創造神になったけど被造物に扱き使われてます   作:夜月工房

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5.ディアルガくん無事にキャラ崩壊

『はふぅ、まんぞく』

 

「そっかー、ギラティナが満足してくれたなら作った甲斐があったな」

 

 ギラティナと一緒に『やぶれたせかい』の内部を彩るアトラクションの数々を巡ったが、どうやら楽しんでもらえたようだ。

 機嫌も上々なようだし、ここいらでディアルガ達との仲直りを提案したいところなんだが、同時にこの笑顔が曇るのは見たくない部分もあり。

 何より、このギラティナは臆病ではあっても悪い子ではない。元々みんなで遊べるのかと言っていた、優しく周りを気遣える子なのだ。

 だから、喧嘩した相手との仲直りについても自分で考えつくに違いない。少なくとも俺はそう信じている。

 

『あのね、パパ』

 

「うん」

 

『また、あそんでくれる?』

 

「もちろんSA☆」

 

『えへへ……あ、えっとね、つぎはみんなでいっしょがいいの。パパはそれでもいい?』

 

「良いに決まってる。他の子とも仲良くできるギラティナは偉いな」

 

 こちらの考えを読んだわけでもないだろうが、ギラティナはしっかりと俺の信頼に応えてくれた。

 嬉しいので頭を撫でるというか頭を擦り付けるようにして褒めれば、ギラティナは目を細めながらされるがままになっている。微妙に口が半開きで涎が垂れてるのは見なかった事にしよう。

 

 そして『やぶれたせかい』を後にして『始まりの間』へ戻った俺達は、ディアルガとパルキアの捜索を始めた。

 

『どうやってさがすの?』

 

「んー、パルキアは安全確保に亜空間へ閉じこもって回復してそうだし、ディアルガも周囲の時を止めて外から干渉できなくしてそうなんだよな」

 

 しかもパルキアは空間を操作して直接距離を離せるし、ディアルガは時間を止めてる内に自力で移動して距離を離せる。闇雲に捜すのは得策ではないだろう。

 とはいえ、兄弟喧嘩で消耗したのならそう遠くへは行けない気もする。その結果を導いた二体をギラティナは凄いなー。そっと頭を撫でておこう。追い風ならぬ追い撫でだ。

 地味にこの『始まりの間』から外に出ると、広がっているのは宇宙空間に近いが異なる不思議空間だ。なので、摩擦係数何それおいしいのとばかりに加速してどこまでも流れていく事はできない。

 間違って恒星やブラックホールに突っ込んで発見できない可能性についてだけは心配ないし、考えるのをやめる必要はないのである。

 

「あ、ディアルガさんの場所は記録ありますよ」

 

「うっそだろお前」

 

 と、そこへ色んな過程をすっ飛ばして結果を提示してきた。これは案内役の面目躍如と言っていいのだろうか。

 説明不足で問題起こした元凶だし、多少は反省というか贖罪の気持ちがあるのかもしれない……確信に至らない辺りはお察し下さいというやつだ。

 

 ちなみに、ギラティナに事情を説明してから案内役を差し出したら、そのまま『やぶれたせかい』の特徴でもある空中にも影が差す空間の不安定さを利用したシャドーダイブからシャドーダイブに繋ぐ一人連携でボコボコにしていた。

 それで気分が完全に晴れたわけではないだろうが、一応のケジメは済ませたとして、役目を放棄しない限りは視界内に入り込む事を許可していた。心の広さにパパは歓喜感激泣き笑い。

 

 あっそうだ(唐突)。

 今更の話になるが、地名(?)としての『やぶれたせかい』が平仮名な理由は、ギラティナのキャラに合わせているからである。異論は認める。

 というより、正直に言えば漢字表記はおそらく『破れた世界』なのだろうが、ゲームにおけるギラティナの暴れて追放された流れから『敗れた』とダブルミーニングしてそうで名前そのものを変えたい気持ちが強い。中身もテーマパーク気味だし、やっぱり変えていいと思う。後でギラティナに命名権を与えつつ一緒に考えようそうしよう。

 名とは意味を表す記号。名を変える事で性質すら変えてしまおうとする試みは、神話から現代に至るまで、言葉が生まれた頃から変わっていないのだ。

 

