宇宙戦艦ヤマトⅢ ReBoot!〜銀河中心部の混迷〜 作:箕理 田米李
イラン情勢云々が模型の塗装で使ううすめ液が手に入りにくくなったこともあってしばらく模型はペース落としめで行きつつ代わりに「カジュアルな脳トレ」として約10年振りに『遊戯王』のOCGで遊んだりしている箕理です。
新しいことを始めてもこちらも忘れずに書いてます。ではどうぞ↓
バース星軌道上
【ガルマン帝国】第17空母機動大隊
旗艦:超弩級双胴多層式空母≪レトツェリン≫
艦橋
ダゴン「敵の艦載機数は少ない!このまま物量で押し潰すぞ!
通信士!揚陸艦師団に上陸用意をさせておくよう伝えよ‼︎」
通信士「了解!」
ダゴン「フッフフ...ラムのいないバース星艦隊がこれほど脅威にならんとはな...アハハ...!」
【ガルマン帝国】の超弩級双胴多層式空母級≪レトツェリン≫の艦橋でもう勝った気で笑みを浮かべるダゴン。
デスラー総統から送られた最新鋭空母級複数隻で編成された空母機動大隊と惑星国家一つ分を攻略できるに充分な揚陸戦力を有した揚陸艦師団が今ここバース星の軌道上にある。
【バース共和国】宙域警備隊 宙域守備艦隊
旗艦:戦闘母艦≪レルバレス≫
艦橋
レバルス「ぐっ!ボラー砲を撃つ暇もない...‼︎」
オペレーターA「艦長!数が違い過ぎます...‼︎」
同B「敵艦載機編隊は本艦隊のみならずバース星地表にも降下!
現在、都市部と軍施設が攻撃を受けています!このままでは... ...」
一方、対する【バース共和国】の艦隊は宙域警備隊司令 レバルスが座乗する戦闘母艦級一隻にA型及びB型の各装甲艦を複数隻という非常に心許ない守備戦力しか有していなかった。
カリスマであり艦長と艦隊司令を兼任していたラムを失っただけではない、度重なる戦闘による損耗を補給できるだけの人員も物資の両方が大幅に不足しているからだ。
いや、そもそもバース星がある宙域は【ボラー連邦】本星からかなり離れた辺境に位置しており【ガルマン帝国】の勃興(ぼっこう)と電撃的な侵攻で分断されてしまいボラー本国からの補給が途切れ孤立してしまったことも要因だ。
「同志ラムが命懸けで守ったこの星を我々は...」とこのまま圧倒的な戦力差によって押し潰されてしまうのか...拳をギュッと握り、中々浮かばない打つ手を考え続けていたその時、オペレーターの一人から一報が入る。
オペレーターA「レーダーに反応!本艦直上より上昇してくる艦隊があります‼︎」
レバルス「ん⁉︎」
「稼働できる艦は全艦出撃した筈だが、誰だ...⁉︎」と地表の基地にいるのは修理中の艦のみだと知っているレバルスは疑問に思うと報告してきたオペレーターがその正体を答える。
オペレーターA「≪ヤマト≫です!≪ヤマト≫とその艦隊です‼︎」
レバルス「なに⁉︎≪ヤマト≫が...!」
オペレーターB「≪ヤマト≫より映像通信!」
レバルス「繋げ!」
古代/≪ヤマト≫からの映像通信『こちら≪ヤマト≫!敵艦隊は我々が引き受けます!
