遊戯王 決闘探偵 -雲と鉄-   作:T3PO

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第二十一話「だから私は決闘する。」

第二十一話 「だから私は決闘する。」

 

1年前。

 

セントラルタウンのビル。地下アジト。元バーであったその部屋で、仮面神父は客を待っていた。その客は決して表舞台には出ない神父の仕事を知っており、また絶対に他の者の目が入らない場所で会う事を要求してきた。

普段は真っ当な聖職者として教会へ仕える彼の、裏の仕事を知る者は多くない。だのに、彼の電話番号へ名を明かさぬままかけられた仕事の依頼の電話は、彼の半身である「竜姫神サフィラ」を心配させた。

 

サフィラ「本当に大丈夫なのか?」

 

仮面神父「ええ勿論。助けを求める声を恐れて何になりますかねェ。」

 

サフィラ「貴様の事だ。あらゆる方面に恨みを買っていてもおかしゅうない。この前の、あの「デュエレスト」の部長の様に、身元のハッキリした者ならいいのじゃが。此度の者は如何にも怪しいではないか。何かの罠かもしれぬぞ。」

 

仮面神父「おおお!!これは奇跡だ!!姫様が私の事を心配してくださっている!!」

 

サフィラ「馬鹿を言うんじゃあない。貴様が捕まればわらわの目的をも潰える。それだけの事じゃ。」

 

仮面神父「ぅ~ん、今日の姫様、なんてツンデレ。嬉しいですねェ嬉しいですねェ。」

 

サフィラ「実家に帰ってよいか?」

 

仮面神父「ぁぁん唸らないで。それに仮に帰っても、また実りない無責任な「祝祷」を聞くだけですよ?」

 

サフィラ「う。それは勘弁じゃ。」

 

仮面神父「まあまあ。落ち着いて待ちましょう。「出会い」は「奇跡」。繋がりなき「縁」が交える事は神の生業。私達を呼び出した者が善であれ悪であれ。きっと何かを生み出す「奇跡」でしょう。」

 

???「ええ。きっとあなたにとっても悪くない出会いになるハズだよ。」

 

扉を開け、入ってきた者。

それは、全身を黒いコートで包みサングラスにニット帽の所謂、お忍びファッションの女。

 

仮面神父「む・・・貴女がこの度の依頼者ですか?」

 

???「ええ。急に呼び出してしまい申し訳ない。何せ、結構忙しい身分でして。ボクは。」

 

そう言うと、サングラスを外す女。

その顔は・・・

 

仮面神父「おや!!これは確かに奇跡的なご縁だ!まさか聞かずともその名を知っている方が、私の元へいらっしゃるとは!!」

 

アイドル「知っていて貰って光栄だよ。仮面の神父さん。けれど、身分と依頼は関係ないよね?」

 

仮面神父「ええ!勿論!しかし、どこから私の生業をお聞きになったのですか?あまり表沙汰にしたくない故、少しの人しか知らぬ上に。その方々にも安易な他言はしない様に言ってあるのですがねェ。」

 

アイドル「ああ。それね。ボクの所属している事務所の先輩アイドル・・・「ガスタ流」って言ったら分かるよね?あの人に聞いたのさ。」

 

仮面神父「あの方ですか。ああなるほど。確かに彼女も貴女の事を世間話として話していました。しかし、私も見誤ったもの。彼女は口が堅いと思っていたのですが。残念ですねェ。実に残念です。」

 

アイドル「いや、彼女を責めないで。彼女は「何者」かに死ぬほど脅されただけだから。」

 

仮面神父「脅し・・・?」

 

アイドル「・・・例えば、ロープで縛られて。人気のない山に連れられて。服を脱がされてドラム缶に入れられる。」

 

仮面神父「それはそれは。恐ろしいですねェ。まるでヤクザの様」

 

アイドル「そして、蟹を入れてやる。」

 

仮面神父「・・・?」

 

アイドル「蟹を。丸々太ったキングクラブを。生きたままのアイツを、一匹二匹三匹。十、二十、三十。ドラム缶がいっぱいなるまで。手足を這い尽くすまで。視界が赤に染まるまで。蟹を。蟹を入れた、とか。」

