マキマさん顔で行く、進撃の巨人   作:トロマグロ将軍

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一年もエタりましたこと、お詫び申し上げます。

言い訳をさせて貰うとすれば、今の章の次がほぼオリジナルストーリーで書いてまして。一から物語を作るのが大変すぎて……もう難航に難航で。なので気分転換で一度筆を置くと……後はもうね……という感じです。


投稿しよう、そうしよう!と、思ってはいたのですが、気づけば一年過ぎちゃった、、、


そんな中、最近話題のレゼ編を視聴して、マキマさんとレゼ、二人からパワー(煩悩)をもらうことでエンジンの火が再びつき始めました。それで次章の形がようやく見えてきたので、また投稿した次第です。

あと、これまでの話における主人公のセリフなどを変えました。もう少しマキマさんの口調に寄るようにしてます。ストーリーの大筋は変えてないです。

要約すると、私の小説は見なくてもいいけど、レゼ編は見てください!




14:赤色劇場は、嘯く

 

なんか結局捕まえちゃったよ。

 

 

「放せ憲兵のクソ野郎が、ぶっ殺してやる」

 

 

 一人の少女が私に抑えつけられて腕の中で暴れていた。手入れを怠っている赤毛の髪が私の手に当たるのがこそばゆい。キッと私を睨みつけるその面貌はまだまだ幼いようだ。

 

私が取り押さえているこの子は、おそらくイザベル・マグノリア。なるほど進撃の巨人のOVAで見た通りの顔。

 

 リヴァイ達を捕まえる気なんてなかったのに。もう、本当にこの子のせいだよ。地下街の天井を見上げてため息をついて、そしてどうしてこうなったか私は振り返った。

 

 

*******************************************************************

 

 

時は遡って、数刻前のこと。

 

 

 

 今日も今日とて、私は地下街に出勤していた。地下街の支部局に到着すると、早速支部長のおじさんからありがたい訓戒を受ける。長々と続いたその説教を要約すると、早く本命のホシを挙げろとのことだ。私がリヴァイ達ではなく、他の犯罪組織の事件に首を突っ込んでばかりなのが気に食わないらしい。早く早くとリヴァイ達を捕まえるよう催促してくる。

 

 その文句を拝聴した後、私と二人の部下(本部から連れてきたマキマ子飼い)は、なるべく地下街の汚い場所を重点的に捜査を開始する。

 

なんで汚い場所だったかというのは、リヴァイは綺麗好きなので単純にそんな場所にはいなさそうだなと思ったからである。リヴァイと遭遇しないようにマキマが考えた苦肉の策だ。

 

バカだろ、安直だろ。と思ったそこの君、リヴァイのアジトがどこか、原作でも書いてないし、しょうがないもん。部下を連れて、今日は賭博街でも捜査しようと考えていたのだが、そこに向かう途中に近くで強盗事件が発生する。

 

「憲兵! 強盗だ! 来てくれ!」と呼ぶ声と周囲の目があってさすがに予定を変えて急行せざるをえない。

 

急行してみれば、地面には地下商人の護衛と思われるのが複数のされており、そして逃げようとするリヴァイ、ファーランとまだ店の中でゴソゴソしているイザベル(~少女強盗中~)がいた。

 

 

これはビンゴだ。デカくて目立つ景品を当ててしまった時のような。インパクトは大きくて、みんなにおおっ!って言われて嬉しくなるけど、冷静になると、これ持って電車乗るの?とか、こんなの普段使わないし、邪魔くない?ってなるようなヤツ。えーと、あれれ、どういう状況だっけ? あー、とりあえずこれ言っとかなきゃ。

 

コンニチハ。チョット、オハナシイイデスカ?.....

