宇宙戦艦ヤマトⅢ ReBoot!〜銀河中心部の混迷〜   作:箕理 田米李

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サブスクでオリジナルTVシリーズ配信、もうすぐ『3199』第三章公開と新旧で盛り上がるを見せるヤマト界隈。その配信のお陰でTVシリーズの中で知名度が低い『Ⅲ』を観てなかった方が観る様になって来ているそうなのでそれに伴い本小説の理解が深まって貰えたら嬉しいです。では本編どうぞ↓


第7話『発動!バーナード星基地攻略作戦‼︎』

バーナード星系...地球のある太陽系からは約5.9光年離れた比較的近距離の位置にあり、1916年にアメリカの天文学者エドワード・エマーソン・バーナードによって発見されその名が付けられた。その第1惑星は≪ヤマト≫率いる第1特別派遣調査隊の調査対象となっている星なのだが、同時にそこには【ガルマン帝国】東部方面軍 第18装甲師団の前線基地があった。水晶のような美しい岩石に覆われたその星の地下にその基地がある。だが≪ヤマト≫ら第1特派隊はまだそれを知らない。故にバーナード星が「ガルマンの地球侵攻の根城」と化しているか否かを確かめるべく飛ぶ三つの機影があった。

 

≪ヤマト≫航空隊所属 大型汎用飛行艇<コスモハウンド>

山本「どうだ椎名?」

椎名「地表観測・探索レーダー、大気成分照合分析センサー作動良好。データは順調に取れています。」

山本「そうか、バーナード星の基地の捜索ついでに地表についても観測しろとは古代も艦長になって少し人使いが荒くなったようだな。」

椎名「隊長?」

山本「ハッハハ、冗談だよ。」

 

『無線通信』

坂本(随伴コスモタイガーⅡ1番機)『隊長、こんな退屈な任務さっさと終わらせて帰りましょうぜ!こんな岩だけの殺風景なとこ、飛ぶのも飽きますよ!』

 

揚羽(同・2番機)『それに、敵の哨戒機に遭遇したり迎撃機が上がってこないとも限りません。あまり時間を掛けていられませんよ。』

 

坂本と揚羽の乗る護衛のコスモタイガーⅡに守られ飛行するは≪ヤマト≫に新たに配備された全領域型大型汎用飛行艇<コスモハウンド>だ。今回の第二の地球探しの任務に際し搭載された。普段は≪ヤマト≫の左舷(後ろから見て)に新たに設けられた折り畳み式の格納庫に収容されておりその名の如く「惑星の探査及び調査」、「戦闘支援」、「物資運搬」、「医療支援」など様々な任務のユニットを搭載できる高い汎用性が特徴だ。そして今、その惑星探査及び調査能力を用い機長を山本が請け負い椎名が索敵を担当する形で飛行している。

 

山本「それもそうなんだが、せめて敵基地の位置くらいは...」

椎名「あっ...!」

山本「どうしたっ...⁉︎って久々な聞いたなお前の「あっ!」...。」

 

山本の脳裏に3年前の「デザリアム戦役」、二重銀河内での【暗黒星団帝国】本星捜索の任務の事が浮かぶ。2人で※早期警戒機仕様のコスモタイガーⅡに乗り込み本星の手掛かりを掴むべく偵察・調査飛行を続ける中、椎名は度々「あっ!」と普段冷静な態度とはかけ離れた声を上げていた。そこから惑星からマグマが間欠泉の様に吹き出してきたり、たまたま単独で航行していた敵の空母を発見し交戦に入ったりなどロクな目に合わなかった為、また同じ様な事が起きたのではないかと心配なのだ。

 

※複座型をベースに真田技師長と大山トチロー技師が改造した機体で正式採用機とは違い胴体中央に銃砲塔を有していた。ただしレドームをパージ(外す)しないと使えなかった。

 

椎名「赤外線スキャナーに感あり!これは...」

山本「見つけたのか...?」

椎名「出ました!...ッ!やりましたよ隊長!基地です!地下に敵の基地があります‼︎」

山本「確かだな⁉︎」

椎名「はい!これで確認が取れました。後はもう少し詳細に...」

 

データを取ろうとした時だった。突如機内に警報が鳴る。接近警報だ。レーダーに敵影を探知したのだ。2機編成...戦闘パトロール機の編隊と思われる。接近しているので気付かれているのは間違いない。