警備隊長らは地表に降下した艦載機隊や揚陸部隊の方へ向かってください‼︎』
レバルス「了解した!≪ヤマト≫とその艦隊の援護感謝する‼︎
全艦面舵一杯!バース星地表に降下する‼︎」
レバルスが号令を下すとバース軍宙域守備艦隊は右へ回頭しバース星へと引き返す。
その様子を捉えていた【ガルマン】双胴多層式空母≪レトツェリン≫の艦橋では≪ヤマト≫とその艦隊の出現に驚いていた。
一番驚いていたのは自身の装甲師団を壊滅させられた上、根城としていたバーナード星基地をも破壊されたダゴンだった。
ここまで来るともはや因縁というか運命というか...なんと評するべくか迷うところであるが今はそんなことを考えている場合ではない。
部下の手前、一旦落ち着きを取り戻し「フ、フハハハ...」と額(ひたい)に汗を垂らしながらも笑ってみせたダゴンは「ちょうどよい!戦闘空母及び大型重戦闘艦部隊前へ!≪ヤマト≫の相手をしてやれぇ‼︎」と命じる。
≪ヤマト≫
第1艦橋
森雪「敵艦隊に動きあり、前回遭遇した大型戦闘艦級及びデータにない未確認の戦闘艦が艦隊を形成し接近してきます!数は四‼︎」
太田「データベースと照合したところ、未確認戦闘艦はガミラス型戦闘空母級と酷似(こくじ)しています!」
真田「気をつけろ!空母でありながら戦艦クラス並みの火力を持つ艦しかもその後継となれば手強いぞ‼︎」
古代「そうですね...大型戦闘艦と戦闘空母の相手は≪ヤマト≫、≪ふゆづき≫、≪すずつき≫が、空母艦隊は本艦の航空隊が...≪たいほう≫とその航空隊そして≪まみや≫、≪いすず≫は揚陸艦隊をそれぞれ攻撃する‼︎
≪ヤマト≫!発進‼︎」
古代の指令の下、艦隊各艦はそれぞれの動き始める。≪たいほう≫と≪まみや≫そして≪いすず≫は≪ヤマト≫他二艦と離れ【ガルマン】の揚陸艦隊の方へ向かう。
≪ヤマト≫はエンジン下部にある艦載機のハッチを開き次々と艦載機であるコスモタイガーⅡをお尻の方から滑らすようにして発艦させていく。
それと同時に≪ヤマト≫後方から見て左舷側のコスモハウンドが格納されているハッチを開き同機を発進させる。
今回は大きく二つに艦隊を分けたことにより戦闘範囲が広くなっている為、コスモハウンドは「早期警戒管制仕様」で出撃している。
機体上部には大きなディスク型レーダードーム、翼下にはECM(電子戦)や各種センサー類のポッドが搭載されコスモタイガーⅡの派生型である早期警戒機型よりもより広く戦場の様子をリアルタイムで索敵・電子戦・情報収集を行い艦隊や航空隊を支援する。
コスモハウンド・機内
情報収集室
オペレーター長「現在、本機の位置は第1特派隊と【ガルマン帝国】艦隊のほぼ中間上空にいる。
よく見渡せる位置だ。ここなら敵からもレーダー探知されにくい...スクリーンから目を外すな!椎名!いけそうか⁉︎」
椎名「はい!両艦隊及び航空隊の位置、バッチリ掴んでます。任せてください。」
第1艦橋のレーダー要員を雪と代わり椎名はその高い情報処理能力を買われて今回コスモハウンドに搭乗している。
ヘッドセットをし各種モニターやレーダースクリーンを睨(にら)み敵味方問わず動きを見逃さないようにし集めたデータを各艦や航空隊に送り伝え続ける。
≪ヤマト≫
第1艦橋
森雪「コスモハウンドからのデータを受領。敵大型戦闘艦が四隻、戦闘空母二隻が直列陣形で接近中。
先頭は大型戦闘艦です!距離20,000‼︎」
土門「南部さん!」
南部「あぁ!例の作戦で行くぞ‼︎」
先頭にいる大型重戦闘艦が先に発砲する。初撃(しょげき)は≪ヤマト≫に命中するも波動エネルギーバリアを張っていた為なんともない。
その隙に土門は以前の戦闘データから南部と打ち合わせをして立てた作戦を決行すべく準備に入る。
