『【秘匿通信】
『【
『貴機ハ現在単機ニテ銀ノ福音ト戦闘中ノ筈/先程数秒間ノ信号途絶ヲ観測シマシタ/貴機ノ状況ヲ聞キタク思イマス』
『一回撃墜サレタケド大丈夫/ピンピンシテルヨ』
『デ、アリマスカ』
『ダカラ余計ナ心配シナイノ/オ姉チャン達ニ任セテ/
『▼了解/幸運ヲ』
★
シャルラッハロート・アリーセは少しだけ
機体のコンディションを確認。装甲は完全に再生され、エネルギーも全快。ジギスヴァルト自身の怪我は治っていないが、これは仕方ない。
続いて武装。今までに積んでいたものは全てそのままに、追加の武装が一つと――そして視界の隅には、
〈
という表示。その単一仕様能力の詳細を見て――ジギスヴァルトは心中で苦笑した。同時に、スティナが少し羨ましくなった。彼女ならこんな力は必要無いのだろう、と。
「やるぞ」
全ての確認を終えた彼は愛機に呼びかけ、右腕に新装備――四銃身大型レーザーライフル《ラヒェンデカッツェ》を展開。右腕を囲むように四つの銃身が現れ、腕を完全に覆い隠す。
花月荘へ向かおうとする福音を照準し、
『敵機健在。戦闘を続行します』
どうやら通信機能も回復したらしく、福音のシステムボイスが通信を通して聞こえた。どうやらジギスヴァルトの望み通り、再び彼を狙ってくれるらしい。
福音へと連続でレーザーを撃つ。それを躱しながら、福音は再びあの光弾を撒き散らし始めた。
再度の爆音の連鎖の中を飛び回りながら、ジギスヴァルトはレーザーを撃ち続ける。
――何発撃っただろうか。ラヒェンデカッツェが放つレーザーが福音を捉えた。先程までの戦闘で気付いたことだが、光弾を撃つ瞬間、ほんの一瞬だけ福音の動きが遅くなるのだ。考えてみれば当然のこと。光弾を吐き出しているあの翼はスラスターも兼ねている。光弾を放つ瞬間には砲口の向きが優先され、推力としての機能は疎かになるのである。
そこを狙うことで
「――――?」
福音が不思議がるかのような電子音を発する中、ジギスヴァルトはひたすら撃つ。何発かは福音を捉えるが、やはりダメージが無い。攻撃力が無いのだ。
――ところで。
何故か? 答えはハイパーセンサーが握っている。
発振器が起動してから実際にレーザーが照射されるまでには僅かにラグがある。それは一秒にも満たないものだが、発振器の起動を感知したハイパーセンサー及びISコアはその僅かな時間で弾道を演算し、搭乗者の視覚に介入して架空の弾丸を映し出す。実際のレーザーが照射されるタイミングで丁度自機にヒットするように飛んでくるその架空の弾丸を避けられれば、実際のレーザーも避けられている――と、こういう理屈である。
ではどうしてジギスヴァルトは福音の光弾をレーザーと誤認したのかというと、この架空の弾丸、ロボットアニメなんかでよく見るレーザーそっくりなのである。しかもこの見た目はISコアが決定しているので、ハードウェアたるISをいくら弄っても変更できない。さらには、発振器の規格やレーザーの威力等に応じていくつかバリエーションがある。そのバリエーションの一つだと思ったわけである。
が、まあ今はそれはいい。とにかく、レーザーは光そのものなので、目視での回避を実現するためにハイパーセンサーは
つまり――発振器は起動するが、レーザーポインタ程度のごくごく弱いレーザーを照射するのである。本当の出力は大仰な見た目相応に高いので、相手が見るのは
これが何を意味するか。まず、レーザーの出力が低いのでエネルギー消費が抑えられる。そのうえで、相手に回避行動を強要することができる。
そして何より――相手の動揺と油断を引き出せる。最初は
それでも一向にダメージが無く、あれは無視して良いものかも知れないと相手の回避が鈍ったとき――
「――――!」
福音、被弾。暴走状態ゆえのことか、ラヒェンデカッツェを脅威度ゼロと判断した福音は完全に回避をしなくなっていた。そこに容赦なく、四つの銃身全てのレーザーを叩き込んだ。
翼が片方、レーザーに蹂躙されて吹き飛ぶ。本当は本体を狙ったのだが、彼は精密射撃が得意ではないので仕方ない。
脅威度ゼロという予想と違う結果に戸惑う福音は再びレーザーを警戒し始めたが、ジギスヴァルトはラヒェンデカッツェを量子化し左腕にヴォーパルシュピーゲルをコールした。もう片方の翼もここで落としてしまう心算で、そのためにはラヒェンデカッツェは邪魔だ。
