宇宙戦艦ヤマトⅢ ReBoot!〜銀河中心部の混迷〜 作:箕理 田米李
≪ヤマト≫
機関室
バチィッ!(電流)
機関員A「ぐぉあッ⁉︎」
同B「おいだいじょ...おぉッ⁉︎」
徳川太助「そっちじゃない!向こうの機器からの操作が必要だ!出力補正間違えるな‼︎」
3年前の航海ですっかり一人前...とはいかないものの立派になった元≪ヤマト≫機関長 徳川彦左衛門の息子 太助は機関の調整をミスった新乗組員の後輩達を指導し補佐している。
山崎「徳川!」
徳川太助「あ、機関長!」
バチチチチチチィボッ!(電流と火花)
徳川太助「あぁ!」
樫野「俺が行きます!」
太助の様子を見に来た二代目≪ヤマト≫機関長の山崎と応急修理長の樫野。漏電かショートか火花が散り着火したパネルに樫野は消火器を持って消火に当たる。古来より船で一番怖い災害は"火災"である。特に軍艦には弾薬や燃料など燃え移り広がる物に溢れているから尚のこと危険である。その為の応急修理班である。防衛軍は度重なる戦乱で人材不足に悩まされておりこの概念が上手く機能しなかった、あるいはできなかったケースが多発していた。その反省として樫野らがいるのである。
樫野「ふぅ〜なんとかなりましたな。」
山崎「徳川!もう少しで大事なエンジンに火が回るところだぞ‼︎」
徳川太助「す、すみません(汗)!」
山崎「とまぁ...まだ説教をしてやりたいところだが、指示は的確だったし初動の新乗組員のミスのカバーをした点は良しとしよう...成長したな徳川。」
徳川太助「機関長...。」
それは本音であった。3年前の「雷王作戦」から「サンザー事変」そして「デザリアム戦役」に至るまで頼りなさが出ていた時と比べれば格段にまぁまだまだ親父さんである彦左衛門とは比較にならないまでも着実に成長を見せているのを少しは褒めた。滅多に褒めない山崎に対し太助の表情にも少し笑みが浮かんだ。
山崎「それにしてもこのトラブルの原因はやはり波動コンバーターですかな?」
樫野「えぇ、11番惑星での戦闘の時と同じくまたです。ただ今回は少し違いますね。反射衛星砲のビームを波動エネルギーバリアで受け止めた際にバリアが途切れないように過剰にエンジンからエネルギーを供給し過ぎたことによる負荷でしょう。新型コンバーター自体はまだ試作品です。それに≪ヤマト≫の波動エンジンは純正のイスカンダル式、最大出力は他の防衛軍艦艇の次世代波動エンジンにもまだまだ引けを取りません。故にコンバーターがそれに追い付けていないんでしょう。」
山崎「なるほど、地球の科学技術はまだまだ【イスカンダル】には到底及ばないというわけですな。」
同・食糧生産室(旧ヤマト農園)
平田「お手間をお掛けします生活班長。レーダー員の方は良いのですか?」
森雪「いいえ、ちょうど椎名さんと交代の時間だったからちょうど良かったわ。」
その頃、雪はかつてのヤマト農園から改装された食糧生産室に足を運んでいた。6年前の「ガミラス戦争」...【イスカンダル】への最初の航海では≪ヤマト≫は食糧不足解消の為、自給自足で確保できるよう農園が作られていた。しかし「ガミラス戦争」が※終わり、放射能除去装置「コスモクリーナーD」によって地球は元の青さを取り戻し復興が進むにつれ食糧供給や補給が安定していった。それに伴い農園は改装によって撤去され各種食糧を自動で生産する食糧生産室となり今に至る。雪が足を運んでいるのは今まさにその部屋である。パイロットから転身した椎名のお陰でレーダー員以外の業務も交代でこなし易くなったのだ。
※「ガミラス戦争」については【地球】、【ガミラス】双方に正式な国交がなくまた【ガミラス】側からの一方的な侵略戦争でもあった。そしてガミラス本星の壊滅による国家の崩壊により終戦協定も行われなかった為、正確には「休戦」扱いというのが【地球連邦】側の認識である
森雪「生鮮食糧製造機が故障ですか..。」
平田「はい、恐らく先の戦闘の衝撃によるものかと思われます。しばらく野菜や果物は缶詰ですね。」
森雪「そうね、皆には少し我慢してもらわないといけなくなるわね。」
...と食糧事情も変わり一部のメニューから野菜や果物が非常用の缶詰となり寂しくなった。だがそれでも人間腹が減るわけで贅沢は言っていられない。そんな食事を摂る二人に話を持っていこう。航空隊の山本と坂本だ。
坂本「うぇ〜ミックスベジタブルっすか...しばらくこれとか勘弁ですよ〜。」
山本「ハッハハまぁそう言うな。俺達もイスカンダルへの航海の時は一時期そんな時があったもんさ。あれは確か...※ビーメラの時だったな...。」
アナライザー「山本サン、ソノ時ノ話ハアマリ思イ出シテホシクナイモノデスネ。天才デアル私ノ数少ナイ失敗談ナンデスカラヨ!」
山本「アッハハハ、すまねぇなアナライザー。」
アナライザー「フンッ!分カレバ良インデス。」
と坂本の好き嫌いと過去の失敗をネタにされて不貞腐れ離れていくアナライザーに苦笑する山本。それからシュンとした顔に戻り話し始める。
※『初代』のPS版『遥かなる星イスカンダル』ではビーメラ星のエピソードはなくそれに代わるオリジナルエピソードとして「エルダーウッド宙域」での話があるが、本作ではあったという体(てい)で書いています。
山本「なぁ坂本...。」
坂本「ん?なんですが隊長...?」
山本「椎名のことなんだがな...。」
やはり話すとは思っていたと坂本、手に持ったスプーンを置く。
坂本「...暗黒星団との戦いからの3年間、椎名とほぼずっと間近で飛んでいたのに、あいつが辛抱強いってこと忘れて俺も気付かないなんて...俺、椎名があの時怪我から復活して心の底から嬉しかったんです。アイツはどう思ってるか知らないっすけど、張り合うライバルだと思って...けどもうアイツは...。」
