カルパッチョを理解らせる   作:グラビトン

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今回はカルパッチョ視点をメインに描きました。
でも本編はキャラデザのインパクト以外は特に描写されてないので、ほぼ独自解釈が入ってしまいますが、ご了承ください。


ふざけたアイツ

…………自分で言うのもアレだけど、私はかなり身勝手な性格だ。

わがままで、気まぐれで、飽き性で……お世辞にも人に好かれるようなものではなく、特に同じ女子達から煙たがられてる。

 

そんな私でも容姿は人並み以上はあった為、男子達からはそれなりに人気もある……大概下心が透けてるやつばっか寄ってくるから、気持ち悪いことこの上ないが。

 

誰かと付き合おうとも思わないし、何かやろうとしても飽き性のせいで続かない。

つまんない、なんでもいいから強い刺激が欲しいと常々思っていた。

 

そんな私がガンプラバトル……GBBBBに興味を持ったのも気まぐれだった。

適当なガンプラを選んで作って、プレイしてみて、一通り遊んだ感想は…………まぁいいんじゃないか、だ。

 

前評判通りの自由度の高いゲームって感じだ、人気になるのも分からないでも無いが……強くなる為にはガンプラを自前で作らなければならないのはめんどくせーし、なんかオタク共がたむろして、キャッキャしながらプレイしてる様を見てるのもなんか気持ち悪い。

 

オマケにアバター姿もリアルの私を少し弄って可愛く盛ったせいで、男共が寄ってくる……なんだ、ここも現実とそんなに変わんないなぁと思う程だ。

 

それでも特にやる事の無い私は細々と遊んでいた。

そんな時だった、奴に声をかけられたのは。

 

「やぁお嬢さん、GBBBBを楽しんでるかな?」

 

紳士的な言動とは裏腹な見た目、なんともまぁアニメの悪役に出そーなインパクトあるアバター。

また誰か言いよって来たのか……なんて思って振り向くと、思いの外濃いキャラに私はギョッとした。

 

「おっと失礼、驚かせたかな?」

 

「お……まぁそりゃ……なんというか、濃いキャラデザだね」

 

「そのようにデザインしたからねぇ……君の姿もかなり刺激的だと思うがね、特に男性プレイヤー達には人気そうじゃないか?」

 

「……まぁ、私がそう言う風に作ったし、リアルでも同じような感じだから何とも思ってないけど」

 

「はっはっは、そうかそうか」

 

「……それで、おじさん誰?」

 

「おじさんとはまた直球だな、私はカオス……フリーダムフリートと呼ばれるクランのリーダーを務めてるものだよ」

 

「フリーダムフリート?………って確か、最近調子が右肩上がりの」

 

「おや、知って頂けているとは光栄だよカルパッチョ」

 

「?私名前言ったっけ?」

 

「君の活躍も小耳に挟んでいるからね、ほぼ改造を施していないガンプラで、ミッションを難なくこなしてるそうじゃないか?」

 

「……まぁね」

 

最初にあった警戒心も薄くなり、外見とは裏腹な紳士的な話し方に私もついつい話を続けていた。

話しかけてくる奴らは下心丸出しでやってくるが、カオスはそんな様子を全く感じさせず、純粋に私を見て話し掛けてくれていた。

 

「……それで、私にクランに入って欲しくて話を持ち掛けたって事でいい?」

 

「……それもある、が……それだけでは無いのだよ」

 

「……どゆこと?」

 

「……カルパッチョ、君はこの世界をどう思う?君はこの場所で心から楽しんでいるかい?」

 

「は?なにそれ」

 

突拍子もない質問に思わず眉を顰めるが、目の前のカオスは私の答えを待っているのか、笑みを崩さず私を見つめている。

どう思ってるか?別に、どうとも思ってない。

確かにゲームの世界としては凄いとは思うけど、それだけだ。

 

ガンプラにも思い入れなんてない、所詮ただの遊びた。

 

「…………どうとも、特につまんなくは無いけど、めちゃくちゃ面白くもないよ」

 

「…………フフフ、やはり見込んだ通りだ」

 

「何が?」

 

「思った通りの答えと言う事だよ、君なら私達と……この世界を変えられる」

 

「……おじさん、何か拗らせてる?キモイよ?」

 

「おっと手厳しいね、だが本心さ……カルパッチョ、君はこの世界を思いのままに遊んでみたいと、そう思わないかい?」

 

「……どういう事?」

 

「簡単に言えば、めちゃくちゃに出来るということだ、思いのまま、自分の感じるまま……気に入らないモノ全て壊しながら遊べる」

 

「…………」

 

言っている事は相変わらず意味不明だが、カオスの言葉に嘘は無い……何故かそう思えた

 

「君はガンプラバトルが特に好きでは無い……なのにこの世界にいるのは…………退屈なのだろう?あまりにも刺激の無い日々に?」

 

