アイドルが悪の道を進むのか。何故私が騒動を起こしたのか。何故自分と大差なく若い男の娘が闘うのかを。貴女は知りたい。知って、自分が関わるだけのものがあるかを定めたい・・・そうでしょう?」

 

お嬢「うるさい!!!!」

 

仮面神父「ぅ~~ん。いいですね、いいですねぇ。その反応。図星を突かれた少女の怒り。実にいいです。さてさて。スカウトの為にも、貴女の知りたい事をお話ししましょう。そう、貴女の野望の原点であり。貴女のお師匠の最大の友人。私のクライアント、「アイドル」様の「どうしようもない心」を。彼女の話を。」

 

お嬢「!!」

 

仮面神父「断っておきますが。私だって全てを知るワケでは無い。ですが十二分に貴女の求めるモノでしょう。」

 

 

「色々と、入り組んだお話です。かつて、彼女が話した、「かつてを苦しんだかつて」の話を一つ・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……………………て

 

鏡。

鏡。

鏡。

 

万華鏡の世界でボクは堕ちていた。

鏡に映るのは、ボクだったり、友人だったり、家族だったり。

記憶。記憶が鏡に映る。ボクはその中へ手を伸ばした。

映し出す、一番の記憶。

 

最初の記憶は、親族の葬式。セミが鳴き続けて、汗臭い世界。

「ジャンプ」読む?なんて声をかけておきながら。勝手に恥ずかしがって、自爆して、泣きそうになっていたな、君。何で遺族の自分が参列者の君を気遣わないといけなんだよ、って笑えた気がしたんだ。

 

 

次の場面・・・そう。高校一年生。というか、最近だ。

河原の道。六月の湿った空気の中。ボクと君は歩く。

あの頃、君は少しずつ、あの娘のおかしさに気づいていたんだ。

だから君はその答えを知るべく、彼女にデュエルで勝てるように特訓を始めていた。デュエルの才能に満ち溢れる彼女に対等に鳴り得る力を自分が持つために。きっとそれは、「プロデュエリスト」の門へ繋がる道を歩く事を意味していた。

 

けれど君はこう言った。

 

「少しでも、彼女の事が知りたいんだ。なんであんなにデュエルを楽しめるのか。ニコニコ笑っているのかを。・・・どうせ、俺如きが彼女に近づこうなんて、おこがましいし。どうせ、無理なんだけど。無理。きっと。」

 

 

・・・そう、君はすぐ頭に、「どうせ…」とつける。それ、諦める事、予感してるのかい?

そして君はすぐ自分の夢を「ムリ」だと笑う。

それを笑う事も出来ないボクは可笑しいのだろう。草も生やせない。

こう、下らない感情が走り回って、頭がパンクしていたからさ。言葉にするにはあまりに馬鹿らしい、ティーンエイジャーまるだしの葛藤。

その混沌する脳みその中で、一つだけ不動の言葉があった。何があっても消えない、と信じたい言葉。

 

「ボクは君の親友」

 

それは絶対に絶対の絶対を重ねて変わらない。

 

君は頭にどうせとつけるけど。その目が何かを見定めたら絶対に諦めない、って事に自分で気づいているのかい?その目には答えがちらついているんだ。

君はただ背中を押して欲しいだけなんだと、ボクは知っている。

全く、酷い役回りだ。けれど、それが「親友」の役目だろ?無垢で無知だけど、今答える事は決まっているんだ。

少し咳払いをして、間を置く。

・・・そう此処に宣言しようか。

 

「ボクが在る限り、君の小さい小さい味方だよ。何があっても。どんな事が起きてもね。」

 

驚く君の顔。適当に面倒くさい話題だから流されるとでも思ったのかい?www

馬鹿だなあww

 

「だから、君の好きなようにやればいいよ。漏れは。ボクは。割とガチ真剣モードで。応援する。」

 

(暗い)

 

・・・あーあ。言っちゃった。言っちゃった。

そんな一言言わなきゃいいのに。言うから、こんな辺鄙な村まで彼女を探す羽目になって・・・。

・・・そう。そんな下らない意地を張るから・・・

なんで、ボクはその言葉を選んでしまった?

何で君は彼女と出会った?