「こんな事で嘘は吐きませんの。ご近所ですし、このまま徒歩で案内しますよぅ」

 

「んー、ギラティナは予定とか平気か?」

 

『だいじょうぶ。きあいじゅうぶん』

 

 と、いうわけで出発、そして到着。

 

「こちらになります」

 

「徒歩一分も必要なかった……」

 

「それだけバトルによる消耗が激しかったんでしょうねぃ」

 

 案内されたのは、なるほど、目と鼻の先と言って問題ないほどに近い場所だった。なんなら目視できる。探検隊なら徒歩で到達するまでに『おなか』が減らないかもしれないし、アイテムを投げたら届きそうな距離だ。 

 位置関係も病院と薬局のような高い関連性を思わせるご近所具合。これは目覚めた俺が捜そうと外に出る仮定で真っ先に発見してもらおうとすれディアルガの不器用な甘えた系子供心だったりしないだろうか(親馬鹿感)。

 しかしながら、同時に、寝落ちしそうになりながらも着替えだけは済ませようとして服を脱いだところまでで力尽きたようにも思える。泊まり込みただし徹夜な三連勤からの帰宅を遂げた俺みたいに。

 

『けっきょく ぼくが いちばん つよくて すごいんだよね』

 

「二体相手に大立ち回りして惜敗だから実質一位なのは確かだな」 

 

『むふー』

 

 自慢気なギラティナを肯定しながら褒めれば、満足そうに息を吐く。

 これから仲直りする予定なんだけど、ちゃんと「暴れてごめんなさい」できるだろうか。ひどく心配だ。

 俺は創造神の立場があるから、兄弟喧嘩の仲裁というか調停に関してはなるべく中立を心がけなければならない。

 むしろ時空神レベルの存在なら、自立して示談で解決できないと世界の運営を任せられないのだが。創造神でワンオペはさすがに無理がある。頼むぞ子供達。

 

「それで、この辺りは時が止まっていまして」

 

「みたいだな」

 

 案内役の言葉に、俺は首肯する。

 地味に説明をされる前、むしろ『始まりの間』を出た時点で時が停止している場所を雰囲気で察知できていた。アルセウスボディが実に高機能だ。

 証明のためなのか、案内役がどんぐりらしき何かを投げると、ある地点でピタリと空中に縫い留められた。拍手を送りたい程度には感動したが、空気を読んでぐっと我慢する。

 なお、素直に感情を表しそうなギラティナの表情は……気合十分、といったところだ。

 

『……シュッ、シュッシュッ!』

 

 ご覧下さい、このシャドーボクシングに勤しむギラティナの姿を。

 実際の動き的には『シャドークロー』か『ドラゴンクロー』か、大穴で『きりさく』辺りだろうか。とりあえずやる気満々だ。とても謝罪と和解を目的にしているとは思えない。

 

「えーと、ギラティナ?」

 

『なぁに? パパ』

 

「いや、何でそんな動きをしてるのかと思ってな」

 

『あいさつはだいじ。でもいちどならアンブッシュはゆるされる。こじきにもそうかいてある』

 

「そっか、古事記なら仕方ないな」

 

『しかたないのです。シュッシュッ!』

 

 さて、ディアルガを起こすか(現実逃避)。

 木の実が停止している辺りまで進み、そのままそっと境界越えチャレンジ……無事成功。

 

「おぉー」

 

『パパすごーい』

 

 称賛には尻尾を振って応え、そのまま停止した空間に進入する。

 道中は時間が歪んでいたので、耐性が弱ければ移動速度が変わって遠くに姿が見えているのに決してそこまで辿り着けない直線的な迷路とでも呼ぶべき仕掛けになっていたのだろう。

 だが完全耐性持ちなアルセウスボディには何の影響もなく、少し進んだだけで膝をついた体勢で固まっているディアルガの近くまで辿り着けた。

 

「……すまない、遅くなった」

 

 ディアルガは時間停止の影響を受けないはずなので、動きがないということは未だ回復しきっていないのだろう。

 そんな状態のディアルガに謝罪の言葉をかけても、聞こえているかは不明だ。

 それでも、邪神と名高いアルセウスの派遣した案内役の言葉を信じてリスクの確認すらせず行動していたツケを払わせてしまったせいでこうなったのだから、まずは謝罪から入るのが礼儀というものだろう。

 

 と、ここで気付く。

 

『ぐごごごご……ふごっ』

 

 ディアルガ、めっちゃいびき立ててた。攻撃技の『いびき』になってないのは戦闘中じゃないからだろうか。

 いびきは睡眠の質を下げるので、これはいけない。俺は反射的に動いていた。

 

 

オレセウスの ゆめくい!