山本「坂本...椎名が...俺達と飛び続けたいって思ってる気持ちは嬉しいんだがな、俺は椎名が今の立ち位置になって正直どこかホッとしてるんだ。」
坂本「隊長...。」
山本「アイツが負傷した時につい口にしたことなんだけどな...まぁ、まさかそれがホントに現実になっちまうとは思ってもなかったがな...。」
坂本「隊長...。」
それから少し二人の会話が止む...話の内容が内容なだけにどうするかってのを考えることが頭の中を支配していた。先に口を開いたのは坂本だった。
坂本「隊長、これからの揚羽のことなんですが...」
山本「ん?」
≪ヤマト≫は先のバーナード星での戦いによるものと思われる機関異常や食糧生産設備の不調に悩まされながらも率いる第1特派隊と共に第二の地球探しの任務を継続していた。そんな中、≪ヤマト≫らの針路上に宇宙図に載ってない未知の宙域があることが分かり≪ヤマト≫の中央作戦室では作業がない者以外が集まり今後の航海の会議が開かれていた。機関の異常や食糧設備の不調も報告されていたのでその対策も話し合われている。
≪ヤマト≫
中央作戦室
古代「宙図に載ってない宙域か...これは予想外だったな島?」
島「あぁ、前方を警戒していた≪いすず≫が記録したものを見たところ、この宙域には多数のアステロイドと赤錆びの様な茶色っぽいガス状物質が広がっているみたいだな...。」
真田「この赤錆のような物質を調べたところどうやら金属粒子のようだ。現にレーダーにもこの粒子のせいかノイズが走って障害が出ている。アステロイドの多さと赤茶色の金属粒子のガス...そうだな〜便宜上「ウィルダネス宙域」とでも呼ぼう。」
古代「ウィルダネス...「荒野」という意味ですね。真田さんこの宙域に惑星はあるんですか?」
真田「あぁ、ノイズのせいで正確な観測結果は得られてはいないが恒星が一つと惑星が三つほど確認できた。その内大気がありそうな星は第3惑星だった。機関や設備の修理...それにここのところ戦闘続きだったから休息も含めて仮に上陸が可能なら立ち寄っても良いとは思う。」
古代「分かりました。艦隊の陣形を単縦陣に移行、≪ヤマト≫を先頭にしてウィルダネス宙域に入ります。相原、各艦に伝達頼む。」
相原「了解です。」
古代「椎名。」
椎名「は、はい!」
古代「宙域に入ったら遠距離用のコスモレーダーは使えない。だから近距離用レーダーでの索敵になる。太田と連携して危険を見落とさないようしっかり頼むぞ。」
椎名「はい!ご期待に応えてみせます。」
太田「よろしく頼むよ椎名。」
椎名「はい!こちらこそよろしくお願いします。」
古代「(とりあえずは元気みたいだな。雪の提案通りにして良かった)よし、みんな艦橋に戻るぞ!」
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【ガルマン帝国】東部方面軍司令本部要塞
司令室
ダゴン「ガイデル提督...この度のバーナード星での敗北、誠(まこと)に以(もっ)て面目次第(めんぼくしだい)もこざいません...。」
ガイデル「うむ...≪ラジェンドラ≫の件といい今回の件といい...≪ヤマト≫とその艦隊は我々【ガルマン帝国】に対して敵対する意思があると見えてくるな...。」
その頃ダゴンの姿は自身の装甲師団の所属する東部方面軍の司令本部要塞にあった。そして自分でバーナード星に誘き寄せたのにも関わらず、あたかも「たまたま≪ヤマト≫に察知され交戦し敗北した」と虚偽を上官であるガイデルに報告している。
ガイデル「(オリオン腕方面の強大な力を持った戦艦...いやまさかな...総統の仰っていた奴ではあるまい、≪ヤマト≫は...)」
デスラーが以前、ガルマン本星での戦略会議で話していたことを思い出すガイデル。だが、「まさかこの広い宇宙で出会う可能性なんて百万に一つかそれ以上の確率だありえない」として考えるのをやめる。
ガイデル「事情はよく分かった。貴殿の艦と艦隊は傷付いてるから少し休め、そしてしばらくは≪ヤマト≫のことは放っておいてバース星の攻略に注力しろ。」
ダゴン「はっ!しかし総統にはなんと...?」
ガイデル「それとなくは伝える。そもそも≪ヤマト≫のことと存在自体がイレギュラーではあるが、大局に影響するほどではない。まもなく空母機動大隊と揚陸師団が到着する。それまではとにかく休養しておれ。」
ダゴン「はっ...ありがたきお言葉を...!(深々と頭を下げる)」
ガイデル「それとバーナード星への基地建設の為に来てもらった戦闘工兵大隊には仕方ないが別の任務地に向かって貰っている。今後はそちらに全力投球して貰おう、行き先は... ...」
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第1特派隊は仮称「ウィルダネス宙域」に≪ヤマト≫を先頭に≪たいほう≫、≪まみや≫、≪いすず≫、≪すずつき≫、≪ふゆづき≫の順に単縦陣を組んで入る。赤茶けた霧状の星間物質に含まれる鉄分がコスモレーダーを狂わせ長距離探索を不可能にする。椎名はすぐさま近距離レーダーに切り替え、他にも赤外線、サーマル(熱反応)、磁気センサー、動体探知と様々な探索装置を作動させる。≪ヤマト≫のレーダー機器は改装の度にアップグレードされているとはいえそれ以降の防衛軍艦艇と比べれば旧型で操作もどこか古めかしく4年前の【白色彗星帝国】での所謂「テレザート航海」の初期、急遽補充要員として≪ヤマト≫に乗艦していた"しんまい"こと新米俵太(あらこめ ひょうた)はそのせいでたびたび操作や設定を間違えていた。しかしそこはさすが椎名である。同時期にパトロール艦≪うずしお≫でレーダー員を勤めていただけあって操作は手慣れていた。だがそれだけではない。パイロットから生活班員に配置転換するにあたりマニュアルを僅か一時間程で読み終わりヤマト式レーダーコンソールのシュミレーターも二〜三時間で完全に使いこなした。この習得の速さこそ彼女が「才女」と呼ばれる所以(ゆえん)だろう。次々とディスプレイの表示を読み上げる椎名に答える様に北野が操舵を握り操る。大小様々なアステロイドを鍛え上げたテクニックで回避していく。後続艦も≪ヤマト≫に従って同じ回避運動を行い全艦無事に第3惑星軌道上に辿り着く。