「退屈……それは、そうだけど」

 

「なら尚更!君はガンプラバトルに思い入れの無い君だからこの話をしているのさ、はっきり言って私がやろうとしていることは、この世界の秩序を乱し、最終的には破壊することにあるのだからね」

 

「破壊……GBBBBを?」

 

「想像してみたまえ……VRゲームの中とは言え、ここも1つの世界だ。そんな場所を掌握し、破壊する己の姿を!」

 

気圧されるままカオスの言われた通り、その光景を思い浮かべる。

何をやってもすぐ飽きてやめる私、面倒な現実ばかりに飽き飽きとしていた私が、この世界を蹂躙する姿………この世界を本気で楽しむ者達が、何となく気に入らない奴らが、絶望する姿。

 

 

 

 

 

「………………ニシシ…………」

 

無意識だった。

そんなあらゆる意味で救いのない光景を想像して、私は笑ってしまった。

そんな事が出来るのなら、つまらないこの現状をぶち壊せるなら。

恐らくそんな事に加担すれば、間違い無くリアルに支障をきたすレベルの事になるだろう。

 

 

…………でも、いい。

楽しくも面白くもないリアルより、この男の現実離れした絵空事に乗ってやろう。

 

 

「さてカルパッチョ……答えを聞こうじゃないか」

 

「……ニシシッ!乗ってやるよ、カオス!」

 

 

 

━━━

 

 

 

それから私はフリーダムフリートに加入し、ガンプラバトルにもある程度力を入れた。

それからして作り上げたガンダムドローレスと、GBVと呼ばれるガンプラの性能を底上げする代わりにGBBBBに障害をもたらすウイルスによって力をつけ、四天王の1人に数えられるまでに至った。

 

ついでにフリーダムフリートは動画配信もしており、私もそれに出演した。

元々男受けは良かったから、猫被ってれば直ぐに人気も出た。

 

カオスが何故そんな事をしようと思ったのかはまだ聞かされてないが、正直どうでもいい。

世界が滅ぶ様なんてリアルで拝める筈がない。

ましてや自分の手でそれが出来るなら、こんなにも面白い事は無い。

 

自分でもここまで終わった性格になるなんて思いもしなかったけどね、どうせこのまま生きてもろくな事ねーだろうし、どうせなら派手にやらかしてやる!

 

それからと言うものの、自由気ままにGBBBBをプレイし、ウイルスによって強化されたガンプラを駆りながらミッションやバトルをこなした。

相手の必死になって作り上げたガンプラを、不正行為で強くなった私のドローレスで思うがまま破壊する度に、心の底から笑いがこみ上げてくる。

 

「(どうしたのぉ?随分と作り込んでるみたいだけど負けちゃってるねぇ?ニシシッ、ご愁傷さま〜!)」

 

決してそれを口には出さない。

口に出してバカにしてやりたいけど、悪目立ちは良くないからね。

 

「(あははっ!無様過ぎるんですけど!バグでも起きたのかなぁ!)」

 

リアルではできない大暴れ、退屈な感情を吹き飛ばす程の快感。

そうだ、私がずっと欲しかったのはこれだ。

 

背筋を駆け巡る背徳感、蹂躙する快感、絶望的に終わっている行為への充足感。

私はこんなにも、破滅的思考……この場合は刹那主義とも言うのかな?

 

とにかく今までの怠惰な感情を吹き飛ばす様な気分に、私は酔いしれていた。

だがガンプラバトルに関しては相変わらずなんとも思っていなかった。

当然だとは思う、いつの日かこの世界は崩壊して……私もその時にはどうなっているか分からないのだから。

 

そして……私がフリーダムフリートに入ってから暫くした後、あの日を迎える。

 

 

 

━━━

 

 

 

その日は少し欲しいパーツがあった為、何となく下っ端2人を連れてミッションに繰り出していた時のことだった。

敵を倒しても倒してもお目当てのものはドロップせず、うぜーなと思いながら進めて……最深部の場所で、あいつはそこに居た。

 

「……お、あのパーツ……!」

 

偶然にも欲しいパーツをドロップしている、黒いガンプラを発見した。

……折角ここまで来たのだから、アイツには悪いけどぶっ倒して奪ってやろうと、口元を歪ませながら考えた。

 

ちょうどGBVの効果で乱入可能になっている、そうと決まれば早速……!

 

「へ〜?あんた、ちょうど私が欲しいヤツ持ってるじゃーん?」

 

着地して、その相手に話し掛ける。

その声に気付いたのか、そのガンプラは私の方へ振り向いた。

 

「…………乱入か?設定はなしにしてたと思うが」

 

「ふーん?知らない内に変えてたんじゃない?そんな事より……」

 

手元のビームランスを構え、後ろの下っ端2機もそれぞれの武器を構える。

 

「それ、私達が勝ったら貰うよ?レアリティも高そうだしね〜、ニシシっ!」

 

今でも……かなり驕っていた。

実力も伸ばしてたし、全員GBVによって機体を強化してあったし、何より3対1……負ける要素は無いのだと。

 

そのガンプラを扱うビルダーは私の挑発に特に何も言わず、暫くして口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……えっと、なんだっけ……カルパス?」

 

「誰が駄菓子よ!?カルパッチョよ失礼な奴!!」

 

いきなり私の名前を巫山戯た間違いで呼ぶものだから、思わず突っ込んでしまった。

長い名前なのは自覚してるが、そんな間違えするか普通!?

