宇宙戦艦ヤマトⅢ ReBoot!〜銀河中心部の混迷〜   作:箕理 田米李

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暑くキツかった夏の残暑がまだ引き摺る9月。今月は1/1000戦闘空母ヒュウガや玉盛先生のメカ画集が発売で、『3199』第四章もあと1ヶ月で放映と迫っていますね。そんな中でも私は変わらず模型と小説やってます。ではどうぞ↓


第10話『魔のノーザンクロス星域を突破せよ!』

第1特別派遣調査隊 旗艦≪ヤマト≫

第1艦橋

 

太田「現在、ワープ空間を航行中...。」

北野「これを抜けますと"いて座ロス星系"を超えバジウド星系に到達する筈です。」

島「ここまで色々あったが、なんとかここまで来れたな艦長?」

古代「あぁ、いよいよ地球からギリギリ観測できた調査対象惑星バジウド4のあるバジウド星系だ。」

 

思わぬ遊星爆弾のルーツの星に赴き嫌な過去を思い起こさせ改めて自分達の幸運と科学のありようを痛感したウィルダネス宙域を離れ、ワープ空間を走る≪ヤマト≫率いる第1特派隊の艦艇群。一同は調査対象から抜けているいて座ロス星系を一気にすっ飛ばしてバジウド星系にある惑星バジウド4に向かおうとしていた。

 

ガゴォガンッ!(強い振動音)

北野「な、なんだ⁉︎」

相原「凄い揺れだ!何かにぶつかったのか⁉︎」

古代「落ち着け!太田!どうしたんだこれは⁉︎」

太田「イレギュラー発生!何か巨大な重力源か流星群でも近くにあるのか...?」

島「北野!強制ワープアウトだ‼︎良いか古代?」

古代「あぁ、やむを得んだろうな。北野!機関長!お願いします‼︎」

北野・山崎「了解!」

古代「(カチャッ!:無線機を取り出す音)総員に告ぐ!≪ヤマト≫はこれより強制ワープアウトを行う!各自衝撃に備え何かに掴まれ!以上‼︎」

 

突然の揺れに危機感を感じた≪ヤマト≫は強制ワープアウトを敢行。ワープ空間から通常空間の宇宙に戻る。≪ヤマト≫に続く形で他の第1特派隊艦艇群も続けてワープアウトしてくる。

 

太田「通常空間を確認、ワープアウト成功です。」

森雪「後続艦も全艦がワープアウトして来ました。」

相原「全艦より「異常なし」との報告です。」

古代「真田さん、艦(ふね)の損傷は?」

真田「大丈夫だ。早めにワープから出たお陰だな。島の判断は的確だった。」

南部「ふぅ、なんとかなったな。」

土門「冷や汗が出ましたよ。」

ピューンッ!(レーダーの電子音)

森雪「ッ!レーダーに反応ありメインパネルに回します。」

古代「なっ⁉︎なんだここはぁ...⁉︎」

 

≪ヤマト≫のメインパネルに映し出されたのは三つの惑星が並びそこに気流によってできた竜巻が発生する荒れた宇宙空間だった。

 

真田「ここは...!白鳥座の一部、ノーザンクロスM-61星域だ‼︎」

古代「白鳥座星域...!ここはそもそも調査リストにはないところでしたよね?いて座ロス星系と同じくワープで抜けれる筈じゃなかったんですか⁉︎」

真田「俺もそう思っていたが、もしかしたらあの三連星からなる酸素を含んだ宇宙気流と漂うナトリウムイオンが反応した宇宙竜巻がワープに干渉するほど強かったのかもしれん...いやぁ迂闊(うかつ)だった。」

 

白鳥座...日本では夏の代表的な星座の一つ。主要な星が十字に並んだ姿は南天の南十字星と対比する形で北十字星...ノーザンクロスと呼ばれる。その61番星...ノーザンクロスM-61星域はその中でも荒れた星域で知られている。

 

ピュイーンッ!×2(レーダー音)

森雪「ッ!レーダーに反応あり!ノーザンクロスM-61星系からです‼︎」

島「なにッ⁉︎こんな時と場所に敵か...⁉︎」

古代「雪、詳細は分かるか⁉︎」

森雪「ダメです。識別信号を拾えません。」

古代「全艦戦闘配置!」

 

ピロピロピロプゥ~ン!といつもの特徴的な警報が≪ヤマト≫のみならず第1特派隊所属の全ての艦艇群全ての艦内に鳴り響く。各々の乗員がそれぞれの配置に向けて通路を走り、エレベーターに乗り、また寝ていた者は警報に驚き瞼(まぶた)を擦(こす)って眠気を払う余裕もなくベッドから飛び起きるか転げ落ちる。≪ヤマト≫の前甲板の第一第二主砲、及び第一副砲塔が敵と思われる反応のいる方向に回転、指向させ砲身の仰角を合わせる。他艦もそれに続き≪ヤマト≫と連動して砲戦できるようスタンバイする。

「主砲及び艦首魚雷、準備よし!」「艦長!いつでも撃てます‼︎」と南部と土門がそれぞれ艦長の古代に報告する。

 

森雪「距離1万宇宙キロ...有効射程距離に入りました..,!」

古代「全艦砲戦用意...!」

相原「待ってください艦長!」

古代「どうした相原⁉︎」

相原「通信が入っているんです。今スピーカーに繋げます。」

 

???『こち...防え...第5特...旗...≪ビスマ...』

 

古代「相原、もっと感度を上げろ!」

相原「お待ちを...フィルターを強めに掛けてみます...!」(カチカチカチッ:コンソールの操作音)