土門の指示の下、まず主砲一番と二番を発砲、大型重戦闘艦の艦首に命中する。
しかし敵も波動エネルギーバリアに似た対エネルギーバリアシステムがありビクともしない。
「バカめ!貴様らと同等かそれ以上のバリアシステムだ‼︎その程度の攻撃が通るものか‼︎」と大型重戦闘艦の艦長は意気揚々で自身の艦の性能に自信を持って鼻を鳴らしている。
しかしその自信満々さはすぐに破られる。大型重戦闘艦の両舷にある大きなバルジに直撃を受けたからだ。
森雪「敵大型戦闘艦、バルジ部分に直撃。行き足止まります。」
太田「エネルギー反応低下、やりましたよ!」
土門「やった!さすがです南部さん‼︎」
南部「いや、お前の作戦のお陰だ土門!」
そう、最初に撃った主砲二基の衝撃砲(ショックカノン)は足止めをする為の囮で本命は第一副砲に装填された波動カートリッジ弾と艦首宇宙魚雷の一発だ。
以前戦闘で大型重戦闘艦の弱点がタキオン粒子を吸収しエネルギーを生成する両側の大きなバルジ部分だと判明していた。
その構造上、装甲を厚くできないので小口径の副砲クラスでも十分に破壊可能ということで立てられた作戦だ。
「よくも!」と言わんばかりに両舷のバルジを破壊され制御を失い艦首から下降していく大型重戦闘艦を避ける形で前に出てきたもう一隻の同型艦が主砲の三連装ビーム砲と副砲の回転砲塔でビームを連打するも味方をやられ動揺し焦ったか何発か当たったものの残りは外れる。
≪ヤマト≫はお返しにまた第一と第二の主砲でショックカノンを撃ち南部の的確な射撃で全弾命中する。
エネルギーバリアがあるとはいえ直撃し若干行き足が鈍る。また同じ手で来ると思い「取舵30°!上昇して回避しろ‼︎」と左に舵を切って回避しようとしたその時、ズドドンッ!っと衝撃が走る。
大型重戦闘艦の艦長は≪ヤマト≫の副砲や魚雷発射管に注目していた為、それらが発砲していないことに気付いていた。
「では何が撃ってきた⁉︎」と思考する。違う...「"誰が"撃った?」かだ。そう、撃ったのは確かに≪ヤマト≫ではなかった。
それは≪ヤマト≫の後方に控えていた汎用駆逐艦≪すずつき≫と≪ふゆづき≫の主砲による波動カートリッジ弾攻撃だったのだ。
「≪ヤマト≫だけだと...」
「思わないでいただきたいものだな。」
と藤田、水谷両艦長は敵が相変わらず≪ヤマト≫ばかりに構ってばかりなのに少しご機嫌斜めな二人、が...それを逆手に取っての見事な≪ヤマト≫との連携である。
二隻目の大型重戦闘艦が戦闘と制御不能で離脱していく。それを見た残存艦4隻はペアを組んで≪ヤマト≫らに挑んでくる。
大型重戦闘艦と新型の戦闘空母がそれぞれ一隻ずつが縦に並んで突っ込んでくる。戦闘空母が先頭で大型重戦闘艦の主砲と同じ三連装ビーム砲塔二基が火を噴く。
≪ヤマト≫が6年前の最初のイスカンダル航海や5年前のガトランティス戦役の際に対峙したデスラー艦隊にいたガミラス製戦闘空母と違い戦闘甲板機構が無いのか、飛行甲板上はそのままだった。
だが射程や威力はそれを補ってあまりあるのか、波動エネルギーバリアの消耗は激しい。
そんな戦闘空母を一旦無視し高火力・重装甲で厄介な大型重戦闘艦を先に仕留めようとまた先程の手でショックカノンを放つ。
しかしそれを遮(さえぎ)るべく戦闘空母が立ちはだかり長大な全部飛行甲板の艦体を盾にする。艦載機の格納庫がある区画だ。直撃すれば艦載機の燃料や弾薬が誘爆しタダでは済まない。
しかし直撃しても全くの無傷だった。「そ、そんな!」「直撃したのにビクともしていないだとぉ⁉︎」と驚く土門と南部。
古代「真田さん...!」
