ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ 作:天野ミラ
▼シノ視点
「まだ、終わりじゃありません!!!」
「ちょっと?ハナコうるさい。」
「いいんですか!コハルちゃん!このまま今日を終えてしまうなんて!勿体ないです!」
「もう夜じゃない、今から何するっていうの?」
「やっぱり、合宿と言えば・・・合宿を抜け出してのお買い物です!」
お昼は水着であんなにはしゃいでいたのに、元気な事だ
やはり、今日のハナコはテンションがおかしい本当に熱でもあるんじゃないだろうな
考えてみればあんな格好で冷たい雨の中に打たれていたのだ
『ちょっと失礼しますよ。』
そう言って彼女のおでこにおでこをくっつける
いい匂いがする・・・シャンプーは同じはずなのに
「ちょ、ちょっと・・・私、心の準備がですね?」
『熱はないですね、本当にテンションが高いだけですか。』
「ああ、そういう・・・」
まあ私としても、ペロロ様の抱き枕とか欲しかったし
買い物に行くのも吝かではないのだが
「いや、常識的に考えて抜け出しちゃダメですよね!?」
「楽しそうだけど・・・でも、校則違反だし・・・」
ユメ先輩と先生が何故か腕を組んで、精一杯の悪い顔をしている。
どう見ても、悪戯を思いついた子供にしか見えないけど。
「ねぇ、先生?このあたりパトロールの必要があると思わない?「シャーレ」として。」
”ふっふっふ、ユメ大臣。お主も悪よなぁ・・・先生一人だと不安だから、誰かついてきてくれればなぁ?”
「任せてくれ、先生。すぐに準備を済ませる。」
「えっ、あ・・・アズサちゃん早っ・・・私も準備してきます!」
「私も、行く・・・。」
「それじゃあ決まりですね!行きましょう!深夜のトリニティ商店街に!」
深夜のトリニティは意外と人通りがあって、24時間営業のお店があるのも頷ける。
冷たい風が頬をなでるが、歩いていればちょうど良い気温だ
ファンシーな雑貨屋を見つけたので、立ち寄ってみる事にしたはいいものの
『こうも沢山あると、どれを買っていいか迷いますね・・・』
大量のモモフレンズグッズの中、どれを買うか決めかねていた
そもそも自分の家もない現状であまり買っても置く場所がない
資金的にも無駄遣いできて1つか2つだろう
『ヒフミちゃんのおすすめとかあります?』
「えっと、これなんてどうでしょう!先日発売の「人をダメにするペロロ様」です!」
「すっごい触り心地が良くてですね!3秒で動けなくなって、3時間は起き上がれないとか!」
『決めた、それにします。流石・・・餅は餅屋ってやつですね。』
「・・・それほんとにダイジョブなやつ?」
ユメ先輩も猫のクッションをかごに入れていた
「ウェーブキャット」というやつだ
購入の為にレジに向かっている最中
ヒフミがお財布を確認してから首を振っていたが
何か買いたい物でもあったのだろうか
「あの、ここはプレゼントさせていただけませんか!ユメさんもシノさんもこんなに良くしてもらってるので・・・それに新たな同行の士の誕生を祝ってですね・・・!」
「本当?ありがと~ヒフミちゃん!」
『いいんですか・・・同志ヒフミ!ヒフミちゃんだと思って大切にしますね。』
「はい!いや、ペロロ様はペロロ様ですよ!?」
友達からのプレゼントは嬉しいものだ
無事に補習授業部がテストに合格した暁には何かプレゼントを贈ろう
何をあげたら喜んでくれるだろうか、今の内から考えておかなくちゃいけないな
買い物も済ませたので、買い食いでもしようかという話になり
商店街の道をふらふらと歩いていると、意外とトリニティの制服を着た生徒を見かける
確かに意外と皆隠れて夜遊びをしているようだ
「確かにあまり食べすぎると太ってしまいますが・・・甘いものが食べたくないですか?」
「食べた~い!いいね、ハナコちゃん!そうと決まれば善は急げだ!」
「あはは、こんな時間に食べたらどうなっちゃうんでしょう・・・」
「ヒフミは今日もあれだけ働いていた。少しくらい食べても栄養学的には問題ないはずだ。」
「ちょっと、あんた達?「自制」の心が大事なのよ?ダイエット中のハスミ先輩もそう言ってたんだから!」
羽川ハスミ。正義実現委員会の副委員長だったはずだ、大きな黒い翼と、高威力のスナイパーライフルが印象的な彼女・・・そんなに太っているようには見えなかったが。
”コハル、あんまりそういう情報は人に話すのはやめておこうね・・・”
『先生もお腹周り怪しいですもんね。』