≪ヤマト≫
第1艦橋
太田「霧状金属粒子及びアステロイド帯を突破しました。現在、艦隊はウィルダネス宙域 第3惑星軌道上です。」
椎名「宙域クリア、艦隊全艦のシグナルを受信。全艦異常なしです。」
南部「エルダーウッド宙域の※ザラス星の様な茶色い星ですね。見たところ自然の緑は全く無いようだな。」
※エルダーウッド宙域の複数ある恒星の内の4番目≪ヤマト≫側の仮称"エルダー4"の第1惑星のガミラス側の名称。4年前の「サンザー事変」の際にデスラーからの情報を得て名前が判明した
真田「恐らくここに漂う赤錆びた茶色の金属粒子と塵状(ちりじょう)に砕けた岩石のせいだろう。これが惑星が本来受ける筈の恒星の光を遮って地表の植物群の光合成を阻害してしまっているんだ。」
相原「なるほど、それでこんな色をしているんですね...。」
山崎「惑星そのものも荒廃している...まさにウィルダネス(荒野)の名にピッタリですな。」
土門「ん?北野先輩、あれはなんでしょう?」
北野「ん?...見たところ普通の小惑星のようだが...。」
古代「気になるな。太田、あの小惑星をスキャンしてみてくれ。」
太田「お待ちを...(カチャカチャと機器を操作)...出ました。見た目は小惑星ですが、中からは金属反応...しかも明らかに人工物と思われる構造を有していると思われます。」
島「小惑星内に人工物か...怪しいと思わないか古代?」
古代「あぁ、※彗星帝国の工場惑星の件もあったからな。調べてみよう。上陸チームを二班に分ける。俺と土門、北野、雪はコスモハウンドで惑星の地表探査をするA班、真田さんとアナライザーはあの小惑星の調査を行うB班だ。相原、艦隊全艦は警戒の為、待機するよう伝えてくれ。」
相原「了解です。」
※元ヤマト所属コスモタイガー隊隊長の加藤三郎、現隊長の山本そしてイレギュラーで乗り込んだ空間騎兵隊の斉藤は双子座カストル宙域を偵察中に機体トラブルで偶然着陸したのは小惑星に作られた【白色彗星帝国】の工場惑星であった。3人は≪ヤマト≫に衝突すべく動き出していたこの工場惑星を停止させことなきを得た。後に真田はこの工場惑星は双子座カストル宙域にあった光子砲要塞の建造に用いられたと推測した
そう言うと≪ヤマト≫はウィルダネス宙域第3惑星軌道上に留まり上陸チームA班を率いる古代らはコスモハウンドに乗り降下、真田率いるB班は小惑星を調査すべく100式電子探索機で同じく≪ヤマト≫から飛び立つ。他の第1特派隊の艦艇群は≪ヤマト≫の護衛と周辺の警戒を行っている。
古代らA班が乗るコスモハウンドは第3惑星の大気圏に突入後、周囲の景色を眺めながら飛行する。岩が多く植物は枯れてるのか生きてるのか分からない小麦やススキの様な枯草色のものばかりだった。するとハウンドの磁気センサーが金属反応を捉える。古代は「向かってくれ」とパイロットに指示し飛行させる。しばらく飛んでいるとそこには建物が見えた。それが大小ズラリと並び街が形成されていることが分かる。何かあるかもしれないと気になった古代はパイロットに調査をする為に街の外れにハウンドを降ろすよう伝え、パイロットはそれに従い操縦桿を操作し機をゆっくりと着陸させた。
土門「この星にも人型かどうかは分からないけど知的生命体がいたんですね。」
雪「でも、なんで誰もいないのかしら...?」
その場にある岩石を加工し利用したのだろうか、外観はゴツゴツしており地震にも強そうな堅牢な作りの建物を見るにそれなりに高度な文明を持つ知的生命体がいたことはまず間違いないが生活していた痕跡はあっても人っ子一人見当たらない。
北野「推測になりますが...無人になってからそう古くはないですね。建物や生活用品の劣化具合からして...10年も経っていないと思います。」
古代「分かるのか北野?」
北野「えぇまぁ、僕は訓練学校では航海学科で操舵を主に受けましたが、専攻コースは作戦立案や戦略戦術論に加え地質学や宇宙神話、異星文明学を取ったんでね。それとなく分かります。第11番惑星にある古代文明の遺跡も調査・研究に参加したこともあるんですよ?」
古代「へぇ〜そうだったのか...。」
北野が椎名と同様複数の専門受講コースを受けていたことは知っていたが、詳しくは聞いたことがなかった古代は素直に感心する。しばらく町を歩いているが同じ様に荒れた光景が広がるだけ、そして変わらず人気(ひとけ)もない。
雪「ッ!艦長...!あれは...‼︎」
古代「ッ⁉︎...これは...!」
古代達はそれまでの町の様子とは違う場所に立っている。技術体系や建築様式は地球の物とは明らかに違うが、ハッキリと分かる。軍事基地とそれに隣接する形で軍港もとい宇宙港もある。だがそれもあるが本当に驚いたのはその宇宙港に停泊している宇宙船らしき残骸だった。真ん中から真っ二つに折れ錆びて砂に塗れてはいるもののそれは幾度となく遭遇した"艦(ふね)"だったからだ。
古代「コイツは...ガミラス艦...⁉︎」
その頃、第3惑星軌道上の小惑星に偽装していた基地らしき場所に調査に赴いている真田とアナライザーも驚くべきものを発見していた。
アナライザー「コレハ...!技師長...?」
真田「あぁ...アナライザー、古代に連絡を取ってくれ。」
アナライザー「ハイ。」