 

『無線通信』

???『こちらE.F.D.F(地球連邦防衛軍)護衛戦艦≪ビスマルク≫である。我、敵にあらず。繰り返す。我、敵にあらず。』

 

島「...!艦長、相手はどうやら味方みたいだぞ...?」

古代「ッ!」

真田「護衛戦艦≪ビスマルク≫...欧州管区所属の艦船で編成された第5特別派遣調査隊の旗艦だ。まさかこんなところでお目に掛かれるとはな...。」

 

藤堂長官が指揮する「第二の地球探査計画」では≪ヤマト≫率いる第1特別調査隊の他にも複数が同様に編成されている。その中の一つが欧州管区の第5特別派遣調査隊だ。ビスマルク級護衛戦艦 1番艦(ネームシップ)の≪ビスマルク≫を旗艦とし2番艦≪ティルピッツ≫、プリンス・オブ・ウェールズ級護衛戦艦(以降、POW級護衛戦艦と表記)≪アンドレア・ドレア≫、≪ダンケルク≫、≪フリチョフ・ナンセン≫、≪ロッテルダム≫を中心に多数の護衛艦と4隻の調査船で編成される大規模調査船団だ。

≪ヤマト≫率いる第1特派隊と反航する形で合流する第5特派隊。その中で≪ヤマト≫の両舷に接舷したのは≪ビスマルク≫と≪アンドレア・ドレア≫で両艦長が自分達の事情を≪ヤマト≫艦長の古代に報告しに中央作戦室に赴いていた。

 

中央作戦室

 

古代「では、あなた方第5特派隊はここノーザンクロスM-61星系方面を担当しここを突破しようとしていたわけですね。リンデマン艦長?スペツィア艦長?」

リンデマン/護衛戦艦≪ビスマルク≫艦長「そういうことだ。だが、この宇宙竜巻が難儀な物でしてな。私の≪ビスマルク≫と姉妹艦である≪ティルピッツ≫が先導して複縦陣で突破するつもりだったのだが、途中で護衛艦の一部と調査船が損傷や機関に不調をきたしてしまったのだ。」

スペツィア/護衛戦艦≪アンドレア・ドレア≫艦長「それで急ぎ引き返してみたら、まさかあの≪ヤマト≫に出逢えるとは...なんという幸運だと改めて女神に感謝しキスをしたくなる巡り合わせだよ。」

 

中背、細身ながらも意志が強く真面目そうないかにも「勤勉なドイツ人」と同じく中背だが若干ガッチリしており薄っすらと髭(ひげ)を蓄えた「伊達男なイタリア人」それぞれの典型の様な≪ビスマルク≫艦長 リンデマンと≪アンドレア・ドレア≫艦長 スペツィアがそれぞれ≪ヤマト≫艦長 古代と技師長 真田に報告を入れる。

 

古代「こちらこそしばらく振りに味方に会えて嬉しいですよ。」

真田「うん、ケンタウルス座アルファ星以降は戦闘やらなんやらで緊張の連続だったからな。損傷した艦と調査船の修理はまだまだ掛かりそうですし佐渡先生の話では負傷者の手当ての方も今少し掛かるそうです。それまで充分にお休みください。」

リンデマン「何から何まで感謝を申し上げる。先に通った者として僭越(せんえつ)ながら言わせていただくが、この宙域は危険だ。幾たびの修羅場を潜ってきた≪ヤマト≫ですら突破は困難であると推測する。」

スペツィア「時間は掛かっても迂回ルートの検討をした方が良いかもしれないな。遠回りはスピードが出せないから嫌いだけど...って私の好みは置いておいてこれはこの星域のデータだ。参考にしてくれ。」

古代「ありがとうございます。これからどうするか艦隊の皆で話し合って決めたいと思います。」

 

その後、リンデマンとスペツィア両艦長はそれぞれの艦の指揮に戻るべく≪ヤマト≫を後にした。古代の命令で入れ替わる様な形で艦橋クルーが中央作戦室に来て今後の対応が話し合われる。他の第1特派隊の面々も今回はホログラム映像ではなく集まっている。

 

島「第5特派隊から送られてきたデータを見る限り航海班としてはこの星域は迂回した方が賢明だと俺は思う。」

真田「うん、副長の言う通りだ。ビスマルク級はこのノーザンクロス星域のような所謂(いわゆる)"荒れた宙域"を通るのを想定し武装を格納式にして丸みを帯びた設計となっている。その2隻が盾になるように後続の艦が続く形で航行していたがそれでもダメだったんだからな。いくら≪ヤマト≫でも激しい竜巻と気流の流れに巻き込まれてはひとたまりもない。」

太田「迂回ルートの方は既に策定済みです。これが無難ですかね。」

 

作戦会議の流れは「星域の迂回」で概ね決まろうとしていたが、艦長の古代だけは違った様子だった。珍しく手を顎に乗せ何か考え込んでいる。その様子にいち早く気付いたのは生活班長で恋人(≪ヤマト≫クルー周知の事実)の森雪だった。

 

森雪「どうしたの艦長?そんなに考え込んで。」

古代「あ、あぁ...みんな聞いてくれ。俺はこの星域を突破してみようと思うんだが...。」

 

古代のその意見に会議に参加する全員が驚く。

 