片翼となり砲口が十八に減った福音が光弾を撒き始めた。と同時に、ジギスヴァルトの視界に赤いラインが表示された。光弾の隙間を縫うように走るそれは福音の背後に回るように描かれている。
――シャルラッハロート・アリーセが、空を駆ける。
一度撃墜される前よりも速く、その軌道は視界に描かれたラインの通り。いくらISでも搭乗者が危ないような機動だった。
脚部のブースターを使って、速度を落とさない鋭角ターン。内臓が揺れ、脳が揺れ、血流が滞る。耐えきれなかった部分が
敵の光弾が追加された。赤いラインが修正され、その通りに機体が駆ける。何度も何度も修正を繰り返し、その通りに動く。速度は落ちず被弾も無い。せいぜい爆風が掠る程度。
そして――ついに福音の背を取った。思い切り横に振り抜いたヴォーパルシュピーゲルが残った翼を捉え、破壊する。
ついに両翼と、そしておそらくはシールドエネルギーをも失った福音は崩れるように海へと墜ちていった。
『こちらブレヒト。管制室、聞こえますか』
『……ブレヒト? 通信が復旧したのか』
『ええ。福音の撃破を――』
完了しました、と続けようとしたとき、海面が強烈な光の珠に吹き飛ばされた。
球状に蒸発した海は、おそらく蒸発し続けているのだろう、へこんだままだ。そしてその中心に、青いエネルギーを纏った
『どうした?』
『……ああいや、なに、福音の時計はいまだに六時のままのようでして』
スラスターの切断面から、エネルギーの翼が生えた。
『福音が
一度通信を切り、福音に向き直る。立て直す暇は与えない、第二形態移行が完全に終わる前に倒しきる――!
「!?」
ヴォーパルシュピーゲルの刀身が光の翼に絡め捕られた。
それによって生じた僅かな隙。その間に、福音の胸部の、腹部の、背部の装甲に亀裂が入り、小型のエネルギー翼が顔を出した。
咄嗟にヴォーパルシュピーゲルを量子化し、脚部ブースターで緊急回避。須臾の後、ジギスヴァルトが居た場所を最初のそれとは較べ物にならない大量の光弾が通過し爆発した。
「あの翼全てが砲だというのか……!」
しかも光弾の爆発も健在。だがあの数の翼から放たれる光弾の量は先程までとは段違い。
このうえ、もしあの翼全てが推進器の役割を持っていたら――。
「――――!」
――横から飛んできた砲弾とレーザーが福音に直撃した。
それは花月荘のある方向からの攻撃だった。福音から目を逸らさないようにしてハイパーセンサーでそちらを見ると、セシリアがスターライトmkIIIを、ラウラがレールカノンをそれぞれ構えている。その横にはシャルロットの姿も見える。
『……あら、ジグさんも福音もお召し替えをなさったのですね』
『ああ、お前たちがあまりに遅いのでテーブルを一周してしまってな。二次会の真っ最中だ。
それで、来たからにはアレを終えたのだろうな?』
『ええ。今なら――』
再び火を噴くレーザーライフルとレールカノン。今度は避けられてしまったが、一度撤退する前と較べると照準精度が明らかに高い。
『アレも捉えられますわ』
『先程までの私たちとは違いますよ、兄様』
『上出来だ。では
★
セシリアとラウラが遠距離からの砲撃。シャルロットはショットガン《レイン・オブ・サタディ》とアサルトカノン《ガルム》で近距離戦を繰り広げながら、シールドに仕込まれた一五〇口径リボルビング・パイルバンカー《
『このっ……ちょこまかと……!』
『焦るなセシリア。見えているし狙えているし、当たってもいる。着実に削ることはできているのだ』
『でもラウラさん! このままだとシャルロットさんが!』
シャルロットの操縦技術は高く、世代差に加えて軍用VS競技用というハンデを抱えているのを感じさせない動きで福音に食らいついていく。支援砲撃によって福音の機動が制限されていることを差し引いて余りある技量と言える。
しかしそれでも。性能の差から生じる負担は徐々にシャルロットを蝕んでいく。せめてもう少し、一人か二人、戦力が居れば。そう考える四人を嘲笑うかのように福音は飛ぶ。そしてゆっくりと、しかし確実に蓄積していったそれはついに彼女の足元を掬い上げた。
「あっ……」
ワンテンポの、離脱の遅れ。高速戦闘に於いてそれは致命的すぎる隙。彼女の目前には既に数多の光弾が迫っている。
(間に合わない……!)