何故ボクは君と仲良くなってしまった?

何故・・・

 

(暗い。寒い。眠い。苦しい。)

 

 

なんで・・・ボクは・・・一生を・・・

 

(暗い。寒い。眠い。苦しい。痛い。帰りたい。憎い。辛い。)

 

・・・ボクは。屋敷の中であの娘の親族に捕まって・・・

 

(暗い。寒い。眠い。苦しい。痛い。帰りたい。憎い。辛い。死にたい。もう無理。酷い。辞めて。何でボクが。)

 

・・・手足を縛られ。服も脱がされ。全ての権利を蹂躙され。毎日出されるごみの様な肉だけを待ちわびる一生を・・・牢獄の中で・・・過ごすことになったんだ・・・

 

(暗い。寒い。眠い。苦しい。痛い。帰りたい。憎い。辛い。死にたい。もう無理。酷い。辞めて。何でボクが。おかしい。ズルい。もうやだ。何であの娘が。何であの娘が。何でボクは。)

 

・・・虫がたかる。もう誰にも会えない。畜生の様に飼われるだけのこんな一生を・・・。

・・・いやもっと前から・・・ボクは・・・ずっと・・・許せなかったんだ・・・

・・・ボクはこんな人生を・・・許せない・・・

 

------replay----

 

 

 

・・・最初の記憶は・・・

 

 

 

 

15年前 2月のあの日

 

座敷牢の中。ブツブツとつぶやく、生命の光を消したボーイッシュな少女。周囲には六芒星の陣と、人の脂で作られた蝋燭の灯。

 

そしてそれをニタニタと眺める妙齢の女。その女もまた「烏の濡れ羽の髪」を持つ一人。黒衣のローブを羽織った、生まれながらの「呪術師」であった。

その横に座るは喪服の女。憐れみの視線を少女に向ける。

 

呪術師「無様無様無様。いい具合に「繰り返し」してくれている。この勢いなら儀式の前に、この小娘は堕ちてくれると思うわ。」

 

喪服「・・・。私のところのあの小僧はまだ時間がかかる。」

 

呪術師「?珍しいわね。貴女の「闇の遊戯」でまだ潰れないなんて。何戦目なのかしら?」

 

喪服「先ほど。400戦を超えた。あの小僧。思っていたよりも莫迦者だったようだ。さっさと諦めればいいものを。そこの小娘はどうだ?」

 

呪術師「「二百巡目」。けど、一番「美味しい」場面は五百回くらい再現してあげている。悲鳴が出る程無様よ、あの小娘。貴女のところの小僧を「「親友」だから助ける」とか言ってここまで来たみたい。凄いわねー。その小僧の方はあの「化け物」を慕って来たっていうのに。報われないモノに命かけて此処へ来て。もう、最初から身投げみたいな人生ね。見てよ、コイツ。目元をさ。」

 

喪服「・・・目元。・・・。」

 

足をもがれた実験生物の様に何度も痙攣をしながら、ボーイッシュの少女は、泣いていた。

声もあげられぬ絶望が少女を埋め尽くしていた

 

呪術師「本当、無様無様無様。コイツ、きっとここで死ななくても詰んでたね。むしろここで私に感謝して欲しいわー。」

 

喪服「・・・ッ。」

 

呪術師「あらー御免御免。こーゆう報われない馬鹿見ると、自分重ねちゃうね。苦しいよね。

「報われない女の愛」見たくないよねー。」

 

誠意のない謝罪。だが喪服の未亡人は耐えるしか選択がなかった。

呪術師としての使命に嫌気を差し、一時とは言え外界で夫を得た彼女よりも、その使命を心から愉しむこの女の方が、この家での地位は高かった。いやそれ以前に、「他者の苦しみを抉る」事が生業のこの家では、それに怒りを覚える事が既に間違えであった。

かつて、妹であったこの女は、自分が外へ逃げていた間により呪術師としての純度を高めていたようで、既に姉妹という繋がりは無くなっている。そう、喪服の女は再確認した。

 

そんな思いを知ってか知らずか・・・否、当然知ったうえで「呪術師」は笑った。心の底から、他者の苦しみを自らの愉悦に変えて。長年の習慣としてつづけられた「呪術師の仕来り」は、その教育法の正しい結果として「呪術師」を生んでいた。