島「おい古代...いや艦長。それは無茶じゃないか?俺達≪ヤマト≫ならいざ知らず他の艦はこの手の宙域の航行経験がないんだぞ?」

古代「だからこそだ。≪ビスマルク≫ら第5特派隊が突破できなかったのはリンデマン艦長らが経験不足もあると思っているんだ。」

相原「経験不足...ですか...?」

真田「確かに艦長の言うことも一理ある。防衛軍には≪ヤマト≫とそのクルー以外に外宇宙での航海経験がある艦や乗員はほぼ皆無と言っても差し支えないからな。リンデマン艦長らの実力を疑うわけではないが、いくら最新鋭の艦であるビスマルク級やPOW級でも乗員の経験が乏しければその真価を発揮させることはできないだろうからな。」

水谷「恥ずかしながらその通りだ。長く宇宙艦に乗って来た私ですら太陽系内しか航行したことがないんだからな。」

藤田「これはまだ【地球連邦】が星間国家としては未だ新興で支配領域が太陽系内に限定されているのと同時に"防衛軍"という防御に特化した軍隊故の性質上の問題でもあります。」

井口「自分の住む家とそのご近所のことはよく知ってても、一歩町の外に出れば分からんことだらけみたいなもんか。」

堀江「実に分かりやすい例えですね。」

 

そう【地球連邦】とその防衛軍はその名の如く「地球と地球のある太陽系を守る軍隊」であった。【ガミラス】などとは星間国家としての歴史やスケールの大きさなどは言うまでもなくその国家と軍隊の性質とは逆に防衛に特化し過ぎていた。他の銀河系や星系の星間・惑星国家を侵略すべく外宇宙への航海をする必要がない、いやしないのが【地球連邦】の※ドクトリンである為、宇宙艦にはそれほど超長距離及び長期航海用の装備や設備そしてそれらを扱う訓練の必要性はないと言って良かった。「デザリアム戦役」の時にはアンドロメダ改級≪春藍(しゅんらん)≫率いる第7艦隊が防衛軍初の長期航海用遠征艦隊として創設・活躍した。それがつい3年前とごく最近でありその間には地球はまた同戦役の復興もあって忙しくなり長期航海の訓練やそれに伴った艦艇の整備は遅々として進んでいなかったのである。今回の第5特派隊の件もそのツケが回った結果なのだ。

 

※政治、外交、軍事などに於ける基本原則のこと。軍事では「戦闘教義」とも呼ばれる。

 

能登「でも古代艦長。やはり危険な気がするわ。私達も外宇宙の航行経験に関しては第5特派隊と似たようなものですから。≪ヤマト≫の足を引っ張るような事態は私たちも望まないし避けたいわ。」

古代「それはもちろんです。我々の艦隊は数が少ない分より密集し互いに連携の取れるような隊形と通信網を張りましょう。厳しい航海になりそうですが、必ず良い経験になると思います。」

真田「昔から"穏やかな波は良い船乗りを育てない"...という言葉もあるからな。」

相原「"波が穏やかなら誰でも舵は握れる"...とも言いますよね。」

 

いつしか反対の声は鳴りを潜め、皆の声や表情はやる気に満ちた賛成の意思に統一されていくのを周囲を見回し確認する古代。

 

古代「どうやらみんなの意思はまとまったようだな。よし、第1特派隊はノーザンクロスM-61星系を直進するコースを取る。各艦は速やかに突入準備に入れ!解散‼︎」

 

数時間後、各々の艦の準備が整い第1特派隊は第5特派隊の面々と反航する形で別れる。「行って参ります」「無事な航海とまたの再会を」を祈ってそれぞれが敬礼した。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

古代「総員及び艦隊全艦告ぐ!これより第1特別派遣調査隊はノーザンクロスM-61星系に突入する‼︎各自持ち場を守り、各艦は直列陣形を保て!以上だ‼︎」(カチャ:無線機を置く)

島「北野、しっかり操舵を頼むぞ!必要なら俺が第2艦橋へ行って操舵を補助するからな‼︎」

北野「はい!」

古代「山崎機関長!」

山崎「波動エンジン、出力は安定しています。大丈夫ですよ。」

古代「よぉし!みんな行くぞ‼︎」

 

≪ヤマト≫を先頭に≪たいほう≫、≪まみや≫、≪いすず≫、≪すずつき≫、≪ふゆづき≫の順に第1特派隊はノーザンクロスM-61星域に突入する。濃緑の霧のような酸素で構成された星間ガスの宇宙気流とそれに反応したナトリウムイオンの赤い宇宙竜巻が吹き荒(すさ)んでいる...そんな宙域だ。これまで様々な荒れた宙域を通ってきた≪ヤマト≫。第1特派隊他艦、いや防衛軍に属するどの艦よりも経験豊富だがここは慎重さを忘れずにと、ベテラン乗組員の気はより一層引き締まり土門ら新乗組員らはその姿と背中を見て見習う。

 

左舷展望室

 

アナライザー「ウムム...暗イワケジャアリマセンガ、赤イ竜巻モ相マッテトテモ奇妙ナ星域デスネ。」

佐渡「なぁに...前の戦いで暗黒物質を見た時と同じじゃわい。宇宙竜巻なんて珍しいものを見れる機会もそうそうない...これを見ながら酒を嗜むも風流があってよいもんじゃぞ〜。」

アナライザー「ソウデシタソウデシタ。流石ハ大先生、ドンナ時デモ考エガブレマセンネ。」

 

≪ヤマト≫がそれぞれの持ち場で気を引き締める中、相変わらずの余裕で酒を嗜む佐渡とそれに付き添うアナライザー。この2人はいつ如何なる時だろうと変わらないようだが、他の第1特派隊艦の面々はそうは行かないようだった。

 

≪たいほう≫

第1艦橋

 