そう言うとアナライザーは通信用アンテナを伸ばし第3惑星地上にいる古代に連絡を取る。ピピーッ!×2と電子音がヘルメットから鳴っているのに気付いた古代は右手を右耳付近に当て無線機のスイッチを押す。
古代「古代です。真田さん?」
真田(無線通信)『古代...大変な物を見つけたぞ...!』
古代「それが...こちらもなんです...。」
真田『なに...?』
古代「無人の街中を歩いていたら基地とそれに隣接する宇宙港にガミラス艦の残骸を発見したんです。」
真田『ッ!...そうか...やはりな...なら今俺の目の前にある物も納得がいく...。』
古代「そこに何があったんですか⁉︎」
真田『工作機械に...そして..,マイクロブラックホール発生装置だ...ガミラス製のな...。』
古代「ッ!それって...。」
真田『あぁ、この星はもしかしたら..."遊星爆弾"の製造基地だったのかもしれん...!』
遊星爆弾...それは今から約15年程前...地球が【ガミラス帝国】と戦争状態、所謂(いわゆる)「ガミラス戦争」の際にガミラス側が地球に対して使用した小惑星応用型惑星間戦略兵器だ。これにより地球の大都市は破壊され、海の水は干上がり、放射能汚染で地上は人類その他の生命体が生きられない文字通り"死の星"と化した。古代の両親を始め多くの地球人を焼き殺してきた悪魔の兵器...発射基地となっていた冥王星のガミラス基地は西暦2199年に≪ヤマト≫が壊滅させた。しかしガミラス戦争後に行われた調査で冥王星基地には遊星爆弾の製造に必要な「小惑星前方に人工的な小型ブラックホール(マイクロブラックホール)を作って質量誘導し運動エネルギーを与える」役目を果たすマイクロブラックホール発生装置は発見されず【ガミラス】がどうやって遊星爆弾を製造し発射していたかは謎のままとなっていた。真田は「製造は別の惑星等で行い冥王星基地に輸送しそこから発射していた。恐らく≪ヤマト≫が交戦した反射衛星砲は元々はこの遊星爆弾の点火装置だったのでは」と推測した。そしてその答えがこのウィルダネス宙域の第3惑星と軌道上に浮かぶ小惑星基地にあった。そう、ここが「遊星爆弾の故郷」だったのだ。
さらに調査を進める古代らA班と真田のB班。A班の方、古代らは基地の司令部と思われる建物に入り北野がまだ生きているコンソールに携帯用の分析端末のソケットを差し込んで基地の概要を調べ始める。ガミラス語で書かれてはいるが、地球の言語に翻訳は可能な為、解読は容易だった。
古代「どうだ?何か分かるか?」
北野「(ピッピッピッピッ!:電子操作音)ッ!出ました!基地建設と遊星爆弾の製造にはこの星の住人達が駆り出されたようです...。」
森雪「ッ!...酷い...。」
土門「まるで奴隷じゃないですか...!」
古代「... ... ...。」
森雪「ッ!じゃあ...この星の人達はどこに...?」
北野「...ッ!基地の最後の記録ログです。どうやらここが放棄されたのは約6年前ですね。日付を見ると...≪ヤマト≫が冥王星基地を破壊した日から約一週間後とあります...「冥王星基地陥落に伴い基地放棄を決定、航行不能艦及び機密データ、搬入不可能な物資は破壊と消去そして破棄し惑星の住民達は可能な限り輸送船に乗せ労働力として利用、なお抵抗する者は射殺した」とあります。」
古代達は内容に驚愕した。そしてもし地球が【ガミラス】に降伏していたら自分ら地球人類も同じ運命だったのではないかと思うとさらにゾッとするしかなかった。
続いて真田とアナライザーのB班。小惑星内に作られた遊星爆弾製造基地の工作機械やマイクロブラックホール発生装置を調べている。
アナライザー「ドレモコレモ動力(どうりょく)ハ止マッテイマスガ、ソレサエ確保デキレバ直グニ動キマスネ。」
真田「そのようだな。【ガミラス】の技術力だけでなく工業力の高さも窺(うかが)えるな。それにしても私の仮説がこんな形で実証されることになるとは思わなかった...まぁ、見つかった物が物だけに素直に喜べんがな。」
アナライザー「... ... ..,。」
アナライザーも真田の心境を察してか言葉を返さなかった。ロボットである自分はともかく生身の地球人達にとっては存在しても許してもいけない代物を前にしているのだ。複雑な心境になるのも無理はないからだとアナライザーなりに判断してだ。そしてお互い無言のまま調査を続けることにした。
また古代達地上組のA班に話を戻そう。古代のヘルメット付きの無線機がまたピピーッ!×2と電子音を立てる。
古代「こちら古代、相原か?」
相原(≪ヤマト≫からの無線通信)『艦長!宙域の近くに敵反応です!≪たいほう≫の警戒機が発見しました。現在≪いすず≫が警戒機と共に監視中...‼︎』
古代「なんだって⁉︎」
ウィルダネス宙域・近傍空間
【ガルマン帝国】
第45戦闘工兵大隊
旗艦:大型重戦闘艦改級輸送揚陸艦≪アースヴァウト≫
艦橋
オペレーター「全艦ワープアウト完了...艦長、ウィルダネス宙域近傍空間です。」
艦長「ふっ、ご苦労。ここがデスラー総統ら旧ガミラス陣営らから情報を得てかつて総統らの勢力が運用していた基地のある宙域か...なんとも辺鄙(へんぴ)なところまで来たものだな。」
副長「バーナード星基地建設任務から急遽ここになりましたから仕方ありません。しかしこの宙域の第3惑星の基地施設自体は残っています。古びているとはいえ一(いち)から立てるよりはまだ気楽でしょう容易な筈です。」
艦長「ふっ、それならバーナード星のあの硬そうな岩盤をくり抜くよりかは楽な作業か...艦隊に伝え!僚艦≪オースヴァウト≫及び多層式空母(ガルマン型)≪ブリュッサー≫、≪ガラッサー≫は中心!前衛は護衛艦を楔形陣形に配置!アステロイドとガス状物質に注意しながら進め‼︎ちっ...!忌々しい星間物質だ、これでは艦が汚れるではないか‼︎」