 

喪服の女は、出来る事ならあの少女は自分の「闇の決闘」で葬ってやりたかった、と。心の底から同情し。せめて死んだあとは小僧と同じ場所で眠らせてやろう。そう決心し、呪術師の部屋を出た。

 

 

呪術師「さあ。後、10000回は楽しんで頂戴。「後悔」だけの人生を。」

 

闇の遊戯 「永劫怪奇」

 

自分の人生の追体験を無限に続ける、一つの地獄。

或る男はこう言った。

 

「この世に輪廻転生など無く、在るのはフィルムテープをリプレイする様な、無限で一つの自分の人生。その人生を数千回数億回繰り返すとして、それでもそれを良しと言えるなら。それは「超人」である。」と。

 

この闇の遊戯はそれを強制する。

脳内を高速で駆け巡る、走馬灯に似た記憶を何回も何回も何回も味わう地獄。

それでもそれに対して無限の肯定をしたならば、勝利者として蜘蛛の糸が垂らされる。

だが、しかし。呪術師は単なる「地獄」を許さない。

心を根本より折る為に記憶の中から最も傷ついた記憶を、最も悲しい記憶を、また最も辛い記憶だけを抽出して繰り返さえる。それがこの呪術師の作法であり、唯一の趣味であった。

そして、時に幸せな記憶こそ最も心折る記憶へと成り得る。

悲しい記憶にはそれを乗り越えた記憶が寄り添うが、幸せな記憶の背後には失う予感が付け狙う。

そして生まれる心の闇。後悔を。呪術師は自身の愉悦に。そして呪術の札を生み出す材料とした。

「超人」はいないから「超人」。

これまで呪術師を歯向かった者の全てが、鏡の記憶の世界の中で全ての者は潰れてきた。

そして、当然のように。只の高校生であるボーイッシュ少女は「超人」になれない。むしろ、この闇の遊戯はボーイッシュ少女を最も追い込める拷問であり。廃人になる事は必然であった。

 

 

きっかけは、単なる偶然。

それは喪服の女の流儀、「深海」の中で少年が500回目の決闘を迎えていた頃。

ボーイッシュ少女の心が既に壊れかけていた頃。

呪術師が、惨めな小娘を眺めるのに飽き。採れたての絶望を新たな「札」へと精製していた時。

その新たな輝きを忠義者は密かに狙う。

 

かっ!!

 

閃光が、突然呪術師を襲う・・・!!

 

呪術師「なッ!?」

 

―――――ターゲット、ロックオン。標的は、その生まれた新たなカード。マスターの為にいただきます―――――――――――――

 

呪術師「貴様はああ!?きゃああああああああああああああああ!?!?!?!?」

 

それが蒼き皇帝、機皇帝ワイゼル∞だと呪術師が気づくが、時既に遅し・・・!!

ワイドより放たれる旋風が全てを吹き飛ばした!!!

そして呪術師の手から放たれた新たな力の札・・・「星読みの魔術師」「時読みの魔術師」は機皇帝の掌へ!!!

 

ワイド「作戦成功。二枚の新しい希望のカード。頂戴しました。」

 

呪術師「ッ!!待て!!」

 

ワイド「待ちません。」

 

機皇帝は、主人を救うべく再び姿を消した・・・。

 

呪術師「糞が糞が糞が。あれは「精霊」!!!あの小僧、そんなモノを持っていたのか!!糞!!」

 

それは本当に偶然だった。主人の身を案じる機皇帝に、部屋の奥の座敷牢まで見渡す余裕はなかった。それ故に「敵」しかいないと判断され、放たれた旋風容易に人を吹き飛ばした。そしてそれは座敷牢をすり抜けるには十分であり・・・

 

呪術師「糞!呪術の道具まで吹き飛びやがった!!ああ!!!!もう!!!腹立つなァァ嗚呼!!!死ね死ね!死ね!!あの小僧!!!ワイゼル!!すぐに追い、祟り殺してくれる!!!」

 

「止めろ。」

 

背後よりかけられる鋭い言葉。ぜえぜえと言う体力の限界で漏らす吐息。

 

