ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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2日目の終わりまでのお話


補習授業部の合宿 その3

▼シノ視点

 

「おはよう!起床の時間だぞ!歯磨きのタスクから遂行しよう!」

 

何処か軍隊じみた、気合の入った掛け声で目を覚ます

アズサちゃんは朝から元気だな・・・

 

「ふぁ~あ・・・ん・・・あ、シノ。おはよ~」

 

「おはよ~シノちゃん・・・よくねむれた~?」

 

朝は弱いらしい、コハルちゃんとユメ先輩は何処となくぽわぽわしている

 

かくいう私も、寝るのは結構好きなので・・・

何かに追われてない状況や気が緩んでる時は、あまり朝が強くない

 

昨日遅かったヒフミちゃんはまだ夢の中のようだ

少し余裕もあるし寝かしておいてあげようか

 

「それじゃあコハル・・・シャワールームはこっちだから・・・ほら。」

 

「ちょ、ちょっと!?ひ、引っ張らないで!?ていうか一人で浴びっ」

 

ガチャリと無情にも閉まるドア

連れていかれるコハルちゃん

最早そういう星の元に生まれているんだろうか

 

「ちょ、ちょっと脱がさないでっ・・・・・・・!?」

 

 

あれから、悲鳴が聞こえてきたり

ヒフミちゃんが起きてきたりした

私も自分の用意しないとな・・・朝ごはんもだし・・・

 

 

朝食を食べ終わって、補習室に集まったが

コハルちゃんはまだ怒っているようで

 

「あんな強引に脱がすなんて!信じらんないんだけど!」

 

「私も脱いだから問題はないはず。」

 

「そういう問題じゃないんだけど!!!」

 

 

「今度は、私が・・・なんて、えっと。」

 

昨日からしおらしいハナコ

見ていてこっちが辛くなるが少しくらい反省した方がいいと思う

ユメ先輩の教育に悪いので

 

「あのさ、ハナコ・・・別に気にしないでよね。」

 

「気にする・・・って何をですか?コハルちゃん。」

 

 

「あんたらしくないって言ってるの!」

「変に私の事なんて気遣わずに、あんたはあんたの好きなようにいなさいよ!」

 

本当に優しい子だと思う、皆

だからこそ、この中に裏切者がいるという事実が、重くのしかかる訳だが

先生が私たちに伝えなかったのも頷ける

 

「コ・・・コハルちゃん・・・」

 

「まあ、ちょっとそういうのの頻度は減らしてほしいかな?って思わなくもないけど?」

 

「「そういうの」ってどういうのなんですか?私気になってしまいます♡」

 

「い、言ってるそばから・・・!エッチなのはダメだって言ってるでしょ!?」

 

「ふふふ。どこがエッチなんでしょう・・・?」

 

微笑ましい・・・が、此処に来た目的を忘れてはいないだろうか

 

「あ、あの・・・?そろそろ補習授業を、しませんか!?」

 

このままでは落第、ないし退学のピンチなのだから

 

 

「それで、ですね。シノさん達と先生にお願いして・・・」

 

『えぇ、トリニティの去年の過去問題を手に入れてきました。』

 

”第二次の学力試験を想定した形にしてきたから、自分の今の実力を把握するためにも頑張ってみてほしいな。”

 

「というわけで、本番を想定して60点が合格ラインです!まずはこれを解いてみましょう!」

 

 

 

そうして始まった一回目の模試は・・・

ーーー合格ーーーー

梔子ユメ 77点

阿慈谷ヒフミ 68点

ーーー不合格ーーー

白洲アズサ 33点

花江コハル 15点

浦和ハナコ 4点

 

 

想定通りとも言うべきか、前回とそう変わらない内容だった

というか、なんで先輩が模試を受けてるんですか?

