深紅の武人がダンジョンに居るのは間違っているだろうか?   作:真紅の旗

4 / 4
規格外の眷族

「まったく! 【疾風】を逃がすし、これだけの眷族を闇派閥(イヴィルス)に取られるし、貴様等は何をやっている!」

 

 顎の脂肪をブルブル震わせる叫ぶのは、ギルド長ロイマン。今日オラリオに訪れたばかりの新たな冒険者が、そのまま闇派閥(イヴィルス)に所属したのだ。しかもLv.4の中でもトップ層の【疾風】のリオンと渡り合えるほどの猛者。

 

「お前も、たとえ知らずに入り、悪行を行っていないとしても、虚偽報告で罰金は取らせてもらうぞ!」

「……………虚偽?」

 

 コテン、と首を傾げる少女。リョフ・ホーセンと名乗った少女はロイマンの言葉に不思議そうな顔をしていた。

 

「レンは、嘘ついてない」

「なんだと?」

「その通りだロイマン。この地に訪れた彼女はたしかに恩恵を刻まれておらず、今のレベルも1。それも、アビリティはオール0」

 

 つまり駆け出しも駆け出し。ロイマンはそんな馬鹿な、と言わんばかりに口を開く。

 金にがめつい彼は、【ガネーシャ・ファミリア】から賠償金、闇派閥(イヴィルス)の【キュウキ・ファミリア】はどの道全財産没収として、借金でLv.4をただで働かせようと考えていた。それが根本から否定された。

 

「だ、だがこの小娘は、【疾風】と渡り合ったのだろう!?」

「恩恵無しの中にも、冒険者と渡り合えるものはいる。まあLv.1相手だが………とはいえ、武神など見ればわかるように上級冒険者と渡り合うのも、不可能ではない」

 

 もっとも、彼女は技術のみならず身体能力も常軌を逸しているが。それこそ、精霊と契約しないままモンスターを屠った昔日の英雄達の如く。

 

「ひひひ。こぉんなおもしれえガキをよぉ、他の神に渡せるかってんだ」

「神様、レン悪い事はしない」

「そ〜かそ〜か。じゃ、他の屑どもの命で俺とレンを見逃してくれ。これからは正規派閥として働いてやるよ」

 

 どの道、一年経たないと神は変えられない。彼女は1年間はキュウキの眷族でいなくてはならない。だが……

 

「信用できるか!」

「御身を送還し、信頼出来る神に預けたほうが確実だ」

 

 シャクティの言うように、神が送還されれば恩恵が封印されるが、別の神と契約が可能になる。

 【ロキ】か、それこそ【ガネーシャ】が預かった方が確実だ。

 

「レ〜ン。此奴等、俺虐めてくる〜! レンは俺の眷族のままがいいよな?」

「別に………」

 

 門前払い受け続けたところを拾ってくれた恩、なんてものもないたまたま出会っただけの神。彼女からすれば、どの神が恩恵を与えても同じ。

 

「【デメテル・ファミリア】とか、ご飯美味しそう」

「レ〜ン!」

「………先程から呼ばれているレン、とは?」

「レンの、真名。リョフは、村人達がつけた」

「リョフ………それは」

 

 妹が英雄譚が好きだったシャクティは、少しばかり英雄譚に詳しい。リョフといえば英雄に打倒された悪党の名前のはず。

 

「気にしてない。強そうで、気に入ってる」

「………そうか」

 

 村人達にそのように呼ばれる強き少女。悪党の名をつけられてる時点で、その扱いなど想像も付く。

 未だ存在する下界のモンスターからの用心棒。ただしその力は恐れている。そんなところだろう。

 

「ではレン………」

「…………………」

「リョフ…」

「……(コク)」

 

 本当にリョフと言う名が気に入ってる? いや、キュウキに呼ばせているのを見るに、親しい相手には呼ぼせているのだろう。一応主神だし。

 

「リョフ。現状お前は特に裁かれることもしていない。払わなくてはならない金もない」

「な、何を勝手に!」

「黙れ。ならば、彼女がギルドに金を払わねばならぬ理由を言ってみろ」

「ぐぬぅ………!」

 