”うっ、いや・・・えっとね、大人になるとわかるようになるものだよ。”
雰囲気の良さそうなカフェを見つけたので、入ってみようかと店内を見渡すと
「えっ、ハスミ先輩・・・?」
「あらあら、まあ・・・」
窓際の席にいるパフェを三つ目のパフェを食べ終わった、赤い瞳の彼女と目が合う
私達を見つけて大急ぎで会計を済ませて出てきた彼女
顔は真っ赤だし、パフェの生クリームがほっぺたにくっついている
「違うんです、聞いてくださいコハル。これは・・・」
「な・・・何がですか?ハスミ先輩。」
”いい天気だね、ハスミ。”
「えっ、えぇ・・・こんな形でお会いしたくはありませんでしたが・・・」
「それでですね、コハル・・・勉強は頑張っていますか?」
あまりにも急な話題転換、だが本当に彼女の事を案じてはいるのだろう
ただ・・・ちょっと無理がある
「は、はい!きっと次の試験では合格できます!」
本人も無理があったと思ったのか、ぷるぷると震えながら下を向いている
聞いていた話より、随分と感情豊かなようだ
「あの、補習授業部の皆さんも外出は禁止ですよね・・・その、お互いに見なかったという事にしませんか?」
”そ、そうだ・・・”
「あらあら、私たちは「シャーレ」の権限で「パトロール」の最中なんですよ♡」
「ハスミさんは、真夜中に襲ってきた・・・「欲望」に抗えなかったんですよね?」
「うぐっ、そ・・・それは。」
「自分に素直になった方がいいと思いますよ?本当の自分をさらけ出してください♡」
「全てを認めて欲望を満たせば・・・きっと気持ちいい・・・ですよ?」
「ちょ、ちょっと!ハスミ先輩に失礼でしょ!」
”その辺にしてあげて?ハスミ、今日の事は見なかったことにするから・・・”
「・・・・・・・・・・・はい。」
彼女の顔は、そのヘイローのように真っ赤に染まっていた
本当にタイミングが悪い事をしたと思う、強く生きてほしい
すっかり落ち込んでいるハスミを何とか励ましているコハルちゃん
そんなある種、微笑ましくも痛々しくもある真夜中の路地に
不釣り合いな銃声と爆発音が響く
「一体これは・・・!」
流石に正義実現委員会だけあって、良い切り替えの早さだ
「近い。爆発音からして・・・1㎞以内といったところだ。」
「ど、どうやらゲヘナの生徒が無断での侵入と銃撃を繰り返していると、イチカから連絡がありました。」
「唐突なお願いですが、皆さんのお力をお貸しいただけませんか・・・?」
「今は、エデン条約間近で正実とゲヘナの生徒の抗争と見られかねないのです。」
”言われなくてもそうするつもりだったよ、良い?皆。”
「勿論だ、先生。速やかに制圧戦と行こう、」
「皆の事は、私が守るね!」
『期待していますね、先生。』
先生の指揮とやらを見るのは初めてだが果たしてどのようなものなのだろうか
「コハル、こうして肩を並べるのは初めてですね。期待していますよ。」
「はい、ハスミ先輩!」
クリームがほっぺたについているのは、誰も指摘してあげないのだろうか
もう出来ないとも言えるが
市街地での戦闘のようで、人数は・・・4人?
たったの4人でこの数の正義実現委員会の人間を相手取っているのか
随分と手練れだな、目的は何なのだろうか
「車上と言う、不安定な場所ですが・・・これもまた一つのスパイスでしょう・・・!」
「それにしても、囲まれてしまいましたが・・・どうしましょう☆」
「とりあえず食べようよ!伝説の「ゴールドマグロ」!」
「ど、ど、ど・・・どうすんのよ!トリニティのど真ん中じゃないここ!?」
今まさに車上で金色のマグロを食べようとしている4人・・・と猿轡をされた1人
凄いな、全く情報が入ってこない
というか何で猿轡を・・・人質のつもりだろうか?その割には盾にする様子もないが
「観念してください、美食研究部・・・!」
正実の女の子が睨めつけているが、全く情報が入ってこない
ダメもとで聞いてみることにするか
『ハナコ?』
「な、なんて事を。トリニティ水族館の目玉である、伝説の「ゴールドマグロ」を、襲撃してまで食べようとするなんて・・・自らの美食を満たすのが、そんなに大事ですか美食研究部・・・!その上、何の罪もない給食部のフウカさんを調理の為だけに誘拐するなんて!」
『話はだいたいわかった。ありがとう』
「いえいえ、それほどでもありませんよ♡」
物凄い理解力だ、本当に助かる
「ユメ先輩・・・行きますよ!」
「そうだね、シノちゃん!食べよう、ゴールドマグロ!」
違う
”シノは部長のハルナを追って!他の皆はこっち!”