 

サフィラ「・・・ッ!!」ぞくッ

仮面神父「・・・それは、真ですか?」

 

アイドル「さあね。まあ蟹なんて高いから、精々5匹ぐらいしか用意できないじゃあないかな?」

 

仮面神父「・・・貴女が。相当の覚悟を持ってこの場に来た事を理解しました。ああ。確かにこれは「奇跡的」な縁ですねェ。」

 

アイドル「君が、「請け負い屋」として超法規的な依頼を生業としているのは知っている。時に強盗、時にボディーガード。時にゴーストライター。時に仮面決闘者の代打ち人。特に、地下決闘での代打ち人として裏社会でも一目置かれている存在。それで合っているよね?」

 

仮面神父「ええ、その様なご評価を頂いています。貴女も何かを依頼したく来たのですか?」

 

アイドル「半分YES、半分NO。ボクの依頼は、この国を使った「デュエルエナジー」の発生。そして、君たちの計画への参加だ。この世を修羅へ落とそうとするその計画へ。」

 

サフィラ「!!」

仮面神父「どこで聞きつけたのか知らないが、お答えしましょう。「No」。私の願いへそう簡単に手を触れさせるワケにはいきません。帰ってください。」

 

アイドル「いいのかい?ボクを仲間に入れればより強力な「デュエル本能を揺さぶるエネルギー」を教えてあげるのに。」

 

仮面神父「・・・」

 

アイドル「「人を決闘修羅へ落とすプログラム」は既に準備出来るだろう。そんなモノ、脳科学の延長戦だ。時間さえかければ作り出せる。けど、そのシステムを人に打ち込んだ時に、それを脳みそまで押し通すだけのパワーは無いんじゃないのかい?ガソリンのないエンジンじゃあ車は進まない様にさ。」

 

仮面神父「それを、貴方が知っていると?」

 

アイドル「勿論。譲ってあげる。」

 

仮面神父「・・・姫様。」

 

サフィラ「ああ。それが一番安全策じゃろう。」

 

アイドル「お、入れてくれるのか、」

 

言葉を言い終わるよりも前に、赤いアンカーが宙を舞う!

ガチャン!!

アイドルの足首を、地獄の亡者が道ずれに掴む様にガッシリと施錠した。

 

アイドル「・・・随分と、乱暴な接客じゃない?」

 

仮面神父「ええ。大変失礼いたしました。けれど、考えませんでしたか?ここは既に「悪党」のアジト。決闘により捉えられ、捕縛され、情報だけを毟り取られる可能性を。」

 

アイドル「考えてなかったね。けど、そりゃそっか。確かに覚悟も見せずに「いーれーてー」は無理に決まっている。それが当たり前。いいさ。見せるよ。ボクの覚悟を。」

 

仮面神父「わざわざお越しのところ申し訳ないですが、貴女には消えてもらいます。この「縁」は悪だった・・・!!」

 

「「デュエル」」!!

 

アイドル VS 仮面神父

ミッシェルガン・インヴェルズ VS 姫神の世界

 

アイドル「先行はボクが貰う。ボクは、場にモンスターがいないから、「フォトンスラッシャー」を特殊召喚。更に、「インヴェルズを呼ぶ者」を召喚!!」

 

サフィラ「ほう。「インヴェルズ」。また、救われないカード群を。」

 

アイドル「2体のレベル4モンスターでオーバーレイネットワークを構築。エクシーズ召喚!!」

 

「インヴェルズを呼ぶ者」×「フォトンスラッシャー」=ランク4ッ!!!

 

 

 

 

「出でよ!ランク4!「キングレムリン」!!!」

 

キングレムリン

エクシーズ・効果モンスター ランク4/闇属性/爬虫類族/攻2300/守2000 レベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。

デッキから爬虫類族モンスター1体を手札に加える。

 

キングレムリン⇒攻撃表示でX召喚

 

アイドル「「キングレムリン」の効果発動!素材の「インヴェルズを呼ぶ者」を送り、デッキから爬虫類族モンスターを手札に入れる。ボクが入れるのは「カメンレオン」。そして二枚のカード伏せてターンエンド。」

 

アイドル(墓地に呼ぶ者、手札にカメンレオン。これで最低限の斬り返しは用意できた・・・。竜姫神サフィラ。そのヤワな身体でボクの侵略を受け止められるか!)

