ただ愛されればそれでいい   作:サラダボウル

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肉!食べずにはいられないッ!

 喜多川先輩にスイッチボックスについていろいろと教えてもらい、実際の戦闘での活用方法について考えて時間をつぶしていたが、それでも集合時間までの時間があったので、いつものようにロビーで時間をつぶしていた。

 そして、そろそろ集合時間だということで、俺は加古隊作戦室へと戻る。

 炒飯じゃないといいな、なんて思いながら。

 

「戻りましたー」

 

「知盛くんも到着ね」

 

 室内にはもう全員そろっており、どうやら俺が最後だったらしい。

 一応集合時間よりも前に来たんだけど、みんなしっかりしているなあ。

 A級なだけあって仕事もいろいろしているだろうし、ほぼ社会人みたいな人たちだから当然か。

 

 え?時間にルーズなA級2位の狙撃手がいる?

 知らない人だ。

 

「待たせちゃいましたか?すみません」

 

「大丈夫よ。時間よりも前だし、私たちが早いだけ」

 

「それで、壽先輩の歓迎会って話でしたが、何かするんですか?」

 

「いろいろ考えたのよ。どうせ加古隊に入ったのだから私が手料理をふるった方がそれっぽいんじゃないかーとか、何かパーティーっぽいものでも用意した方がいいのかしらーとか」

 

 ここで出たってことは炒飯は回避したってことでいいんですね!

 炒飯はないんですね!そうなんですね!

 

 その事実が分かっただけでもう心配なことはない。

 シュールストレミングだって完食できる気がする。

 

 いや、やっぱ無理。

 

「でも、こういったお祝い事って言うのは私の中ではどこでやるのかはいつも決まってたから」

 

 決まってた?

 何か定番のモノがあるのだろうか。誕生日にケーキを食べるとかそう言った類の定番が加古さんにはあるようだ。

 

「お祝いって言ったら──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ─────焼肉でしょ!」

 

 俺の歓迎会はなんと焼肉!

 しかも、寿寿苑だ!

 さすがA級の人!

 金持ち!

 

「ここまで豪勢なところでなんか申し訳ないですね」

 

「気にしなくていいのよ。あなたが主役なんだから」

 

 そう言われても、そうですよね!なんて割り切れるほど俺はできた人間ではない。

 主役である俺がこんな調子じゃダメなんだろうけど、やっぱり申し訳ないというか、すごすぎて何をしたら分からない気持ちがある。水でも飲んでおなかを満たすべきじゃないのか!?なんてよくわからない思考が俺の脳みそを占めている。

 そして、そんな俺の目の前で、入店して速攻で頼んだ湯豆腐を食べている喜多川先輩の図太さを俺は見習う必要があるかもしれない。 

 

「美味」

 

「そ、そうですか」

 

 なぜ俺の目を見ながらそれを言うんだろう。

 お前も食えよってことなのか、それとも感想を共有したいだけなのか。

 

「そういえば、知盛くん。あなた好きな肉の部位はあるかしら?お好きにどうぞって言ってたからこっちで勝手に選んじゃったけど」

 

「好きな肉の部位ですか……」

 

 これメニュー表、と加古さんからメニューをもらいながら俺は考える。肉の部位なんてカルビとかハラミとかそういうのしか知らないんだよなあ。

 こんないろんな肉の部位が食べられる焼肉屋に来るのなんて初めてだし。

 

 それにここに書いてある肉が一体どこの部位の肉なのか分からない。

 ギアラってどこだよ。恐竜の名前って言われた方が納得できる。

 辻先輩好きそう。偏見だけど。

 

「……イチボ」

 

「イチボが好きなの?」

 

「え、いや、二宮さんに焼肉の話をしたときにうまいって言ってたので」

 

 口に出てたのか。完璧に無意識だった。

 けど、イチボのことを考えていたのは事実だ。

 いつものように訓練をしていた時に、焼肉の話の流れで二宮さんが、一番うまいのはイチボだろ。それか肩ロースだ、と言っていた。肩ロースはなんとなくわかったけど、イチボは何かわからなかったのは記憶に残っている。

 犬飼先輩は、カイノミはおいしかったよ、って言ってた。カイノミもどこか分からなかったけど。

 

 てか、ボーダーでは焼肉が外食の覇権を握っているのだろうか。

 それとも二宮隊が焼肉好きな集まりなだけ?でも、諏訪さんも俺の歓迎会だって言って焼肉連れてってくれたし。

 何かしら癒着があるのかもしれない。それはよろしくない。

 

「二宮くんが?なら、ランプなんてどうかしら、私のイチオシよ」

 

「ランプですか?」

 

 それはまたどこの肉なんだ?

