青い空、突き刺すような快晴。…それはぶち破られた天井の外からもたらされている。
「すいませんすいません本当に!こんなつもりじゃなかったのに~」
その要因となったアホみたいにぺかぺか光っている輪っかが特徴の女がしくしくめそめそしている。
自分で言っていてあまりにアホすぎる言葉で、気にしないようにしていたぶち抜かれたところから注がれる陽射しは耐えがたいものがある。
そんな非日常が来るとは露ほども思っていなかった俺は、ゆっくりと崩れた瓦礫が飛び散る布団に潜り込んだ。寝よう。それで元どおりのはずだ。
「わー!現実逃避しないでください!起きて!起きて!」
夢にしては近すぎたりやかましすぎて閉じた目を開ける。そもそもだ。この問題に向き合うなら無視できないことがある。
「お前、誰なんだよ!!」
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「えーと。私は天界に所属しているキューピットの一人、名前はエルメロといいます。…それで、ここに落ちた経緯なんですけど」
「いや、待て待て本当に止まってくれ。もうこの時点で突っ込みどころしかないから。まずなにキューピットって!」
俺は低いテーブルを挟んで座っているエルメロという女の話に口から唾を飛ばす勢いでまくし立てる。
こういう大きな話のフックとなる部分をさも当然のように飛ばすんじゃないよ!
「キューピッドっていうのはあのなんか、イメージとしては小さい弓持ってるのが一般的なんですかね?人の仲を取り持つみたいな感じのやつ!…これでOKです?」
「いいやちっとも。そのキューピット様がなんでこのアパートの、それも俺のところに落ちてくるんだよ!」
「それはですねぇ…」
ねっとり喋るエルメロに青筋を立てそうになるが、キレたところで天井が直るわけではない。
「ミス、です!!」
「よーしわかった。その頭の輪っか引きちぎって電球代わりにしよう」
前言撤回だ。理由も理由だし、取れそうなものだけ取って追い出してやる。
俺が腕に力を込め始めると、エルメロは顔の前で手を忙しなく振り、弁解し始めた。
「違うんですぅ…ほんとはちゃんと玄関から入ろうと思ってたんですけど、初めて天界から地上に降りたから力の加減を間違えて、制御できなくて突っ込んじゃったんですぅ!!」
なんだそのアクセルとブレーキの踏み間違いみたいな理由は。天界もそこのところちゃんと教育しろよ!!
「…ん?たまたま俺のところに落ちてきたってわけじゃないのか?」
「そうなんです!元々榛原さんの手助けをするためにこちらに来たんですよ~」
「え、なんで当然のように俺の名前知ってんの?こわっ」
「天界から観察してたので!色んな情報知ってます!」
ぺかぺか光りながら悪びれる様子もなく仰天するような言葉を発してくるエルメロ。
「えーと、室内にある小さな観葉植物におはようってきちんと言うところとか、料理はもっぱらお肉を強火で焼いて塩コショウで味付けして食べるスタイルとか!」
「ヤベーよ本当に。警察に突き出した方が良いのか?」
一番嫌だろ本来絶対に捕まらないところにいるようなストーカーみたいなやつ。どうにもできないわ。
「警察って…天界でいうところの治安維持部隊みたいなやつですか!?…それはお願いですから止めてくださいぃ!!…ボロ切れに着替えさせられて、揚げたお肉の入った丼に顔から突っ込まれるなんて!」
「どうなったらそうなるんだよ!そんなスラムみたいな無法じゃねーよ!」
どうなってんだよ天界って!人として…いや人なのか?