副長「なんでも遊星爆弾とかいう旧ガミラスの戦略兵器を作る際にアステロイドを加工して削ったりして出たゴミを放出し続けた結果なのだとか...。微量に金属が混じっているのがこの宙域のアステロイドの特徴でしてそのせいでレーダーも...。」
艦長「ふん!基地を建設するだけでなく宙域も綺麗にせねばならんとはなんという手間よ‼︎」
ガルマン輸送揚陸艦≪アースヴァウト≫艦長が忌々しい赤錆び茶けている金属ガス状星間物質をどうにかせねばならないのを「後先考えずに散らかしおって」と鼻息を鳴らして憤(いきどお)る中、それを監視する"目"が二つある。一つは戦闘空母≪たいほう≫のコスモタイガー早期警戒機とパトロール艦≪いすず≫だ。両者共に微量な金属混じりの赤茶色の星間物質の妨害に負けじとセンサー類をフル稼働させガルマン艦隊のデータを詳細に記録する。≪いすず≫艦長の井口は突撃したがる乗員達を宥め監視・警戒に専念するよう言う。そういう井口本人も宙雷屋魂からそうしたいのは山々なのだがその気持ちは心に留め口には出さない。
敵艦隊接近の報(しら)せは第3惑星地表にいる古代達だけでなく小惑星基地を調査中の真田とアナライザーの下にも聞こえていた。
アナライザー「技師長...僕達ハドウシマスカ?」
真田「... ...ッ!おいアナライザー、ここの装置は動力さえ確保できればすぐに動かせると言ったな⁉︎」
アナライザー「ハイ、ソレサエ確保デキレバドレモコレモ間違イナク動カセマス。」
真田「よし、≪まみや≫に連絡を取ってくれ!大至急だ‼︎」
その頃、古代達はコスモハウンドで急いで≪ヤマト≫に戻って来た。≪ヤマト≫左舷専用大型格納庫に収容されるハウンド。古代や雪、土門と北野は大急ぎで艦橋に向かって全力疾走しエレベーターで第1艦橋に飛んで行く。
椎名「艦長ら上がられます!」
森雪「椎名さん代わるわ!」
椎名「お願いします!」
古代「状況はどうだ相原⁉︎」
相原「はい。≪たいほう≫の警戒機とパトロール艦≪いすず≫からの情報では敵艦隊の編成は揚陸艦2、空母2、主力中型艦2、駆逐艦4の10隻です。」
古代「揚陸艦...?まさか敵はまたこの星を基地化するつもりか...⁉︎」
島「恐らくな。きっとあの揚陸艦には人員や物資が満載されている筈だぞ艦長。」
古代「そうはさせるか!全艦戦闘配置‼︎相原!≪たいほう≫は直ちに艦載機を発艦させ航空攻撃を行え!敵はまだこちらに気付いていない筈だ。≪ヤマト≫も航空隊を全機出撃させて奇襲で先手を取る‼︎」
相原「了解。」
古代「山崎機関長。機関の修理はまだ終わりませんか⁉︎」
山崎「申し訳ありません!まだ...徳川!」
徳川(機関室からの無線)『ダメです!まだ10分は掛かります‼︎』
山崎「では9分で済ませろ!いいな‼︎」
徳川『りょ、了解‼︎』
土門「艦長!機関が動かずエネルギーが回らないなら主砲(ショックカノン)が撃てませんよ‼︎」
古代「慌てるな土門!航空隊だけでなく≪すずつき≫と≪ふゆづき≫に艦隊攻撃をさせる。≪ヤマト≫は動けないが波動カートリッジ弾でそれを援護すればいい。」
土門「は、はい!」
古代「南部!その場合は長距離の射撃になる。腕の見せ所だぞ‼︎」
南部「任せてください!」
古代「そういえば真田さんとアナライザーは⁉︎」
太田「まだ戻っていません!」
古代「なんだって⁉︎」
相原「先程呼び掛けてみたところ、何か考えがあるそうで≪まみや≫はその援護に向かいました。なお作戦は進めて良いとのことです。」
古代「そうか...真田さんがそう言うなら...よぉし!みんな!戦闘用意だ‼︎」
古代の作戦指示の下、第1特派隊の面々は動き出す。≪たいほう≫は直ちにコスモタイガー雷撃型を対艦装備にして出撃、≪ヤマト≫航空隊はその護衛に出撃すべく準備を進める。≪ヤマト≫の艦載機格納庫ではパイロット各員が次々と自分の乗機のコクピットに飛び乗る。揚羽もシートに座りベルトを締めたところで無線が入る。坂本からだった。
坂本(無線通信)『揚羽、お前は俺の僚機をやれ。』
揚羽「は、はい⁉︎」
坂本『し、椎名の代わりに俺がお前の教官...いやペアになってやろうってんだ!なにか文句あっか⁉︎』
揚羽「い、いえ!了解です。揚羽武、本日より坂本先輩の僚機となります‼︎」
二人の近くの機にいる山本はさらっと周波数を合わせてその会話を聞いており、坂本の不器用さに微笑む。そうした後、≪ヤマト≫航空隊は順次発艦し≪たいほう≫航空隊と合流し合同航空攻撃編隊を形成する。隊長の山本機に無線が入る。
椎名(無線通信)『山本隊長?』
山本「おっ⁉︎椎名?お前どこから?」
≪ヤマト≫
第2艦橋(戦闘指揮艦橋)
椎名「≪ヤマト≫の第2艦橋からです。雪さんが第1艦橋にいて、航空隊の出番がある時はここで航空管制を務めます。」
配置転換した椎名(恋人)からの突然の声に驚くと同時に「今はこういうこともやるのか」と内心改めて彼女のスペックの高さにも驚かされている山本だった。
椎名「情報をそちらのコンソールにも表示しましたが、山本隊長らは2隻の空母を優先的して攻撃、主力中型艦と駆逐艦は≪ふゆづき≫らが対処するという手筈です。空母はまだ迎撃機はおろか偵察機も出していません。完全な奇襲が狙える筈ですよ。≪たいほう≫所属の警戒機からの情報も受け取って攻撃に役立ててください。」
山本「分かった!よぉし聞いたな野郎ども‼︎全機!俺に続けぇ‼︎」