呪術師が振り返り目にしたものは、そこには倒れた蝋燭とかき消された六芒星。そして、立ち上がった少女の姿。

 

呪術師「ちい!!糞糞糞!!!さっきので闇の決闘の儀式陣がぶっ倒れたのかよ!!無様な小娘が立ち上がっているんじゃあない!!!」

 

ボーイッシュ少女「はあはあはあ」

 

呪術師「永劫の中で見ただろう!!お前の人生は何も叶わない!!報われない!!ままらない!!!価値のない!!!さっさと逝け!!」

 

ボーイッシュ少女「・・・ボクは・・・親友を・・・助けるんだ・・・そう助け・・・」

 

呪術師「まだそんな事を言うか!!鬱陶しいな塵蟲が!!心の弱り切ったお前を決闘で処理するのなど容易い!ぐちゃぐちゃにしてやるから、いい悲鳴あげろよおおおおおお!?!?」

 

ボーイッシュ少女「デュエ…る・・・!!」

 

呪術師 VS ボーイッシュ少女

 

呪術師「私は、「シャドウ・リチュア」を手札から捨て、儀式魔法「リチュアの儀水鏡」を手札に入れる。」

 

ボーイッシュ少女「鏡・・・鏡・・・ううう!!!」

 

呪術師「いいわねその反応!!中断とは言え十二分に抉ったぞ、お前の心。私の呪術は「鏡」。この「儀水鏡」には魂が、記憶が映る。お前の記憶もよく映っていただろう?」

 

ボーイッシュ少女「いや。やめろ。もういや。辞めて。見せないで。もう鏡は嫌なのおおお!」

 

呪術師「また「永劫」見せてやるから安心して倒れろよぉぉ!!フィールド魔法「神縛りの塚」発動!そして邪悪なる儀式を執り行う!!映れ、「儀水鏡」!!」

 

「ヴィジョン・リチュアを贄に。降りろ、悪魔よ!!巨大なる躯!!!」

 

「イビリチュア・ジールギガス」!!!

 

イビリチュア・ジールギガス 儀式・効果モンスター

星10/水属性/水族/攻3200/守 0

「リチュア」と名のついた儀式魔法カードにより降臨。1ターンに1度、1000ライフポイントを払って発動できる。デッキからカードを1枚ドローし、お互いに確認する。

確認したカードが「リチュア」と名のついたモンスターだった場合、フィールド上のカード1枚を選んで持ち主のデッキに戻す。

ボーイッシュ少女「・いや。イヤ。もういや。もうやだ。帰りたい。もう。何で、いや。いやだ。いやああああ!!」

 

呪術師「ひゃははははあはああああ!!!!其の儘何もせずぶっ倒れろおおおお!!!鏡のラッシュバックでなあああ!!」

 

ボーイッシュ少女「いやああああああああ!!!!・・・・いや。・・・いや。そう。いや。そう。そう。」

 

呪術師「!?」

 

ボーイッシュ少女「いやだけど。そう。せめて・・・この子は・・・ドロー。」

 

 

 

偶然。いや、これは必然なのか。

拷問によって廻った後悔しかない記憶の旅。

それを思い出させる「リチュア」の魔物。

もしもこれが「リヴァイアニマ」なら。「ソウルオーガ」なら。「ガストクラーケ」「テトラオーグル」「マインドオーガス」なら。立ち向かう気力は零へと帰り、妄想と眠りの安寧へ潜っただろう。

 

だが、「ジールギガス」。「ジールギガス」だったのだ。

ジールギガスはインヴェルズのなれの果て。

それを立たせ呪術師が操る姿に。ボーイッシュ少女は崩れゆく自分の姿を見た。少しだけの怒りを得た。たったそれだけの事。ボヤの炎に等しい。が、決闘者が踏み止まるには、十分すぎたッ!!!