能登「艦載機の固定はしっかりできてるわよね⁉︎」

副長「えぇ、格納庫の作業員には念押ししてありますが...おぉっと!」

能登「しっかり体を支えておいて!大荒れなんてものじゃないわよこの宙域は...‼︎」

副長「りょ、了解...。」

 

≪まみや≫

第1艦橋

 

副長「うっく...揺れがゆったりだったり激しかったり忙しいですね。」

堀江「この程度で酔うんじゃないぞ副長?まだ序の口だと思うからな。」

副長「それはもちろん。心配し過ぎてはいませんが、≪ヤマト≫は大丈夫でしょうか?」

堀江「オクトパス原子星団、七色星団、大宇宙気流帯、暗黒星雲中心...色んな荒れた宙域を通ってきた≪ヤマト≫ですら宇宙竜巻は今回が初めてだ...だが乗り切るよ。その為に僕らを引っ張ってくれてるんだから。」

副長「そ、そうですね(相変わらずのヤマトオタク振りだな〜(汗))。」

 

≪いすず≫

第1艦橋

 

レーダー/通信手「艦長!我々が先頭じゃなくて良かったのですか?索敵能力なら本艦の方が≪ヤマト≫より優れています。※ピケット艦の本分を...」

井口「バーカ!こんな荒れた宙域じゃどんなに優れたレーダー積んでるってもてんで役に立たねぇよ!それに、こういう荒れた海ってのは機械よりも知識と経験が役に立つんだよ!だから≪ヤマト≫が一番前ってわけだ!文字通り大船に乗ったつもりで任せとけゃいんだよ。心配すんな!」

レーダー/通信手「は、はぁ...。」

 

※前線前方に配置され警報を出す兵や部隊のこと。同様の任務を実行する航空機や艦船のことを指す事もある。艦船の場合は「レーダーピケット艦」と言い第二次大戦期の太平洋戦線に於いてアメリカ海軍が迫り来る大日本帝国陸海軍の神風特攻に、冷戦期では旧ソ連海軍の長射程対艦ミサイルによる飽和攻撃に備えた。早期警戒管制機やイージスシステム搭載艦などの登場により専用の艦としては役目を終え消滅した。

 

≪すずつき≫

第1艦橋

 

(ガガッゴン!:振動)

藤田「ッ!どうしたんですか⁉︎」

(ピロリロリロリロリロ!:電子音)

機関長「エンジンに異常です!恐らくこの星域に漂う星間物質にちゃんと対応していなくてフィルターが詰まり掛けてるんです‼︎」

藤田「早急に対処を!新鋭艦たる本艦が≪ヤマト≫や僚艦の迷惑になるなんてことがあってはなりません‼︎」

副長「第三.五世代型波動エンジンはデリケートだとは聞いてはいましたが、ここまでとは...。」

(ピピッーッ!×2:電子音)

レーダー/通信手「ッ!艦長!≪ふゆづき≫からデータ受信。機関調整の関する物です。」

藤田「ッ!すぐに機関長にデータを転送して‼︎」

レーダー/通信手「りょ、了解!」

藤田「さすが水谷艦長...対処が早い上に気遣いまで...。」

 

≪ふゆづき≫

第1艦橋

 

レーダー/通信手「≪すずつき≫姿勢安定しました。」

副長「データが役に立ったようですね。」

水谷「素直に受け取ってくれたようで何よりだ。彼女と≪すずつき≫の力はこれからもっと必要になるからな。」

副長「ですね。しかしそれは我々もですよ?」

水谷「ハッハハ、すまんすまんそうだな。」

 

各々ノーザンクロス星域の荒れた星域を四苦八苦してどうにか慣れようとしている第1特派隊所属艦。そんな中、≪ヤマト≫の生活班が管轄している艦内第三倉庫で事件が起こる。固定していた棚と積まれた荷が崩れそこに配置されていた生活班作業員が巻き込まれ下敷きになってしまう。そこを揺れる艦内を歩きながら生活班管轄の部屋を見て回っていた平田と椎名が目撃し急いで救い上げる。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

(ピピッーッ!×2:電子音)

相原「はいこちら艦橋...平田さん...?えぇ⁉︎」

古代「どうした相原⁉︎」

相原「第三倉庫で荷崩れだそうです。応急処置をした椎名さんによれば負傷者5名...内3名が軽傷で2名が重傷だそうです!

古代「分かった!相原!医務室に運ぶよう言って佐渡先生に連絡をつけてくれ、まずは"軽傷者"からだ‼︎」

土門「ッ⁉︎」

 

それを聞いた土門は一瞬自分の耳を疑う。だが古代は確かに「"軽傷者"から」と言った。

 

土門「北野先輩!なんで艦長は軽傷者を先に⁉︎重傷者を運び出すのが先じゃないんですか⁉︎」

北野「艦の能力を維持する為だ!」

土門「ッ⁉︎」

北野「重傷者は治療してもすぐには復帰できない。だから応急処置ですぐに持ち場に戻せれる軽傷者の方が優先なんだ!」

土門「な、なるほど...必要なのは動ける人員の確保というわけですね...!」

 

土門の疑問に対し操舵で忙しいながらもちゃんと受け応えれる北野は単に人柄が良いだけではない、それだけ操舵の腕を上げたということでもあるのだ。土門も土門で良い勉強になった。

その頃、椎名は連絡がつかない佐渡先生を探して艦内を走り回っていた。そしてようやく展望室でその姿を見つける。

 