 

 後ろで発砲音。部下二人、彼らが最優先ターゲットであると確信して、銃を撃ったようだ。なるほど私が呆然として一向に指示を出さないので、部下たちは自分たちの思うように捜査をしていいと思ったのかな。

 

(別に後方上司面したわけじゃないのになぁ)

 

憲兵の発砲にリヴァイとファーランはとっさに物陰に隠れた。それに対して部下二人は店の中のイザベルを封じ込めて捕まえる構えをする。

 

しばしの睨み合いはすぐに破られ、部下たちは店内に突入した。残りの男二人を私に任せて、イザベルの確保を優先させたのだ。するとファーランは落ちていた酒瓶を私に投げた。その間にリヴァイが部下の二人に突っ込む。私はリヴァイに発砲するが、なぜか当たらない。ドウシテカナ?

 

部下二人を蹴りとばした隙にリヴァイが「散開しろ」と一声言って、3人が店から立体機動でそれぞれ別方向で離れていく。たえず手慣れた連携だった。ベストチームだと心中でグットサインを出そう。だから早く逃げてくれ。

 

私は油断したことを部下に謝って指示を出した。部下はマスケット銃を背中にしょって、後を追う準備をさせる。それで私は一番離れるのが遅かったイザベルを目標にして、立体機動で追うことに。対して部下たちにはそれぞれリヴァイとファーランを追うよう指示を出した。

 

ここでの逃走劇では、地の利は向こうにある。リヴァイやファーランの下町仕込みの立体機動に部下たちは追いつけないだろう。あとは私がイザベルに対して手を抜けばよい。そうすれば意図的に三人組を見逃すことにできるだろう。

 

 

 私はイザベルちゃんを追っていたが、その背中を尻目に立体機動のスピードを徐々に落としていく。だがそれをいいことに、なんと彼女はにやけ顔で、宙返りを繰り返したり、手を振ったりして明らかな挑発をしてきたのだ。なんたる行為だ。当方としてはこのような挑発に対して強く遺憾の意を表明する。

 

(*´Д`)はあ、しょうがないなぁ。

 

お返しとして必殺技横4回転半ジャンプを披露する。それを見てイザベルちゃんが驚いた顔をしているが、ぐぬぬと今度はバク転を披露してきた。

 

 

「遅っせw。ほ~らほら、ざぁこざーこペンペンペン。もう疲れちまったのかぁー? 俺様のレッスンは始まったばかりだぜ」

 

 

「……」

 

 

逃亡中にも関わらずお尻ぺんぺんで煽るメスガキ盗賊。

対してマキマもマキマだ。一見冷静だが、口撃はしっかりと効いており、立体機動を握る手に力が入る。

 

そして彼女たちの不毛な魅せプ飛行ショーがしばし続く。

 

だがマキマももう19歳のいい大人。程度の低い煽り攻撃から我に返って本来の目的を思い出す。なのでアンカー射出をわざとミスって墜落させた。みるみると体勢を崩して(ように見せかえて)私は落下していく。

 

幸いにもシェードの布や物干し竿の洗濯物に体がぶつかり、落下の勢いは下ちていくが、それでも屋台を開いていただろうリヤカーにすごい音を立ててぶつかってしまう。 

 

あーあ、リヤカーがぐしゃぐしゃだ。いてててて.....

 

 

「売りもんが台無しじゃねぇか! 物売るってレベルじゃねぇぞ。どうしてくれんだ! ここは憲兵が威張れる場所じゃねぇ。分かってんだろうな。弁償しやがれ!」

 

 

雑貨を売っていたらしい屋台の旦那が心配して声をかけてくれる。地下街にも優しい人がいるらしい。

 

 

「……すいません。売り物がダメになったでしょう。少ないですけどお詫びです。受け取ってください」

 

 

リヤカーをつぶしてしまったことに対して持っていたお金を渡す。目をしっかりと合わせて、手をそっと優しく握ってお金を渡す。どこからかゴキャと音がなってるようだ。

 

 

「こんだけか? あん? おぅ、イッ、痛てぇ! てめぇ放せ!・・・・・・ぐぅぅ放しやがれ! は、放してください! ぎぃぃ! お、お金これだけで大丈夫ですぅ! 本当すいませんでしたぁ! 放してぇ、お願いしますぅ!」