 

「あーそっかそっか、改めて……カルトッチョ」

 

「カルパッチョ!!わざとだろお前!?」

 

違う、こいつわざと私の名前を間違えて遊んでいる。

こんな事は初めてで、バトルそっちのけで憤っていた。

 

「……動画チラッと見たけどさ、キャラ違くない?」

 

「あん?……あっやべ」

 

その一言で我に返る。

動画内では生意気なカワイイキャラで通している為、こんな汚い言葉遣いはクランメンバー以外で出さないようにしていたのに、こいつのせいで素が出てしまった。

 

私はとりあえず一旦落ち着こうとする…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その瞬間だった。

 

 

「ッ……ぁっ?」

 

━━━━━一瞬、何が起きたのか理解出来なかった。

いつの間にか目の前の黒いガンプラは姿を消して、私は大ダメージをくらい、他の二人に至っては既に撃墜されていた。

 

体力を大幅に削られた私のドローレスは膝を着き、頭部カメラを背後へ向ける。

そこには両手でビームサーベルを逆手に振りかざした後の、黒いガンプラがそこに居た。

 

「(な、なんで……!?)」

 

先程まで私を弄って居たのに、何故もうそこに居る?

どうやって?あの一瞬で私のチームにここまでの痛手を?

 

頭は理解を拒んでいたが、無意識の内に私はこう思っていた。

 

 

 

勝てない。

 

 

 

この強さは、ウイルス等の不正行為ではない。

純粋な腕の違いだと。

 

負ける、このまま戦っても……こんなふざけた奴に負ける?

 

…………クソが……!!

 

 

 

「……やって、くれるじゃんかよぉ……!!」

 

思わず悪態をつきながら、ビームランスを支えに立ち上がる。

こんな無様認められない、負け掛けた事は過去に無いわけじゃないが、ここまでボロボロにされるのは初めてだった。

 

それもこんな、あんな野郎に!!

 

敵のガンプラは、そんな私にゆっくり振り向き……両手のビームサーベルを順手持ちにしながら語り掛けてくる。

 

「……悪いが、カルボシステイン」

 

「お前くどい…………!」

 

この期に及んでまだそんな事をするのかと私はキレて………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう決まってるぜ」

 

敵は、既に私との距離を詰めていた。

 

「(…………ッ!!?)」

 

二刀流のサーベルを上から思い切り振り翳す姿を見て、私は咄嗟にビームランスで防御の構えを取った…………だが、抵抗虚しくあっという間に三等分となってしまった。

 

「なっ……!」

 

この武器だってGBVの影響を受けてるハズなのに、などと驚きも束の間、私のガンプラのボディに、アイツはビームサーベル2本を容赦なく突き刺した。

 

「…………ぁ」

 

声にならないような情けない声を漏らし、目の前の黒いガンプラは後退した後脚部のミサイルを発射してきた。

 

抵抗できず全弾直撃し…………私は何も出来ず、GBBBB初めて以来、完膚無きまでの敗北を叩きつけられた。

 

「━━━━━━」

 

負けた。

余裕だと思っていた奴に、数的有利もあった筈なのに、あんな巫山戯た奴に…………ボロクソにやられた。

 

「…………ッ!!!」

 

思わず歯軋りしてしまった。

負けたこと自体は以前から何回かあった。

その時はカオスや仲間内のバトルだったり、やる気の出ない状態でのミッションの失敗だった。

 

でも今回はどちらでもない。

正真正銘の敗北に…………私は認められずにいた。

 

 

 

━━━

 

 

 

「もう1回!!」

 

「…………」

 

ロビーに戻ると、私は直ぐにさっきのガンプラを捕まえてリベンジを申し込んだ。

このままボロクソにされては私も引き下がれない、私は初めて湧き上がる感情のままに動いていた。

 

「今のは不意打ちとおちょくられたから!もう一度やれば私が勝つ!!」

 

「いや、そっちも最初は不意打ちみたいな事してたろ」

 

「結局攻撃してねーから!さぁもう一回!」

 

「えぇ…………」

 

困惑しているがお構い無しだ、こんな奴より私の方が強いのだと、今回は確実に証明してみせる!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………これが、クロとの出会いだった。

この邂逅で……私は自分を大きく歪ませられる事となったんだ。

 

 

 

 

ちなみに、バトルは全て全敗した。

 




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