 

仮面神父「ぅん。私のターン。ドロー。「センジュ・ゴッド」を召喚し、デッキより儀式モンスターを手札に入れます。信仰しい姫よ。我が手の元へ!」

サフィラ「吐き気のするのう。」

 

竜姫神サフィラ→仮面神父手札へ

 

アイドル「サーチは上々・・!!」

 

仮面神父「ええ。では罪深き大衆よ!奇跡を自ら起こそうともしない罪人達よ!万雷の聖歌を歌いなさい!!儀式魔法「祝祷の聖歌」!!場の「センジュゴッド」と手札の「緑光の宣告者」を捧げ、我が主「竜姫神サフィラ」様を降臨させる!!」

 

緑色の宣告者 センジュゴッド→リリース!

竜姫神サフィラ→儀式召喚!!!

 

竜姫神サフィラ 儀式・効果モンスター

星6/光属性/ドラゴン族/攻2500/守2400 「祝祷の聖歌」により降臨。

「竜姫神サフィラ」の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが儀式召喚したターンのエンドフェイズ及び、このカードがモンスターゾーンに存在し、手札・デッキから光属性モンスターが墓地へ送られたターンのエンドフェイズに、以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分はデッキから2枚ドローする。その後、手札を1枚捨てる。

●相手の手札をランダムに1枚選んで墓地へ捨てる。

●自分の墓地の光属性モンスター1体を選んで手札に加える。

 

アイドル「出たか!!儀式モンスター、サフィラ!!」

 

仮面神父「ノン、ノン。モンスターではなく、姫神様です。縋ってもよいのですよ。」

 

アイドル「ノー、センキュー。ボクはボクを助けてくれる神様だけに縋るつもりだ。」

 

仮面神父「それは残念です。ではバトル。姫神様。哀れなモンスターへ御光を!!」

 

サフィラ「わらわは働きとうないのにのうー。」

 

サフィラ VS キングレムリン・・・キングレムリン破壊!アイドルライフに200のダメージ!!

 

アイドル「ッ!!!」

 

アイドルのライフ 3800

 

仮面神父「メイン2に入ります。私は魔法カード、「儀式の準備」を発動。デッキからレベル7以下の儀式モンスター。即ち「姫様」を手札へ加える。更に墓地の「祝祷の聖歌」をサルベージ。」

 

アイドル「っは。ガン回ってる!もう二体目の準備かッ!」

 

仮面神父「これでターンエンドです。この際、姫神様のお力を発動。三つの力の内の一つ、デッキから二枚をドローし、その後一枚を手札から墓地へ落とす。正に、「天使の信託」(エンジェルバトン)。ドロー。・・・手札より「儀式魔人リリーサー」を墓地へ送り、ターンエンドです。」

 

仮面神父の場 竜姫神サフィラ 

手札 5枚(内2枚は「祝祷の聖歌」「竜姫神サフィラ」が確定。)

 

アイドル「ボクのターン、ドロー!!」

 

アイドル(…このターンを回すと、奴は2体目のサフィラを呼び出す。しかもそれは墓地に堕ちた「リリーサー」を利用したモノ。あらゆる特殊召喚をシャットダウンさせる・・・。ソレに対する隠し剣もあるが、リスクが大きい、抜きたくはない…ッ。)

 

儀式魔人リリーサー 効果モンスター

星3/闇属性/悪魔族/攻1200/守2000

(1):儀式召喚を行う場合、その儀式召喚に必要なレベル分のモンスター1体として、墓地のこのカードを除外できる。

(2):このカードを使用して儀式召喚したプレイヤーから見て相手は、儀式召喚したそのモンスターがモンスターゾーンに表側表示で存在する限り、モンスターを特殊召喚できない。

 

アイドル(そして恐らく、奴の手札には「オネスト」か「エフェクトヴェーラー」、或はその両方が在る。それでサフィラの効果の発動条件、「手札・デッキから光属性モンスターが墓地へ送る」のスイッチを入れつつ、サフィラの第三の効果「自分の墓地の光属性モンスター1体を選んで手札に加える。」で再度回収。その支配が段々と、真綿で首を絞めるように相手を押し潰す。それが奴のデュエル・・・!けれど、奴はプレイングミスをした!!)