それは完全になる奇襲であった。【ガルマン】の戦闘工兵大隊の面々はまさかこの宙域に敵勢力がいるなんて微塵(みじん)も思っていなかったからだ。まず旗艦≪アースヴァウト≫艦長が驚いたのは観測の為に潜んでいたパトロール艦≪いすず≫と合流した汎用駆逐艦≪すずつき≫と≪ふゆづき≫による砲撃だった。赤錆びた金属粒子が舞う宙域でレーダーがあまり効かない状況下では各個撃破は困難である。そこで≪いすず≫のその強力な索敵能力を用い二艦とレーダーの情報を共有し射撃する※(1)「レーダー連動射撃」で敵艦一隻に対する複数隻同時攻撃※(2)「優先火力ドクトリン」を行う。その餌食になったのは先頭にいた主力中型艦だった。まずは射程と威力とそして指揮能力に優れた艦を狙う。実に合理的だ。いやそれだけではない。井口、水谷そして亡くなった婚約者のことで少し踏ん切りが付いて立ち直りつつある藤田の艦長三人衆の連携が見事だからというのもある。そしてまたもう一隻の主力中型艦が撃沈されこれで2隻減った。仇討ちと言わんばかりに軽型戦闘艦4隻が群がる。≪いすず≫らは砲撃しつつ回頭しそれらを引き寄せる。「追ぇい!逃すなよぉ‼︎」と強く命じる輸送揚陸艦≪アースヴァウト≫艦長だが、突然のガクッとする振動に「なんだっ⁉︎」と思わず溢す。艦の動きが突然止まり小刻みに揺れているのだ。
※(1)、(2)=第二次大戦においてアメリカ海軍及び陸軍が取った戦術。海軍はこれで夜戦がお家芸とされた大日本帝国海軍に、陸軍はドイツの重装甲を誇る重戦車に用い対抗した
≪アースヴァウト≫
艦橋
艦長「な、なんだ...この揺れは...⁉︎」
副長「ほ、報告せよ...!」
オペレーターA「か、艦隊後方に重力源...!」
同B「これは...!マイクロブラックホールによる重力干渉です‼︎」
艦長「なにぃッ⁉︎ま、まさか...‼︎」
オペレーターA「ッ!上方から敵編隊‼︎」
背後に突然現れたマイクロブラックホールに驚く間もなく≪ヤマト≫と≪たいほう≫から発艦した合同航空隊は【ガルマン】工兵大隊の直上に位置していた。率いる山本の「全機!急降下で続けぇ!狙いは敵空母二隻だぁ‼︎」と言うと山本を先頭に機首を一気に下げ降下していく。ガルマン型多層式空母≪ブリュッサー≫と≪ガラッサー≫は自衛用の回転速射砲塔で対空弾幕を張るも装備数が少なく本来共に弾幕を掲載しなければならない護衛の艦艇が一部やられ残りが敵を追って離れてしまった為、百戦錬磨の≪ヤマト≫を含む防衛軍航空隊の阻止火力としては不十分過ぎた。群がるコスモタイガーはおろかそこから発射される対艦ミサイルの雨霰を防ぐこともままならず。2隻の多層式空母は直撃弾複数を受け爆散した。【ガルマン】工兵大隊が突如発生したマイクロブラックホールで突然止まり航空隊が空母2隻を仕留めた様子は≪ヤマト≫でもモニターしており艦橋クルーも皆驚いていた。
≪ヤマト≫
第1艦橋
太田「こ、航空隊が空母二隻の撃沈に成功です!残りは揚陸艦2隻と≪いすず≫らが引き寄せている駆逐艦(軽型戦闘艦)4隻だけです‼︎」
島「一体何が起きたって言うんだ...?」
古代「あれは...マイクロ...ブラックホール...?」
真田(無線通信)『そうだ古代!』
アナライザー(同)『フッフフ、オ役ニ立ッタデショウ?』
突然無線通信が入る。小惑星に偽装された工場基地に残り何か策を講じていた真田とアナライザーからだった。
古代「真田さん!まさか...‼︎」
真田『そうだ...!小惑星基地の動力を≪まみや≫に確保して貰い、それでマイクロブラックホール発生装置を起動し操作したんだ。そう、デスラーがイスカンダル星を止め、さらにはゴルバの動きを封じる為に使用したようにな。』
小惑星偽装工場基地・外
高速戦闘支援艦≪まみや≫
第1艦橋
機関長「機関エネルギー、順調にマイクロブラックホール発生装置に動力伝達中...。」
堀江「全開でなくても良いです。安定した回転を維持してください‼︎」
副長「さすが真田技師長。戦闘に積極的に参加できない我々に出番を作ってくださるとは。」
堀江「そうですね、単に頭脳が優れてるだけでできることじゃないですよほんと。」
≪まみや≫は小惑星偽装工場基地の外で機関とマイクロブラックホール発生装置とをパイプで結び波動エネルギーを供給する発電機となっていた。支援艦艇故に戦闘時は自衛を除き必要最低限戦闘を控えるよう言われる≪まみや≫。それを自覚するもやはり自分達だけ何もしないのは歯痒いというかもどかしい堀江艦長ら≪まみや≫クルー。そんな彼等にピッタリの任務であった。
古代「ありがとうございます真田さん!それにアナライザーも...よぉし!相原!航空隊には揚陸艦は攻撃せず引き返させろ。土門!南部!接近してくる駆逐艦は任せたぞ‼︎」
相原/土門/南部「了解!」
島「揚陸艦を仕留めなくて良いのか古代?」
古代「あぁ、上陸さえさせなければそれでいい。それにあの艦には敵とはいえ艦の乗組員だけでなく車輌や生身の兵士達も大勢乗っているに違いないんだ...。」
≪いすず≫
第1艦橋
井口「敵さんちゃんと着いて来てるな⁉︎」
レーダー/通信士「はい!駆逐艦4隻、攻撃しながら続いています‼︎」
【ガルマン】の軽型戦闘艦(地球呼称:駆逐艦)4隻が回転速射砲を乱射しながら≪いすず≫、≪すずつき≫、≪ふゆづき≫はそれから逃げている。それをレーダー/通信士からの報告を聞きそれと目視でも確認した井口は無線機を取り出しカチッ!とスイッチを入れる。
井口「藤田艦長!水谷のおやっさん!準備はいいですか⁉︎」
≪すずつき≫
第1艦橋
藤田「はい!」
≪ふゆづき≫
第1艦橋
水谷「いつでもいいぞ‼︎」
※ここからは♪『ヤマトの反撃』を流しながらお読み下さい