椎名「佐渡先生!こ、ここにいらしてたんですね...(ゼェ)」

佐渡「おぉッ⁉︎椎名じゃないか!なんじゃ血相かいて...?」

椎名「負傷者が5名出たんです!直ちに(ゼェ)...医務室に...(ゼェ)...来てくださ(ゼェ)...い...。」

 

佐渡「ッ!...ん分かった。おいアナライザー、晩酌(ばんしゃく)は終わりじゃ‼︎医務室に戻るぞ‼︎」

 

自分を探す為にまだ完治していない身体で椎名を無理して走らせてしまったことに申し訳なさを感じつつ、決心して酒瓶と盃を持ち駆け出す佐渡先生。アナライザーも後に続こうとするが、息がまだ整わない椎名の※お尻をまた触ろうとしていた。それに気付いた椎名は素早く立ち上がり一瞬の内に右脚で蹴りを入れる。「アワワワワ⁉︎」と蹴られて回転するアナライザーに「そんな元気があるなら早く怪我人を治してきなさい‼︎」と椎名に叱られアナライザーは「リョ、了解〜(汗)」と去って行った。変わらずのガードの堅さであった。

 

※椎名がまだ≪ヤマト≫に配属されたばかりの頃、アナライザーは椎名のお尻を触っては蹴られていたらしい(出典『暗黒星団帝国の逆襲』より)

 

戻って第1艦橋

太田「前方に竜巻の回転が弱いポイントが現れ始めました。」

真田「艦長、どうやら出口が近いぞ。」

古代「よぉし、このまま全速で突き抜けるぞ!島‼︎」

島「あぁ、北野!面舵5°!最大戦速‼︎」

北野「は、はい!面舵5°!最大戦速‼︎」

 

激しい宇宙竜巻の乱気流の中をようやく抜け出せると知った古代は≪ヤマト≫を出口と思われる宇宙竜巻の弱いポイントに負けて走らせる。第1特派隊の僚艦達も「あと少し!」と≪ヤマト≫の後に続く。徐々に艦全体を震わせる振動は収まりつつあり出口に向かっているのだと感じる≪ヤマト≫ら第1特派隊の面々。そしてそれはようやく訪れる。艦隊を悩ませていた濃緑の霧と赤い竜巻を抜け晴れた通常の宇宙空間を拝むことができたのである。

 

太田「星域を抜けました!現在、≪ヤマト≫は通常空間を航行中‼︎」

森雪「後続艦も無事抜けました!」

古代「相原、全艦の様子は⁉︎」

相原「≪すずつき≫と≪ふゆづき≫が軽度の機関不調が出たそうですが、応急処置は済み修理に入っています。それ以外の艦は全艦異常なしだそうです。」

古代「そうか。」

南部「ふぅ...なんとかなったようだな...。」

 

≪ヤマト≫の第1艦橋クルーが難所をなんとか乗り切ったのを安堵する。他の第1特派隊僚艦の各々もこの難局を乗り切りまた一つ宇宙の船乗りとしての経験と実力そして自信を付けることができた。だが... ...。

 

(ピュイ-ン×2電子音)

森雪「ッ!レーダーに空間歪曲を感知!ワープアウト反応です‼︎」

古代「なにっ⁉︎相手は分かるか雪‼︎」

森雪「これは...【ガルマン帝国】の艦です‼︎」

古代「ッ‼︎」

 

【ガルマン帝国】

第502重戦闘艦大隊

大型重戦闘艦(通常型)≪マンムルートⅠ≫

艦橋

 

レーダー手「前方に敵艦隊の反応!例の≪ヤマト≫と思(おぼ)しき艦影を捕捉‼︎」

艦長「ダゴン将軍の18装甲師団を破ったとかいうあの≪ヤマト≫とその艦隊か...ふっはは!相手にとって不足はない!全艦戦闘配置‼︎」

副長「しかし、艦長!我々の任務は... ...」

艦長「星域を突破しての強行偵察任務など≪ヤマト≫を倒した後にでもできる‼︎これは"ふいに起きた"遭遇戦なのだ。ガイデル司令も文句は言わんだろう。中型主力艦と軽戦闘艦は揚陸艦の護衛をして退避!残る全重戦闘艦は前進!目標≪ヤマト≫‼︎」

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

森雪「敵艦隊の編成が判明。大型戦闘艦6、輸送揚陸艦1、主力中型戦闘艦1、軽型戦闘艦2...全10隻です!内、揚陸艦が主力中型艦と軽戦闘艦を連れ退避しました!残る大型戦闘艦全艦がこちらに向かって進軍してきます‼︎」

島「艦長、相手は一戦やるつもりだぞ。」

土門「向こうがその気ならやりましょう!」

南部「あぁ!敵さんも退く気はないようですよ‼︎」

古代「そうだな...≪すずつき≫と≪ふゆづき≫の機関が不調だがそれを見逃してくれそうにもない...よぉし!全艦戦闘配置!陣形は六角陣形‼︎≪すずつき≫と≪ふゆづき≫は≪まみや≫と共に後方に退避!敵艦隊は≪ヤマト≫、≪たいほう≫、≪いすず≫で迎え撃つ‼︎」

土門「艦長!航空隊は出させますか⁉︎」

古代「いや、この距離だ。展開してる隙に敵は撃ってくる!相原!≪たいほう≫にも砲戦で対応するよう指示してくれ‼︎」

土門・相原「了解!」

 