 

アイドル「来い!!「カメンレオン」を召喚!!」

 

仮面神父「ほうほうほう。」

 

アイドル「カメンレオンは召喚成功時、墓地の守備力0のモンスターを蘇生させる。連なれ「インヴェルズを呼ぶ者」!!そして、レベル4、「インヴェルズを呼ぶ者」に、レベル4のカメンレオンをチューニング!!!シンクロ召喚!!!」

 

出でよ!!レベル8シンクロモンスター!!!

 

閻魔竜レッド・デーモン シンクロ・効果モンスター

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2000 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上

1ターンに1度、自分のメインフェイズ1でのみ発動できる。このカード以外のフィールド上に表側攻撃表示で存在するモンスターを全て破壊する。

この効果を発動するターン、このカード以外のモンスターは攻撃できない。

 

アイドル「レッドデーモンの効果を発動!自分以外の攻撃表示モンスターをすべて破壊する!「祝祷の聖歌」なき今、破壊は耐えられないッ!」

 

アイドル(そして効果破壊で潰せば、戦闘での「オネスト」を避けて潰せる!!一気に決め)

 

アイドル「・・・え!?」

 

アイドルの思考より速く駆け巡る一閃ッ!!

朱光の矢がレッドデーモンを射殺すッ!!

 

閻魔竜レッドデーモン→破壊

竜姫神サフィラ→健在

 

アイドル「!?なんで!?効果も無効に!?」

 

仮面神父「申し訳ございません。我が手札より、「朱光の宣告者」を発動させて頂きました。このカードと天使族モンスターを手札より捨てる事で効果の発動を無効に破壊します。罪からは決して逃れないのです。」

 

朱光の宣告者 チューナー(効果モンスター)

星2/光属性/天使族/攻 300/守 500

このカードと天使族モンスター1体を手札から墓地へ送って発動する。相手の効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する。この効果は相手ターンでも発動する事ができる。

 

仮面神父の手札より「朱光の宣告者」「オネスト」⇒墓地へ

 

アイドル「ッ!!お前!!ボクで遊んでくれたな!?その効果を打つなら「カメンレオン」を無効にし破壊でも良かったのに!」

 

仮面神父「フフフ。一瞬の希望を持たせ、それを摘む。悪趣味なのは分かっていますが、いいですねェ。実にいいですねェ。」

 

アイドル(このド腐れ野郎!しかも、捨てた天使は「オネスト」!どっちにしろボクに攻略の手立ては無かったのか・・・!?)

 

アイドル「・・・っく。ターンエンド。」

仮面神父「この瞬間、手札から光属性モンスターが落ちていた事で、姫様の効果を発動させます。墓地より「オネスト」を回収。これで、姫様に無双の力が漲ったも同然。」

 

オネスト→仮面神父の手札へ。

 

アイドル ライフ 3800

場 セットカード二枚 手札二枚

 

仮面神父「ふふふ。私のターン。ドロー。「世界」の準備はおおよそ出来ましたねェ。では、再び姫様を降臨させましょう。手札の「祝祷の聖歌」を発動。墓地の「儀式魔人リリーサー」と、手札の「マシュマロン」の二体で儀式を執り行う。」

 

アイドル「っち!その発動の前にトラップ発動!「侵略の波紋」!!ライフを500払って墓地からレベル4以下の「インヴェルズ」を蘇生させる!来い!「インヴェルズを呼ぶ者」!!」

 

アイドルライフ 3300

インヴェルズを呼ぶ者→守備表示で蘇生。

 

仮面神父「成程。姫の世界が完成し、特殊召喚の一切が封じられる前に壁を張りましたか。ですが、儀式は問題なく成功する。御光臨なり。「竜姫神サフィラ」!!!」

 