 

ボーイッシュ少女「う・・・うおおおおおお!!!その子を!解放しろ!!!」

 

呪術師「無様無様無様!!もはやそんなくっそ下らない怒りを持たなければ立てないとは!!だが、「神縛りの塚」により「ジールギガス」は効果の対象にも破壊にも遭わない世界に立っている!!そしてお前の唯一の勝ち筋、「オピオン」も。今から出しても意味がない!!往け往け往け!!」

 

神縛りの塚フィールド魔法

(1):フィールドのレベル10以上のモンスターは効果の対象にならず、効果では破壊されない。

(2):フィールドのレベル10以上のモンスターが戦闘でモンスターを破壊し墓地へ送った場合に発動する。破壊されたモンスターのコントローラーは1000ダメージを受ける。

(3):フィールドのこのカードが効果で破壊され墓地へ送られた時に発動できる。デッキから神属性モンスター1体を手札に加える。

 

ボーイッシュ少女「ボクは・・・ボクは勝つぅ!!場にモンスターがいない時「インヴェルの魔細胞」を特殊召喚!そして、「ヴェルズ・カストル」を召喚!召喚成功時、「ヴェルズ」の召喚権を増やす!その召喚権で、「魔細胞」をリリースし、「インヴェルズ・モース」を召喚ッ!!!」

 

呪術師「っは!だが、そのジールギガスは対象にはならない!!」

 

ボーイッシュ少女「召喚成功時、ライフを1000払い、セットカードと「神縛りの塚」をバウンズ!!!」

 

セットカード 神縛りの塚⇒手札へ

 

呪術師「これでお前終わりィ!!同胞の手で闇へ落としてやる!!むしろ感謝しろぉぉぉ!!死ねやああああ!!!」

 

ボーイッシュ少女「死ぬのはお前だぁぁぁアアああ!!!魔法カード「愚かな埋葬」!!!デッキから墓地へ「ヘルウェイ・パトロール」を送る!!「パトロール」の効果は「墓地のこのカードを除外し手札から攻撃力2000以下の悪魔族を特殊召喚」させる事!!出でよ!!「インヴェルズの門番」!!」

 

ヘルウェイ・パトロール 効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1600/守1200

このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、破壊したモンスターのレベル×100ポイントダメージを相手ライフに与える。自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、手札から攻撃力2000以下の悪魔族モンスター1体を特殊召喚する。

 

インヴェルズの門番⇒特殊召喚

 

呪術師「レベル4を二体並べただと!?だがもう遅い遅い遅い!!オピオンには遅すぎる!!」

 

ボーイッシュ少女「があああああ!!「ヴェルズ・カストル」と「インヴェルズの門番」の二体でオーバーレイネットワークを構築!!エクシーズ召喚!!!死ねェええええええええええええええええええええ!!!」

 

「竜よ舞い戻り、大地に誘い、ひび割れた私を飲み干せェェえ!!!ランク4ッ!!ヴェルズ・バハムートぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

ヴェルズ・バハムート エクシーズ・効果モンスター

ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2350/守1350「ヴェルズ」と名のついたレベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。手札から「ヴェルズ」と名のついたモンスター1体を捨て、選択した相手モンスターのコントロールを得る。

 

殺意の目覚め。修羅の道の始まり。その最初の一歩を踏み込んだのは、ヴェルズ三龍が一。

「ヴェルズ・バハムート」!!!

 

 

呪術師「!!?!?!?そいつはああああぁぁぁぁ!?」

 

ボーイッシュ少女「があああああああ!!!!バハムートの効果ぁ!!素材を送り、手札の「ヴェルズ・マンゴドラ」を捨て、相手の「ジールギガス」を奪う‼‼‼解放されよ!!「ジールギガス」!!」

 

ジールギガス⇒ボーイッシュ少女の元へ。

 

呪術師「馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!!この私が!!永久に人を呪う絶対の存在になる、私がこんな塵蟲にィィィイイ!!!」

 

ボーイッシュ少女「はぁ。はぁ。はあ!!!ダイレクトアタッ!!!!