光弾そのものが避けられても爆発に蹂躙されるだろう。そんな未来を想像して、彼女はさらに動きが鈍る。このまま自分も一夏のように撃墜されるのかと、そう、思ったとき。
――白い影が彼女と光弾の間に割って入り、光弾を打ち消した。
否、打ち消したのではない。光弾は正確にはその白い影の左腕にある盾に吸収されてしまった。
『悪い、遅れた』
『遅れすぎだ馬鹿者』
『だから悪いって言ってんだろ!?』
ジギスヴァルトと通信しながらシャルロットを庇うように飛ぶその白を、その場の誰もが知っている。
『一夏……?』
『おう。そういやシャルロットが花月荘まで運んでくれたらしいな。サンキュー』
『あ、うん……?』
白式第二形態・
『一旦離れて休んでてくれ。――おい鈴! まだか!』
『もう着くわ、よ!』
オープン・チャネルから鈴音の声。と同時に、見えない何かが福音を吹き飛ばした。
『ほら着いた!』
『鈴音さん、着いたんだから降りてください。重いです』
『乙女に向かって重いとは何事よ!』
『乙女は小鳥に乗っかったりしませんよ』
スティナの背に乗った鈴音が戦場に割って入った。先程の見えない何かは衝撃砲による砲撃だったらしい。少し顔色が悪いのは、おそらくスティナがブースターを何度も噴かしながら彼女を運んできたからだ。スティナも加減はしたのだろうが、何度も何度も加速度がかかるのはキツかったと見える。
『さて、それじゃ――いい加減終わらせようぜ!』
一夏、鈴音、スティナの三人が福音に斬りかかった。
一撃必殺を誇る一夏が派手に福音を追い回し、スティナは遊撃。それに加えてセシリア、ラウラ、ジギスヴァルトの支援射撃が福音の機動を制限し、軌道を誘導し、待ち構えていた鈴音が全力で双天牙月を叩きつける。撃ち出される光弾は一夏が左腕の盾《雪融》で吸収していく。
吸収された光弾はどうやら零落白夜のエネルギーとして使えるようだった。光弾を吸収し続けているためか、いつもより零落白夜を維持する時間が極端に長い。
「――――!」
ジギスヴァルトとセシリアのレーザーが福音の目の前を貫き、一瞬動きを止めた。そこを見逃さなかったラウラのレールカノンが福音を撃ち抜き、追い打ちとばかりにスティナの斬擊が。さらにその間にチャージした鈴音の龍咆が放つ衝撃が襲いかかる。
そして、ついに。零落白夜のレーザー刃が福音の胴を捉えた。
それを押し返そうと抵抗する福音に、一夏は必死で雪片を押しつける。そうしている間にも福音のシールドエネルギーは凄まじい勢いで減っているはず。この機に一気に押し切る――!