 

揚羽『き、来た!敵機二機が急速接近中‼︎」

 

坂本『隊長!お客さんですよ‼︎』

 

山本「よし!データはできるだけ取った!ここらでズラかるぞ‼︎」

 

山本は勢いよく左に急旋回を掛けUターンし坂本と揚羽のコスモタイガーⅡも続けて宙返りするがごとく機首を上げて旋回しスタコラと逃げる。【ガルマン】の二機編隊は接近しててもまだ距離があったせいで逃げられてしまう。その様子をダゴンは地下基地のドックに停泊する自身の座乗艦≪ダーゴルンⅢ≫の艦橋のモニターから見ており「ふっふふ、良いぞ。これで奴らはここに基地があることを突き止めた...お前を歓迎する準備をたんと用意し首を長くして待っているぞ...≪ヤマト≫よ。フフフ、フッハハハハハハ!」と不適な笑みを浮かべた後、これで≪ヤマト≫に復讐できると思うと笑いが止まらなくなるダゴンだった。

その後、山本らが持ち帰った情報を整理した≪ヤマト≫率いる第1特派隊は中央作戦室に一部ホログラム映像通信を交えて集まりバーナード星の概要と基地攻略についての会議が行われていた。

 

≪ヤマト≫

中央作戦室

 

真田「航空隊が持ち帰った情報をコンピューターに掛けて整理してみた。バーナード星は地表は水晶の様に輝く岩石に覆われ、大気成分は地球と酷似している。ただ気温は低くアラスカやシベリアのような環境に近い。」

太田「まぁとりあえずは人類の生存は可能というのは分かりましたが、問題は敵の基地ですね。」

真田「そうだ。【ガルマン帝国】の基地は地下に築いてある。隠れるのにも適しているし、何より外からの攻撃にも耐えるまさに"天然の要塞"と言ったところだろう。」

 

『ホログラム映像通信』

水谷『厄介な所に基地を築いてくれましたな。単に遠距離からのミサイル攻撃や軌道上からの艦砲射撃では完全な破壊は困難でしょう。』

 

井口『それ以前にこんなにワザとワザとで誘って来てんです。そう易々と我々を近付けるほど敵さんだって馬鹿じゃないですよ。罠をこれでもかと張り巡らせ舌舐めずりしながら俺達を待ってるに違いありませんぜ。』

 

古代「そうですね。その点を考慮して作戦を立てました。」

 

古代が一歩前に出て作戦の概要の説明に入る。足元のマップが作戦概要図に変わり皆がそれに注目する。

 

古代「まず≪ヤマト≫率いる艦隊を【Aグループ】そして敵の基地を攻撃する≪たいほう≫攻撃編隊とそれを護衛する≪ヤマト≫航空隊を【Bグループ】とします。

【Aグループ】は邀撃(ようげき)してくるであろう敵艦隊を引き付ける陽動を行います。その隙に発艦させた【Bグループ】の合同航空隊は別ルートで大きく迂回しながらバーナード星へ降下、<コスモハウンド>がスキャンしたこの峡谷を伝(つた)って敵の防衛網を掻い潜りながら基地に接近。その後、手前で一気に急上昇してからの急降下爆撃を行い敵基地上部を覆っている岩盤を破壊し崩壊させ基地を下敷きにします。」

山本「やれやれ、昼間でも通るのは危ないようなあの峡谷を通ってタイトロープをしろとは...無茶言うな艦長?」

古代「ハッハハ、そうかもな。だが山本、お前と部下ならできるだろ。違うか?」

山本「アッハハハ、当然だろ!やってやるぜ‼︎」

 

藤田『なるほど、艦隊による陽動とその隙を突いた航空隊の奇襲攻撃による敵基地生き埋め作戦...ですか...。』

 

能登『古代艦長。私達の航空隊の一部を基地攻撃に使うのは分かったけど、残りは艦隊の直掩及び敵艦隊への対艦戦闘ということで良いのかしら?』

 

古代「はい。その認識で構いません。≪たいほう≫直掩機隊は艦隊の防空及び早期警戒をお願いします。」

 

能登『分かったわ。必ず果たします。』

 