 シャクティに睨まれロイマンは押し黙る。これ以上はロイマンに分が悪すぎる。逆に金を払う必要が出るやも。と言うか闇派閥(イヴィルス)じゃなかったら、普通にステイタス開示で金払う必要が出る。

 

「本当なのでしょうな、神ガネーシャ!」

「ガネーシャ嘘つかない!」

 

 ムキッとポーズを取り叫ぶガネーシャ。

 

「リョフ。お前は強い。Lv.1の冒険者として扱えぬ程に」

「………(コク)」

「そして、知らなかったとはいえ闇派閥(イヴィルス)に属してしまった。そこはもう仕方ないとして、神は変える必要がある」

「え〜? じゃあ俺そいつの従属神になるからさあ」

「神キュウキ。貴方にそんな信用はない」

 

 とはいえ、【キュウキ・ファミリア】は闇派閥(イヴィルス)の中でも下も下。恐喝、強盗………言い方は悪いが、素行の悪い良く居る冒険者を集めて気を強く持たせより凶悪にした()()

 

 闇派閥(イヴィルス)に資金提供もしていたが、精々がオラリオ追放処分。

 

「1年は恩恵を更新できないと思ってくれ」

「………(コク)」

 

 つまりはリョフは残っていいということ。と言うかLv.1で第二級冒険者に匹敵する戦力を放置する方がおかしい。

 

「【デメテル・ファミリア】を希望とのことだが、まずは3ヶ月、監視させてもらう」

「………わかった」

 

 

 

 

 

 その頃オラリオの外。

 2匹の犬を連れた小人族(パルゥム)の少女が市壁を眺めていた。

 

「レン殿は既にオラリオに向かった。お前達の鼻が頼りなのです。 街へ入ったら、探すのです! セキト、チョウチョウ!」

「ワン!」

「バフ!」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

ダンジョンでスタイリッシュさを求めるのは間違っているだろうか(作者:宇佐木時麻)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

ただ一言―――バージル鬼ぃちゃんってカッコいいよね


総合評価:28410/評価:8.73/連載:17話/更新日時:2018年06月29日(金) 17:46 小説情報

転生したらオバロ世界のエルフだった件について(作者:ざいざる嬢)(原作:オーバーロード)

気がついたらオーバーロードの世界に転生していた前世男の女エルフ、アレーティア。▼原作知識うろ覚えの彼女がこの過酷な世界で生き抜く話。▼主人公知識:原作14巻辺りまで、漫画、WEB版▼8/24 日間ランキング4位になっていました▼応援ありがとうございます


総合評価:24782/評価:8.74/連載:112話/更新日時:2026年05月17日(日) 18:00 小説情報

シッテムの箱舟計画(作者:菓子中毒)(原作:ブルーアーカイブ)

プラナに成り代わった青年が頑張る話▼曇らせなどもあるかもしれません▼自分の妄想を詰め込んだ物です。時系列、設定などはごちゃごちゃです▼


総合評価:348/評価:7.92/連載:12話/更新日時:2026年06月16日(火) 21:32 小説情報

お姉様と紅い瞳の弟(作者:主人公こそ最高のヒロイン説)(原作:魔法科高校の劣等生)

 魔法科高校の劣等生のアニメや二次創作を見ていてふと思いついたネタ。▼・お兄様がお姉様な世界線▼・主人公が転生者(原作知識なし)、特典としてNARUTOの「写輪眼」を与えられる。▼・お兄様もといお姉様の弟として生まれ、深雪と双子である。▼・写輪眼は単なるコピー能力だけでなく、精神干渉魔法の極致なのでは?▼・感情を去勢されたお姉様に、眼を通して「感情を共有・宿…


総合評価:703/評価:8.19/連載:3話/更新日時:2026年04月05日(日) 21:11 小説情報

ダンジョンでプーサーになった転生者が女の子になった主人公と出会うのは間違っているのだろうか(作者:カフェインましまし)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

ダンまち世界に転生したら姿はプーサーで主人公が女の子になっていた世界だった。


総合評価:2187/評価:7.1/連載:7話/更新日時:2026年06月09日(火) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>