 

 

「ご協力ありがとうございます。・・・・・・では私はこれで。良い一日を」

 

 

災難だったけど、これでちゃんと追っていたことの証明になるだろう。全身ほこりだらけで制服は一部破れており、そこには血がうっすら見えている。

 

アレレ、オカシイナ。私の立体機動壊れてるよ。レバーが片方反応しない。さっき地面に激突したんだし、ショウガナイネ。これでは確実に捜査続行に支障をきたすなぁ。うん、今日の捜査はここまで! 事務所に戻ろうか。

 

よろよろと歩く演技をしながら通りを進む。すると曲がり角から声が近づいてくる。

 

 

「フン、そこそこやるようだったけど、俺様の立体機動術に見とれて墜落するなんて馬鹿な憲兵だったぜ。あいつ絶対死んだな。でも・・・・・・ガス使いすぎちまった。あーあ、兄貴に調子乗りすぎだってまた怒られちまうよ。まあ、しょうがねぇな。撒いたことだし節約して歩いて集合場所に行くか」

 

 

ドンッ

 

 

「イッてぇな、ちゃんと前向いてあr、うわぁーー!」

 

 

もういいよ(白目)

 

 気づいたらこのメスガキをすばやく押し倒して手錠をかけていた。だって、町の人にみられてたしさぁ(涙目)。もう面倒くさくて、とりあえず捕まえてしまったよ。

 

 

そして冒頭のシーンにもどるのだ。

 

 なんでこうなっちゃうかな。わざと墜落してまで逃がそうとしたのに。本当に私の迫真の演技を返して欲しい。何のために自分で立体機動装置を壊したと思ってるの? 憲兵の備品とはいえども、装置を壊したら始末書を書かないといけないんだよ。せっかく始末書覚悟で壊したのに。

 

イザベルちゃん、マジで油断しすぎ。 

 

考えているうちにもイザベルはずっと喚いている。

 

 

「クソ憲兵、俺がボンベを外している時に捕まえるなんて、ズルだ! 放せ! さっき負けたくせに! 大の大人が恥ずかしくないのかよ? この卑怯者!」

 

 

「少し静かにしなさい」

 

 

「ブッ」

 

 

あんまり騒がれて、人が集まって来られても困るので無理やり口をふさいだ。

 

 

「今から君に質問するよ。ちゃんと聞かれたことだけ答えること、できるならうなずきなさい」

 

 

イザベルはなおも首を振って抵抗するだけだ。

 

 

「気絶させちゃうよ」

 

 

片手を後頭部に添えるとやっと抵抗をやめる。もう一度「できる?」と聞くと、怯えながらイザベルはすばやく首を縦に振る。

 

 

「じゃあ、まず私が取り押さえたとき、痛くなかった? ケガしてない? 強く押さえちゃったから」

 

 

「えッぅえ、少し痛かったけど.....あっ、うそ、めっちゃ痛かった! 死ぬかと思った!」

 

 

「そう、なら大丈夫だね。……君はいつもあのようなことをやっているの?」

 

 

「あぁあ.....、そうだよ! わりぃかよ! こっちは生まれた時から食ってくのに必死なんだ、お前らと違っt、ブッ!」

 

 

「そうなんだ。じゃあ次はいつもどこに住んでいるとか、君たちのアジトとか教えてもらえるかな?」

 

 

「プハッ、はぁ!?、俺たちのアジトなんか死んでも言わねぇ! 拷問されたって憲兵にチンコロなんてするもんか!」

 

 

う~ん、まぁ、そうなるよね・・・・・アジト近くにリリースしたかったんだけど、でもこの子をこのまま連行するわけにもいかないし。

 

 

「クソ、兄貴がいてくれたらお前なんてイチコロなのによ」

 

 

「その兄貴ってそんなに強いの?」

 

 

