ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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1週間の短い合宿の、始まりの日のお話


補習授業部の合宿 その1

▼シノ視点

 

結局、補習授業部は第一回のテストをヒフミを除き不合格という形での通過になった

つまり、これから一週間にもわたる補習合宿が行われることになる。

 

この間は先生も私達も、このあまり使われていない別館の建物で寝食を共にするらしい

 

大丈夫かな・・・

 

「使われていない建物と聞いていたので、冷たい床で寝ることになる事になると思っていましたが・・・」

「これなら暖かくして裸で寝られますね♡」

 

「な、なんで脱ごうとするの!?エッチなのはダメ!死刑!」

 

「あら、意外と裸で寝る人は多いんですよ?コハルちゃん。」

 

「エッ、う・・・噓でしょ!?そんな訳ないじゃない!」

 

「あはは・・・その、人それぞれなんじゃないですかね・・・」

 

「エッ、えっ?本当に裸で寝るのって「普通」なの・・・???」

 

「厚手の服を着ておけば、寝込みを襲われたときに森に逃げ込みやすい。」

 

「そ、そんな事にはならないと思いますよ?」

 

大丈夫かなぁ・・・

 

 

 

『先生の部屋はこっちみたい、案内するね・・・先生、大丈夫?酷い顔ですけど。』

 

昨日ティーパーティに行ってから先生は少し元気がない

中にいたのはおそらく・・・桐藤ナギサ、彼女と何かあったのだろう

無理に聞いても、教えてはくれなさそうなので

先生から話してくれるのを待つしかないだろう

 

”うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。”

 

『無理はしないようにしてくださいね。』

 

『私たちは、あちらの部屋で荷解きしてますから。』

 

「用があったら、いつでも呼んでね!それじゃごゆっくり~」

 

”うん、ありがとね。二人とも。”

 

 

 

 

備品の補充に先ほどの部屋に向かおうとしたところ

何故かコンセントの蓋を外している彼女と目が合う

 

「安心してくれ、盗聴器のたぐいは見受けられなかった。」

 

「う、うん?そうなんだ?」

 

着いて真っ先にすることがそれか・・・

まあ、用意周到と言えばそうだが、どこか病的なまでに警戒心が高い

一体誰を仮想敵に設定すればここまで対策が必要なのかは分からないが

先生がいる以上、セキュリティは高ければ高いほうがいいだろう

 

「ここは、良い所だな。」

 

「うん、そうだよね!」

 

「ああ、出入り口は二つで、体育館は開けていてキルゾーンを構築しやすい。」

「近くに高い建物や山もないから、狙撃の危険性も低そうだ。」

 

『実際、安全な事は良い事です、補習に集中しやすいですからね。』

 

「そ、それはそうだね~!」

 

 

「うん。そういえばいつも兵糧の管理をしてくれて助かっている。」

 

「食料以外にも、必要なものがあったら教えてね!」

 

「頼もしい補給部隊だ、実際に補給はとても・・・いや、何でもない。感謝する。」

 

 

まるで戦争にでも行っていたかのような、何かを思い出したような・・・そんな雰囲気

これは何か知っていると見ておくべきだろう

 

思わぬところで見つかった情報源だった。灯台元暗しとは言うが・・・

もしかしたら主犯格なのかもしれない

 

 

 

でも、名も知らないいじめられっ子の為に立ち上がった、優しい彼女を疑うのは・・・

少しだけ、心が痛んだ

 

 

 

施設を一周し、あらかた確認を終えたが

何処も埃が積もってはいるものの、設備自体は生きているようだった

火を使えないと、必然的に料理の幅が狭まるのでありがたい

 

「施設の確認はこれで全部ですかね?」

「食堂設備も、洗濯機もあって助かりましたね・・・」

 

「シャワー室もありましたね?皆で入るには少しだけ狭そうです♡」

 

「なんで一緒に入る前提なのよ!変態!」

 

 

 

設備の確認を終えて暫くした後、寝室でベッドに腰かけて水分を取っていたのだが

 

「さて、一息つきましたし、やってしまいましょうか?」

 

「それ以上は言わせないから!」

 

コハルちゃんがまた真っ赤になっている

すこし過敏すぎないか?まだ何も言ってないのに

 

「お掃除をしましょうか?」

「と言おうと思っていたんですけど・・・ほら、埃がこんなに。」

 

「コハルちゃんはナニをすると想像していたんですか?」

 

「そ、それはっ!う、うるさい!とにかくエッチなのは駄目なんだから!」

 

