聖少女暴君   作:うお座の運命に忠実な男

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4-12 ハメはルール違反です

 超必殺技が極まったあともキースとフランクの距離はそれほど離れていない。

 

 九条さんはすごかった。劣勢のまま後退するのを良しとせず、逆に前ダッシュで近づいた。フランクは接近戦が苦手だが技が存在しないわけじゃない。連続技(コンボ)のテクニックを彼女は持っている。油断すれば一瞬で負ける。

 

 フランクがキースに接近して連続技を極めようとする。

 フランクの魔杖による攻撃よりキースの手刀のほうが早かった。

 

「よいしょ。くるくるっと」

 その手刀のモーション中に必殺技のコマンドを入力する。レバー一回転+パンチ。くるくるとキーを回す。

 

 手刀がヒットすると同時にモーションがキャンセルされて投げが発動。

 キースの必殺技『ばりばりに引き裂いてやる』が極まる。キースのKO勝ちだった。

 

「鳴海さん、いつの間にキャンセルを使いこなせるようになったのかしら」

 背後で折笠さんの感嘆の声があがる。

 

 

 第二ラウンド。

 九条さんは戦法を変える。

 無駄な攻撃をださずにこちらが近づいてくるのを待っている。そして静かにゲージを溜める必殺技をだしている。

 

 わたしも無理に近づこうとせずゲージをMAXまで溜めた。

 フランクが『ファイヤーボール』を放ち、それを追いかけるように接近してくる。なにか狙っている。

 

 わたしが『ファイヤーボール』を直前にガードしてPディフェンスを発動させようとした矢先、画面が暗転した。

 

 フランクの超必殺技『マイクロブラックホール』だ。無数のマイクロブラックホールがキースに襲いかかる。しかも画面が暗転したことで最初のファイヤーボールをガードするタイミングをずらされてしまった。

 

 

 直撃だった。マイクロブラックホールを喰らうと一定時間行動不能になる。

 無防備になったキースにフランクが魔杖を連打。そこからの連続技がヒット。キースはKOされてしまった。第二ラウンドは九条さんがとった。

 

 室内は静まりかえり、ゲームのBGMとキャラクターボイスのみが響き渡る。いつの間にか室外には夕闇が訪れていた。

 みんな固唾を飲んでわたしと九条さんの対戦を見守っている。

 

 第三ラウンド。

 フランクは超必殺技を放って空になったゲージを再び溜めようとする。それを許すわけにはいかない。逆にわたしはゲージが最大まで溜まっている。

 

 フランクの『ファイヤーボール』と『ライトニングスフィア』が交互に放たれるがそれをいちいちガードせずジャンプで飛び越える。ジャンプ中にコマンド入力。

 着地と同時にフランクにコマンド投げ『ばりばりに引き裂いてやる』が極まる。

 

「くっ」

 九条さんが目を細めた。

 

 さらに地面に叩きつけられたフランクが起き上がる瞬間に手刀を重ねてコマンド入力。フランクは手刀をガードした。

 

 わたしは手刀をキャンセルして超必殺技『なにも知らないやつらに思い知らせてやる! おれの見た地獄を‼』を放った。フランクはガード姿勢を取っていたが、投げはガード無効。キースの超必殺技は投げ技だ。直撃したフランクはKO!

 

 わたしの勝ちだ。

 

「いまの、ハメじゃないですか?」

 鳳女子茶道部員の七瀬さんが挙手して指摘した。

 

 ハメってなんだろう。わたしは心臓が高鳴った。

 

 あとで姫川さんから受けた説明によればハメとは格闘ゲームの禁じ手。対戦相手がまったくなにも対処できない状況に追い込む連係、KOになるまで続ける連続技など。

 

 ハメの定義はさまざまだが多くのゲームセンターではハメは禁止行為とされているそうだ。

 

 わたしはルール違反をしてしまったの?

 

次回へつづく

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