あんたは教える側でしょうが

 

「ふふん、それはだねぇ・・・シノちゃん。その方がみんな安心できるでしょ?」

 

まあユメ先輩はのほほんとしてて、頭が良さそうには見えないので

その不安を払拭したかったのだろう

 

「ひ、ひどくない・・・?」

 

『ユメ先輩も意外と考えてくれてたんですね、間違った所は復習しましょうね?』

 

「ひぃん、それはその・・・トリニティとアビドスじゃ問題が・・・」

 

 

 

「これが、今の私たちの現状です。」

「このままでは一週間後の第二次試験に合格するのは・・・厳しいと思います。」

「だから、時間の使い方を効率的にする必要があります!」

 

「ハナコちゃんは1年の時の試験では高得点だったってお聞きしたんですけど・・・1年の範囲なら教えてあげられますか?」

 

「え・・・えぇ。まあ、大丈夫だとは思いますが。」

 

実際、先日もアズサちゃんに問題を解説していたので

分からない訳ではないのだろうが、行動と点数に疑問が残る

 

「アズサちゃんとコハルちゃんは1年生の範囲なので、私とハナコちゃんがお二人の勉強をお手伝いして・・・」

 

「ハナコちゃんがどうして今の状態になってしまったかは・・・先生と私と一緒に解決策を探しましょう!」

 

「それと、シノちゃんとユメちゃんには分からない問題の解説と、過去問から模擬試験の作成をお願いしてます。」

 

「任せてよ~!」

 

「という感じで頑張りましょう!皆で頑張れば・・・きっと合格できるはずです!」

「それに、なんと・・・ご褒美も用意しちゃいました!」

 

「じゃん!こちらです!好成績の方には、このモモフレンズのグッズをプレゼントしちゃいます!」

 

そう言って出てきたのは、大小様々なぬいぐるみだった

その内、一つには見覚えがある

今つけているお面のキャラクター「ペロロ様」だ

すごく可愛い、私も模試を受けたいくらいだけど

ヒフミちゃんに申し訳ないので、自分で買いに行くことにする

 

「あ、シノの付けてるカバっぽい奴のお面・・・?」

 

「ぺ・・・ペロロ様は鳥ですよ!?見てください、こんなに立派な羽が!」

 

「目が怖くない・・・?それになんか名前も・・・ちょっとエッチじゃない?」

 

「そ、そんなことは・・・!可愛いですよね?ハナコちゃん?」

 

「え、えっと・・・アズサちゃんはどう思います?」

 

「・・・か」

「可愛い・・・!!!」

 

「シノのお面や、ヒフミの鞄を見て可愛いなって思ってたんだ!」

「そうか、モモフレンズって言うのか・・・!」

「特にこの骸骨の子が可愛いな!」

 

どうやら気に入ってくれたらしい、可愛いですよね

私のセンスがないのかと疑いかけていたが安心する

 

「わ、分かってくれますか!これはスカルマンさんと言ってですね!」

「ん、んっ。語りだすと長くなっちゃうので・・・」

「アズサちゃんの好きな子を持って行ってください!」

 

「わ、分かった・・・!ヒフミ、必ず任務を果たしてみせる!」

 

「はい!その調子です!アズサちゃん!」

 

「い、意味わかんない・・・」

 

 

その後、夜遅くまで勉強会は続いた

特にアズサちゃんのやる気が凄いからか

補習授業部全体に良い雰囲気が流れている

 

「えっと、この問題・・・参考書に乗ってた気がする・・・これっ」

 

と言って取り出したのはピンクの表紙のエッチな本だった

ご丁寧にR18と表紙に記載されている

 

『じゃなくて』

 

出来るだけ人目につかないよう、持ち上げた彼女の手を鞄に戻す

なんでわざわざ持ってきてるんですか

 

「えっ!?そうそうそうそう!こっち!こっち!」

 

「い、今のは・・・」

 

「ま、間違えちゃっただけだから!」

 

「そうですよね。ところで・・・」

「後でコハルちゃんのおすすめは、教えてくれるんですか?」

 