もはや「一難去ってまた一難」は≪ヤマト≫の航海に常にあることでありそれは第1特派隊の面々も重々承知のことではあった。難所である星域を突破したかと思えば今度は【ガルマン帝国】の重装甲艦隊のお相手だ。迫る大型重戦闘艦6隻はウィング隊形を取り第1特派隊を包み込むようにその行手(ゆくて)を阻む。まず先手を取ったのは502大隊の方だった。主砲である有砲身型三連装ビーム砲塔二基6隻分計十二基とその砲身が6隻分計十八門が一斉に≪ヤマト≫の方に向き紫色の閃光を放つ。直撃はするが波動エネルギーバリアのお陰で耐える≪ヤマト≫。「初弾から当ててくるとは良い腕してやがる...!」と敵の砲術の腕に思わず声を出して感心してしまう南部。「向こうの方が射程が長いか...!それに威力もある。今ので波動エネルギーバリアの耐久度が40%減少した。最大出力だったからこれで済んでるが、長くは保たんぞ!艦長!早々に決着をつけるんだ‼︎」と進言する真田と「≪いすず≫より観測データを受領!艦長!砲撃、いつでも可能です‼︎」と言う森雪に古代は頷き「ショックカノン発射!≪たいほう≫と砲撃を連動!撃てーっ‼︎」と命じ土門と南部は主砲の射程が違う為に連動砲撃が行えない代わりに敵艦隊の様子や位置を観測というパトロール艦らしい役割を果たしている≪いすず≫から送られてきた敵艦隊の座標観測データを元に砲撃照準を合わせ先頭にいた大型重戦闘艦一隻に照準を絞り主砲であるショックカノンを放つ≪ヤマト≫と≪たいほう≫。見事に全弾が命中すると艦首にはなんともない。その様子に驚愕する≪ヤマト≫の艦橋要員。

 

土門「そ、そんな!」

南部「ショ、ショックカノンを防いだのか...⁉︎真正面からの直撃弾なのに‼︎」

古代「真田さん...!」

真田「うむ...データを見るからに恐らく向こうもこちらの波動エネルギーバリアと同じ対エネルギー偏向バリア装置を搭載しているんだろう。」

古代「なら実弾攻撃だ!土門!南部!実体砲雷撃戦だ!主砲と副砲に波動カートリッジ弾及び艦首魚雷装填‼︎」

土門・南部「了解!」

 

パトロール艦≪いすず≫

第1艦橋

 

通信/レーダー手「≪ヤマト≫、≪たいほう≫、実弾波動カートリッジ及び魚雷攻撃に切り替え!」

井口「よぉっしゃ!こっちも続くぜぇ!雷撃戦!一番二番発射管を出せぇ‼︎」

 

≪ヤマト≫と≪たいほう≫に続き≪いすず≫も艦首に四基ある三連装魚雷発射管の内、上部の一番(左舷)と二番(右舷)が迫り出し宇宙魚雷計6本を叩き込む。各々狙った敵艦に命中する。波動エネルギーバリアと同じく実弾は防げないので確かに効果的ではあった...がしかし、直撃を受けた艦は艦体が少し凹むかひしゃげて焦げるか程度で有効打ではあっても致命打にはなっていなかった。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

太田「は、波動カートリッジ弾と魚雷が...効いていない⁉︎」

南部「クッソォ!あの敵艦、図体に見合った装甲をしてやがる‼︎」

森雪「敵艦隊さらに接近、尚も攻撃を続け距離を詰めてきます!」

 

頼みの実弾攻撃があまり効果がないことに驚愕しどうすれば良いかと苦悩する≪ヤマト≫艦橋要員の中で新米である土門があることに気付く。

 

土門「インテーク...!」

古代「土門、今なんて...?」

土門「敵艦の大きく突き出したあの※バルジのインテーク部分...あそこを狙ったらどうでしょう⁉︎」

真田「そうか!あれは恐らくタキオン粒子収集用のインテークでそのまま波動エンジンに繋がっている筈だ!あそこを破壊すれば敵艦を行動不能とまではいかずとも機関の出力を大幅に低下させ火力や防御に使うエネルギーを削ぐことができるだろう‼︎構造上あそこは装甲を厚くできないからチャンスだ‼︎」

古代「よし!南部!波動カートリッジ弾次弾装填!目標、敵艦バルジインテーク部‼︎」

南部「了解!」

古代「相原!≪たいほう≫と≪いすず≫にもバルジ部分を攻撃するよう伝えてくれ‼︎」

相原「はい!」

 

※膨らんでいる部分を指す単語。船でいえば船体側面の水面下に取り付けて排水量を増加させる物。建造時から装備される物や後から増設される場合もある。軍艦に於いては魚雷攻撃に対するダメージコントロールとしても機能するが、速力が低下する場合がある。

 

土門が見つけた弱点になりえるかもしれない大型重戦闘艦の両舷に迫り出した大きなバルジのインテーク部分に形勢不利からの逆転の希望を見出し南部はそのオリンピック級の狙撃の腕の見せ所。もはや彼の身体の一部と言っても過言ではない火器管制システムを文字通り手足のように扱いあっという間に照準を合わせる。「撃てぇーッ‼︎」という号令で放たれる波動カートリッジ弾...≪たいほう≫の分(ぶん)も含め計15発がそれぞれに照準を合わせた敵艦へ向かっていく。狙い通り大型重戦闘艦の大きなバルジのインテーク部に着弾し爆散する。真田が敵艦のパラメーターを計器で確認し機関の出力の低下を確認し報告すると古代は「よくやったぞ南部!それに土門‼︎」と2人を称賛する。

 

大型重戦闘艦≪マンムルートⅠ≫

艦橋

 