真田「気を付けろ!あの戦闘空母のエネルギーバリアは大型戦闘艦よりも強力な物だ!恐らくあの長く前に突き出た前部飛行甲板を守る為の物だろう。
大型艦と組むことで戦闘空母が防御担当艦の役割を果たしている...まさに剣と盾というわけだ...。」
古代「ならば実弾攻撃だ!土門!南部!頼むぞ‼︎」
それぞれ「了解!」と答え直ちに波動カートリッジ弾と艦首魚雷を装填し戦闘空母に向けて叩き込む。エネルギーバリアはエネルギー兵器のみ有効であり実弾は防げない...が、艦首をちょっと凹ませた程度だった。
実弾に対する防御まで考慮されていたその設計と見せた強靭(きょうじん)さに驚く間もなくビームの乱打が≪ヤマト≫を襲う。さすがの波動エネルギーバリアも限界が来て消滅、艦体に何発か被弾してしまう。
「よくも!」と言わんばかりに≪すずつき≫と≪ふゆづき≫が艦首宇宙長魚雷を発射し応戦し戦闘空母の被弾で歪んだ艦首をさらにベコベコにする。
流石の被弾に耐えられなくて動力を失い沈黙する。
盾となる艦がいなくなった大型重戦闘艦は前に出て追撃にと攻撃を加えるも焦りが出たからか≪ヤマト≫への攻撃は全て外れる。
≪ヤマト≫はその隙を逃さず波動カートリッジ弾をバルジに撃ち込み破壊、沈黙させる。
これがあともうワンペアいるのとコスモハウンドから増援艦隊が送られて来たとの報告を通信長 相原が受け雪がそれをレーダーにて確認・報告する。
まだまだガルマン機動部隊との距離は遠く感じる古代と≪ヤマト≫乗員達。肝心の波動エネルギーバリアが消失してしまった中、どうするのだろうか...?
≪ヤマト≫が戦闘空母と大型重戦闘艦の艦隊に苦戦する中、同艦から発進した航空隊はダゴンの機動部隊本隊を攻撃していた。
幸い敵はバース星攻略に注力しているせいか艦隊直掩の防空飛行隊が不在であり突破すべきは艦隊の対空弾幕だけとなる。
「全機!一直線に空母だけを狙い撃て!雑魚には目もくれんな‼︎続けぇッ‼︎」と山本からの無線を聞いた全機が一斉に加速を掛ける。
それを聞いた揚羽は操縦桿(そうじゅうかん)を握る手をさらにギュッと強く締め顔を「やってやる!」と意気込んで顔を顰(しか)める。
そこに「行くぞ揚羽!しっかり着いてこいよ‼︎弾幕にビクついてると追いてっからな⁉︎」とヘルメットの無線から坂本の元気な声が響きビュンッ!と隣から衝撃波が飛ぶ。
それは揚羽の右前方を飛んでいた坂本のコスモタイガーⅡからだった。「先行くぜ!着いてこいよ‼︎」と背中を見せ伝えるようだった。負けじと加速し敵の弾幕の火線の中を行く。
幸い護衛に着いていた中〜小型艦艇のほとんどは≪ヤマト≫の方へ増援として向かっていた為、旗艦である双胴多層式空母≪レトツェリン≫を守る弾幕を形成する艦は少なかった。
しかし、それを補ってあまりある艦がキッチリガードして張り付いている...それは≪ヤマト≫らが戦っている戦闘空母級だ。
しかし対艦戦向けの向こうと違いこちらは主砲は全て回転速射砲塔で飛行甲板は戦闘甲板が展開する仕様となっている。
しかもその展開方式はなんと観音開きで甲板裏に回転速射砲塔が片側三基ずつの計六基と開いて見せた甲板内部には垂直対空多連装発射システムが搭載されそこから放たれた対空ミサイルの群れが≪ヤマト≫航空隊の行手を阻む。
揚羽はチラッと見た程度だが、敵の猛烈な弾幕で被弾し離脱する。果ては撃墜される機を見て冷や汗をかく。
そんな中にあっても僚機であり先輩である坂本はまるで恐れていないようだった。
なぜなら特に激しく回避運動をすることなく側から見ればただまっすぐ突っ込んでるようにしか見えないのにも関わらず。弾幕がまるで微風(そよかぜ)のごとく機を通り過ぎていっていたのだ。