南部「しかし見たところこの星の岩盤は硬そうですが、艦載機が搭載する爆弾で破壊できるんですか?」

 

南部の疑問と懸念は最もである。コスモタイガーⅡが標準的に装備する多目的汎用ミサイルは対空、対艦兼用だが威力は標準的で特段破壊力に優れているわけではない。基地を破壊し損なえば敵は更に増援を出してくるだろう。そうなればただでさえ数が少ない第1特派隊は追い詰められ最悪壊滅するだろう。

 

真田「うん、そこでこの作戦の為に急遽開発している新兵器を用意した。「波動バンカーバスター」だ。」

南部「波動...バンカーバスター...?」

真田「コスモタイガーの雷撃機型が装備するオプション兵装の一つである空対地爆弾の弾頭を波動カートリッジ弾の弾頭に挿げ替えた物だ。これが地上で起爆すれば通常の高性能炸薬を用いた爆弾の数倍の威力が出る。計算上これならバーナード星の堅い岩盤をも砕けるはずだ。単座型や複座型よりもペイロード(兵装搭載量)が大きい雷撃型が居たからこそできた物だよ。」

 

堀江『はい。現在本艦の艦内工場にて生産中です。完成した物は順次≪たいほう≫に積み込み艦載機への搭載作業を行います。』

 

古代「引き続き頼みます堀江艦長。尚、波動バンカーバスターを以てしても基地を破壊できなかった場合は第1特派隊は敵艦隊を突破後に軌道上から艦砲射撃を行います。」

 

「さすが真田さんだ。もう対策が出てた」と感心する南部や他の会議参加者だが、一人表情が冴えないのがいる。≪ヤマト≫戦闘指揮長の土門だった。それに気付いた古代は「土門、何かあるなら言ってみろ」と問う。

 

土門「あ、えっと...基地を無力化することは理解できました。しかし、その後、もし敵艦隊が残存した場合はどうなさるんですか?」

古代「そうだな...向かって来るなら迎え撃つ...逃げるなら追わない、逃してやれ。」

土門「そ、そんな!ここでまたダゴンを取り逃したらどうなります!ここは徹底的に叩くべきですよ‼︎」

古代「ダメだ。無理に敵を追い詰めればどうなるか...「窮鼠(きゅうそ)猫を噛む」の意味を分からないわけではないだろ土門。」

土門「で、ですが...!」

 

納得いかず古代に食って掛かろうとする土門の肩に手を伸ばし制止させたのは同じく会議に参加し隣に立っていた北野だった。北野は首を横に振って「それ以上はやめろ」と無言に語っている。

 

古代「土門、我々はラム艦長達の弔(とむら)い合戦の為に戦うんじゃないぞ?地球への侵攻を阻止する為にやるんだ。これが藤堂長官ら地球防衛軍司令部の正式な命令の下に行われる作戦だということを忘れるな。」

土門「は、はい...。」

古代「本作戦は『バ号作戦』と呼称します。他に意見、質問がなければこれで会議を終えたいと思います。解散後、各艦は作戦準備を整えておくように。では解散!」

 

土門の場合は単に先の戦いで無念に散ったラム艦長達の仇撃ちだけでなく自分の両親のこともあるのだろうと理解はしている古代だが、そこは私情を挟むべからずと制したのだった。

作戦会議を終え廊下を歩く土門と北野。何か気まずく互いに話しかけられない時間が過ぎる...先に口を開いたのは土門だった。

 

土門「先程はすみませんでした...それとありがとうございました北野先輩。」

北野「いや、僕は何もしてないさ。それに、少し前までの僕なら君と同じ意見だったよ。」

土門「え...?」

北野「さっきの作戦...実は僕が原案を書いたんだ。」

土門「先輩が?」

北野「うん、僕が『雷王作戦』の原案を考案したのは知っているかな?」

土門「はい。訓練学校で習いました。教科書に載るくらい有名ですよ。」

北野「ハハッ...まぁ、最終的に作戦を纏めたのは山南司令なんだけどね。その時の僕は彗星帝国への敵愾心(てきがいしん)が強くて「敵は殲滅して当然」「地球を酷い目にした奴らへの天罰だ」という気持ちであの作戦を立てたんだ。」

 

授業で習ったあの作戦にまさかそんな想いが込められていたとはと驚く土門...話はまだ続く。

 