オペレーターA「艦長!全艦がインテーク部分に直撃を受けました‼︎狙い撃ちです‼︎」

同B「本艦も損傷を受け機関へのエネルギー供給量が低下中...!」

艦長「くぅ...!機関は保たせれるか⁉︎」

同B「はっ!...インテークからの供給が途切れるだけですから機関そのものは停止しませんので航行には支障ありません。しかしその分、攻撃や防御に使うエネルギー量が減り威力が落ちます。」

艦長「構わん!未だこちらの方が数の上で有利なことには変わりはない‼︎回転砲塔の射程にも入っている!火力が低下した分、弾幕を形成して≪ヤマト≫らにビームの雨を浴びせてやれ‼︎」

 

依然数の有利を活かすべく≪マンムルートⅠ≫の艦長は全艦に装備する回転砲塔への攻撃開始を命じる。【白色彗星帝国】からの技術供与で得た全方位に砲口を持つこの砲はそれまでの【ガミラス】が用いていた無砲身型砲塔と違い対空目標に対抗することが可能でガトリングガンのように絶え間ない連続射撃が可能なこの砲は革新的であり【ガルマン】艦艇群の主力兵装となった。既に攻撃している大型重戦闘艦の主砲の有砲身型三連装ビーム砲に比べて射程が劣るこの回転砲塔がようやく有効射撃可能な範囲に入り弾幕を形成し始める。威力が低下しているとはいえ、それが6隻分から浴びせられるのである。≪ヤマト≫以下2隻はたまったものではない。波動エネルギーバリアにも限界があり、このまま攻撃を受け続ければいずれ貫通されるか消失してしまう。さすがにマズい状況だと苦悶の表情を浮かべる古代達...がその≪ヤマト≫を沈めようとしていた【ガルマン】502大隊に突如横から青色の光線の連打が襲い攻撃が止む。「な、なんだこの攻撃の激しさは⁉︎」と驚く≪マンムルートⅠ≫の艦長。そしてそれを見ている古代らも驚く。

 

≪ヤマト≫

第1艦橋

 

古代「な、なんだ一体...⁉︎」

島「攻撃...?どこからだ...?」

森雪「ッ!左舷11時の方向からです!これは...‼︎」

 

???「間に合ったようだね、古代艦長?」

 

古代「ッ!その声は...!スペツィア艦長ッ⁉︎」

 

(≪アンドレア・ドレア≫からの通信)

スペツィア『お待たせした!日本風で言う"助太刀(すけだち)"に参ったぞ‼︎』

 

それは第5特派隊POW級≪アンドレア・ドレア≫のスペツィア艦長であった。彼の艦だけではない≪ダンケルク≫、≪フリチョフ・ナンセン≫、≪ロッテルダム≫の3隻の同型艦を引き連れ≪ヤマト≫のピンチに馳せ参じて来たのだ。主砲である連装衝撃砲を艦前方に三基六門を持つPOW級3隻なら放たれる速射性の高い衝撃エネルギーの怒涛のラッシュは大型戦闘艦の出力が低下したエネルギーシールドを飽和、消滅させ巨大な艦体の舷側をコンコンカンカンッ!と叩く。舷側の素の装甲自体も正面と同じくらいの固く衝撃エネルギーの貫通は許さない頑強さを誇っているのを証明するが如く弾いたり凹んだりする程度で済んでいるがそれは今だけの話。「塵も積もれば山となる」「雨垂れ石を穿(うが)つ」の諺(ことわざ)が示すようにいずれ装甲も耐え切れず貫通するだろう。「≪ヤマト≫の増援かぁ!えぇい鬱陶しい奴等め‼︎応戦だ!先に奴等から片付けろ‼︎」と≪マンムルートⅠ≫の艦長は激昂し砲塔を指向させ反撃に出る。圧倒的なエネルギーの投射量に驚く≪ヤマト≫一同...そこにまた無線が入る。

 

???「我々も来たぞ、古代艦長‼︎」

 

古代「そ、その声は...リンデマン艦長!」

 

(≪ビスマルク≫からの通信)

リンデマン『嫌な予感がして修理を急いで来てみたらやはりそうか...我々も加勢する‼︎』

 

「≪ビスマルク≫戦闘モード!≪ティルピッツ≫にも伝え‼︎」リンデマンの号令の下、戦闘態勢に入る≪ビスマルク≫と姉妹艦≪ティルピッツ≫。艦首前甲板と後甲板のハッチが左右にスライドして開き三連装衝撃破砲塔が上昇してくる。その砲塔には砲身がない所謂(いわゆる)無砲身型だが【ガミラス】の物とは違い仰角と多少の俯角が取れる上方や下方の敵にも対処できるようになっている。砲身がないと射程に影響し短くなるが、ビスマルク型が敢えてM-2174/1式宇宙戦艦やM-2188/1式宇宙突撃駆逐艦などの旧防衛軍宇宙艦に採用していた無砲身型を採用した理由はビスマルク級がこのノーザンクロスM-61星域などのいわば「荒れた宙域」を航行し仮に戦闘になった際の砲身の破損を防ぐ為である。砲塔が格納式なのもそれが理由である。照準を合わせ同時に発砲する≪ビスマルク≫と≪ティルピッツ≫。こちらはPOW級と違って発射速度は遅いが威力はある。さすがの大型重戦闘艦も命中した艦首が大きく爆発し抉(えぐ)れる。そこに機関の修理を終えた≪ふゆづき≫と≪すずつき≫、水谷と藤田両艦長が古代に映像通信で「お待たせした!これより反撃に転ずる‼︎/お待たせしました!これより戦闘に復帰します‼︎」と送られ古代も「よぉし!このまま一気に押し返すぞ‼︎」と数と火力の形成は逆転し流石にマズいと感じた502大隊は応戦しつつ反転しワープをして撤退したのを≪ヤマト≫レーダー担当の森雪が確認する。そしてこれまでなら「追撃しましょう!」と自分に進言していた土門がそれを言わなくなったことに古代は彼の成長振りを実感したのだった。