「ああ、滅茶苦茶強いぜ。喧嘩で負けたことなんか見たこともないね! いつもシュンッ、だよ! お前らが頼みにしている敏腕捜査官でも、兄貴には~敵わないぜ」

 

 

シュンッ、ね。リヴァイってこの段階でも相当強いのかもね。普段側にいるイザベルがここまで言うんだから。ん? 頼みの捜査官って誰のことだろう。

 

 

「敏腕捜査官?」

 

 

「なんで憲兵のお前が知らないんだよ。ここ最近地上から出しゃばってきた憲兵で、ついこの前にはメイルストームのシマの酒場をほぼ一人で壊滅させたって聞いてるぜ」

 

 

「もしかして酒場ってトーテンタンツのこと? あそこを掃除をしたのは私だよ」

 

 

「……う、嘘だ!お前なんかが、一人でできるわけがねぇ」

 

 

「部下二人が刺されちゃって、私をいやらしい目で見てくるし……最低だったな」

 

 

マキマはため息をついて思い出すように言う。

 

 

「……それでッ、どうしたんだよ?」

 

 

「うん? 突入したすくにタムタムってやつが部下を刺してね。時間もないし、理性もないし、人数も多いし。だから細切れにするしかなかったの」

 

 

いや、そんなやばい酒場だって知らなくてさ。喉を乾いたから「ビールもらえますか」って店探して立ち寄ったら、いきなり戦闘だよ。やばいエリアだとは聞いてたけど、特に憲兵が入っちゃいけない場所だったみたいだ。

 

 

犬に噛みつかれたような感じで事を語るマキマに、イザベルはビビり始めていた。

 

 

「そ、そっかぁ、あんた綺麗な見た目によらず、やれる口なんだな……」

 

 

ここでイザベルは思う。

 

――――まじかよ!こいつ憲兵のくせに殺しも厭わないヤバいやつかも.......。もしかしてここで連行もされずに尋問されてるのって、情報聞き出して、そのまま手打ちにされるってコトじゃね?

 

そうイザベルがそう思っても仕方がない。

 

 彼女は幼いころ、顔見知りの孤児たちが盗みに失敗して捕まり、大人たちにボロ雑巾にされ、そのまま冷たくなっていくのを何度も見たことがあるからである。

 

そこでイザベルは、マキマに掛けられた冷たい手錠を見つめながら必死に打開策を思索する。軽い頭を必死に動かすと、天使が舞い降りたように一つの案が浮かんでくる。

 

これだ! これしかない! と彼女は早速口を動かし始める。

 

 

「待ってくれ! 俺は、本当はやらされてただけなんだ。家族が人質に取られて、身のこなしがうまいからって盗みに協力させられてるんだ。助けてくれよ、憲兵の姉御!」

 

 

「家族なんているの? うそはよくないよ?」

 

 

「う、うそじゃねぇーよ。い、妹がいるんだ。本当だぜ(汗)」

 

 

「イモウト?」

 

 

「そ、そうなんだ、だから本当は人様から盗みなんてやりたくねぇんだ。だからその妹を助けてくれたらアジトの情報とか全部話すよ」

 

 

「助けに行くって今から?」

 

 

「そうだ。俺が戻って来なかったら、今晩でもすぐに妹は殺されちゃうんだよ。い、妹を助けた後だったら情報も吐くし、お縄でも豚箱でもくらってやるよ! なぁ、頼むよ。信じてくれ、憲兵の姉御!」

 

 

フーン、イモウトネ、イモウトガイタンダ。シラナカッタナ。

 

――――噓だ! 嘘つきだ! ウソ何とか罪で、逮捕だ逮捕!