「話を戻すけど、俺に何の用があって来たんだよ?」
そう言うとエルメロは鼻を一鳴らしするような仕草を見せた。コイツ素で気分を害する天才だろ。
「ふっふっふっ…それはですねぇ!私が恋のキューピットとして榛原さんと想い人を結ぶために天界から降りてきたんですよ!」
「え…それマジか?」
「本当の本当です。真剣と書いてマジと読みます」
確かに俺には想い人がいる。
同じ大学の先輩である四条さんという人に恋い焦がれていた。…ちょっと変なところもあるけど、俺みたいな粗野な奴とは違って気品のある人だ。
「な、なら頼む!四条さんともっと仲良くなりたいんだ!」
「もちろん、そのつもりで来たので任せてください!…あ、でも」
「でも…」
なんだかすっごく嫌な予感。俺の脳内アラートが感知している。
「ここに私を置いてください!あと、天井は榛原さんの方でなんとかお願いしますぅ…」
「ほぇ」
変な音が意図せず口から出てくる。これ修理費とかどうすんの。
大家さんにこんなの見せたらシバかれるじゃすまないし、何より理由が説明できない。
なんだよキューピットが空から落ちてきてアパートの天井を突き破りましたなんて…事実なのに俺が警察のお世話になるだろうが!
「いや無理に決まってんだろ!金に余裕のない学生だし!天井はお前がなんとかしろよ~!」
「あ、そうでしたそうでした!人間界で使えるのお金…」
エルメロは自らの衣服を手でまさぐるが、徐々に顔が青ざめていく。
おいおい…まさか。
「ああ…全部どこかに落としちゃいました…てへっ」
「てへっ…で済むわけねぇだろポンコツ野郎!!」
俺は限界に達して、言葉の雷を落とした。なんでこんなことになってしまったんだよ~!
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「つーわけで…エルメロ。仕方がないから少しの間だけここに置いてやる」
「はい!榛原さんならそう言ってくれると思いました!」
「コイツマジで…」
あの後、どうしようもないので大家さんにエルメロのことを伏せてどうにか説明したところ、大家さんと修理費を折半することでなんとか決着がついた。
俺にとっては天災でしかないのに納得いかねぇ…
業者によって応急措置が取られた天井を見つめながら、今後どうしようかと考える。
「でも、四条さんとの仲を取り持つことに関しては私に任せてください!働きますよ~私!」
「それができなかったら即刻ここから叩き出してやる」
エルメロにサムズダウンを向ける。今回のことで元々心許なかった預金通帳に記された額が大幅に減ったことを、俺は忘れねぇ。
「なんですかその指、わからないですけどなんか怖い…。ま、まぁ、いいじゃないですか~。こんな美少女がお家に居てくれるんですから!」
「天界ってこんな都合のいい頭してるやつばっかりなの?」
ふんと胸を張るエルメロに殺意マシマシの俺。ただしかし、コイツが言うことが本当であれば…
「まぁ、私に任せてくださいよ!…実績もあるんです!天界のキューピットたちのサポートによる恋愛の成就率は驚異の90.5パーセントです!」
「ほう、それは中々の割合だな」
「キューピットのサポートを受ければ貴方もモテまくり人生の勝利者となります!」
「おい急に胡散臭さ100%の文言出てきたぞ。なんかのセミナーか?」
「まぁでも私ド新人なので実績ゼロなんですけどね!へへっ…」
「だろうな!初っ端からディスコミニケーションかましてるもんな!」
なんで自分でド新人とか正直にのたまうやつが俺の元に…
どうせなら経験豊富なおばちゃんキューピットとかが良かった!病院の採血もおばちゃんの方が安心するしな。
「まぁ私もかわいいヒヨコちゃんみたいなものですけど、頑張りますからね!」
「いちいちウゼえ…」
このウザさに慣れていかないといけないと思うと辟易する…というよりも聞きたいことはまだあった。
「エルメロ、お前はなんで俺の元に来たんだ?…なぜ俺が選ばれたんだ?」
恋するやつなんてこの世にごまんといる。その中にこんなすっとんきょうな経験をする奴がどれだけいるのか。それは純粋に気になってしまう。