「弾幕への飛び込み方を見せてやる!よぉく見てろよぉ⁉︎行くぜぇ‼︎」と坂本からの無線を受け取り突然にビクつく揚羽。
坂本がさらに機の速度を上げ先頭を行っていた隊長 山本と指揮する編隊を追い越す。
「あのバカ!編隊を崩した上に揚羽を置き去りにしやがって‼︎」と後で説教確定と思うが、その恐れ知らずと天才的な操縦センスはここでも如何(いかん)なく発揮されていることに関しては正直認めざるを得ない。
戦闘空母一隻に狙いを定め弾幕を掻(か)い潜(くぐ)り肉薄して艦橋付近まで接近し周囲を軽く一周して見せる。
すると隣で弾幕を張っていた戦闘空母が坂本機を撃墜しようと回転速射砲の照準を合わせてしまい発砲、艦橋に誤射させてしまう。
坂本は同士討ちを狙っていたのだ。そしてそれは目論見通りに言ったのである。
「す、スゴい...!」と戦闘中にも関わらず素直に関心を口に出してしまう揚羽。先輩が背中で語ってくれたと感じ負けじと弾幕の中に突っ込んで行った。
≪ヤマト≫艦内通路
徳川太助「クソッ!こんな時に限ってスペアパーツが足り無くなるなんて‼︎」
機関員の太助は波動エンジンに使う予備部品の入った工具箱を持って廊下を走っていた。
先程、エンジン部分への被弾の際に回線がショートして火花が散り火災が発生してしまったのでそれを修理する為である。
が、そのスペアパーツの予備をストックしておくのを忘れてしまい今こうして倉庫まで走りまた機関室へ向け駆け足で戻ろうとしている。
???「ッ!そっちへ行ってはダメ‼︎」
と廊下ですれ違った一人の少女に声を掛けられた次の瞬間、前から爆風と爆炎が吹き込みその衝撃で吹き飛ばされ廊下を転がる太助。
???「ハッ!」
平田「ッ!太助!大丈夫か⁉︎」
徳川太助「は、はい...!」
謎の少女と通りがかった平田がススに塗(まみ)れて廊下に倒れ込む太助の側に駆け寄る。
樫野「大丈夫か⁉︎うぉひでぇ...!そいつの手当て頼んだぞ!
おい消火だ!スプリンクラーが壊れてんだ!消火器をありったけ持ってこい‼︎」
???「平田さん!太助さんの手当ては私が、代わりにその部品箱を持って機関室へ行ってください‼︎」
平田「あ、あぁ分かった...。」
「同じ生活班だが見ない顔の娘だったな...なぜだ...?」と疑問に思いつつ平田は部品箱を持ち機関室へと向かった。
火災現場を指揮する樫野を横目に謎の少女は通路に等間隔で備え付けられた救急箱を取り出し傷口を消毒し包帯を巻く。
徳川太助「あ、イテテ...そ、そういえば君は...?...。」
???「こんな時に何言ってるの⁉︎私よ!佐零月(されづき)...佐零月 琉羽(されづき るう)よ...!今回の航海で入った新乗組員の...‼︎」
太助は彼女の吸い込まれるような美しい翡翠(ひすい)色をした瞳をしばらく見つめると意識がなぜか混濁(こんどく)し始める。
しかしそのまま眠りにつくようなことはなく、徐々に覚醒し始めハッキリしていく。
徳川「...あ、あぁそうだったそうだった!土門と揚羽の同期生の...ごめんごめん、こんな時にホント何言ってんだろ俺...アッ!アイテテ...(汗)」
佐零月はプイッと膨れっ面を作り怒って太助の腕に巻いている包帯をギュッと強く締める。
応急処置を立ち上がり去ろうとした時、突然ハッ!として天井の角に視線を移し見えるはずのない空を見上げる。
徳川「ッ⁉︎...どうしたの急に?」
佐零月「..."傲慢で冷酷なモノ"が...来る...。」
バース星宙域(≪ヤマト≫達とは別の位置)
パトロール艦≪いすず≫
第1艦橋
レーダー手「ッ!空間の乱れを探知!ワープアウト反応多数!本艦の左舷10時方向‼︎」
井口「なにッ⁉︎」
ダゴン率いる空母艦隊よりも守りが比較的薄い揚陸艦隊を攻撃している≪たいほう≫、≪まみや≫、≪いすず≫の三隻。
