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稚拙な文章ですが最後まで見てくれると嬉しいです
感想・評価よろしくお願いします!
風紀委員会がそそくさと迅速に撤退した後の戦場だった場所は、嵐が過ぎ去ったかの様に静まり返っていた。
「...えっと、勝利...で、いいのよね?」
『勝利というか、生き残ったというか...』
「ん、私たちの完全勝利。快挙」
「うへ、途中までしか見てなかったけど、完全勝利っていいのかな〜?」
「とりあえず、問題解決ってことでいいですよね...?」
"そう...なのかな?"
風紀委員の10中隊を、たった10人で追い返したっていう事実は、功績としては十分すぎるくらい。なんなら、キヴォトスの歴史上初なんじゃないかな?
でも、釈然とはしないのも事実。
「まあ、フタバちゃん的には満足な結果だからいいけどね〜! 柴関爆破の件は全く解決してないケド」
「あっ」
「...セリカ、もしかして忘れてた?」
「そっ、そ、そんなわけないでしょ!?」
"忘れてたんだね..."
「うっさいわね!!」
『一応、柴大将はシェルター近くの病院に運ばれたそうです』
「そっか、ならお見舞いに行ってあげなきゃね〜」
『そうですね』
そんな他愛のない話をしながら、私たちはアビドス高校への帰路についた。
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薄暗い教室、月光が差し込み、どこか妖しげな雰囲気を醸し出すアビドス。
そこに、1人の影が映し出される。
「.........」
彼女の名前は小鳥遊ホシノ、このアビドスで唯一の委員会である、アビドス廃校対策委員会の委員長である。
彼女には、
アビドスの借金のこと。
新しくここに来た先生という人物のこと。
あの黒服というどう見ても怪しい大人のこと。
そして、先生と一緒にここへ来た、道野フタバという生徒のこと。
彼女は、曰く『シャーレ所属の生徒』。
曰く『元正義実現委員会所属の生徒』。
曰く『頭と言動が特におかしい生徒』。
そして、小鳥遊ホシノにとって、危険と判断されるほどの生徒。
今日、アビドスの後輩たちには黙ってはいたが、彼女は昼寝をしていたわけではない。
薄暗いビルの中で、黒服と呼ばれる不気味な大人に会っていた。
彼曰く、小鳥遊ホシノが黒服の実験に参加してくれるならば、借金の問題を工面してやっても良い、とのこと。
もちろん、彼女も最初は何様のつもりだと憤りを心の隅に積もらせていた。
しかし、考えれば考えるほど絶望的な現状。圧倒的な借金の金額。ほとんどカイザーの物になってしまった自治区。問題は山積み程度の話ではない。
故に、彼女は悩んだ。ここで、私という個を投げ出せば、アビドスを救えるのではないか、と。
しかし、そんなことを考えている最中、彼女の携帯に一件のメールが届いていた。
差出人は、道野フタバだった。
メールには一言。
『今日の夜、私とお話ししない?』
たったそれだけ。
ただのお誘い。
でも、
それでも、
この誘いを無視することができなかった。
好奇心ではない。断じて、好奇心などではない。でも、無視なんてできなかった。
結局、黒服との話し合いは保留という形となって終わってしまった。
そして、今に至る。
こんな時間に呼び出して、何なんだろうか。
私と彼女との間に、特段
必死に頭を回すが、分からない。分からないが故に、私は今ここにいる。
ガララララッ
扉の開く音が冷えた教室に静かに淀む。
パッと振り返ると、そこには私を呼び出した張本人、道野フタバが立っていた。
「ありゃ、待たせちゃった? ゴメンゴメン、ちょっと迷子になっちゃってさ〜」
「...」
いつもの様に明るく話しかけてくる彼女。
側から見れば、いつも通り。でも、ホシノにとっては全くそうは見えなかった。
いつもより、数段、格段、いや、それ以上に、彼女は怪しさと妖しさを纏っていた。
「...それで、おじさんに何の様かな?」
ホシノから話を切り出す。
ホシノの問いに、フタバは笑った様な表情をして返した。
「ホシノちゃんさ、私との約束、忘れたわけじゃないよね?」
約束、約束...何のことかわからない。
