深紅の武人がダンジョンに居るのは間違っているだろうか? 作:真紅の旗
オラリオへやってきた褐色の少女。まだ若いが、既に女性を感じさせる肉感的な体は肌も相まってアマゾネスの様だ。
深紅の髪は二本の触角のようにアホ毛が伸びており、歩くたびにピョコピョコ揺れる。
「へいへ〜い、見ない顔だねお嬢ちゃん」
「今のオラリオは危ないぜ? 俺等が保護してあげちゃう」
「……………………」
絡んできた男を無視する少女。その反応に男達は顔色を変える。少女の小さい方を掴んで無理やり引き寄せる。
周りの者は気の毒そうに見るか、気まずそうに目を伏せる。終焉が見えてきたとは言え、暗黒期に他人を助ける者は少ないのだ。
まあ、少女は救われる側ではなかったが。
ゴシャ、と男の顔に小さな拳かめり込み、ふっ飛ばされた。
「なっ!? く、くそ! 上級冒険者かよ!」
破落戸の片割れは慌てて剣を抜くが、少女は剣を掴んで止めると握り潰し、男の腹を蹴る。男は吹き飛び片割れの上に落ちた。
「なかなかやるなあ、嬢ちゃん」
「………?」
パチパチと、拍手しながら現れたのは人間離れした美貌を持つ男。顔のみならず、纏う気配が人のそれとは異なる。
少女はその感覚を知っていた。
「………お前、神?」
「おうよ。腕っぷしの強い眷族探しててなあ。さっきの奴等なんか、Lv.2なんだぜ?」
「レベル………? 何のゲーム?」
「………神の恩恵については何処まで知ってる?」
「強くなれる」
その言葉に、神ははは、と笑う。嘘はついてない。目の前の少女は、神の血を授かっていないのだ。それでいて上級冒険者を凌ぐ強さ。
前例がないわけではない。神の恩恵を授からぬまま下級の眷族には負けない遊牧の民や、大国にスカウトされる怪力のドワーフなど、超人の領域に才覚だけで辿り着く者はいる。
神々に言わせれば、『大当たり』。
「名前は?」
「リョフ・ホーセン」
「そうか。じゃあリョフ、俺の眷族にならねえか?」
「わかった」
『大当たり』に出会える神など早々居ない。居たらそれは『大当たり』などではない。
現在の有名どころだと【剣姫】、第一級に至るだけ大したものだが、至るまでの年月をかつての『大当たり』と比べると少し劣るが血筋でお釣りの来る【
最強の座を手にした【
「リョフ、お前は何を望む?」
「天下無双」
「そうか………」
きっとこの少女なら、何れは届くだろう。面倒くさいから地上に本拠を構えていたが、この少女を鍛える為に
部屋の外から悲鳴が聞こえた。
リョフはステイタスを隠すまもなく、部屋から飛び出る。
「た、助け! ぎあああ!」
「【疾風】だあ!」
飛び込んだ部屋にいるのは、神の眷属を殺すエルフの女。呂布は旅の道中集めた金でドワーフに作らせた方天画戟を振るう。
「………!!」
机も椅子も、薙ぎ払いながら【疾風】と呼ばれたエルフに迫る。風の名を冠するだけの速度で回避したエルフが見たのはうねる大気に吹き飛ばされる机と椅子と壁。
尋常ならざる剛力。間違いなく上級冒険者……! 少なくともエルフはそう思った。
「ッ! まだ、お前のような奴が残っていたか!!」
先の大抗争、及び悪夢で殆どの手練れは死に、残る武闘派は【ルドラ・ファミリア】だけかと思った矢先に出会った尋常ならざる相手。
少なくともそのステイタスに至るまで邪神の眷族として戦っていたであろう少女。
そんな少女が深紅の髪を持つというだけで今のエルフは腸が煮えくり返りそうになる。
「殺す!!」
「……死ね」
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