北野「で結果は知っての通り勝ったけど作戦通りにはならなかった...そして直後に起きた「サンザー事変」で【暗黒星団帝国】と度々戦闘が起きた。その時はまだ艦長代理だった古代さんは敵を殲滅することなく逃すようなやり方に僕はよく反発したさ。そう、さっきの君みたいにね。」

土門「北野先輩...。」

北野「でもあの航海で学んだよ。僕は有頂天(うちょうてん)になってた。作戦は思い通りには行かない...目的を忘れるな...地球と地球人が良ければそれで良いわけじゃない...そして、戦いは「生きる」為の手段の一つでしかないということをね...。」

土門「先輩...。」

北野「ハハッ、ごめん少し長く喋り過ぎたね。僕が言いたいのはそれだけさ。きっと君の気持ちは艦長も察してくれているよ。≪ヤマト≫がピンチに陥った時はその強い気持ちを≪ヤマト≫や艦隊を守ることに使ってほしい。

おっと、もうこんな時間か...じゃあな土門、夕食と睡眠をきっちり取れよ。作戦開始は0600(マルロクマルマル)だからな。」

 

そういって廊下の分かれ道で別れる二人。土門は自身がまたもやまだまだ未熟な存在だと感じ、早く先輩に...古代艦長達に並び立つ乗員になりたいと気持ちを新たにするのだった。

 

医務室

 

佐渡「ん〜...とりあえずはなんともなさそうじゃがな...。」

椎名「ありがとうございます先生...。」

 

その頃、医務室では椎名が佐渡先生の診察を受けていた。ちょうど聴診器で心音を聴いていたところで他の検査も特に異常はないそうだ。

 

佐渡「まぁとりあえず"いつもの薬(やつ)"出しとくよ。」

椎名「助かります。それでは...」

佐渡「椎名...。」

 

「いつもの」と称される何かの処方箋(しょほうせん)を受け取り医務室を立ち去ろうとする椎名に佐渡が声を掛け立ち止まり振り返る椎名。

 

佐渡「ホントに山本達に言わんくて良いのか?お前と山本との仲ならワシも知っとるが、だからこそせめて山本の奴には話すべきじゃないかのぉ...?お前さんの身体のことじゃ...。」

椎名「ありがとうございます先生...でも隊長や皆んなにはまだ告げないでください。私まだ、皆んなと飛びたいんです...。」

 

振り返らずそう告げて医務室を去る椎名の顔には覚悟が秘められた真剣な表情だが、佐渡にはそれが見えなかった。自分にできるのはせいぜい彼女の無事を祈るだけと酒をグラスに注ぎ一杯飲むのだった。

それから時間が経ち明朝0600...いよいよ作戦開始時刻になった。第1特派隊は≪ヤマト≫を先頭にその後方に戦闘空母≪たいほう≫、さらに後方に高速戦闘支援艦≪まみや≫、左舷に汎用駆逐艦≪すずつき≫、右舷に≪ふゆづき≫に位置するダイヤモンド隊形になる。その最前列ではパトロール艦≪いすず≫が先行して前に出ており※レーダー・ピケット艦としての本分を全うすべく既に発艦済みの≪たいほう≫所属のコスモタイガーⅡの早期警戒型...通称(ペットネーム)<タイガーアイ>1機と連携しながら艦隊に脅威が迫っていないか目を光らせている。

 

※第二次世界大戦末期に於いてレーダによる索敵を主目的に、主力と離れ概ね単艦で行動し敵を警戒する任務を受け持つ艦艇のこと。

太平洋戦争末期、大日本帝国陸海軍機からの所謂「特攻」に備え多くのアメリカ海軍駆逐艦がその任務に就き多くの戦没・損傷艦を出した。

 

※ここからは♪コスモタイガー(『2199』のWan・Dan・Bah版)を流しながらお読み下さい

 

≪ヤマト≫

第2艦橋(戦闘指揮艦橋)

 