「そ、それもそうですね、整理整頓から始めるのは確かに大事です・・・!」

 

「ついでに、侵入経路にクレイモアを置いておこう。」

 

「絶対必要ないですよね!?」

 

 

 

 

 

「そ、それでは汚れても良い服で・・・10分後に外に集合しましょう!」

 

困惑するヒフミ、まあ無理はないが・・・

 

「・・・と言った私が悪かったのかもしれませんけど。」

 

「なんで水着なの!?こ、こんなところで・・・!」

 

雲一つない快晴の空の下、何故か彼女はスクール水着を着用していた

 

「えっと・・・?汚れても良い服と言えばこれしか思い当たらなくて・・・」

 

「あんた、本当はバカでしょバカ!誰かに見られたら・・・!」

 

「見られて困るところなんて・・・どこにもありませんよ?」

 

「あんたはもう水着禁止!!!」

 

「あらあら、それは困ってしまいましたね・・・。」

 

 

「アズサちゃんとシノちゃんは何で銃を・・・?」

 

『空からいつ隕石が降ってくるか分からないから。』

 

「それは、盲点だった。確かに備えるに越したことは無いな。」

 

「あうぅ・・・シノちゃんもそちら側だったんですか・・・?た、助けてください・・・ユメちゃん・・・」

 

「ひぃん・・・この場を収めるのは無理だよ・・・!」

 

 

”さて、そろそろ始めようか。”

 

混沌とした場だったが

先生の鶴の一声で、掃除を始めることになった

 

「そ、そうですね!まずは雑草を・・・」

 

『そういうと思って、鎌を借りてきてます。』

 

「た、助かります・・・!」

 

人数も多かったので、案外早く雑草取りを終えることができた

 

 

 

続いて私が、掃除の担当になったのは補習部屋の掃除だった

ユメ先輩は、浦和ハナコと寝室の掃除をすることになっていたが

何か、情報を掴めるといいのだが・・・厳しそうかな

私と一緒に掃除をするのは・・・

 

 

「それじゃあ、えっと。コハルちゃんとシノちゃんには部屋の掃除をお願いしてもいいですか?」

「家具が多いから、大変かもしれませんが・・・」

 

「バカにしないでよね!それくらい出来るわ!」

 

下江コハル、彼女の情報は正実所属である事と、見栄を張りたがる・・・位か

あまり関わりがなかったので、お互いを知る良い機会かもしれない

 

『了解です。』

 

折角もらったペロロ様のお面・・・汚したくないな

掃除中はマスクするし、鞄にしまっておくか

 

「え、は・・・外せたの!?それ!?」

 

『そうですけど・・・』

 

「てっきり顔に傷があって見せたくないのかと思ってた・・・!」

 

『まあ、あまり見せたくはないんですけど。コハルちゃんしかいませんからね。』

 

主に先生やヒフミに見られると弁解が面倒だから外せないのだ

姉妹と言うには、流石に似すぎているので

 

 

 

 

『それじゃあ、私は高い所から・・・っ!』

 

気づいた事がある、私って。

 

コハルちゃんより、身長低いのか・・・*1

 

まあ、そもそも身長が高いほうが被弾のリスクが上がる訳だし

小さくて強いほうが良いに決まっている

そうですよね?ユメ先輩?

ウン、ソウダヨ!

よし

 

「いや、身長高い方が高い所やったほうがいいんじゃない?」

 

『んっ、そ・・・そうですね。』

 

「なんか、意外・・・変なお面付けてるから何考えてるかわかんなかったけど・・・」

「思ったより表情豊かだし?背が低いの気にしてるし?」

 

してないですけどね

 

 

と言っても、二人とも身長が足りないので椅子に乗って掃除をすることになったわけだが

どのみち椅子に乗るなら1㎝違うくらい変わらなくないか?

そんな言葉は飲み込んで、大人しく棚の掃除をすることにする

 

 

「まあ?ここは、正実のエリートの私に任せておきな・・・きゃっ!」

 

 

この高さなら、そう酷い怪我にはならないとは思うが・・・

椅子から転げ落ちた、彼女を急いで受け止める

 

 

『危ないでしょ?前向いて乗らないと。』

 

「う、うん・・・。その、あ・・・ありがと。」

 

『それと、これ埃取り用のワイパーです。良ければ使ってください、』

 

「・・・。」

 

『えっと?』

 

「う、うん!」

 

「その、不思議なんだけど・・・」

「”同い年”なのに、なんていうかハスミ先輩みたい。その、頼りになるし・・・」

 

『まあ、私2年生ですから。先輩みたいじゃなくて先輩ですよ。』

 

「えっ?・・・え?」

 

そんなに驚く事だろうか?