「あ、あぁ、えっと…そうですねぇ。キューピットの長老が地球儀に矢を刺して当たったのがここだったので!」
「いやどんな決め方!?壮大な旅番組か!」
「そこから榛原さんの情報を天界で集めて、先輩から餞別として地上のお金を貰ったんですけどね…まさか全部落とすとは…」
「はぁぁ…なんでこんなバカな奴が俺の元に…」
俺はすっかり毒気を抜かれ肩を落とす。本当にこれから大丈夫なのか。
目の前のダメキューピットとやらに嘆息しつつ、スマホを触ろうとすると、画面に着信が表示される。
「誰からですかぁ?」
俺は呑気な声を出すエルメロをスルーし、電話に出る。
「はい!榛原です!…え?、はい。空いてます!わかりました!では!」
電話の主から放たれる言葉はあまりに甘美な魅力に溢れていた。
「どなたからです?」
「例の四条さんから遊びに誘われたんだよ!」
「…そうなんですかぁ」
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「あら、思ったより早かった」
「ええ、カブぶっ飛ばしてきたんで」
「偉い子。かわいいね」
エルメロと出会った3日後の夜、遊技場-とりわけビリヤードを嗜む場所に俺は呼び出された。
目の前の四条さんはこうして時々俺のことを遊び相手として呼ぶことがある。
俺にとっては至高の時間ではあるのだが…
「ん…なんか今日、いつもと違う匂いがするなぁ。私の知らない匂いがする」
「え!もしかして急いできたんで汗臭かったりします?だったら申し訳ないです」
思い当たる原因を述べてみるも、四条さんは目を皿のようにしてこちらを窺っていた。
「……んー、別に君が悪い訳じゃないよ。多分さ」
「まぁそれならいいですけど…」
俺の返答に対して四条さんは首を一度傾けると、ビリヤード台に向かい合った。
やがてコンという小気味の良い音が四条さんのキューと球の摩擦によって鳴る。その球は別の球に当たって、隅のポケットに吸い込まれていった。
「本当に四条さんって正確無比というか…上手いっすよね」
「まぁね。ただの遊びだし、楽しもうと思ったら自然と上手くなった感じ」
「ふーん…」
その後も四条さんは打点を変えながら順番に狙った球を落としていき、気がつけば最後の球だけになった。
「榛原君さぁ…最近何か変わったことあった?」
「…いや、特に何もないですよ?」
危ねぇ。つい最近特大級の出来事があったけれど、話したら頭がおかしいと思われてしまう。
せっかくこうやって遊びに誘ってくれるぐらいには仲良くなったのに、全てが藻屑と化してしまうところだろう。
「…そう。まぁいっか…じゃあこの最後の球を落とせたらコーラ奢ってよ」
「お酒じゃなくていいんですか?」
「今は甘い炭酸の気分なの」
併設されたカウンターを指差し、四条さんは言う。
あー、これ100%確定だわ。
静かに球を突いて弾ける音だけが響くこの中で、続くように四条さんが低く前傾姿勢を取ったあとに球を優しく突いた。
結果は言わずもがな、俺は軽く拍手をしてからカウンターに向かって行く。
こうやって、静かに夜は更けていくのだ。
「ラーメンとかどうです?夜中ですけど」
「うーん、美味しいんだけどねぇ」
「体に良くないんですけど、深夜のラーメンって中毒性ありません?」
俺たちはビリヤードをひとしきり楽しんだ後、カブを押しながら深夜帯でも営業している店を探す。
隣を歩く四条さんは煌びやかな夜の街に似合っていつつも、下品さを感じさせない不可思議なバランスを醸していてうまく溶け込んでいた。
こんな四条さんと出会ったのは訳がある。といっても、苦節2年の浪人期間を経て大学に入学した俺は分かりやすく舞い上がって、大学近くの居酒屋で酒を浴びるように飲んだ結果、自分の酒のキャパシティがこんなにやわだったのかと思うくらい目がぐるぐる回って気がつけば大学の正門前に座り込んでしまったのだ。
そこに通りがかった同大学生である四条さんが俺の顔をペチペチ叩き、それでもむにゃむにゃしていた俺を四条さんのバイト先のバーまで連れていき、さらに酒をチビチビ飲ませたという次第である。
