そんなキャッチコピーでシム系というかツクール系というか。
たまに雨乞いとか生贄とか捧げ物の対価に分身やら解決役のポケモンやらを送り込んで事態に介入して手助けしたり解決したり……アクトレイザーにも近いかもしれない。そんな感じ。
メモ帳に走り書きしたネタみたいなものなので、20240909現在はオープニング終わった時点までの尻切れトンボになってます。
1.転生特典は色違い
ポケットモンスター、縮めてポケモン。 この星の、不思議な不思議な生き物。
平成生まれ以降は知らん日本人の方が少ないと思われるゲームであり、キャラであり、概念である。
そんな不思議な不思議な生き物に転生したのが俺です。ピースピース。
まぁ、何の因果か
『安心しなさい。サービスで色違い個体にしておきました』
「わーいお洒落ー。ってそういう事じゃなくてー!?」
はい、目の前には輪郭を持った眩い光というべきLEGENDS冒頭の呼びかけウスの姿。ただしサイズがアホデカい。もう光の巨人や怪獣と人間の比に近い。
ウルトラマンとかゴモラが40mなんだよな、確か。元ネタがカプセル怪獣らしいし、原点回帰なんだろうか。その場合は俺にアルセウスの分身が憑依して命を繋いでる的な?
しかし見上げる形で首が痛いな。意外と軟弱だぞアルセウスボディ。
内心ビビりまくってたんだけど、ご覧の通り微妙にキャラが軽い。あるいはこのアルセウスすらも本体の作った分身な可能性があるよね。きっとこうして多元宇宙は生まれていくのだ。
『気に入りませんか?』
「いえ、特別感があって大層よろしいかと」
『それは良かった。それでは私があなたに改めてお願いする事ですが、それは世界の創造です』
「世界の、創造……」
どうしよう、とても話のスケールが大きい。
実のところ、俺の触れたポケモン作品はアニポケ少々と実質神奈川県と言われがちな町○駅近くのソフ○ップでワゴン売りされていた空の探検隊、ニンテンドーオ○ラインのゲーム○ーイに収録されてたポケカGBくらいで、そこに某百科事典の(真偽未確認な)内容やSNSで流れてきた(公式かもわからない)チラ見しただけの情報程度しか知識を持っていない。
だが、そんな俺でも、アルセウスがポケモンにおける創造神だという事は知っている。ディアルガから経由して調べたので。そしてSNSで邪神邪神言われてたので。
『難しく考える必要はありません。あなたには既にそれを成し遂げる能力があります』
「ソーナンス?」
『あなたはこの『始まりの間』を拠点に、あなただけの宇宙を構築し、そしてあなたが思うLEGENDSアルセウスを楽めばいいのでゅふふ』
「何か最後に隠しきれない昏い欲望が漏れたんだけど?」
数少ないポケモンネタを軽くスルーされ、更には真偽の確認ができなかった事を悲しく思うも、気になる内容が聞こえてきたので警戒度が跳ね上がる。
LEGENDSアルセウスって邪神呼びのきっかけになった作品じゃなかったっけ? 主人公を拉致してゲームクリア後も元の世界に戻る描写がなかったとか、文明が未発達で不便なだけでなくポケモンに人間が襲われる危険な世界に送り込んだとか、頼み事してるのにほぼ丸投げとか、色々と言われてた気が。
『失礼、噛みました』
「そうでしたか」
(台詞を)噛むにそんな使い方があっただろうかと首を傾げながらも、方言の一種かもしれないので指摘はしないでおく。バツの悪さを誤魔化すための照れ隠しかもしれないし。
だが、アルセウスは不満気だ。もっと食い下がってほしかったのだろうか。
なっちゃいないな、情報は株と同じで変に惜しむと価値がなくなって損するかもしれないのに。
でも創造神が株を気にするわけがないか。欲しかったら自分で作ればいいんだし……飽きたら地獄だよな、何でもできちゃうと。
『まぁ、いいでしょう。創造する能力を活用するためのヒントとして、案内役を与えるので必要に応じて使うといいでしょう』
「案内役?」
『相談役でも構いません』
そんな台詞の後、アルセウスの近くに何かかどさりと落ちる音。
その姿を確認すると、背中から翼が生えている以外は見慣れた二足歩行生物に似た輪郭を備えていた。
ヤムチャしやがってと言いたくなるようなポーズで、ピクリとも動かない。
「って人ぉー!? やっぱり拉致してるじゃないですかーやだー!」
『問題ありません。これは……』
「問題ないわけないわー! こうなったら一度は死んだ身、生命に代えてもこの邪神を討ち取ってくれるわー!」
『……やれやれ、頭を冷やす必要があるようですね』
あ! やせいの
アルセウスが とびだしてきた!
「人攫いの仲間なんてゴメンだ、食らえぇぇ!」
オレセウスの
たいあたり!
しかし オレセウスの
こうげきは はずれた!