 

 

イザベルが必死に考えた嘘も、悔いなき選択のストーリーを知ってるマキマの前では何の効果もない。おそらく彼女には血の繋がった肉親はいなかったはずだ。自分を出し抜くために必死にウソをつく少女イザベルに、なんならマキマは少しイジメてしまいたいという感情が生まれていた。

 

 

「デモ、サッキ、キミイチバン、ガメツイテ、オカネトッテタヨネ?」

 

 

「アッ、、あれ、は、えっと、そ、そう、一番危険な立ち回りを強制されてただけだ!」

 

 

「サッキハ、アニキブンノコト、スゴイシタッテル、ヨウニカンジタケド」

 

 

「えッ、ちg、ちがうんだ、あれは、そう、おだてて、ゆ、油断させて、いつかぶ、ぶっ殺そうと思ってたから、さ、そ、その癖でさ」

 

 

(これが、かのメスガキを分からせたいという衝動なのかな)

 

自らの一言一句でビビリ散らかすこの赤毛の生き物を前にして、そんなことを考えてしまうまでにマキマは至っていた。

 

 

「た、頼むよ! 優しそうな憲兵の姉御、い、妹はたった一人の家族なんだ。信じてくれるだろ?」

 

 

(吹き出しちゃいそう。ただ私の表情筋は死んじゃってるんだけども)

 

 だがこの話に乗るのはマキマにとっても悪いことじゃない。おそらくイモウトがいる場所にリヴァイがいるのだろう。つまりそこでこのメスガキをリリースすれば、ミッションコンプリートだ。

 

それに確かに『嘘も方便』だよね。いいこと思いついた。

 

 

「分かったよ。妹ね。奇遇だね、私もイモウトを探しに来たんだ。私はマキマ。君の名前は?」

 

 

「え?……あーう、うん、ありがとう、俺はイザベルだぜ! おぼえてとk……おぼえておいてもいいぜ」

 

 

「じゃあ、イザベルちゃん。妹さんがどこにいるのか案内してくれる?」

 

 

「……いいけどよ、その前に手錠を外して欲しいんだけど」

 

 

「う~ん、逃げちゃうかもだからダメだよ」

 

 

「ちぇ」

 

 

「他に家族とかはいたりするの?」

 

 

「知ってる限りはいねぇよ、家族なんてな。親の顔だって知らねぇ、気づいたらこの地下街をさまよってた」

 

 

「そうなんだ」

 

 

マキマはイザベルを立ち上がらせる。イザベルの後ろに回した腕をとって、彼女の後ろをとる形で二人で歩きだす。憲兵と犯罪者らしく、しばらく二人は無言で歩く。イザベルの案内通りに進んでいくと、次は通りからそれて、ひとけの少ない路地に進むように言われる。

 

 

そんな時にイザベルが話しかけてきた。

 

 

「手錠外して、二人で立体機動するってのはどうだ? 早く着くぜ」

 

 

「私の立体機動壊れちゃったし、ダメだよ」

 

 

「他の憲兵の応援は呼ばないのか?」

 

 

「君の妹さんが囚われている様子を確認できる場所まで行ってみて、それから考えようかな」

 

 

「てか、アンタ墜落してたけどよく無事だったよな、マキマさんよ」

 

 

「うん、あれは運がよかった。……うーん、今日は体が調子悪いみたい」

 

 

「オイオイ、生理ってか? そんな時に捜査って憲兵も大変なんだな」

 

 

「……イザベルちゃん、女の子なんだから、もっと言葉遣いをよくした方がいいと思うよ」

 

 

「……し、知り合いにもよく言われる」

 

 

「男勝りもいいけど、可愛いイザベルちゃんも魅力的だと思うな」

 

 

少しいじけた表情をするイザベルを見て、マキマは訓練兵時代の短髪の二人の女性のことを考えてしまった。

 

 

「いつからこんなことをしているの?」

 

 

「3人組のことか?、それとも盗みのこと?」

 

 

「どっちも」

 

 

「……言っておくけど今日のは正確には盗みじゃねぇかんな。あれは商人の豚がこれ以上太りすぎないようにしてやってるだけだ。たまには餌を抜いてやらないと健康に悪いからな。俺たちに寄付させることで、奴らの心も体も綺麗にさせてやるんだ。その過程で俺たちの腹も膨れるってだけ。ウィンウィン。まさしく、じぜんじぎょうってヤツだ」