太田「まもなく作戦宙域に入ります!」

相原「前方警戒中の≪いすず≫より入電、「艦隊針路上、現在敵反応なし」...敵はまだこちらに気付いていませんね。」

真田「波動バリア展開!」

山崎「波動エネルギーバリア展開...スーパーチャージャー蓄積分のエネルギーをバイパスで回します。」

太田「電子戦開始!レーダー妨害タキオン波放出‼︎」

雪「艦隊全周、近中距離オールグリーン!航空隊、発艦準備完了です。」

古代「『バ号作戦』発動!コスモタイガー隊!発進!!」

 

古代の号令の下、≪ヤマト≫の主力艦載機コスモタイガーⅡが格納されている第二格納庫の艦底部ハッチが開き中のロータリー・パレット式の格納庫内部がグルングルンと回転させ外へと誘う様に機体を次々と降ろしていく。それを真後ろから見ているは戦闘空母≪たいほう≫と艦長の能登ら艦橋クルー達である。

 

≪たいほう≫

第2艦橋(※戦闘指揮管制艦橋)

 

※通常の戦闘指揮艦橋に「航空隊の指揮管制能力」を付与した空母級の艦橋、現実の海軍で言うところの「CDC(戦闘指揮艦橋)」。

 

能登「≪ヤマト≫が航空隊を出したわ!こちらも攻撃隊発艦!≪ヤマト≫航空隊と合流、編隊を組んで‼︎」

副長「了解。副長より達する。攻撃編隊発艦せよ...繰り返す...」

 

戦闘空母≪たいほう≫も≪ヤマト≫航空隊の発艦に合わせ波動バンカーバスターを搭載したコスモタイガー雷撃型が次々と電磁カタパルトで射出され編隊を形成し≪ヤマト≫航空隊の先導を受け電波管制の下、バーナード星へ向かって行く。「優秀な子達...力を見せる時よ...」と胸中に作戦の成功と無事な帰還を祈る能登ら艦橋クルー。

 

能登「副長、古代艦長は艦隊の防空は本艦に任せると言ったわよね?」

副長「はい...ッ!まさか艦長...あなたは...⁉︎」

能登「その通りよ副長。それを聞いて久々に出たくなったから行ってくるわ!」

 

そう言って艦長席を飛び出し艦長服を着崩して中にいつも着ているパイロットスーツになりながら艦橋を飛び出していく艦長の能登に声を掛けて止めようとする副長だったが既に遅かった。「やれやれ、艦長になっても根はやはりパイロットなんですね」と少し呆れながらも許して追いかけることはしなかった。

そんな≪ヤマト≫ら第1特派隊の動きを【ガルマン】側...ダゴンら第18装甲師団はバーナード星周囲に配置しアステロイドに艤装した監視カメラ衛星とレーダー衛星で捉え映して様子を伺っていた。

 

第18装甲師団

旗艦≪ダーゴルンⅢ≫

艦橋

 

ダゴン「ふっふふ、来たな≪ヤマト≫...よし!反射衛星砲艦、攻撃開始‼︎」

 

ダゴン率いる第18装甲師団は出撃しバーナード星を背にして≪ヤマト≫ら第1特派隊を迎え撃つべく陣取っている。ダゴンは別行動を取る艦に命令を下す。

 

改主力中型級反射衛星砲搭載艦

≪シュピゲロンⅠ≫

艦橋

 

オペレーターA「反射衛星7号...13号...21号...リフレクター展開...。」

艦長「反射衛星砲!発射‼︎」

 

ダゴンの乗艦でもある主力中型戦闘艦を原型(ベース)とし2番砲塔に小型化した新型反射衛星砲を搭載し反射衛星をコントロールするアンテナを増設し通信能力を強化した新鋭艦。建設が遅れるバーナード星基地の防衛戦力としてなくてはならない存在としてダゴンは本艦の配備がギリギリ間に合って内心ホッとしつつ「この艦なら≪ヤマト≫に勝てる!」と自信たっぷりで故にここに誘き寄せたのだ。そんな期待の最新鋭艦から放たれた紫も入ったピンク色のド太いエネルギービームが暗闇の宇宙に一筋照らされる。その様子は≪ヤマト≫から発艦し≪たいほう≫の攻撃編隊を護衛する『バ号作戦【Bグループ】』の面々も見かけていた。「な、なんでしょう今のビーム⁉︎」と驚く揚羽、「ひょえ〜凄かったな今の〜」とリアクションは違えど同じく驚く坂本に「落ち着きなさい!」「今は作戦に集中しろ!大気圏に突入した後(あと)は一気に渓谷に入って突っ切る!遅れるなよ‼︎」と「冷静になれ!≪ヤマト≫なら大丈夫だ」と落ち着かせる椎名と山本の声にすぐに動揺を抑える≪ヤマト≫航空隊面々。≪たいほう≫の方もなんとか落ち着く。