言われた通りに部長のハルナを追って、路地裏に追い込んでいく
この先はどうやら行き止まりらしい、良いナビゲートだ
先生はどこまで見えているのだろうか?
向かった先にいた彼女は何故か手を組んでこちらを待ち構えていた
「わたくしを一人で追ってくるなんて、舐められたものですね・・・」
『先生がいけると判断したので、私に言われても困ります。』
『なんで、こんな事をしたんですか?誰かの差し金だったりします?』
「愚問ですわね。真に美味しい料理を探求するために・・・それ以外の理由は必要でしょうか?」
「貴方を倒し・・・勝利の美酒としてゆっくりとゴールドマグロを頂くことにしますわ。」
彼女が大型のスナイパーライフルを向ける
彼女自身の秘めた神秘も相当なものだ・・・
勝負は、一瞬で決まるだろう
いやぁ・・・美食研究部は強敵だった
実際の所、この狭い路地でショットガンとスナイパーライフルの戦いになった時点で
勝負はついていたようなものだろう
戦う前に勝負は終わっているというやつか・・・
引き渡しの為に彼女を引きずっている間も恨み言が聞こえてくる
意外と元気だな・・・こう見えて意外とタフなのだろうか
どうやら、政治的な観点からこのまま先生が「ゲヘナ」に引き渡すらしい
「あともう少しでしたのに・・・!」
『はいはい、私達で最後みたいなので・・・少しの辛抱ですよ。』
到着するとゲヘナの救急医学部の車両が到着していた
そこにいたのは
「・・・小鳥遊ホシノ?なんでトリニティの敷地に。」
ゲヘナの風紀委員長、空崎ヒナか
詳しくは知らないが、こちらのホシノと交友があるらしい
『妹のシノです、姉がお世話になったようで。』
「そう。小鳥遊ホシノに妹がいたなんて話、聞いたことがないけれど。」
「ともかくこれで、4人・・・全員ね。協力感謝するわ。」
「給食部の子は私が責任をもって送り届けておくから。」
「それではまたお会いしましょう!先生!」
「うるさい、早く入って。」
「それで、先生と妹さんは何でトリニティに?アビドスからは相当距離があったと思うけど。」
「それに、そちらの水色の髪の娘も・・・何処かで見た覚えがあるわ。」
「私?初めましてだと思うけどな・・・」
・・・拙いな、先輩が余計な事を言わないといいのだけど
「そう。人違いかもしれないから忘れて頂戴。」
”私達は今トリニティで担任をしているんだ。”
「・・・エデン条約間近のこの時期に?何か裏がある話?」
「いや、先生の事だからそういう訳ではないか・・・」
”まあ私にはないんだけど、トリニティ側でちょっとね”
”話すと長くなっちゃうんだけど・・・ゲヘナの生徒であるヒナの意見も聞きたいな。”
「成程。確かにエデン条約が大規模な軍事同盟・・・そういう見方もできるかもしれないわね。」
「でも、同等の権力を万魔殿のマコトも持つことになる。トリニティの独断・・・ましてやティーパーティーのホスト一人の意思で動かせるようなものではないはず。」
「そもそもそんな事ができるのなら、初めから元のトリニティのように・・・」
”統合して一つの学園にしてしまった方が早いって事か。”
「えぇ、そんな事は不可能でしょうけど。マコトはあの性格だし。」
”ありがとう、参考になったよ。”
「先生。もし、エデン条約が成立したら・・・きっとゲヘナの治安も良くなるはず。」
「そうしたら、私が風紀委員長じゃなくても・・・ゲヘナは回っていく。」
「もしもその時が来たら、その。」
「・・・えっと、なんでもないわ。夜も遅いから気を付けてね。」
”うん、ヒナも元気でね。”
美食研究部を乗せた車が走っていくのを見届けた時には、もう時刻は深夜2時だった
明日に差し障る・・・私達も早く帰って寝ないといけない
ヒナ「小鳥遊シノ・・・でいいのよね?」
シノ「お姉ちゃんとは、名字が違うんです。」
ヒナ「・・・っ、そう。それは申し訳ない事を聞いたわ。」
ヒナ「どうして、お面をかぶっているの・・・?本当に小鳥遊ホシノじゃ・・・」
シノ「顔が似すぎていて、よく間違われるので。」
ヒナ「・・・本当にごめんなさい。」
シノ(罪悪感が凄い。)
この小説で増やしてほしい描写
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会話文
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地の分(場面描写)
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地の文(心情描写)
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今のままがいい