 いや、もしや明かりを肉の部位かのように言う高度なボケな可能性もある?

 肉に疎い俺にそのボケはやめた方がいい。今の俺はありとあらゆるボケを殺す可能性がある。

 

「あ、きた」

 

「こちら、タンとハラミとランプになります」

 

 店員の到着にいち早く黒江が反応すると同時に、ランプがちゃんとお肉だったことが判明する。

 ボケではなかったようだ。まあ、さすがにないとは思っていたけど。

 

「タンから焼いちゃいましょうか。みなさんおなかすいてるでしょうし、すぐに食べられるものからいきましょう」

 

「そうね。じゃあ、杏と二人で焼いていくから三人は待ってて頂戴」

 

「「「はーい」」」

 

 二人に焼きを任せて、俺たちはどんどんと積まれていく肉を米と一緒に胃の中へと放り込んでいく。

 加古さんイチオシのランプはなかなか美味だった。うまい肉って感じ。

 あと、喜多川先輩の押しに負けて湯豆腐も食べてみた。まあ、うんって感じ。

 

 そんな感じで、いろんな人のおすすめを食べながら俺の歓迎はとてもおいしい会になった。

 うまい肉をたらふく食べられて俺は満足です。

 やっぱ焼肉は最高だね。

 

「そういえば、来週からランク戦ですけどポイントとかってどうなるんですか?ゼロからってことはないんでしょうけど」

 

「ああ、ポイントは今中位の一番下が漆間隊の25ptだからそれの一個下。24ptスタートらしいわ」

 

「中位からですか、いいですね」

 

 二宮、影浦隊は上位スタートだったけど、うちらが中位なのは加古さんの交渉のおかげかな。

 俺が中位から戦いたいってのは以前から言ってたし。

 

 なら、那須隊や柿崎隊とも戦えるのか。

 いつも戦闘を見てばっかりだったから、楽しみだな。実際にランク戦で戦うのは個人で戦ってるだけやログで見てるものとは違うところがあるはずだ。

 今まで俺が感じたことのない連携だったり、レーダーで敵の位置を探ったりとやることがたくさんある。今考えただけでもわくわくが止まらない。

 

「あと、ランク戦の直前ぐらいに双葉がエンジニアにお願いしてたトリガーもできるはずよ。ついでにランク戦でお披露目ね」

 

「その件なんですが弧月の改造は終わったんですけど、新しいトリガーは一個が制作が難航してるみたいなんで、使えるのはもう一つの方だけになりそうです」

 

「そうなんだ。どうせならどっちも見たかったけど、残念だね」

 

「壽先輩には一番に見せてあげるので安心してください」

 

「そ、そうなんだ」

 

 具体的に何を安心すればいいのかよくわからないけど、相変わらず一番に見せてくれるらしい。

 もしかしたら、そのトリガーを使ってできる戦術があるかもしれないしありがたい。

 だとしても、俺に一番に見せる理由は分からないけど。

 

 前も思ったけど加古さんとかの方がいいと思うよ。礼儀的に。

 

「あ、あと、次のランク戦の相手ってもう分かってるんですか?」

 

「それはまだね。今度の土曜日にある試合が終わったら決まるわ」

 

 そう言われればそうか。

 今決めて、その部隊が上位に上がったなんてことになったら組み合わせがおかしくなる。

 確か今中位で一番上なの香取隊だっけな。ログでは見たことあるけど、全員知り合いではない。

 聞いた話によると香取先輩と関わりのある人が集められた部隊らしい。ま、だからなんだって話だけど、知り合いを集めただけで上位にも行けるレベルがそろうってなかなかすごいと思う。

 いくら香取先輩のワンマンチームと言っても、そこは評価すべき点だ。

 

「壽くん、イチボ焼けたよ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

 小早川先輩が、出来上がったイチボを俺の皿においてくれる。

 二宮さんがうまいって言ってたのでしれっと頼んでおいたのだ。

 俺が頼んだものを人に焼かせるのは少し悪い気もしたが、中学生が焼いた肉なんて高確率で生焼けになるのでそのあたりは全部任せた。

 

「見た目は普通だけど……いただきます」

 

 初めて食べるイチボ。

 二宮さんのおすすめだったわけだが……。

 

 うーむ。

 

「美味」




リアル喜多川先輩は原作でも見た目がわかってないので現状触れないでおきます。
さすがにあの姿が現実の見た目じゃない……はず。
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