一方の≪ヤマト≫ら【Aグループ】の元には敵艦から放たれた紫ピンク色のビームが迫った。突然の事に戦闘空母≪たいほう≫の早期警戒機とパトロール艦≪いすず≫は探知しきれず警告を出す事は叶わなかった。その淡く派手やかな色のビームは≪ヤマト≫の左舷を擦(かす)った。しかし波動エネルギーバリアのお陰で艦本体の直接の被害は免(まぬが)れた。衝撃が艦体を走り警報が鳴り響く。

 

≪ヤマト≫

第2艦橋

 

古代「な、なんだ今のは...⁉︎」

島「敵の攻撃か⁉︎一体どこから...⁉︎」

雪「レーダー範囲外からです!バーナード星からでも展開中のガルマン艦隊からでもありません‼︎」

島「バーナード星からでも敵艦隊からでもない⁉︎一体どういう事なんだ...?」

真田「今解析が終わった。さっきのビームのエネルギー組成は反射衛星砲だ。」

古代「ッ!反射衛星砲ですって...‼︎」

南部「まさか...!反射衛星砲は【ガミラス】の兵器ですよ!クッソォ...こんなところでなんて物に出くわすんだ...‼︎」

島「古代、やはり【ガルマン帝国】は【ガミラス】と関係あるんじゃないのか...?」

 

古代は考えたくなかった事実に一歩また近づいてしまったかもしれないと思った。デスラーと、分かり合えたと思った相手がまた我々を攻撃し敵になってしまったのか⁉︎...とだが今はこの攻撃を振り切るのが先だとその考えを振り払う。そんな思考を巡らせてる古代にそんな暇(いとま)を与えてやるものかの如くさっきのビーム攻撃が次々と≪ヤマト≫を襲う。操舵を担う島は第1艦橋で補佐を行う北野と連携し回避運動を行い続ける。

 

古代「真田さん!本当に反射衛星砲なんですか...?」

真田「あぁ、だがエネルギー組成は同じでも前回取得したデータと比較すると威力はかなり落ちているようだな。そしてこの連射から考えると、もしかしたら基地固定配備型ではなく艦に搭載し複数の艦が発射してるんだろう。そう、【暗黒星団帝国】の狙撃戦艦の様にな...。」

太田「どうします...?今は波動バリアとECM(電子妨害)のお陰もあってなんとかなってますが、いずれ限界が来ますよ...!」

真田「あぁ、だが以前戦った時のデータから敵が本当に反射衛星砲なら反射衛星に指令を送る電波を逆探知して位置を探れる筈だ。さらにダゴンは前回の戦闘の時と同様どうやら我々≪ヤマト≫にしか興味はないらしい。それを逆手に取ってやればいい。」

古代「そうか!相原!急いで逆探知に掛かってくれ!土門!爆雷投射器用意!ダミーバルーンを展開して攪乱‼︎」

相原/土門「「了解!」」

古代「≪ヤマト≫より≪たいほう≫へ!」

 

≪たいほう≫副長(『通信』)『こちら≪たいほう≫...感度良好です。』

 

古代「ッ⁉︎能登艦長はどちらに...?」

 

艦長の能登ではなく副長の方が通信に出たことに驚く古代が能登の所在を尋ねようとした時、≪ヤマト≫の前方に一機のコスモタイガーⅡが現れる。≪たいほう≫の所属機で垂直尾翼がそれぞれ赤と緑に塗装されている。その機からと思われる通信が入る。

 

能登(『通信』)『こちらです古代艦長!』

 

古代「能登艦長...⁉︎まさか出撃なさっていたとは...!」

 

能登『防空任務を任されましたからね、何か御用なんでしょう?』

 

確かに任せたことだがまさか艦長自身が艦載機隊を率いるとは思わなんだと驚く古代だが、自身も艦長代理でありながら同じことをやっていたことがあったので気持ちは分かる。

 