 

呪術師「止めろ!!!やめろおおおお!!聞け!!!聞いてくれェェえええ!!お前に、魅了の呪術をやる!!それを使えばあの小僧はお前に元へ向かう!!」

 

ボーイッシュ少女「「魅了」」

 

呪術師「ああそうだ!!!そうだ!!!お前があの小僧を魅了すれば!!!あの小僧が我らが跡継ぎ「グリムロ」を忘れ、お前だけを見るッ!!!それならば私達もお前たちを殺す必要がなくなる!!!幸せだッ!!お前の後悔は全て水泡に消え!!幸せがお前に訪れる!!!何も後悔する必要はなくなるんだあああ!!」

 

ボーイッシュ少女「「幸せ」」

 

呪術師「いや!!それだけじゃない!!!我らが一族の呪いの最終地点には!時をも超える力がある!!!「グリムロ」が覚醒すればそれをも容易い!!それを貸してやる!!その力があれば、過去の過ちをやり直せるぅぅぅう!!お前の人生を、解き放ってるのだああああぅ!!」

 

ボーイッシュ少女「「時間を越えて」「やり直す」」

 

呪術師「だから、辞めろおおおおお!!!!辞めてくれ!!!」

 

ボーイッシュ少女「・・・「やり直す」「やり直せる」「やり直せる」・・・」

 

呪術師(っは!!!安直安直安直!!!所詮、小娘!!心の真なる願望を突けば弱い!!騙し討ちしてぶっ殺せしてヤルぅ!)

 

 

再びの言葉の嵐に置かれた少女。「やり直せる」。そんな言葉が吹き叫ぶ。

「報われる」そんな優しい言葉が、はちみつ色に脳みそを浸らせる。

抑えていたのであろう言葉を。叫んでしまいたかった言葉を。爆発させてもいいのだと、少女は理解した。全てがはちみつ色に沈もうとしていた。

 

ボーイッシュ少女「攻撃を・・・中・・・」

 

呪術師(来たああああああああああああ!!!安易安易安易殺害殺害殺害無様無様無様!!!)

 

言葉は沈んだ。だのに、どんなに沈めても沈めても、浮かび上がる言葉があった。

それは、一番憎んだ言葉だったのに、一番気持ちの良かった言葉。

 

(・・・君はすぐ頭に「どうせ」とつける。だから、こっちもそれに合わせて、控えめに控えめに言ってやったんだ。)

 

ボーイッシュ少女「・・・ボクは。「ボクが在る限り、君の小さい小さい味方。ボクが在る限り。」君の親友。」

 

呪術師「・・・あああああああ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!」

 

ボーイッシュ少女「だったらッ!!何も迷う必要なんてなかったッ!!!君の夢の為、ボクは助けるッ!!それだけの言葉があればそれで良かったんだッ!!!!」

 

呪術師「この期に及んで!!!馬鹿馬鹿馬鹿ッ!!!無様すぎるぞォおおッ!!!」

 

ボーイッシュ少女「死ねええええええええええええェェェえ!!!「バハムート」!!「ジールギガス」!!嬲り殺せええええェェェェェ!!!」

 

呪術師「が、ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!」

 

大悪魔の巨大なる拳が呪術師の顔面をぶち割る!!!

 

呪術師ライフ 4000-5450=-1450

Win ボーイッシュ少女 – Lose 呪術師

 

呪術師(馬鹿馬鹿馬鹿!!!後悔しかない未来なのに!!自分が幸せになれる可能性が何一つとして無いのに!!!この馬鹿がああ!!!よくも!!よくも私をぉぉぉ!!祟り殺してやるううう‼‼‼一生を祟ってやるぅぅぅぅウ!!!)

 

無限の怨嗟は届かない。この家の瘴気に充てられて実体化した巨人の剛腕は呪いの言葉が吐かれるよりもも早く体をぶち抜き、手足はひしゃげ、呪術師の体はボロクズの肉塊となった。まるで、それまで祟ってきた者から呪い返しをされた様に。

 

少女は、一線を超えてしまった事に眉もかしげず、瞳に炎を灯した。

座敷牢の鍵を肉塊の中から見つけ。冷静に座敷牢を出る。

もはや覚悟は出来ていた。

そして部屋の中に置かれた鏡を見つけると、一瞬不快なものが飛来する。が、鏡に映る自分の顔があまりに酷いモノに気づき。必死でヘラヘラした顔を作った。

親友を心配させるのは良くない事だから。

 

「・・・漏れ、やっぱ美人だよねwwwヘラヘラwwwテラへらへらwww・・・よし。」

 

そして扉を向く。

そして「やっぱり、やり直せるのは欲しかったなぁ」、と思うと。二度と振り向かないと決め、部屋を出た。

 

第二十話「奇跡の距離」及び「アーティスト」 エンド

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。