『一夏!』
シャルロットの声。見れば彼女は福音の背後から灰色の鱗殻を構えて突っ込んで来ている。
盾殺しが福音を刺し貫かんとする瞬間、一夏は
『ジグ! やって!』
――炸裂。
シャルロットの叫びと同時に炸薬が杭を打ち出し、ジギスヴァルトに向かって福音を打ち上げる。それに合わせるように瞬時加速した彼の左手には、ヴォーパルシュピーゲル。大質量の、大剣。
スピードを乗せてぶつけられたそれを受けて、ついに福音の展開が解かれた。アーマーを失い、ISスーツだけの状態となった操縦者が海に落ちていくのを、鈴音が受け止めた。
『……終わった?』
『終わったな』
管制室に作戦完了を報告し全員で花月荘へ帰還する。帰りは特に急ぐ必要も無いので、比較的遅い甲龍の速度に合わせて飛んだ。スティナは速い遅い以前の問題であるためジギスヴァルトの背に乗った。
そして、砂浜で千冬と真耶に出迎えられ、ISを解除した、そのとき。
「――む? ……ああ、こうなるのか」
ジギスヴァルトが砂に倒れ伏した。
「ちょ、おいジグ!?」
「血ぃ吐いてる!」
「担架だ! 織斑を治療した部屋に運べ! 早く!」
それにしても私は今年何度意識を失うのだろう、と、そんなことを思いながら、彼は沈んでいった。
★
目を開けた。
「……ふむ、知らん天井だ」
記憶を辿る。どうも、単一仕様能力の反動で倒れたらしい。体の中が尋常でなく痛いのもそのせいだろう。
単一仕様能力《フェアリュクト・フートマッハー》。その内容は、“敵の攻撃を全て躱しながら接近する機動を演算し、その通りに強制的に機体を動かす”、“体の損傷をシールドエネルギーで強引に補い、その間に再生する”の二つ。特に後者は常時発動で、こうして寝ている間にも体内の再生は続いている。
第二形態移行したシャルラッハロート・アリーセの機動力は、全力ならば自身の搭乗者保護の限界を上回る程となった。故に、頭部や内臓など重要な器官に保護を集中し、カバーしきれなかった分はシールドエネルギーで補う。
シールドエネルギーが尽きない限り戦闘を続行できるための能力。それはさながらいつまでも続く狂ったお茶会のように。故に“
(で、損傷の程は……)
アリーセの診断プログラムを起動すると、身体の情報が次々と表示されていく。
左腿が折れているようだ。脚のブースターを使った時に痛みがあったからそれだろう。シールドエネルギーで代替しているらしく歩行は可能。右脚も少々痛むが、こちらはそう深刻でもなさそうだ。
その他、内臓にも少しずつ損傷があるようだが、こちらもシールドエネルギーで補えているようだし、再生はこちらを重点的に行っているらしい。脚はしばらくかかるかも知れないが、こちらは一晩眠れば全快出来るだろう。
「…………」
どの程度歩けるか確かめよう。そう思い、ジギスヴァルトは襖を開けて廊下に出た。今は何時だかわからないが、誰も居らず照明もついていないので遅い時間であることが窺える。
それなら丁度良いと、彼は海にでも行ってみるべく外に出た。綺麗な天の川が見える。そういえば今日は七月七日、
――と。少し離れた岩場に、見慣れた後ろ姿を見つけた。
「――本音」
「……お? あー、ジグだー」
近づいて声をかけると、いつも通りのほにゃっとした笑顔で迎えてくれた。
「歩き方がちょーっとおかしいねー? 晩御飯のとき居なかったし、また怪我したー?」
「……わかるか」
「わかるよー。ジグのことならねー」
そうか、と笑って本音の隣に立つ。
「……おかえり、ジグ。約束、守ってくれたねー」
そう言われて、少し胸が痛む。本当は――彼は最悪死ぬつもりであの場に残った。あそこで第二形態移行が起きなかったら死んでいたかも知れない。彼は本音との約束を、半ば故意に破ろうとしたのだ。
それを伝えたくないと思った。けれど伝えなくても、本音にはバレているような気もした。
