ただ愛されればそれでいい   作:サラダボウル

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諏訪隊

 なかなか有意義な時間だった。

 弧月使いと、ハウンド使いを重点的に狙ってランク戦を進めた俺は、2081点と大幅な得点の獲得に成功した。

 何人かスコーピオンとか、アステロイド使いとも戦ってどんなトリガーか把握したので次にやるときは、まんべんなくポイントの高い奴からむしり取るとしよう。

 

 でも、4000点ってはかなり遠いな。ポイントが低いうちは一気に上げられるが、3000を超えてきたあたりで一気に伸びが鈍化するはず。4000を超えた人は正隊員になるからポイントが取れない。最後の方は必然的にポイントの近いやつからちまちまと取る必要があるわけだ。気が遠くなりそう。

 それに、あまり骨のあるやつがいない。このレベル帯で4000点稼いだところで、4000点を超えた瞬間正隊員にぼこぼこにされるかも。

 B級になると使えるトリガーが増えるらしいし、黒江に教えてもらおうかなぁ。

 

「いや、茜はB級なんだっけ」

 

 洸太郎さんもB級のはず。

 どっちか見つけて教えてもらうか。

 善は急げ、事前に教えてもらった諏訪隊の作戦室に行ってみよう。地図はもらったから、行けるはず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「確かこの辺にあるはずなんだけど……」

 

 階は合ってるはず、場所もそれっぽい気がするんだけどな。

 殺風景な景色が続くボーダー本部は目印になるものがなくて困る。廊下に華やかさがない。

 ま、外部の人間が入ることはない場所なんてこんなもんなんだろうけどねー。機能性重視ってやつだな。

 

「お、そこのちっこいのは」

 

「ん?」

 

 後ろから話しかけられているような気がして振り返る。

 

「あ、おサノ先輩」

 

 諏訪隊のオペレーターをやってるおサノ先輩がいた。

 一度だけ洸太郎さんの家に来た時に仲良くしてもらった。ノリがよく、洸太郎さんとも仲が良くて、なかなか楽しい人だ。

 

「すわさんのいとこじゃーん。なにやってんの?」

 

「洸太郎さんのところ行こうとしてたんですけど……」

 

「そういうことね。ならついてきなー、私も行くところだったから」

 

 この何の目印もない廊下を一切迷うことなく進む、おサノ先輩。やっぱ、慣れたらこのぐらいなんてことないのか。

 せめて諏訪隊の作戦室の場所ぐらいは覚えないとな。たぶん、今後も来ることになるだろうし。

 後ろをついていくこと数分。すぐに作戦室に着いた。やっぱり階までは合っていた。場所は全然違ったけど。

 

「すわさーん。知盛くん来てたよー」

 

「ん?何しに来たんだ、知盛」

 

「トリガーについて、なんか知れないかなって思って」

 

「あー、おサノ。そこの端末渡してやってくれ」

 

「ほいほーい」

 

 机に置いてあった端末をおサノ先輩から渡される。

 これは誰かの私物だろうか。

 

「そこの中によ、トリガーの一覧があるからそこで調べな。改造したやつとか、試作型とかまでなら載ってるはずだ」

 

「何か載ってない奴でもあるの?」

 

「ちょっとだけな。でも、お前らには関係することは全部載ってるから気にすんな」

 

「はーい」

 

 その載ってない奴が気になるが、洸太郎さんの口ぶりからするに俺が知ったところで意味がない奴なんだろう。

 ランク戦に関係ないならいいや。気になるのはあくまで正隊員とかが使うトリガーについてだし。

 

 麻雀の台を囲うように置かれている椅子に座り、端末をいじる。

 弧月とかスコーピオンについてのことが記載されており、レイガストって名前の見たことないトリガーも書いてある。これを使っている隊員はいなかったな。

 人気ないのか?