二体目の竜姫神サフィラ→儀式召喚。

 

サフィラ「自分が召喚されるのを見るのも変な気持じゃが。自分が二体並ぶのは更に妙な気がするのう。」

 

仮面神父「これで、貴女は特殊召喚も封じ込められ。効果破壊も一度は通らず。戦闘破壊もままならない世界に閉ざされた。それでも、まだカードを握るのですか?今ならまだ、サレンダーによる情状酌量も認めましょう。自らの罪を認めるものには姫の祝福もあるでしょう。」

 

サフィラ「あるのか?」

 

アイドル「・・・サレンダー。何て、いうワケないだろ・・・!!」

 

仮面神父「ああ、実に残念だ。ならば、闘いです!最初に召喚された姫様でインヴェルズを呼ぶ者へ御光を!!それで浄化される!!」

 

アイドル「・・・We Are SteelSwarm。」

 

仮面神父「ううん?何と?」

 

アイドル「ボクは「侵略者」。ボクはもう。躊躇いを捨てた侵略者。どんな世界が立ちふさがろうと、邪魔するものは全て侵略してやる。そう、決めたんだよ!!!その為の第一ステップで、止まっていられるかッ!!こんなところで!!」

 

アイドル「リバースカードオープン!「連撃の帝王」!!このカードは!!相手ターンでのアドバンス召喚を可能にする!!」

 

仮面神父「!?何ですと!?」

 

アイドル「「姫の世界」!!特殊召喚は封じ込めれても、通常召喚は問題なく掻い潜れる!!穴だらけだ!!」

 

連撃の帝王 永続罠

(1):1ターンに1度、相手のメインフェイズ及びバトルフェイズにこの効果を発動できる。モンスター1体をアドバンス召喚する。

 

仮面神父「ッ!!しまった!!この状況で出すのは!!」

 

アイドル「侵略だッ!!「インヴェルズを呼ぶ者」をリリースし、「インヴェルズ・モース」を召喚!!召喚成功時、ライフ1000を払い相手の場のカード二枚を手札に戻す!!」

 

仮面神父「おおお!!姫様たちがぁぁアアあ!!」

サフィラ「あーあー。」

 

アイドル「手札へ戻れ!!二枚の「竜姫神サフィラ」!!」

 

竜姫神サフィラ×2→仮面神父の手札へ。

アイドルライフ 2300

 

インヴェルズ・モース 効果モンスター

星6/闇属性/悪魔族/攻2400/守 0

「インヴェルズ」と名のついたモンスターをリリースしてこのカードのアドバンス召喚に成功した時、1000ライフポイントを払う事で、相手フィールド上のカードを2枚まで選択して持ち主の手札に戻す。

 

仮面神父「姫様が‼姫様ああああ!!」

 

アイドル「まさか、自分のターンに攻められるとは思ってなかっただろ?「エフェクトヴェーラー」すら届かない、道理を破った進撃。これがボク。世界を突き破る侵略の悪意!!「インヴェルズを呼ぶ者」をリリースし、更に特殊召喚を縛っていたサフィラもいなくなった事で、「呼ぶ者」は。デッキから新たなレベル4以下のインヴェルズを特殊召喚する!蠢けよ。「インヴェルズの先鋭」!!」

 

インヴェルズの先鋭 効果モンスター

星4/闇属性/悪魔族/攻1850/守 0

自分フィールド上のこのカードが墓地へ送られた時、フィールド上の儀式・融合・シンクロモンスター1体を選択して破壊する。

 

仮面神父「新たなインヴェルズまで!」

 

アイドル「この先鋭は、墓地に送られた時「儀式・融合・シンクロ」モンスターを破壊する力を持つ!これからサフィラを出したとしても、祝祷の聖歌の防御一回分はすぐに破れる。サレンダーするのはお前の方だ!!仮面神父!!!」

 

仮面神父「・・・」

 

アイドル「何もないならボクのターンだ。ドロー!手札から、インヴェルズの先鋭を召喚。二体の先鋭でオーバーレイネットワークを構築!出でよ、「ヴェルズ・オピオン」!!効果で素材を落とし、デッキから「侵略」カテゴリーのカードを手札に入れる。ここまでくれば、攻めだけで良い!侵略の反撥感染を手札に入れる!!」