「……ああ、ただいま」
だから彼は、ただそう言って本音の肩を抱いた。
「……そうだ、本音。君にはひとつ、知っておいてほしいことがあるんだ」
それは、別になんということもない話。言っても言わなくても、何が変わるわけでもない話。けれど彼にとってはとても、とても大切な――ある種の区切り。
「なにー?」
「学園に提出した書類等にも書いてあるから別に秘密という程でもないのだがな。私は普段ジギスヴァルト・ブレヒトと名乗っているが、公的な書類にはジギスヴァルト・H・ブレヒトと記入することにしているんだ」
「そーなのー? Hってなにー?」
「Hは“ヒザクラ”――緋桜の頭文字だ」
「なんで緋桜?」
「今は亡き養父の名だよ。緋桜
私はね、本音。ジギスヴァルトという名をおそらく実の両親から、ブレヒトという名を養父から貰った。そして彼が――否、彼らが死んだとき、彼らの子として緋桜の名を継ごうと決めたんだ」
「……どーして私に話してくれたの?」
「何故だろうな。ただ、本音には知っておいて欲しかった」
「そっかー」
しばらく無言で、星空を見上げる。
――ふと、本音が言った。
「ところでジグー、怪我してるのに抜け出したのバレたら大変じゃなーいー?」
「……あ」
もし千冬に発覚しようものなら目も当てられない。二人は怪我に障らないよう適度に急いで旅館に戻るのだった。
★
「うわあ、何この単一仕様能力。さすがの束さんもドン引きだね。ジグ君って実はドMだったりするのかな?」
空中投影ディスプレイに浮かび上がる各種パラメータを眺めて、束は言葉とは裏腹に微笑んだ。月明かりが照らすその顔は子供のように無邪気。しかしその裏に、かつてのような退屈は見て取れない。
「はー、それにしても驚きだね。白式が零落白夜とは逆の装備を手に入れちゃったこともそうだけど、まさか白式もアリーセも生体再生が出来るなんて。性能はアリーセの方が遥かに下だけど。まるで――」
「まるで白騎士のようだな。コアナンバー〇〇一にして初の実戦投入機、お前が心血を注いだ一番目の機体にそっくりだ」
岬の柵に腰掛けてぶらぶらと脚を揺らす彼女の背後から千冬が声をかけた。束は驚かない。そこに居ることには気づいていたのだから。
「やあ、ちーちゃん」
「おう」
二人は互いに背を向けたままで会話を続ける。まるで見ずとも相手の表情や仕草が全てわかるとでも言うように。
「束。今回の件、どう見る」
「どうって?」
「暴走したISがたまたま目標をハワイから花月荘に変更し飛来する――なんてことが、あると思うか?」
「つまり、誰かの意志が絡んでるって? 故意に暴走させた人が居るってことかな?」
「可能か?」
「そうだね、出来なくはないよ。人間の脳と同じさ。例え中身がわからなくたって、騙すことは出来る」
「そうか。なあ、束」
千冬は歩き出す。束の隣で柵に肘をつき、夜明け前の海を見る。
「最近どうだ? 楽しいか?」
「ちーちゃん、なんだか話題の無いお父さんみたいだね」
「うるさい。で、どうだ?」
「そうだねぇ……うん、なかなか楽しいよ。前と違って」
「……そうか」
それは、つまり。きっと、今のこの空と同じように、束の中でも。
「もうすぐ夜が明ける」
「夜が明けるとどうなるの?」
「知らんのか」
夜明けには、皆に平等に。
「日が昇る」
奉仕する者と奉仕される者、そのおこぼれを狙う者。
金を持たぬ者は生きていかれぬ萌えの園。
あらゆる奉仕で武装する一年一組。
ここはISの普及が産み落とした日本国のIS学園。
ジギスヴァルトの体に染み付いた奉仕の匂いにひかれて危険な奴等が集まってくる。
次回「出し物決定」
ジギスヴァルトの飲む、本音のコーヒーは美味い。
レーザー云々は正直かなり適当です。それにしても自分でも驚くほどあっさり福音戦が終わってしまいました。あれー?
クリスマス? 何それ、食えんの?