 

 

その後は特に何もなく仕事は終わったのだが

 

身長が低いと気づかれてから妙に懐かれている気がする

 

 

「じゃあ、私が!後片付けはやっておいてあげるから、休んでていいわ!」

『あ、ありがとうございます。』

 

「集合場所まではいける?私が連れて行ってあげるから!」

『ご相伴にあずかりますね。』

 

懐かれているというか、これは・・・私は二年生なんだけど・・・

 

 

 

最初に集まったグラウンドに到着する

どうやら私たちが最後のようだ

 

”皆、お疲れ。大分綺麗になったね。”

 

「そうですね!これで全部でしょうか?」

 

「いえいえ、まだ一か所残っていますよ?」

 

そういって、案内されたのは・・・

 

「なんでプールなのよ!?絶対必要ないでしょ!?」

 

 

「それは・・・ここだけこのままと言うのも、寂しいですし・・・」

 

「確かに、必要のない事なのかもしれない。」

「きっと私たちが掃除をしても、いつの日かはこんな風になってしまう。」

「これだけ大きくて、栄えていたであろう場所でも、こんな風に寂れてしまったように。」

vanitas vanitatum(すべては虚しいものである)

 

「・・・随分と昔の言葉ですね。」

「確かに、必要は・・・いえ。」

 

「皆さん!」

「明日からは補習も頑張らないといけませんし・・・今日は楽しく遊んでしまいましょう!」

 

「あんたが遊びたいだけじゃない!・・・ま、まあいいけど?」

 

「うん。例え全てが意味のない・・・虚しい事でも。今日最善を尽くさない理由にはならない。」

「掃除も遊びも、全力でやる。水回りの掃除は得意だから任せてほしい。」

 

「確かにここだけそのままというのも気持ち悪いですね!着替えてきます!」

 

「それじゃあ濡れてもいい恰好に着替えて集合しましょう!」

 

 

 

「ここまで来て何であんたは水着じゃないのよ!?」

 

雲一つない快晴の空の下、プールで・・・何故か彼女は制服を着用していた

 

 

「あらあら?コハルちゃんは私の水着が見たかったんですか?それは申し訳ない事をしました。」

 

「エッ、ち、違うけど!あんたその格好で濡れても言いわけ!?」

 

 

「違いますよ、コハルちゃん。」

「こっちの方が濡れると「良い」服装なんです♡」

 

 

「い、意味わかんない!」

 

「着衣水泳の訓練は実際大事だぞ。」

 

「そう言う事でもないと思うんですけど・・・」

 

「中にはちゃーんとビキニの水着を着ているので、安心してくださいね?」

 

「何も安心できないんだけど!?」

 

 

何故か声が聞こえないと思ったら、先生とユメ先輩はビーチパラソルを広げて

その下でフルーツジュースを飲んでいる

何処から持ってきたんですか、そのサングラスとパラソルは・・・

ユメ先輩は掃除手伝ってくださいよ

 

情報収集のため・・・?なら仕方ないですね・・・

 

おそらくだが、顔色の悪い先生をユメ先輩なりに労っての行動なのだろう

 

 

 

その後、楽しく掃除を終わらせた彼女達だったが・・・

 

水を入れるのに時間がかかり、その日のうちにプールに入ることは出来なかった

*1
コハルが148㎝、ホシノが145cmの為,

彼女より2cm高いシノの身長は147cmである。




ユメ「いやぁ~可愛い子達の水着姿が見れて眼福だね~」
先生 ”うんうん、若いっていいねぇ・・・”
ユメ「先生は水着着ないの?」
先生 ”わ、私は大丈夫かな・・・!”
ユメ「そう?じゃあ写真だけでも一緒に撮ろうよ!」

シノ『随分楽しそうですね?まあいいですけど。』
ユメ「わかったよ、シノちゃん!重要な情報が・・・!先生は・・・大きい方が好み!」
先生 ”違うよ!?”
シノ『小さいほうが好みなんですか?』
先生 ”それも違うよ!?ほら、私は先生で、皆は生徒だし・・・やっぱりそういう”
シノ『そんなに早口で否定すると、ちょっとキモイですよ。』
先生 ”うぐっ・・・!”

↓正直この小説に求めてるものって↓

  • ストーリー(シリアス)
  • 日常
  • バランス
  • その他(コメントまでどうぞ)
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