 

仮面神父「来なさい。全て、受け止めましょう。」

 

アイドル「バトルだッ!!インヴェルズ・モース!!ヴェルズ・オピオン!!ダイレクトアタックだッ!!」

 

仮面神父「ぐ・・・ぐおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

仮面神父ライフ 4000-(2550+2400)=-950

 

仮面神父Lose – アイドルWin

 

仮面神父「・・・ふう。まさか。あの段階からの逆転を許すとは。姫様、申し訳御座いません。この様な無様な決闘をしてしまい。」

 

サフィラ「許す。元よりわらわは慈悲と奇跡を司る姫神。そんなモノ、許すに決まっておるじゃろう。」

 

仮面神父「ありがとうございます。」

 

アイドル「これで。ボクの覚悟は分かったでしょ?君達の計画に入れてもらうよ。」

 

仮面神父「・・・いいでしょう。確かに貴女の力は本物だ。修羅と化す覚悟も、自身の成す悪を明確に理解している。我が計画「修羅三千世界」を推し進める使徒と認めます。」

 

アイドル「使徒ねェ。そりゃカッコいいなw。」

 

仮面神父「しかしですねェ。まだ話してもらう事があります。ところで。貴女を動かす、その激情。それは何ですか?そして、貴女は最初に「デュエルエナジー」を獲得する事を依頼にしていました。そのエナジー。何に使うつもりですか?」

 

アイドル「・・・。」

 

仮面神父「辛いでしょうが。それが分からない限り、協力は出来ません。私とて、貴女を神父として救いたいのです。その為には。それを聞く必要があります。」

 

アイドル「・・・分かったヨ。ボクの目的は。本当に馬鹿げた夢物語なんだけれど・・・。ボクは。」

 

「時を越えて、総てを在るべき形にしたいんだ。」

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

現在 喫茶店 「タイムカプセル」

 

お嬢「時を・・・越える・・・?」

 

仮面神父「ええ。その通りです。私のクライアントであり同士であるアイドル様はそうハッキリと言われました。」

 

お嬢「そんなバカな事。出来るワケないでしょ!」

 

仮面神父「確かに、馬鹿げていますねェ。しかし、彼女は言いました。「完成した呪術 カードの精霊となればその呪法すら司る」そんな力が在ると。」

 

お嬢「・・・ッ。」

 

 

 

お嬢「それじゃあ。貴方達の計画は・・・。」

 

仮面神父「ええ。その通り。同じ方角を向いていても、実のところ降りる場所は違います。彼女は決して世界が「決闘修羅」に沈むことを望んでいません。ですが、私の計画によって世界中が「決闘修羅」となれば自然と莫大なるデュエルエナジーが溢れます。彼女の目的は、かつて呪術師の一族が「グリムロ」を降臨させようとしたのと同等の。いやそれ以上の荒行が必要です。そしてそれには「デュエルエナジー」が必須。それだけの事です。」

 

お嬢「そんなバカげたことの為に。アイドルさんは全て捨てて。他者の誰もを捨てて。」

仮面神父「逆ですねェ。捨てるも何も、その為に生きてきたのです。例え絵空事の奇跡だとしても。だから彼女は決闘してきた。」

 

仮面神父「同情しろとはいいません。そして、「悪い奴なんていなかった。」とも言いません。我々の計画は関係のない全ての人物の意志に背いています。まさしく「悪」。ですが、それだけの妄執。誰が否定できますか?否定する資格がありますか?」

 

お嬢「・・・」

 

仮面神父「さて。話を大きく戻しましょう。我々はそんな思いで集い、悪を成しています。貴女も、その野望の為に善悪を越えませんか?我らと共に、「デュエルで一つになる世界」を創りませんか?」

 

 

・・・きっと。「永劫」の闇の拷問を受けていた時のアイドルさんも。こんな脳内を言葉の嵐に置かれていたのだろうか。

私に飛来する様々な言葉。「野望」「夢」「決闘」「憧憬」「道徳」「同情」

 