「あるぇー?」
攻撃手段といってもアルセウスの覚える技なんて知らないので、とりあえず無難にタックルしてみた。片足を上げるだけで避けられたけど。
見上げた感じからするとちょうど一時期住んでた七階建てアパートくらいあるから、ダメージを与えられるかはさておき当てる事はできると思ってたのに。悲しい。
『……素晴らしい』
「嫌味か!?」
何故か相手は褒めてくるが、京言葉か何かだろうか。力の差をわきまえず攻撃してくるのは無謀であって勇気じゃないんだぞ。あ、いかん。我が事なので悲しくなってきた。
『いいえ、そうではありません。あなたは気付いていませんが、今、あなたが繰り出したのは『とっしん』でも『しねんのずつき』でも、ましてや『ギガインパクト』でもありません。あなたが繰り出したのは、どの世界のアルセウスも繰り出した事のない『たいあたり』なのです。それも命中率が95%、第四世代までの仕様の』
「すごさが全くわからないんですが」
『要は私どころか本体の予想すら超える可能性が眠っているという事です』
要は、と言われたのにわからないままなんだがどうしよう。素直にわからないと言ったら能力の低さを馬鹿にされそうだ。
『ちなみにですが、私のLVを100とした場合のあなたのLVは……1です』
「うっそだろ」
『私がまだ未熟なせいもありますが、それでもあなたが努力を重ねればいずれは100まで、いえ、それ以上にすら辿り着けるでしょう。そのためにも今は世界の創造を頑張ってみて下さい』
「はぁ……」
とりあえず、今の戦力差は絶望的なまでに大きいらしい。思わず溜め息と曖昧な肯定を合わせた返事になった。
下剋上を狙うなら鍛えるしかないし、そのための手段はポケモンバトルになる。だが周りに競い合えそうな同格のポケモンがいない以上、自分で生み出して育つのを待つしかない……こんな感じか。
つまり、というか薄々わかってはいたが、俺に選択肢はない。世界の創造とやらはやるしかないわけだ。
で、話は視線を向けても未だにヤムチャしやがってるままの案内役に戻る。そのまま視線を移し、ジト目でアルセウスを見ると、至って冷静な様子で説明を開始した。
『問題ありません。この者は本体や私達アルセウスの創り出した宇宙とは更に別の宇宙からやって来たのですから』
「んん? つまり……どういうことだってばよ?」
『扱いとしてはポケモンになります』
「マジで」
『マジです』
シルエットが人型のポケモンはそれなりに知っているが、どれも腕や脚が細かったり、手足の形が違ったり、ケモケモしてたりする。
翻って、案内役は翼を生やしている以外は人間らしい外見だ……よく見たら目隠ししてるから、単眼娘とかの可能性があるのかな。
そもそも翼って腕に相当するから、天使や悪魔ってポケモンで言ったらカイリキーに近いんだよね。もしくは足の数的に昆虫。大穴で四脚AC。
もっとも、目の前の案内役は翼が四枚あるから脚の数的にはタコやクモの親戚になるけど。
「ところで生きてるんですか?」
『もちろんです』
アルセウスはこのように答えたが、このヤムチャしやがってさん、実はさっきからピクリとも動かない。
髪が長くて女性の可能性が高いのを承知で、セクハラで訴訟されるのを覚悟して、胸に注目してみた。全く動いてない。揺れない震源地なんてもんじゃない。
その胸は平坦であった。
『ちなみにこちら、タイプは草とゴーストの複合で、能力的にはHPが150特攻が95に上がったツボツボです』
「すみません理解できません」
動画のコメントで能力の数字が並んでるのは見た事あるが、内容を把握するほどのめり込んではいなかったのでさっぱりわからない。
確か、そう、ガブリアスが理想的とあったが、内容までは覚えてない。
『能力値の合計が720でアルセウスと同じ、メガシンカ等のテコ入れを除けば歴代トップタイです。参考までにディアルガ、パルキア、ギラティナが合計680です』
「とりあえず強そうって事はわかった」
ディアルガより強いのはすごいな(空の探検隊感)。
『特性は『ひょうい』で、手持ちにいると戦闘中味方ポケモンのステータスを自分の一割分上昇させた上で、戦闘開始直後に行動消費無しで味方一体に身代わりを発動し、更には自分以外のポケモンが場に出ると、そのポケモンの全能力を一段階上げます』
「……つまり?」
『中学二年生の考えそうなぶっ壊れの厨ポケです』
「なるほど」
とりあえず強い事しかわからなかったが、目を閉じて考え事に集中する。
案内役なら少なくとも最初の内は裏切らないだろう。危険なのは中盤くらいだが、それまでは存分に使い倒すというか頼らせてもらうのが良さそうだ。
というか、この様子だとアルセウスに負けてこうなってそうだし、一発ぶん殴るって目的なら一致して最後まで協力してもらえないだろうか。あとはポケモンバトルの知識とかも持ってるなら、訓練に付き合ってもらうとか?
『……そろそろ時間のようです』
「え?」
不意に、アルセウスが意味深な言葉を吐いた。
何事かと目を開けると、そこには光そのものにも見えるアルセウスの姿が刻一刻と薄れていく光景が。
『存在の力が違いすぎるので、私がここにいるだけでこの場が私に支配されそうになっているのです。あなたの力が通じなくなってしまう前に退散しなければ』
なるほど、そうなってしまうのはこちらも困る。
とはいえ投げっぱなしに近いのはいかがなものか。
あぁ、こんな事なら取り乱して攻撃とかしなきゃ良かった!
「え、待って!? 質問タイムとかは!?」
『そのための案内役です。上手くやって下さい。私はいつでも見守っていますよ』
なんかいい感じに慈悲深い神様ムーブを決めたアルセウスは、唐突に強い光を放つ。
俺は思わず目を閉じてしまったが、強い光は一瞬だけで、その後は恐らく明るさが戻った。
恐る恐る目を開けると、アルセウスの姿は完全に消えていた。あとに残されたのは俺と、案内役のヤムチャさん(仮称)だけ。
「……とりあえず起きるのを待つか、それとも起こせないか確認してみるか」
そうして俺が選んだのは――。