二人からOKサインを聞くと井口は「各個に散開!≪ヤマト≫の射線から離れろぉ‼︎」と指示し三艦はそれぞれバラける。突然目標が散った軽型戦闘艦4隻は追撃しようするも時既に遅かった。敵がバラけて広がった視界のその先に≪ヤマト≫が居たからだ。若いながらも戦闘面を任される戦闘指揮長の土門の指示の下、百戦錬磨の百発百中の砲術長 南部の完璧過ぎる照準と引き金を引く早さはまるで西部劇のガンマンの早撃ちの如くだった。波動カートリッジ弾は軽型戦闘艦の薄い装甲と艦体をいとも容易く貫き、いや過貫通と言ってもいい具合に突き抜けて行く。このままでは信管が作動せずただ艦に穴を開けただけになってしまうかと思いきやそこは開発した真田さんは抜かりない。装甲の薄い相手に対し過貫通を引き起こしてしまうことも考慮して波動カートリッジ弾には時限信管が仕込まれており、調整した時間が経てば爆発するようになっている。その爆発の衝撃は軽型戦闘艦を軽く吹き飛ばし艦体をひしゃげさせ制御不能に陥らせ回転しながら宇宙の彼方へ飛んで行ったりアステロイドに激突したりして爆散したりする。それで4隻中3隻を撃破したが残りの1隻は運良く二発が逸れ、一発は当たりどころが良かったのか、艦首上面の曲線部分に命中し波動カートリッジ弾を弾いた。※避弾経始(ひだんけいし)が優れて設計のお陰なのか?最も【ガルマン帝国】も相手が実体弾を使ってくるなんて想定していなかっただろうから偶然も偶然だろうが...そんなこんなで助かったと思いきやそれにいち早く気付いた戦闘指揮長の土門は万が一の撃ち漏らしを想定してすぐさま攻撃できるよう副砲の20㎝三連装衝撃砲一番砲塔にスタンバらせておいた。48㎝の大口径で射程も長い主砲に比べれば見劣りする副砲だがこういう撃ち漏らしや接近戦にこそ真価を発揮する為これでいい。狙い定めた副砲はラッキーな軽型戦闘艦を20㎝の中口径とはいえ威力は主砲に劣らない波動カートリッジ弾をモロに艦左舷に三連弾を受け運の尽きとなった。
こうして戦闘は終了した生き残った輸送揚陸艦≪アースヴァウト≫とオースヴァウト≫の2隻は自身らを縛っていたマイクロブラックホールの重力干渉から解放され制止している。そこに≪ヤマト≫からの電文を受け旗艦≪アースヴァウト≫のオペレーターは艦長の了承を受け読み上げる。
※戦車など装甲を曲面や傾斜で構成させることにより砲弾が命中してもその運動エネルギーを分散させて逸らして弾くという概念
≪アースヴァウト≫
艦橋
オペレーターA「「貴艦隊が基地の再建に来たと推測しそれを阻止すべく交戦した。本戦闘は断固そうはさせないという我々の意思表示である。故にこれ以上の戦闘とそれによる犠牲は望まない...即刻現宙域を離れられたし...」以上です。」
副長「なんという言い草だ!艦長‼︎ここで退いてしまっては【ガルマン】の恥!拒否すべきです‼︎」
艦長「落ち着け副長。俺も悔しいがここは要求を呑まざるを得んだろう。」
副長「艦長!」
艦長「空母と護衛の艦艇を失った今の我々は裸も同然だ。それに艦の乗員達のことだけではない、上陸する兵士や作業員のことも考えねば...」
副長もその件を思い出し冷静さを取り戻してそれ以上は何も言えなくなった。
艦長「我々【ガルマン】の同胞の数は決して多くはない。今ここで貴重な戦力を失うのは国の将来にはならんと思う...事情を話せばガイデル提督...そして我らが総統もきっと分かってくださる筈だ...。」
≪ヤマト≫
第1艦橋
ピピーッ!×2(電子音)
相原「艦長、敵旗艦より返信です。」
古代「読んでくれ相原。」
相原「「我、貴艦隊の丁重なる要求を受け入れ速やかに当宙域を離脱する。だが、次に会った時はそうはいかないと思われたし。砲火を交える時を楽しみにしている」以上です。」
ピューンイーンッ!(電子音)
森雪「ッ!敵揚陸艦2隻、ワープして撤退していきました。」
島「やったな古代...!」
古代「あぁ...やったんだ...。」
戦闘終結後、第1特派隊は艦隊を集結させ≪ヤマト≫は機関の修理作業を再開し≪まみや≫はその補佐として接舷。≪いすず≫は再び警戒任務に戻り、≪たいほう≫、≪すずつき≫、≪ふゆづき≫は第三惑星の軌道上から地上の基地へ向けてショックカノンを撃ち込み基地を再建できないように破壊、真田さんとアナライザーは小惑星偽装工廠基地内部に遠隔起爆式の爆弾を仕掛けて100式で脱出、ある程度離れた場所でスイッチを押して起爆し基地を内部から爆破、破壊し≪ヤマト≫へと戻った。
≪ヤマト≫
第1艦橋
森雪「副長、アナライザー、帰還し上られます。」
古代「お疲れ様でした。真田さん...アナライザーも..,。」
真田「これでこの星の基地再建は難しくなった筈だ。」
アナライザー「コレデ遊星爆弾モ再ビ作ラレルコトハナイデショウ。マタ地球ヲ救イマシタネ。」
古代「... ... ...。」
島「どうした古代...?脅威は取り除かれたんだ...もう安心しても良いんじゃないか?」
敵艦隊に撤退を促し地上と小惑星双方の基地を再建不能にしたのにも関わらず。古代の表情は浮かなかった。
※ここからは♪「哀しみのスカーフ」を流して下さい
古代「いや、この惑星に住んでいた筈の住民達のことを考えていた...【ガミラス】に占領され、奴隷の如く酷使され、俺達の地球を醜く赤く染めた遊星爆弾を作らされた...そして最終的にはその住民たちは丸ごと強制移住させられた...もしも地球が【ガミラス】に降伏していたらこうなっていたかもしれなかったと思うと...。」
相原「古代さん...。」
古代の最も過ぎる気持ちに皆(みな)が口をつぐんでしまう。そうだ、それも「あり得たかもしれない地球の未来」だったのだ。あの毎日が地獄の様な日々を体験した者達なら誰でも今の古代の気持ちは察するに余りある。
真田「そうだな...俺達はたまたま【イスカンダル】のスターシャのメッセージを受け取り、波動エンジンを組み立て、≪ヤマト≫で旅立ち、地球を救ったに過ぎないのかもしれんな...。
そして今回マイクロブラックホール発生装置を使ったことで改めて思い知らされたよ...『テクノロジーを生み出し、またそれを扱う者は人間の良心を忘れてはならない』ということをな... ...。」
≪ヤマト≫の艦橋クルーは今、自分達がこうして生きている幸運に改めて感謝の念を抱かずにはいられなかったのだった...。
数分後...