不意に気づく。ああ、そっか。・・・やっと。やっと私は、「理由」を見つけた。

 

仮面神父「さあ。答えは?」

 

お嬢「答えは・・・答えは、」

 

私だから言える、「闘う理由」。それはきっと・・・

 

「NO.」

 

仮面神父「・・・ワケを聞きましょうか?」

 

お嬢「ええ。そうね。・・・貴方の言う通り。私は世の中の大体の事に心は燃えなかった。デュエルだけが心に火を付けたし、世界中の誰もがデュエルだけを楽しめるなら、それは幸せだと思う。どんなに楽でしょうね。決闘だけで全てを判断して、後悔や葛藤を忘れられる世界は。」

 

お嬢「けど。もし世界中の誰もがデュエルだけで判断するのなら、それじゃあ誰もかれもが「私」の美しさを。「私」の魅力を語れないじゃない。」

 

仮面神父「はい!?」

 

お嬢「貴女の言う「修羅の世界」「本能の世界」には、「勝ち」か「負け」しかない。だって「迷い」や「判断」からなる「後悔」を処理するなら「勝敗」があれば十分なのだから。けど、私は違う。私は「魅せたい」のよ。決闘で全ての人を。」

 

お嬢「「魅せる」というのは、勝つ事でも負ける事でもない。如何に、カタルシスを掴み、痺れさせるか。そして惜しみないファンサービスで満足させる事。例えそれが、負けだとしても、私の決闘は「意味」がある。」

 

お嬢「貴方だって分かるでしょう?思わぬコンボの裏の、決闘者の血と汗と涙の努力。工夫への関心。握りしめた古びたカードの裏にある長年の相棒への愛情を。ギリギリで、必死で抵抗して、それでも「神の警告」一発を越えれらなかった時のやるせなさ。そこには、美しいだけじゃない「魅せる」何かがあったのよ。」

 

「汚いメタを張ってまで守る者の為勝ち続けたプロの頃のお師匠の様に。燃え尽きた後の気力ない人生でも、それでもカード握れば心が高鳴ってしまう今のお師匠の様に。」

「最高価格500円のデッキやストラクチャー三つで作ったデッキの悲哀と怒り。私の見聞を広めたわ。」

「カッコいいロボッ!新しいカード!お子様ランチの様に無邪気で無節操な愛らしさは、私じゃ絶対に演出できない。」

「馬鹿げた情熱を、そのまま甲冑と踊りで表そうとした愚かさ。貴方知っている?」

「中年部長は傲慢さと悪趣味を隠そうともしないし、それ故に見ている人を激情させた。」「「ベエルゼ」のタフさ。安定さ。押し潰すような決闘。それを心から愉しむアイツだからこそ、如何に攻略してやろうかと燃えるのよね。」

「グランエル使いのあの人は、自分の不安定なテンションを最大に楽しむために、あんな出鱈目で豪快なライフを廻る人形劇を選んだのだわ。」

「喪服の呪術師は、自分の「絶望」を、「希望」という名のモンスターになぞらえた。」

「抗えなかった人生と少しだけの抵抗を乗せて、「決闘」。だから、まだグリムロの女は「生きている。」

「何がインフォメよ。何が侵略よ。下らないロココ様式のドレス。でも、ちょっとロックに思えるのよね。敵ながら天晴。褒めておいて、彼に。」

「アイドルさんの決闘は。湿っていた私に火を付けた。それはきっと、あれだけの絶望を背負って尚、まだデュエルを楽しんでいるから。本気で目の前の壁を「侵略」しようとしているから・・・いや違う。きっと、この世界をも壊してしまう程の激情の一欠片を、デュエルに乗せているから。」

「貴方の決闘に感じる、竜姫神サフィラへの愛と信仰。それから、「完璧な世界」を決闘の中だけでも生み出そうとする行為。きっと貴方も相当に救われない人間なんだって、決闘すればそんなの理解る。」

 

仮面神父「・・・」

 

お嬢「全てに意味があるの。動作。仕草。ミス。容姿。そんなモノも含めて全部。いえもっと、「信念」「誇り」。いやもっと、「後悔」「迷い」「怒り」「傲慢」。それらが在るから私は彼ら彼女らに「魅せられた」。」