彼女との接点は、先ほど言った様に無いのだから、約束なんて出来るわけがない。
「約束? 何のこと?」
「えっ?」
「...?」
「あっ、いや、もしかして...」
突然、フタバが頭を掻きながらぶつくさと何か独り言を言い始めた。
聞き取れた物だと、『......て、前回......』『........リー効くか......』
何を言っているのかよく分からないホシノを横目に、フタバは慌てる様に言葉を紡いだ。
「いや、何でもない、何でもない! 多分他の子との約束と混じっちゃっただけだ!! いやー、私もホシノちゃんに負けず劣らずのおじさんだからさ、もう記憶力が衰えてきちゃってるね!! ははははははは」
焦って弁明をし始める彼女の姿にかなりの違和感を感じるものの、状況をよく飲み込めない現状でそれを追求するのは些か無意味だと考え、小鳥遊ホシノは口に出そうとしていた疑問の言葉を飲み込んだ。
「あははは.........んんっ...それで、会ってきたんでしょ?」
「っ!」
誰に、とは言われていない。だが、分かってしまう。彼女は、私が黒服に会ったという事実を知っている。
何故、どこから漏れたのか
何故。
わからない。
だが、彼女はそれを知っている。
それだけで、警戒するに十分に値する。
故に、彼女は道野フタバへ向けて銃口を構え、警戒態勢に入った。
対するフタバは、それに臆するどころか、応する気配もない。
ただ、怪しげな笑顔を浮かべるだけ。ただ、そんなことは私の前では無意味だと語る様な笑顔を貼り付けるだけ。
それが小鳥遊ホシノにとって、とても恐ろしく感じた。
「そんな警戒しないでってば、このことは誰にも言わないって」
「...それを確約してくれるっていう保証は無い、でしょ?」
「それを突かれると痛いなぁ...うーん、それじゃあ...こんなのでどう?」
彼女がニコッと笑い、私が瞬きをした瞬間。
彼女が視界から消えた。
否、消えたわけじゃない。彼女は体勢を限りなく低くしてこちらの懐へと潜り込んできていた。彼女の銃口が私の首元にピタリとくっつく。
いきなりの急接近に少々驚くも、すぐにバックステップで距離を取る。
が、彼女はそれを予見していたかのようにさらに距離を詰め、バッと私を抱きしめるように、ゆっくりと私を押し倒し、すぐにその上にまたがった。逃れようとする私の腕の手の平と、彼女の手の平が重なり合う。
動かない。体が、全く。それはもう全然動かせなかった。まるで蛇に睨まれた蛙のように、体がマヒしている様に、微動だに出来ない。
「ホシノちゃんはさ、分かりやすいんだよね。地力が強い代わりに、ここをこうすれば簡単に制圧できるっていうのがすぐに分かっちゃうんだよ」
「っ...! ぐ...っ......!」
「だから無駄だって。これは力とかそういう問題じゃないの。技量の問題だから。現に私、腕に全く力掛けてないんだもん」
必死に抵抗しようとするが、押し返すことが出来ない。
そんな私の姿を、彼女はくすくすと笑って、まるで愛おしい雛を見るかのような目線を向けてくる。
彼女がゆっくりと私に顔を近づけ、コソリと耳打ちした。
「私がその気になればこんなに簡単にホシノちゃんを制圧できるんだよ? 今までホシノちゃんが不利になるようなことをしなかったのは、私がホシノちゃんを恐れてたわけじゃない。私の裁量ってだけ。それを忘れないでね」
「っ......!」
彼女の顔が私と離れる。
「ま、そういうことだからさ。そう目を光らせて肩張らないでさ、ゆーっくり、
「...」
「その沈黙は肯定ってことでいいよね?」
そう言うと、彼女はまたがっていた身体をどかし、私が立てる様に手を貸した。
少し戸惑いつつもその手を取り、立ち上がる。
「それで...ホシノちゃんは黒服と会ってきて幾つか話を聞いてきたと思うんだけどさ。その時に、私のことについて黒服が何か言ってなかった?」
見抜かれている。今さっきだけで何回私の記憶というか、考えというか、頭の中を覗かれている様な感覚に襲われたのだろうか。
だが、合っている。
黒服との会話中、彼女の名前が出てきた。
曰く、『彼女は普通じゃない』
曰く、『彼女は先生の守護者であり、不幸を呼び込む者』
そして曰く、『彼女は貴女達の幸せを望まない』