コハルちゃんの耳元でハナコちゃんが囁く

 

「ち、違っ・・・!うぐっ・・・!」

 

「よくわからないが、その参考書を見ればいいんだな?ありがとう。」

 

「わ、私!ハスミ先輩に呼ばれてるから!今日はここまで!」

 

「あ、そうなんですね、キリがいいので、ここまでにしましょうか。」

 

 

 

 

 

今日の補習が終了した

今頃、皆はもう寝ているだろう

私は、先生に話さなればならないことがあったので部屋を訪れる

 

 

『こんばんは、先生。お話ししたいことっていうのは・・・ハナコちゃんに関してです。』

 

”うん、聞かせてくれる?”

 

『えぇ、まずはこれを見ていただいた方が早いかもしれません。』

 

 

そこにあったのは浦和ハナコの1年夏のテスト「達」だった

過去問を探しているときに偶々見つけたものだが

1年時点で3年のテストを含めた全ての試験に満点で合格している

 

”つまり、ハナコは・・・”

 

『「わざと試験に落ちようとしている」、そう言う事だと思います。』

 

何のために・・・と言えば一つ思い当たる

補習授業部は一人でも合格できなければ全員退学になる・・・と言う事

つまり、彼女は皆を・・・そんな事を考えたくはなかったが

 

”考えすぎだと思うよ、シノ。そっちは私に任せて。”

 

『何も言ってないですよ、先生。でも裏切者がいるというのは、そう言う事です。』

 

 

あまり、気分のいい話ではなかった

 

最終的に判断を下すのは私じゃない

先生がどういう選択をするのかは私には分からないけど

その選択がどうか、皆が幸せに笑える選択であることを願っている

 

 

 

何となく眠れなくて、食堂で椅子に座っていると・・・

丁度外に出ようとしていたアズサちゃんと目が合う

 

『どこに行くつもりなんですか?』

 

「それは、その・・・環境が変わると眠れなくて。」

「シノも眠れないのか?」

 

『えぇ、まあ・・・そんなところです。』

 

「あまり、食べられていないんじゃないか?顔色も悪い。」

「レーションでよければ手持ちがある、どうだろうか。」

 

『・・・いただきましょうかね。』

 

 

レーションと言うだけあって、水分が欲しくなるが

お腹は満たせたので良しとする

 

『ありがとうございます、美味しかったです。』

 

「・・・っ、そうか。私は夜風を浴びるついでに、外の見回りをしてくる。」

 

『えぇ、足元にはお気をつけてください。』

 

 

間違いなく何かある、そう思ったので後をつけてみる事にする

痕跡を消すのが上手いが、私の「眼」の方が上だ

 

30分ほど歩いただろうか、彼女はトリニティ郊外の廃墟に入っていく

流石にここから先は見つかるだろう、中の様子は伺えないが声は少し聞こえる

 

「遅か――、―サ。」

「首尾は―――?」

 

「今の所――――」

 

薄々、そんな気はしていたが

いや、気づいていたんだろう

信じたくなかった、だけで

 

トリニティの裏切者は

白洲アズサ・・・彼女だった

 

見張りらしき足音がこちらに向かってくるのが聞こえたので、その場を後にする

 

私も「選択」をしなければならない時が来たのかもしれない。




コハル「そ、その!何がとは言わないけど!ありがと!」
シノ『気にしないでください、ああいう本は誰しも持ってるものだと思いますよ。学校に持っては来ないとは思いますが・・・』
コハル「えっと、シノも持ってるの?」
シノ『家にも、鞄にも・・・何処にも持ってないですよ。』
コハル「それって無いって事じゃん。心の中に・・・みたいな話?」
シノ「ふふ、そういう事かもしれませんね。」

↓正直この小説に求めてるものって↓

  • ストーリー(シリアス)
  • 日常
  • バランス
  • その他(コメントまでどうぞ)
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