護衛艦を粗方(あらかた)沈め揚陸艦を撃沈または損害を与えバース星に上陸しようとする揚陸艇や艦載機に帰還を促(うなが)させる。
それでも帰らない相手はレバルス率いるバース星宙域守備艦隊が対処するという形で連携を取っていた。
そんな中、第1特派隊の目ことパトロール艦≪いすず≫がバース星の近傍空間(きんぼうくうかん)にワープアウト反応を探知する。
「こ、この反応は...艦長!本国艦隊...!ベムラーゼ主席のボラー総旗艦艦隊です‼︎」と叫びながら報告するバース星守備艦隊旗艦≪レルバレス≫のオペレーターに「なんだと⁉︎」と驚きを隠せない艦長兼司令のレバルス。が...さらに驚くことが続く。
「ッ!前衛!B型艦二隻より発射反応!これは...惑星破壊ミサイルです‼︎」との報告に「そ、そんなバカな...⁉︎」とさらに顔を強張(こわばら)せる。
ベムラーゼ主席とその艦隊はここバース星の現状を把握すべく当惑星に視察に赴(おもむ)いている道中だとは聞いていたが、これは全くの予想外...味方である我々に向けてこのようなことが...⁉︎と想像などできる筈がない事態だった。
≪ヤマト≫
第1艦橋
古代「何っ⁉︎惑星破壊ミサイルがバース星に⁉︎」
相原「間違いありません!レバルス司令が確認しました。全力で退避せよと通達が...‼︎」
古代「島!緊急ワープだ‼︎全艦急いでバース星から離れるんだ‼︎」
島「しかし古代!ちゃんと航路計算もしていないのに...‼︎」
太田「無茶ですよ!障害物の探索もやっていませんし...‼︎」
古代「この際どこでもいい!今この危機を乗り切るのが先だ‼︎急げ‼︎」
島「分かった...! 機関長!北野‼︎」
山崎「了解!ワープ準備に入ります‼︎」
北野「取舵回頭60°!開けた航路を取ります‼︎」
古代「相原!全艦及び展開中の航空隊全隊に伝えろ!
直ちに現宙域を離脱!航空隊は全機帰投せよ!≪ヤマト≫航空隊は≪たいほう≫並びに≪まみや≫に着艦するよう言え‼︎」
相原「了解です!」
第1特派隊全艦が戦闘を切り上げ針路を変更し各々離脱を始め航空隊も命令に倣(なら)い母艦に引き返し≪ヤマト≫航空隊は臨時として≪たいほう≫と≪まみや≫の世話になることになった。
古代らは6年前、≪ヤマト≫の最初の航海で立ち寄ったエルダーウッド宙域でのことを思い出す。
【ガミラス】艦隊との戦闘での流れ弾がたまたま赤色巨星の中心核に命中し縮退を開始してまもなく超新星爆発を起こして辺り一面を吹き飛ばし早くワープしなければそれに巻き込まれてしまうという事態に直面したことがあった。
状況は違えど惑星が一つ消滅しようとしているのである。一歩対応が遅れれば命取りであるから否応(いやおう)にもいち早くワープしなければならない。
それは≪ヤマト≫だけでなくバース星に現在進行形で攻め込んでいるダゴンら【ガルマン帝国】第17空母機動大隊と揚陸師団もだった。
「自分達を殲滅するのに同盟国(みかた)の星ごと破壊する気か⁉︎」と惑星破壊ミサイルを発射した【ボラー連邦】の増援艦隊の正気を疑うダゴンは味方に十分な撤退指令と内容を伝えず上陸中の地上部隊とその母艦らが属する揚陸師団を置き去りにするつもりで自分らだけ現宙域を緊急ワープしていく。
レバルス達守備艦隊はバース星地表に降りた敵上陸部隊の迎撃に当たっていたため退避することも、そしてそこに住む人々の避難指示などとてもしている余裕などなく理不尽な暴挙以外の何物でもなくそれはかつて地球での戦乱の歴史にもあったような"降ってくる突然死"だった。