 

 他にもアステロイドやメテオラに関する説明。バイパーなんて弾もあるらしい。

 自由に弾道を引けるって強くないか。こうぱって即座に弾道を引く、かっこいいね。

 

 それと、俺が今使っている弧月についてだが、切れ味をゼロにすることで使用していないことにできるらしい。

 今の俺からしたら関係ないが、弧月を使っているように見せてただの物理でぶん殴るってことができるわけだ。相手をだますのには最適なのでは?その間にアステロイドぶち込めば大体倒せるだろ。

 ま、正隊員にならなきゃそんなこともできないけどね。

 

 なかなか面白い情報が知れたと、ほくほくしていると扉が開いた。

 

「お、知盛くん。来てたんだ」

 

「お邪魔してます。堤さん」

 

 諏訪隊の糸目担当堤さん。

 おサノ先輩はつつみんって呼んでた。

 

「ボーダーに入るって聞いたときは驚いたけど、良い感じ?って言っても、まだ初日か」

 

「いい感じですよ。友達もできたし。今は、トリガーの勉強中です」

 

「それはよかった。もし、見たかったらランク戦のログとかも見られるから見てみるといいよ」

 

「マジすか」

 

 そんな機能が。

 実際にトリガーを使っているところはぜひ見てみたい。こいつにこんな使い方があったのかってのを感じさせてほしい。

 堤さんにB級のランク戦のログの見方を教えてもらい、いくつか見てみる。

 やはり実践の方がいいな。文章では分からなかった部分がよくわかる。

 

「これ今やってないの?」

 

「今はやってないね。でも、来月からまたやるからその時見に行きな。解説もついてて、見るだけでも価値はあると思うよ」

 

「それは良い情報を聞いた。ありがとう、堤さん」

 

「はは、どういたしまして」

 

 将来的にはB級の人たちと競うわけだ。

 そのB級のランク戦の実物をぜひ見てみたい。解説付きで。

 

 ランク戦の動画をいくつか見て、いろいろとトリガーの使い方について知れた。

 弾トリガーを置くことができたり、シールドをいろいろと変形できたり、トリガーは結構応用が利くらしい。でも、レイガスト使ってる人はやっぱいないな。

 俺が見てないだけで、どこかのチームにはレイガスト使いがいるのか?もしかしたらビビッと来るかもしれないからいてほしいな。

 

 と、黙々とログを見ていたら。

 

「ええええええ!!!!!!知盛お前すごいじゃん!」

 

 突然、大声を出しながらおサノ先輩が俺をほめだした。

 なんだ急に。確かに俺はすごい子かもしれないけど、いきなりほめられると驚く。

 

「なんだなんだ急に。知盛がどうしたってんだよ」

 

「すごいですよこの子!対近界民戦闘訓練の記録10秒だって!」

 

「「じゅ、10秒!?」」

 

 洸太郎さんと堤さんの声が重なる。

 おもろい。

 

「お前マジか知盛!バケモンだなお前」

 

「偶然だよ」

 

「偶然で10秒なんかとれたら苦労しねえよ!」

 

「10秒っていうと、今のところだと3番目じゃないですか、諏訪さん」

 

 みんなでわちゃわちゃと対近界民戦闘訓練の記録を確認してる。

 諏訪さんががっつくもんだから、おサノ先輩が追いやられている。

 

「すわさんじゃま!」

 

「いって、押すんじゃねぇ!」

 

「それにしても初日で10秒って、知盛くん。すごいね」

 

 おサノ先輩と洸太郎さんのわちゃわちゃをしり目に、堤さんが話しかけてきた。

 それほどまでにすごいらしい。

 

「でも他の訓練だと全然ですよ。一桁なんて1つもなかったし」

 

「だとしても、入ったばっかの子がやらされる対近界民戦闘訓練であのタイムはなかなかなものだ。これは、B級に上がったらいろんな部隊から声がかかるかもね」

 

 なんかすごかったらしい。

 でも、たかが初日にちょっとすごい奴が見つかったぐらいだ。きっと、俺の陰に隠れてぐんぐんと育つ奴が話題をかっさらっていくに違いない。

 黒江とか、将来性ありありだ。気づいたらA級になってそう。 

 

「知盛!B級にあがったら、うちの隊に入れてやる!」

 

「えー、洸太郎さんの隊?」

 

「何がいやだって言うんだよ!」

 

「部屋きたなーい」

 

「なはは、確かに~」

 

 俺の一言におサノ先輩が笑いながら同意する。

 先輩のデスクはきれいだが、麻雀の台や周囲のソファには物が散乱している。あと、餅くさい。なんで。

 

 このあと笹森先輩も合流し、諏訪隊作戦室の騒がしさはより一層激しくなるのだった。

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