…冷静に考えてこの人は頭がぶっ飛んでると思うのだが、本人曰く面白そうだったからという理由で俺は巻き込まれたのだ。
奥の路地裏でダクトを通って香ばしい匂いが漂ってきて、二人して顔を合わせ暖簾をくぐっていく。
幸いにして人入りはほぼ無く、威勢の良い声に流されてすっとテーブル席に座ることができた。
この人とは何か波長が合うことが多く、向こうもそう思ってくれていたら嬉しいと思いつつ四条さんを正面から改めて見やる。
両目には適度な睫毛が蓄えられ、艶っぽい目元に泣き黒子がアクセントとなっている。
まるでモデルのような佇まいにいまだに胸がドキついてしまう時がある。
「おーい、榛原君。君は何にする?」
「味噌にしようかなって。四条さんはどれにするんです?」
「うーん、塩でいこうかな」
四条さんは同じ味じゃつまらないしと言いメニューを閉じ、備え付けられていたスタンドに置いた。
こうして二人きりで会うことはあれど、なぜかもどかしさを感じる。
四条さんも俺のことは悪くは思っていないとは感じるも、ただ面白いというだけの気軽なライクという可能性も往々にしてある。
でも本当に好みなのだ。
学年は違うが同い年の俺よりも数段大人びた顔も、遊びの中で見せる無邪気さと真剣さが入り交じった表情も。
それをこの先ずっと見ていたいと思うことは、恋なのだと思う。
ただしかしだ。
どうにもこの分だと友達としての側面が強い気がする。現に会う場所といえば遊技場がほとんだし、ラーメンや丼物のいわゆるガッツリ系の場所が多い。
これはこれで良いのだがなんかもっとこう…恋愛的にはもっとロマンスが生まれそうな場所に行きたいというのもなくはない。
ぐるぐると頭の中でもどかしさが渦巻いている。さてどうしようかというところで店員から威勢よく器が置かれた。
「頼んどいてなんですがなかなか夜更けにこの量はきますよねぇ」
「楽しんだ後の一杯ってね。お酒飲んだ後にラーメン食べたいって人いると思うんだけど、なんとなくわかる気がする」
「今日はお酒じゃなくてコーラだったじゃないですか」
「そういう気分ってこと」
たわいもない話をしながら、お互いラーメンを口に運んでいく。
食べながら上目で四条さんの方を見ると、一口チョコしか入らなそうな小さな口に視線がいく。なんだか妙に胸がざわついてしまうのはなぜだろうか。
視線を彷徨わせるとふと店内の隅にテレビが置かれており、見ると恋愛に対する赤裸々な話をしているバラエティ番組が流れていた。
下世話な内容ではあるが、こういったものは深夜帯では浮かないのだろう。
「ふーん。榛原君こういう番組よく見るの?」
「いやぁ、そんなに…家にテレビもないので」
「現代っ子だ。正直テレビって昔ほど必需品じゃなくなった感じだよね」
「そうっすね。友達に聞いても実家にはあるけど家にはないってやつ多いですし」
スープの塩味が疲れた体に染みていく。
こうやって薄く引き伸ばしたような話ばかりでは、先に進むこともできない。
意を決して口を開く。
「四条さんってやっぱりこういう風に遊ぶことが多いんですか?…男の人と」
それなりに成熟していなければならない人間とは思えないほどの情けない後付けが問いかけとして出てしまった。
それを嘲笑うかのようにテレビからは笑い声が響く。
四条さんはピタリと食べる手を止め、やおらに視線を向けてきた。
「…いやぁ、ないねぇ。バイト先でさりげなくお客さんに誘われることはあるけど」
「そうなんすか」
アダルティな匂いを感じ取り、思わず心の中でしかめ面を浮かべてしまう。
まぁこれだけ綺麗な女性ならそういう誘いも往々にしてあるのだろう。
…想像しただけで悲しくなってきた。
「榛原君は好きな子とかいるの?」
「ストレートっすね」
「気になるから聞いてるだけだよ」
ラーメンのせいなのか、はたまた緊張からカラカラの喉を潤すために水を飲む。
その言い方どっちなんだ?ただ話の流れとしての興味だけなのか、本当に俺に対して興味があるのか。
試されてるような気がしないでもない〜!!