古代「は、はい!これより≪ヤマト≫は艦隊を離れ展開中の敵艦隊と対峙します。艦隊と防空隊は≪ヤマト≫が敵の反射衛星の電波を逆探知したらそこに向かい潜んでいるであろう反射衛星砲搭載艦を撃破してください!」

 

能登『了解!承りました‼︎』

 

古代「よぉし!島、両舷前進全速!これより≪ヤマト≫敵艦隊に向け直進する‼︎」

島「≪ヤマト≫、発進‼︎」

 

その頃、山本ら≪ヤマト≫航空隊と≪たいほう≫のコスモタイガー雷撃型の攻撃編隊の合同航空隊はバーナード星に降下し予定した作戦通りに狭い峡谷を伝(つた)ってガルマン基地に向かっている。≪ヤマト≫と第1特派隊の面々が今どうなっているのか皆心配だが、今はそれを不安がっている余裕を出す時ではない。なぜならこの狭く曲がりくねった峡谷を抜ける前に油断しては即激突であっという間にあの世行きだからだ。それだけではない、それで敵に気付かれでもしたら残る僚機達の下にいるであろう敵基地守備航空隊の敵機が殺到し基地攻撃の成否を危うくする。そうならない為にこの蛇の如く蛇行しまくった峡谷を右に左にと機を旋回させる。その分パイロットへの負担は増し判断力と集中力が徐々に削られる。だがそこは歴戦の≪ヤマト≫航空隊そして彼等程ではないがガトランティス戦役からのベテラン揃いの≪たいほう≫航空隊だ。スピードを極力落とさず基地に近づきつつあった。

 

山本「全機、まもなく基地前だ!ホップアップの用意!スリーカウントだ!行くぜ‼︎」

 

山本の無線を聞いた面々は表情かより引き締まる。「3...2...1...上昇!」の合図の元全機が一斉に機首を上げ高度を上げる。上昇時の急激な負荷がパイロットの身体全体を襲う。それを探知したガルマン側の対空砲が砲塔を指向し銃身を上げ対空砲火の弾幕を張る。ただ単に真っ直ぐ飛んでいるのとは違い※上昇している航空機に弾を当てるのは中々難しく、現(げん)にどの機もまだ被弾していない。

 

(※現実での例を挙げると西側諸国海軍艦艇のほぼ主力標準装備であるハープーン対艦ミサイルは発射後に低高度を保って水平で目標まで飛び、ある一定の距離まで行くと上昇してその後スルッと下へ向かって相手に着弾する。これは敵側の迎撃に用いてくる対空ミサイルや機関砲に対し照準や機動を逸らして撃ち落とされにくくする効果があるのだという)

 

ある程度上昇すると今度は急降下に入るべく操縦レバーをグッと下げ機を落とす。その間に≪ヤマト≫航空隊は今回の爆撃任務用に翼下に懸下したレーザー照準器ポッドを作動させレーザーを目標の敵基地があると思われる岩盤に向け照射する。それを確認した≪たいほう≫航空隊の雷撃型らは波動バンカーバスターを次々と投下させる。放たれた槍は水晶の如く美しくもダイヤモンドの如く硬い岩盤に突き刺さっては蒼い十字の閃光を回転させながら発した後、炸裂する。通常の炸薬が起爆したのとは比較にならない程の威力と衝撃が大地を走り空気を震えさせる。大きくひびを起こさせた岩盤はその力に耐え切れずさらに拡がっていき遂には砕け地下のガルマン基地はその突然の岩のゲリラ豪雨に呑み込まれる。上空から作戦成功を確認する航空隊の面々はホッとしたりガッツポーズを取ったりと各々が嬉々の表情とリアクションを取る。そんな中、揚羽は新米ながらこのジェットコースター並みの殺人的機動になんとか耐えてみせた...こんな操縦は訓練でもやらない。普段の訓練による身体トレーニングや操縦訓練の賜物(たまもの)だろうと思った。成果が出て良かったと感じ表情は明るかったのと束の間、ふと右前方のコスモタイガーを見やる。先輩である椎名の機だ。少し遠いがキャノピー越しでも椎名の様子が見える。呼吸を荒くし胸をキツく抑えてる様な感じだ。これはマズイかもと隊長の山本に急いで無線を繋げる。

 

山本「なに⁉︎椎名が⁉︎おい椎名!大丈夫かッ⁉︎」

 

椎名「た...隊長...