 

こうかは いまひとつの ようだ

 

 

『あぁっ、ハルトくんお手製のトーフホイップサンドがー!?』

 

「……(´・〜・`)(口の中がめっちゃ甘い)」

 

『????(寝起きで頭が働いてない)』

 

「……おはよう。ディアルガ。久しぶり、になるのかな?」

 

『……そのようだ。おはよう、ございます』

 

 いびきはノンレム睡眠の方がひどくなるらしいから、技にならない程度ならレム睡眠中で夢を見てるのでは、と使ってみたらあっさり起きた。それでいいのか時間神。

 しかし、どうしたものか。

 見ていた夢がバゲットか何かの上に白くて四角い物体を複数並べて乗せ、何かが振りかけられていて、おそらくはトッピング用にソフトクリームの上みたいな形の何かが入った容器をそっと置いている狂気の産物を食おうとしている場面だった。

 そしてそれを俺は夢ごと食ったわけで。

 

(甘……! 痺…吐……無理!! 飲み込む、無事で!? 出来る!? 否、死)

 

 口いっぱいに広がる、舌が痺れるほどの暴力的な甘味。呼吸の度に回避率が下りそうな、甘さの極致へと誘う香り。果たして宇宙を背負いそうになった俺を責められようか、いやない。

 

 さておき、比較的小さなダメージと引き換えにディアルガを目覚めさせる事に成功したのは大きい。

 ちょっと挨拶しただけでも呼吸器官を甘味が暴れ回ってキツいからこれ以上は喋りたくないけど、事情説明どうしよう。

 

『今こうして貴方が目覚めたという事は、世界の危機が迫っていると考えてよろしいか?』

 

「違うよ、全然違う」

 

『…………そうか』

 

 ものすごい真面目な態度で真面目な話題を出されてしまったので反射的に否定の言葉が漏れる。

 ぐおおスウィートハリケーンとかそんなポケモンの『わざ』があったら使えそうな嵐が発生してる。

 口内が! 蹂躙! されてる!!

 

「ギラティナっが、仲直りっ、したひっく、ってさ」

 

『奴が……なるほど』

 

 なんか甘すぎて呼吸があれなせいか、しゃっくり出てきたんだけど。こんな事ある? どうなってるんだ創造神ボディ。最高でも分身の分身だし、親セウスLV100に対して俺セウスLV1だから虚弱だったりするんだろうか。

 

「できっ↑そう?」

 

『努力はしてみよう』

 

「じゃ、行っ↑こうか」

 

『その、大丈夫か?』

 

「息っ、止めてれ↑ば、そのうtひっ↑治る」

 

『う、うむ』

 

 しゃっくりのせいで何とも締まらないが、どうにかディアルガを外へ連れ出す事に成功した。

 

 その後のディアルガとギラティナのやり取りだが、意外にもギラティナ側から素直に謝って、ディアルガが受け取った上で和解を申し出て、ギラティナが同意する形で決着した。

 これは俺が見届人をしたのも関係しているだろうか。だとしたら嬉しいんだが。




ディアルガ:大の甘党。実はギラティナ同様に性格は『おくびょう』なのだが、威厳を保とうと精一杯格好つけている。割と長男だから耐えられたけど次男だったら耐えられなかった事が多いらしい。
地味に時間操作の能力を使って各世代にパトロールの名目で干渉してたりする。大抵の場合は主人公と知り合い悪の組織や伝ポケと戦うが、気を許し絆を深めたとしてもオレセウスを『おや』だと思っているので捕獲されるつもりはない。
実はこっそり自分の身体を覆うように時間停止フィールドを張って無敵モードになってたりする。バトルはもちろん、悪の組織が頑張って不意打ちでボールを投げても無意味。
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