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【ガルマン帝国】

本星 帝都 ガルマン・エンパイア・センター

総統府"デスラー・パレス"

総統室

 

デスラー「ガイデル...ここのところ君の東部戦線は戦況が芳しくないようだな?」

 

ガイデル(東部方面軍司令本部要塞からの通信)『は、誠に以て面目次第も...。』

 

デスラー「なに、別に責めているわけではない。時にこの様なこともあるものだ戦争というものは...。君の軍と将兵達も少しは体を休めるにちょうど良かろう。」

 

ガイデル『ははぁ、寛大なお言葉で痛み入ります。』

 

その頃、ガイデルは遠く離れたガルマン本星のデスラー総統に昨今の東部戦線の戦況報告をしていた。バーナード星陥落から始まり、ウィルダネス宙域の再基地化の失敗、第502重戦闘艦大隊の強行偵察任務の失敗など、これまで破竹の勢いで進撃を続けて来たガイデルの東部方面軍の攻勢が止まってしまった...。が、特にデスラーはガイデルを責めるわけでもなくむしろ労を労った。かつて≪ヤマト≫と敵対していた頃はヒス副総統に対し不甲斐ないと度々叱責していた時と違い部下に対しかなり丸くなったのだ。

 

デスラー「そうだ...近々バース星攻略作戦が開始されるようだな。私が派遣した空母機動大隊と揚陸師団はどうかな?」

 

ガイデル「は、素晴らしい戦力でみな精鋭揃い...誠に壮観で頼もしい限りです。必ずやバース星攻略を果たしてご覧にいれます。」

 

そう言い礼をして直ると「うむ、吉報を待っているよ」と返し通信を切るデスラー。

 

デスラー「(はて...それにしても妙だな...確かに東部方面...オリオン腕最辺境はバース星のような文明の発達した星が少なからずあって多少の苦戦は想定の範囲内ではあった...だが、あのガイデルが侵攻の停滞を余儀なくされるとは...ッ!確かあの方面には地球があった!まさか≪ヤマト≫と...⁉︎いや、それは考え過ぎか...だが気になる...)

衛兵!タランを呼べ‼︎」

 

衛兵「はっ!直ちに‼︎」

 

デスラーは【ガミラス】時代からの忠臣タランを総統室に呼び、呼び出されたタランは腕を90°にし横にやるガミラス式敬礼をし部屋に入る。

 

タラン「総統、お呼びでございますか?」

デスラー「タラン、直ちにフラーケン大佐と指揮下の次元潜航艦隊を東部方面に向かわせろ。」

タラン「≪ガルマンウルフ≫をでありますか...⁉︎しかし今は【ボラー】との領域の堺にある最前線にあります。動かしてしまっては【ボラー】を戦略的に利することに繋がってしまいます!」

デスラー「戦線が落ち着いた北部方面軍から一個装甲師団を代わりに向かわせる。早急に東部方面で何が起こっているか知る必要があるのだ!グスタフとフラーケンにその旨を早急に伝えろ‼︎」

タラン「は、はい!直ちに伝えます‼︎」

 

タランは姿勢を正し総統室を後にする。デスラーは窓の外から宇宙を見上げ地球を...≪ヤマト≫を...そして古代を...想うのだった。




読了ありがとうございました。本話は原作第11話に相当しますが、舞台であるノーザンクロスM-61星域(原作の白鳥座61番星)以外はその要素はなく前回に引き続き完全オリジナルストーリーとなっています。
ビスマルク級及びPOW級護衛戦艦がゲスト出演!原作では探査活動するシーンのみの登場で活躍なしという不遇振りが気に入らないので本作では活躍させました。同じくガルガミ大型戦闘艦も恐らく当時としては最新鋭艦であるにも関わらず大した活躍もなくヤラレメカとなってしまってこれもまた気に入らないので本作では強敵になってます。因みに艦隊名と艦名は第二次大戦時のドイツ軍の戦車エースであるオットー・カリウスが所属していた第502重戦車大隊とそのエンブレムであるマムート(マンモスのドイツ語)がモチーフです。尚、今回登場する大型戦闘艦もとい大型重戦闘艦は「通常型」と呼ばれる種類でブーメランカッターミサイルは装備していない純粋な戦闘艦です。こちらはメカコレで再現したのでよろしければ#宇宙戦艦ヤマト銀河中心部の混迷で検索してみて下さい。
≪ビスマルク≫艦長のリンデマンと≪アンドレア・ドレア≫艦長のスペツィアはそれぞれ史実の戦艦ビスマルク艦長と戦艦アンドレア・ドレアの造船所の名前から取りました。声は江原正士と堀内賢雄で脳内再生をお願いします。
さてさて古代の提案でノーザンクロスM-61を突破することになった第1特派隊。負傷者が出るとこなどを含めてここは『空母いぶき』のオマージュで真田さんと相原の要約すると「いい船乗りになるには波が穏やかじゃダメ」の台詞はそれぞれ『ハイスクール・フリート』と『ザ・ラストシップ』からの引用です。
最後に総統からフラーケンの名が出ましたね。次章からガルマンウルフは姿を見せると思いますのでお楽しみ下さい!ではまた‼︎
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