バース軍司令部の付近に着弾した一発は惑星破壊ミサイルは巨大な火球を上げと衝撃破を発生させ施設とその中で式を執っていたボローズと職員を飲み込みさらに別の場所に着弾したモノは収容所を...さらには民間人が住む街をも灰燼(かいじん)に帰(き)させる。
その破壊力は地上の施設と人々に断末魔(だんまつま)すら上げる暇(いとま)すら与えないだけには飽き足らず地上から地下へ地下から地殻へ地殻から星の中心核に過剰な反応を起こし暴走を誘発させ星自体の崩壊を促(うなが)し内部から放たれた膨大なエネルギーは大地を砕いて弾け飛び先程までバース星だったその破片群は高速で飛来する隕石やデブリと化し周辺にいた宇宙艦船を襲った。
≪ヤマト≫率いる第1特派隊はなんとかワープに成功し通常空間を抜ける。バース星の最期とそこに住む人々らがどうなったかを確認する暇もなく文字通り間一髪のワープの成功に今はホッと一息つくので一杯だった。
≪ヤマト≫
第1艦橋
古代「アイタタ...皆大丈夫か...?島...? おい島...!」
古代を頭を押さえながら起き上がり隣の副長席に座りぐったりと横たわる島の肩を揺すり起こす。
それで目が覚めた島も頭を押さえ瞼(まぶた)を擦(こす)りながら目を覚ます。
島「ふぅ...負けたよ古代...賭けはお前の勝ちだ。」
古代「皆が...いや、≪ヤマト≫が頑張ってくれたお陰さ。雪、他の艦はいるか...?」
森雪「あ、はい!全艦の識別コードを確認...艦隊全艦からワープアウト異常なしとのことです。」
古代「そうか、良かった...だがバース星は... ...。」
島「あぁ、あれだけの惑星破壊ミサイルを撃たれれば無事じゃすまないだろう...。」
≪ヤマト≫を含む艦隊全艦の無事が確認されホッとし安堵(あんど)する時間も束の間...バース星のことを考えすぐに艦橋内の空気が重く暗く沈む。
相原「自分達の衛星国の星を破壊するなんて...とんでもない奴らですね...‼︎」
まずはじめに口を開いたのは相原だった。温厚で知られ≪ヤマト≫の下士官達の間では「島副長兼航海長と並ぶ≪ヤマト≫の良心」と呼ばれる彼とは思えない言動をさせるほど【ボラー連邦】の行動は目に余るのだ。
ピュイーン!×2(電子音)
森雪「ッ!レーダーに反応!ワープアウト反応です‼︎」
古代「なにッ⁉︎ 所属は...⁉︎【ガルマン帝国】か‼︎」
森雪「いえ、これは...‼︎」
雪が報告をし終える前にそれは≪ヤマト≫ら第1特派隊の頭上に出現する。それは≪ヤマト≫が子供に思えるくらいの長さと巨大さを誇る赤い戦艦級と護衛に従える青い戦艦級が複数隻がそれを取り囲むように布陣を組んでいる。
古代達は雪からの報告を受けるまでもなくそれが先程バース星を無惨(むざん)にも破壊しその警備隊長レバルスから報告があった【ボラー連邦】本国の総旗艦艦隊であることが分かる。
「ッ!ボラー艦隊旗艦から入電、映像通信を求めてきています」という相原に「繋いでくれ」と応じる言と姿勢を見せる古代。「了解、映像出ます」とすぐさま機器を操作し第1艦橋のメインパネルにシワと弛みが目立つ腫れぼったい顔が映し出される。
『映像通信』
ベムラーゼ/ボラー連邦国家主席『ワシは【ボラー連邦】の国家主席ベムラーゼである。
諸君らがバース星の≪ラジェンドラ≫と艦長のラムに援助を差し伸べた地球の≪ヤマト≫とその艦隊か...報告は受けている。その件はここで改めてワシの口から感謝を申し上げる。
それと先程のバース星での戦闘は見させて貰った...実に見事な戦い振りであったぞ。』
【ボラー連邦】の最高指導者 ベムラーゼの≪ヤマト≫とその艦隊に対する最初の一言(ファースト・コンタクト)はラム艦長の件の感謝とバース星での戦闘に関しての称賛(しょうさん)であった。
