深紅の武人がダンジョンに居るのは間違っているだろうか? 作:真紅の旗
森の奥。オーク達がかけていた。
まるで何かから逃げるように必死に。
実際何かから逃げてるわけだが。
「………死ね」
「倒してきた。ご飯」
「チっ、ほらよ!」
血だらけの少女に男は忌々しげな視線を向け、食料を投げつける。
少女は気にした様子もなく食事を手に取ると歩き出す。
血のような真紅の髪に、褐色の肌。入れ墨のような痣は生まれつき。
その姿を不気味がる村人達は、最初はいじめていた。母親も迫害し、病気で死んでしまった。
庇護者を失った幼い少女など、死んでしまうだろうと誰もが思った。しかし、ある日彼女は幼い体で畑を荒らす異様に巨大な猪型のモンスターを素手で殺した。まだ10にも満たない頃の話である。
村人達は彼女を恐れ、しかしモンスターと戦える彼女を利用しようと、食料を提供する代わりにモンスターと戦うよう命じた。
人智を超えたモンスターを容易く、傷一つ無く殺す彼女は、村人達にとってはモンスターと同じだ。
怪物め、という侮蔑が彼女の耳朶を打つ。
「この世界、クソ………」
なとと、一人になった途端にゴロンと寝転び言うのはリョフ・ホーセン。ちなみにリョフは村人達が生まれつき体に奇怪な痣があったという英雄譚の悪党の名前から付けたもので、真名はレン・ホーセンである。
ただ、彼女はリョフと言う名を好んでいる。
(いいよな、天下無双)
何を隠そう、彼女は転生者であり、三國の無双ゲームで呂布奉先を知っていたからだ。
ちなみに天下無双と知っているが、それ以外はあまり知らない。三国志最強の武将が何処に所属し何処で死んだかとか、何一つ知らない。友達からゲームを借りて操っただけだから。
その名に恥じぬ存在になる為に鍛えていたら、モンスターも倒せるだけの力を得た。
娯楽の無いこんな片田舎では、唯一の楽しみが鍛える事と戦いぐらいなので彼女はメキメキ強くなった。
体は女でも心に宿るは男の子。男として、こんな時代に生まれたからには目指すは当然天下無双。
食事を終えた彼女は、再び食後の運動するべく外に飛び出した。そこで彼女は、運命に出会う。
「あれが………オラリオ?」
この体は長く喋るのが苦手で表情筋もあまり動かない。無表情、口数少なめ、褐色美少女と属性てんこ盛りな彼女は多くの神々に勧誘された。
そう、神。この世界には神がいる。
モンスターとは古代、大穴から溢れ出した怪物の子孫。その大穴は今も健在。
ただし、モンスターは溢れない。その上に蓋となる街が築かれ、神の恩恵を授かった冒険者達が日夜ダンジョンへ潜りモンスターと戦う地。
自称くそイケメンな神様が「天下無双になるならば」そこに向かえと言われ、準備して2年。
とうとうこの地へ訪れた。
まずは自分に恩恵を刻んでくれる神を探す。
その日の夜。
「ッ! まだ、お前のような奴が残っていたか!!」
リョフは、その瞳に憎悪の炎を宿すエルフと対峙していた。