「...なんでそれを知ってるのか分からないけど、そうだよ。合ってる」
「あ〜、やっぱりか...今回も目をつけられてんのね、私...」
「......今回も...?」
「いや、ただの独り言だから大丈夫。うーん、そうすると困るなぁ...」
彼女の独り言が加速する。時々『最悪撃ち殺すしかないかな...』なんて物騒なことが聞こえるのはスルーした。
「ん〜......まあいいや、フィーリングで何とかなるか!」
「...さっきから疑問に思ってたんだけど、フタバちゃんって黒服と接点が?」
私の質問に、フタバちゃんは思案顔で何を返そうか迷った様にした。
「接点...っていうか、なんていうか...私も一方的に知ってるし、あっちも一方的に知ってるっていうか...どっちもどっちの認識があるけど直接会ったことはないっていうか...」
「...??」
「...無理、簡潔に伝えるのは無理。でもそれくらい複雑な関係ってことだよ」
「あ、そう...」
「ちょっと話逸れちゃったね。まあ、私の話したいことは終わってるからいいんだけどさ」
「それじゃあ、私からも一つ質問していい?」
「いいよ」
「フタバちゃんは...」
「私たちの敵?」
私の問いに、彼女はひどく顔を歪ませ、苦悶の表情を浮かべた。
「なんで、そう思うわけ...?」
「...そりゃ、思うでしょ」
「そっか。うん、そっか。そっかぁ...」
彼女は俯いたまま、ひとしきり思考に耽り...
バッと顔を上げ、歪んだ口角を上げ、笑い慣れていないかの様にニヒリと笑い、こう言った。
「そう、敵だよ。だから、
「っ......」
その言葉が何を意味するのか、私にはよくわからない。でも、これだけは分かる。
嘘だ、見せかけの言葉だ、ということが。
「...じゃ、私もう帰るね~。付き合ってくれてありがと」
そう言うと、彼女は教室の扉から出て行ってしまった。
帰り際、『...反吐が出る』なんて声が聞こえたのは、恐らく幻聴なんかではないのだろう。
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「■■!! 目を覚ましてください!! ■■!!」
薄暗いビル群、いやに鼻に突き刺さる鉄の臭い。
倒れ伏す死体、それに涙を積もらせる少女。
ぽつりぽつりと雨の音が激しくなるほど、少女の声も大きくなっていく。けれど、悲しいかな。その声は誰にも。そう、誰にも届くことはない。響くのは死体の頭から流れ出る血液から発せられた鉄の臭いと、それらを搔き集めることさえ妨げるように無情に流しゆく雨の音々。
「なんで...! 私の所為じゃ...いや、違う違う違う!! ■■を、■■を早く病院に...!!!」
意味のないことだと分かっている。どうせ死んでいるのだから、それが徒労に終わることくらい。それでも、諦めたくなかった。抗いたかった。こんなクソみたいな運命に、どうしても一矢報いてやりたい。
でも、できない。
「っ...早く、病院に......!!」
死体を引きずる。引きずった後に、血の跡が残る。血の跡が雨に流されていく。雨が私を濡らす。私は、死体を、引きずる。
どうやっても、どうしても、どうなってでも、私は幸せには成れないというの?
どうしてここまで私は私の幸福を否定されなければならないの?
「■■、■■!! ダメです、生きてください!! 貴方がいなくなってしまったら、また、また私は...!!!」
ああ、どうしても自己保身に走ってしまう、そんな私を私は殴りたくなる。きっと、この死体なら許すのだろう。死体はきっと、笑って許すのだろう。だって、この死体は私の幸せを、唯一認めてくれたのだから。
でも、もう疲れちゃったな。
そっか
私、疲れたんだ。
こんな死体に構って、
こんな死体を守って、
こんな死体を慕って、
こんな死体を羨ましがって、
こんな死体に、恋をしてしまったんだから。
私、疲れちゃった。
もう、いいよね?
十分、がんばったよね?
私、あきらめていいよね?
わたし、もう、ゆるされてもいいよね?
...そっか、ありがとう、■■。
おやすみ、■■。
【道野フタバ】
幸せを願い、幸せを求める生徒。
それでも、彼女にハッピーエンドなんて似合わない。