だが、彼等のしたことを思えば素直に喜ぶどころか「なにを言い出すかと思えば...!」と≪ヤマト≫を含む第1特派隊の面々は怒りが込み上げてくる。それでも冷静さを保ってる証拠にどの艦も砲塔を上方のボラー艦隊には指向していなかった。
≪ヤマト≫艦長 古代も右手の拳をグギギッと握り締めてはいるで留めている。一応向こうが感謝を含め礼儀正しく挨拶をしている以上は第一声が批判では礼を失することになる為ここは落ち着いて応対することにして古代も名乗り始める。
古代「こちら【地球連邦】防衛宇宙軍 第1特別派遣調査隊 旗艦の宇宙戦艦≪ヤマト≫艦長 古代です。
丁寧なご挨拶に恐れ入ります。が、先のバース星の件には断固抗議したく思います。
なぜあの星は破壊されねばならなかったのか...その理由も含めて説明願いたい!」
相手が一国の元首であることを踏まえ慎重且つ丁寧に応対しながら最後にバース星破壊の意図を問う古代。
初対面の相手にいきなりな質問だがした事が事なのだ聞かない訳にはいかないし問いただすのは当然のことだと思って尋ねる。
ベムラーゼ『【バース共和国】は度重なる敗北に加え【ガルマン帝国】のスパイの侵入を許し収容所の囚人達の反乱を許した。
そして先程の戦闘の不甲斐なさ...粛清する理由としては充分だと思うが以上の説明では不足であるか...?』
古代「それではあの星に住む大勢の一般市民はどうなんです!彼等は普通に暮らしていただけで巻き添えにしていい理由にはならない‼︎
ベムラーゼ主席!私はあなた方のような残酷な民族は見たことがない!この残虐行為の報いは必ず受けることになるでしょう‼︎」
ベムラーゼ『ハッハハハ、勇ましいことだな古代艦長。
君の発言は我が【ボラー連邦】の内政干渉と敵対の意思表示だが今回は見逃してやる。いずれまたどこかで相対することを楽しみにしておるよ。ハッハハ、アッハハハハ...‼︎』
高笑いを上げながら通信を切ったベムラーゼは座乗艦とそれが率いる艦隊をワープさせ≪ヤマト≫ら第1特派隊の前から立ち去る。
あれだけのことをしながら当然の報いだと言ってのけてしまうどこまでも傲慢で反省の色など微塵(みじん)も見せていない【ボラー連邦】という巨大星間国家と図らずも敵対関係になってしまったのではないか?と思わざるを得ないほどラム艦長やボローズ総督そしてレバルス警備隊長ら【バース共和国】の人達との温度差に困惑し落胆、そして怒りと悲しみにただただ包まれるしかない古代達だった。
読了ありがとうございました。原作第13話に相当するエピソードとなっています。
本作のバース星収容所での叛乱の経緯が異なる為、警備隊長のレバルスは射殺されず艦隊を率いてダゴンと戦っています。
ダゴンの乗艦はあの二連三段空母を旗艦とする艦隊で先行登場です。が、本編成は大型戦闘艦等の通常戦闘艦も混ざった真っ当な物にしデスラーが送ると言っていた揚陸師団も引き連れてます。原作『Ⅲ』でももしダゴンが≪ヤマト≫にかまけていなかったらこういう展開になっていたと思って書きました。
途中に出てきた新キャラ「佐零月 琉羽(されづき るう)」...自ら土門の同期だと名乗りましたが彼女は一体何者でしょうね...? ヒントは苗字にありますよ?
そして最後にベムラーゼ登場と対立。これはもはや必然というか、古代達とは絶対相容れないですよね。
ただ原作と違い囚人達の扱いで揉めて各々自論を持ち出して対立はファンの間でも度々問題視されており現実的じゃなく何よりPS版の古代が熱血漢さは残しつつ冷静な一面もあるのでこの様な形で書き直しました。
次はいよいよガルマンウルフこと次元潜航艦が登場する回です。これもまた原作と違った形になりますのでお楽しみに!ではまた。