 

 

イザベルは得意げに言う。だがどこかたどたどしいのは、誰かの受け売りなのだろう。それを突くようにマキマは話した。

 

 

「……君を牢屋で心身ともに綺麗にさせてあげて、もらった給料で私が美味しいものを食べるのは慈善事業?」

 

 

「……え、えっと、ひ、ひとに寄付させるのは物心ついたときからだ。ここで孤児が生きていく方法は少ねぇし。3人組で強制させられるようになったのは、えっと、半年前ぐらいから、か、かな」

 

 

「そっか、地下街で暮らすのはやっぱり大変なんだね」

 

 

「……同情してんのかよ」

 

 

「少しは」

 

 

「……うるせぇよ、何にも分からないくせに。地上の人間にだけは同情してほしくねぇ。俺たちの辛さは地上の奴には絶対分からないんだ。それに俺たちはゴミ溜めにいようとも、精一杯生きてるんだ。少ないけど楽しいことだってある。だから今度クソみたいな同情すれば、お前の小綺麗な指を噛みちぎってやる!」

 

 

突然のイザベルの激昂。マキマは彼女の噛み締められた表情をじっくりと見る。

 

その表情の中にはこの泥臭い地下街で生きる、残酷でありながらも屈強な心意気が垣間見えるようだった。そんなイザベルは、強風が吹いても消えることのない火を心に灯している。その灯の火は、これから会うだろう目つきの悪い人から、継いでもらったのだろうか。

 

 

「……君は強い子なんだね。気を悪くしたのなら悪かったね」

 

 

そういうとマキマはイザベルの赤色の髪を優しく撫でる。

 

 激昂していたイザベルだが、憲兵に謝られると思わず唖然とする。そして頭に手を乗せられる。ギョっとするも、すぐに彼女の兄貴分に撫でられるような優しいものだと分かり、どうしたらいいか分からなくなってしまう。依然として手錠をかけられたイザベルの両手は、マキマの撫でる手と反対の手で押さえれている。イザベルには何もすることができない。その状態でイザベルは顔を振り返る。

 

この地下街じゃ見たことないほど美人の憲兵が、微笑んでいる。ぐるぐると回る黄金色の瞳が何を見ているか分からない。あ、彼女と目が合う。時が遅くなる。まるで自分の中の深いところまで見据えられているようだ。あ、あ....。

 

すぅーと、マキマの顔が近づき、イザベルの耳元で囁く。

 

 

「撫でられるのに慣れている顔だね。もしかして仲間の兄貴とか金髪の人なんかによく撫でられてるのかな?」

 

 

「うひゃ、あぅ、う、ん、ぁ、ち、違う、あんなやつら、な、なかまじゃねぇって! 黒髪のチ、チビはいつも目つき悪くてぶ、不愛想だし、金髪V字野郎は上から目線でう、うぜぇし」

 

 

――――少し本音混ざってない?

 

 

「 .....デモ ソンナニ ワルイ ヤツラ ジャナイ 」

 

 

騙している憲兵に聞こえないように、ほんの小さな声で呟かれた言葉を、マキマはちゃんと聞き取っていた。

 

――――やっぱ、本音なんじゃん。

 

 

「やっぱり可愛がられているみたいだね」

 

 

チャキッ、ぴっーーー!

 

刃が抜かれる音、そして笛の音がほぼ同時に出る。

 

 

「えっ」

 

 

イザベルには、マキマが耳元で言ったさきほどの言葉の意味が理解できない。そして次の瞬間だった。何者かが上から降ってきて金属と金属がぶつかる音が鳴る。

 

 

「俺たちの妹分を勝手に可愛がるのはやめてもらえない、かなッ!」

 

 

 




今年中には、あと2~3話出せる……かなと思います。本当、頑張ります。


マキマさんと題していながら、自作を読み返すほど違うな~と思ってしまう。映画のマキマさんは可愛い不気味過ぎです。レゼはあざと可愛いすぎました。
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