「まぁ…いますよ、そりゃあ」
「ふうん…もしかして今日会った時にいつもと違う匂いがしたけど…その子と会ってたのかな?」
口調こそ穏やかだが、どことなく声が硬くなった気がしないでもない。
いやでもそんなに匂いなんて…あ。天使。
アイツなんか微かに甘い匂いしてたからその匂いが移ったのか?
「いやそんなことはしていないっす…ただ天井が…」
「天井?」
やべ、余計なことがつい口から出ちゃった。
「そ、空の上ってことっすよ。天上!」
「…どういうこと?わからないなぁ」
呆れるほどにパニクった頭で出てきたのはさらなる混沌だった。四条さんが考え込むような仕草を見せ、俺は慌てる。
このままでは訳のわからないことを言ったとして呆れられてしまう。…と思いつつも俺の脳みそはそこまで高度なものではないので、良い閃きは降りてこない。
「まぁいいや、良い感じにお腹が膨れてきたなぁ…私のラーメンのスープ飲む?美味しいよ」
慌てる俺をよそに四条さんはスープを掬ったレンゲを俺の前に突き出す。薄い琥珀色がゆらゆら揺らめいて、思わずごくりと唾を飲み込む。
さっきまで四条さんが口付けていたものに対しての興奮がみっともなく湧き上がる。
いやいや間接キスなんて…いや多分なんにも気にしてないんだろうけど!
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…」
突き出しているレンゲを口に含む。味はもちろん良いが、なんとも言えない背徳感が背筋をなぞる。
「あざす。美味しいです…」
「そう?良かった。…じゃあ、そっちも」
「はい?」
「鈍いなぁ。そっちのスープもちょうだいってこと」
四条さんが指差す先は俺のラーメンの丼。さらに試しているのか!?俺を!
「は、はい。…どうぞ」
結局考えるよりも手を動かしていた。奥のテレビでは変わらず下品なほどの笑い声が聞こえてくる。
「んっ。…美味しいね」
「そ、そりゃあ良かったです」
「またリピートしたくなったね。このお店」
満足そうに呟きながら残ったラーメンを啜っていく四条さんに対して俺は何かを成し遂げた後のような達成感を覚えていた。
ただお互いのラーメンを交換しただけのことなのに。
四条さんに視線を合わせるのが気恥ずかしくなり、またテレビに視線を向けるとバラエティ番組は終わっていた。
「ねぇ、前から気になってたんだけどさ」
「なんですか?」
「なんでずっと敬語なの?私たち学年は違っても同い年だけど」
「いや、それはまぁ、不文律みたいなもので…」
確かに言われればそうなのだが、俺はマイナスになる可能性が低い方を選んだつもりだった。
下手に距離を詰めるよりかは、先輩後輩という関係を強固にしていこうという腹積り。
「なんだろうなぁ…距離感じちゃって嫌なんだよね。それ。まぁ無理強いはしないけどさ」
これはあれか。言外にタメ口に切り替えてというアピールなのか。認識の歪みからか、察してアピールのようにも思ってしまう。
…今日だけで色々試されすぎだろ。広大な大地か。
「まぁそうすね…じゃあ二人きりの時だけタメ口でいいっすか?」
「大学で会ったらまた他人行儀になるんだ?…まぁいいか。なんかそっちの方が面白そうかも」
「そうっす…そう!」
ぎこちないタメ口が漏れる。それを受けた四条さんはふっと息を漏らし言った。
「なんかいいね、こういうの」
次話は翌日に投稿いたします!