 

お嬢「それには意味がないのよ。決闘の理由を本能に任して、「迷い」「葛藤」を決闘の勝敗へ放棄した任した世界の決闘では。確かに、お師匠やアイドルさんが、「彼女」の事を決闘で勝ったり負けたりして、スッポリ「もうやーめた。決闘に負けたんだから、「博物館」はぶっ壊す」したら、随分楽ね。ある意味、それを私は勧めたい。けれど、「ぶっ壊した」後、「彼女」を捨てた事に何の後悔もないのなら、それは最低。」

 

お嬢「お師匠達は間違っている。けど、それでも彼らの間違った人生後半の行動には意味があった。その間違えた「意味」が決闘の中で魅せる欠片になるのよ。」

 

お嬢「だから、私は決闘する。迷える子羊に、精一杯の感動を与える為に。私に縋る事で、一時現世から解放されるのよ。背負い抱えたどうしようもなさから。「距離」を感じる孤独な心から。一瞬の間だけ。一瞬でも何か「熱いモノ」に感動できたなら、背負ったモノが重くてもまた明日へ迎えるわ。私と言う「魅力の決闘」で。それが私の「決闘による世界征服」「この世界一の決闘者」「激動の決闘」よ。」

 

お嬢「だから、貴方達の計画には乗れない。その計画の果てに「葛藤」はないし、決闘ウイルス如きで「迷い」も「意志」も無く決闘する世の中に、魅力は無い。決闘の魅力は、闘う者も観る者も、葛藤があるから生まれるの。そんな世界。No Thank You。Ok?」

 

仮面神父「・・・」

 

お嬢「自分だって、整理出来てない。滅茶苦茶な事を言っている、自覚してる。けど、ここで貴方の提案に乗れば、乗らなかった事を後悔する事すら出来なくなる。そう思ったのよ。」

 

サフィラ「馬鹿マスターよ。おぬしの負けじゃ。このお嬢ちゃん、ある種お前よりも狂信者であったぞ。」

 

仮面神父「・・・フフフフフ。はははははははははは!!!まさか、真っ向から斬られるとは思いませんでした!!そうですか、「魅力」。確かに、私の思い描く世界にその概念は無かった!!成る程成る程。それじゃあまるで反対だ。おお。それじゃあ貴女とは食えぬなァァ!!ハハハはは!!!」

 

お嬢「ええ。そうね。貴方と次会うときは。」

 

仮面神父「ええ。次会う時は。戦場ですねェ。」

 

お嬢「支払い、お任せするわよ。サフィラさん。またお会いしましょう。」

 

サフィラ「おう。わらわもお嬢ちゃんとまた会えるのを楽しみにしとう。じゃあの。」

 

・・・

 

サフィラ「これで、貴様の思惑は外れたのう。候補だった「柱」はいなくなった。」

 

仮面神父「ええ。そうですねェ。悔しいですねェ。・・・ならば、次の策へ往きましょう。」

 

サフィラ「ほう?いつになく、切り替えが早いのう?」

 

仮面神父「いやですねェ。あのお嬢さんと。次の場面で会う事が、非常―に楽しくなってしまったのですよ。ラウンド2です。行きましょう。「修羅」はもう近い。」

 

・・・路上。

 

一人、晴れ晴れしい顔で歩くお嬢。

 

お嬢「・・・やっと見つかったわね。私の決闘する「理由」。私は、魅力ある世界を守る為に。征服するために。闘う。そんな簡単な事で良かったんだわ・・・。さ、お師匠の具合を確かに行きましょ・・・携帯。着信履歴あるわね。そばかす娘から・・・」

 

Pi!

 

お嬢「・・・もしもし。私よ。着信履歴あったからかけ直したの。今からそっち行く・・・え。・・・・・・・。」

 

 

ショックのあまり電話を落とす、とまではいかないけれど、言(葉を)絶(やす)させるには十分な報告。しぜんと反覆してしまっていた。

 

「お師匠が、病院から脱走した・・・!?」

 

 

第二十一話「だから私は決闘する。」エンド

 

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