 

山本「まさかお前...被弾してるんじゃ...?それとも...。」

 

椎名「だ...だいじょ...ぶ...です...操縦に...支障は...ありません...!」

 

山本は3年前の白色銀河での偵察行動の事を再び思い出す。偶然遭遇した【暗黒星団帝国】の空母と艦載機と戦闘になり艦載機を全機撃破した油断を突かれ空母からの対空砲火を受けてしまった。その際、椎名はその時の衝撃でショートしスパークした計器類の破片が飛んで身体に突き刺さり食い込んだのをその場で報告せず空母との戦闘を終えた後も山本に気付き質問されるまで心配させまいと我慢し続け危うく死に掛けたことがあった。またもその様なことが起きたのではないかと心配になるのも当然である。後方にいる椎名の機を見やり機体がとりあえずは安定しているのを確認する山本。思えばあの時も弱気になりながらも精神力を保ち冷静な判断力で自分とやりとりしていたっけと椎名の根性はあの時よりもさらに成長したのかと感じる。

 

山本「よし分かった!揚羽!椎名の側に着いてバックアップを頼む!」

 

揚羽「りょ、了解!」

 

山本「全機!攻撃は成功した!≪ヤマト≫らの援護に向かいながら帰還する‼︎続けぇ‼︎」

 

山本はこれ以上椎名に負担を掛けさせまいと早く≪ヤマト≫に戻るべく揚羽に椎名機の援護に着かせ全速力で全航空隊を母艦(いえ)のある宇宙へと飛ばせた。椎名はヘルメットのバイザーを開けつつ腰に備え付けのポーチから佐渡先生から頂いた錠剤を取り出し二錠飲むと再びバイザーを閉め操縦に専念した。「戦闘が終わるまで、保って私の身体...!」と思いつつ操縦桿強く握り直した。




読了ありがとうございました。原作でいう所の第8〜9話に当たるバーナード星での戦いです。ここでは開拓者の山上一家が出てきますがあくまで個人的に言うとあんな存在はいらないのでカットしています。『Ⅲ』の初期プロットではトモ子さんがキーパーソンとなる予定だったらしいですが打ち切り短縮になった影響か結局退場してそのまま出てこなかったので何の意味もなく「そんなに尺使わないでもっとガルマンやボラーに使えば良いのに」と思いました。
バーナード星の攻略作戦の概要といい作戦名といいリメイク『2199』の「メ2号号作戦」、航空隊の作戦は『トップガン・マーヴェリック』と『エリア88(OVA版)』それぞれのオマージュです。波動バンカーバスターはリメイクでいう所の波動掘削弾に近いですが、あちらと違い現場での急造兵器です。雷撃型が単座型や複座型と違いペイロードが豊富というのを表現するのと同時に活躍を描きたかったんで設定しました。ついでに言うとそれが可能な工廠を持つ高速戦闘支援艦≪まみや≫の能力もあるのですが...。
原作にあった新反射衛星砲は「反射衛星砲を持った主力中型戦闘艦」という別物となっています。このアイデアはPS2『2202』に登場したメダルーザ級転用陸上戦艦旗艦型≪ヘルベスティア≫や真琴毒島先生のMMD『ガルパン×ヤマト』に登場した反射衛星砲搭載型デストリア級をイメージして貰えば幸いです。真田さんが推測した通り【暗黒星団帝国】の狙撃戦艦もイメージに入っています。これは「デスラー達がガルマン星を発見するまでの道中、もしくは【ガルマン(・ガミラス)帝国】を建国した後にも【暗黒星団帝国】との戦いがあってその中に狙撃戦艦も居てそこからアイデアを貰ったとか?」を妄想して尚且つ「たった一年であれだけの基地と新反射衛星砲を設営するなんていくらガルマンの科学力が優秀でも非現実的だ」と思い改変しました。因みに艦名の「シュピゲロン」はドイツ語で「反射」を意味する言葉です。
ちょっと椎名さん危ないですね。揚羽の訓練もして本話で初登場した<コスモハウンド>にも乗って敵基地偵察して攻撃編隊の護衛もやってと大忙しですがどうなってしまうのか?次回をお楽しみにね〜。
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