≪ヤマト≫機関室
太助「よし、これで...応急長!良いですか⁉︎」
樫野「おう!いいぞ!やってみろ...‼︎」
太助「くッ!」(レバーをガッチャ!)
パパパパパポポポポポッ!(コンソールのエネルギーカウンターが点灯していく音)
ウィィィウォォォォォォォンブゥゥゥゥゥゥッ!(波動エンジンのフライホイールが回る音)
樫野「よし!ご機嫌良くなった‼︎」
太助「こちら機関室!機関長!修理完了です‼︎」
長く修理に時間が掛かっていた波動エンジンがようやく修理が終わり太助が第1艦橋にいる機関長の山崎に報告を入れる太助。「よし、良くやったな。後はしっかり計器を見てろ」と無線で連絡を返す山崎。
第1艦橋
山崎「艦長、機関の修理作業完了です。」
真田「艦内外の点検も完了した。」
相原「第1特派隊全艦、発進準備完了との報告です。」
古代「よし、これより第1特派隊はウィルダネス宙域を離脱する。」
島「了解。北野、微速前進0.5。」
北野「了解、微速前進0.5...。」
古代「≪ヤマト≫、発進!」
メイン、補助エンジン双方のノズル内からオレンジ色の光が見え、エネルギーが吹き出し≪ヤマト≫が進む。それに続いて第1特派隊の他艦も続いていく。決して忘れてはならない過去を思い起こさせる宙域を後にし、彼等は進む...先に行(ゆ)かねば分からぬ、未来へと... ...。
読了ありがとうございます。序盤から太助の成長、ヤマト農園から食糧生産室への改装、椎名さんバリくそ働く、坂本に心境を吐露する山本など見所一杯にしています。
本作オリジナルエピソードの舞台「ウィルダネス宙域」...そこは遊星爆弾の故郷でありました。初代とPS版『遥かなる星イスカンダル』を思い出した時に「そういえばリメイクでは遊星爆弾のルーツが描かれてたけど旧作とゲーム版では描かれてないやん」ってんで考えた話であります。そしてその宙域の惑星を再度基地化すべくやってきた【ガルマン】の揚陸部隊と交戦になります。原作の大型戦闘艦に当たる大型重戦闘艦級を改造した輸送揚陸艦は本作オリジナルのメカで原作『Ⅲ』第16話のガルガミ建国パレードで大型戦闘艦から降下兵が降りるのを見て「揚陸機能もあるのか?ならそれをベースにした揚陸艦がいたら面白いな」と思い本作の副監督と話し合いデザインして貰ってメカコレで製作しています。製作過程はその都度X(旧Twitter)にアップしてるのでよろしければ。
あと今回は北野のハイスペ振りも地味に注目です。『二重銀河の崩壊』の山本と椎名の偵察回で山本が「北野も椎名と同じく複数のコースを受けていた」と台詞にあるのですが、具体的に何を受けていたかが語られなかったので本作オリジナルで考えてみました。
航空隊と真田さんとアナライザーが操作するマイクロブラックホール発生装置のお陰でなんとか揚陸部隊の上陸を阻止し敵の艦長も話が分かる人で撤退して貰い、基地を潰してこれでまた地球への脅威を無くすことができた≪ヤマト≫。古代は今回の事で遊星爆弾で死んだ両親の事を思い出し、またそれを作る為に奴隷の如く働かされ挙句全住民が強制連行された事実を知り驚愕しなんとも言えない気持ちになる。それをフォローする真田さん...オリジナルのアニメよりもPS版だと戦いの後のこの二人のやりとりは多いのでこれもPS版の特徴ですね。因みに真田さんの古代を諭す台詞の一部は『ダンボール戦機』の主人公 山野バンの父親 山野淳一郎博士の台詞から一部引用しています。
『ヤマト』という作品内で「発達し過ぎた科学への警告」「人間と機械はどうあるべきか?」は松本零士先生が数々描いてきた内容で私もそういう話が大好きで故にそのテーマ性が強く描かれてきたオリジナルTVシリーズとPS版は何度もリピってる。今回の話は私なりではありますが松本零士風なエピソードとして楽しんでいただけたら幸いです。
さて次回も実は舞台は原作にあるけど内容は丸っきりオリジナルエピソードとなります。あの艦やこの艦も登場しますよ?ではまた次回ね〜。