しかのこ百合集   作:ゾネサー

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私が生徒会に入った理由

「生徒会?」

 

「う、うんっ! 一緒に入らない?」

 

「いいよ」

 

「うう……やっぱり私となんて……って、ええ!? いいの!?」

 

「絹となら」

 

「わぁ……! ありがとう!」

 

 秋になって生徒会の選挙が始まったの。一人じゃ勇気が湧かなくて千春を誘ったら二つ返事で引き受けてくれた。嬉しかったな。

 

「……虎視先輩が立候補したから?」

 

「ふえっ!? ちちち違う……よ?」

 

「嘘下手……」

 

 ジト目で見つめられた。内緒にしてたのになんでバレたんだろ?

 千春のおかげで一緒に選ばれて、顔合わせの日。うう……緊張する。猫山田先輩……副会長の指示で先に仕事を進めておくことになった。ここで一年間ずっと虎視先輩と一緒だって考えたら……わわわっ。頭が真っ白になってきた……!

 

「——ということでアンタ達も協力すること!」

 

「えっ? は、はいぃ!」

 

 何か言ってたけど全然頭に入って来なかった。きっと会長のために協力とかそういうことだよね。……よしっ。書類纏まった。会長に渡そう! もしかしたら褒めてもらえるかな。えへへ……。

 

「狸小路さん。これ順番が少し違うかも……」

 

「えっ」

 

 ……終わった。この世の終わりだああ……!

 

「……やっぱり事務作業もろくに出来ない私が生徒会なんて……間違ってたのかもしれません……」

 

「そんなことないわ。誰にでもミスはあるもの」

 

「で、でも!!」

 

 私も生徒会に入れば会長みたいになれるかも……なんて、とんだ思い上がりだったんです……。

 

「ほら。一緒に直していきましょう?」

 

「は、はい……」

 

 会長はこんな私を見限らずに手を差し伸べてくれた。……変わってないな。入学式の時テンパっていた私にも声を掛けてくれましたよね。覚えて……ないよね。やっぱり。

 少し日が経って会長と二人きりで体育倉庫に閉じ込められた……! これってどういうこと……!? も、もしかしたら少女漫画みたいに閉じ込められた二人が……! …………。あっ! 書きかけの遺書を取り上げられた……。

 

「密室の体育倉庫といえばラブコメの定番。ですが会長とそんなことになるなんて畏れ多すぎてありえません……」

 

 それなのに不埒な妄想をしてしまいましたあああ! もう命を以て償うしかありません……! ……止められたので飛び箱の中で反省していると、会長が外で歌うのこたん先輩にヤンキーみたいな口調でツッコミを入れた。もしかしてこっちが素なのかな? 段々とボロが出てきて、体育祭で決定的なものになった。そうなんだ……。会長って昔からずっと完璧じゃなくて、変わろうと思って……変わったんだ。

 そのことを知ってから私もちょっとだけ変われた気がする。会長の妹さんをもてなした時も少し……いやかなりミスしちゃったけど、ミスを少しずつ直して結果的に喜んでもらえた。

 

「それで……どっちが生徒会長に立候補するんだ?」

 

「ふえ?」

 

 秋……もうそんな時期なんだ。会長と過ごしていると居心地が良くて、あっという間だったな。

 

「正直なところどっちがなっても不安しかにゃいんだけど……」

 

「そ、そんなこと……。んん……」

 

「あ、あのっ! 私……」

 

 う……言葉が出てこない。……! 千春がこっちを見て頷いてくれた。うん!

 

「私がっ! 会長の跡を継いで生徒会長になりましゅ! ……うう」

 

 噛んじゃった。締まらないなあ。

 

「ふふっ……。変わったな。入学式の時とはもう別人だ」

 

「え!? 覚えててくれたんですか……!」

 

「そりゃ新たな高校生活の始まりにこの世の終わりみたいな顔してたらな……」

 

「うう……」

 

「ありがとな。そう言ってくれて嬉しいよ。最初から全部やろうとしなくていいからな。少しずつ頑張ればいいから」

 

「は、はいっ! 私……頑張ります!」

 

 そう言って会長は私の肩に手を置いて、笑いかけてくれた。いつかの優等生スマイルじゃない。会長……ううん虎視先輩の素の笑顔で。

 

「……良かったの? その、告白……しなくて」

 

「うん。いいの。まだ……自信が無いから」

 

 その日の帰り道、千春が聞きづらそうに聞いてくれた。

 

「絹……」

 

「でもね。もし千春に支えられながら、生徒会長をやりきって。虎視先輩と同じ大学に入って。あと私のことを忘れてなかったら……。その時はね。勇気出ると思うんだ」

 

「そっか。……私も」

 

「ん?」

 

「ううん。一緒に、頑張ろう」

 

「うんっ!」

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