ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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理解できないものを通して、私たちは理解を得ることができるのか


欺瞞

▼シノ視点

 

「つ、ついに・・・」

 

第3回模試結果

ーーー合格ーーーー

阿慈谷ヒフミ 78点

白洲アズサ 72点

花江コハル 69点

浦和ハナコ 63点

 

「全員合格ですね♡」

 

みんな頑張っていたから、その成果が実って本当に良かった

この調子で行けば次回のテストに受かるのも夢ではないだろう

 

「まあ?正実のエリートの私にかかれば余裕だけどね、えへへ・・・」

 

「ヒフミ・・・モモフレンズは・・・!」

 

「用意してありますよ!これから授与式を始めちゃいます!」

 

「え、本当にやるの・・・これ?」

 

「あ、あはは・・・」

 

皆そんなに乗り気じゃないみたいだけど

 

「どれにしようか・・・迷う・・・骸骨の奴にしようとしていたんだが・・・」

「ヒフミが選んでくれないか・・・シノも言っていたが餅は餅屋だ。」

 

「えっ、ええ!?そうですね・・・」

 

「こちらのインテリペロロ博士はどうでしょう?」

「勉強を頑張ってるアズサちゃんにぴったりだと思います!」

 

「うん、そうする!ありがとう!ヒフミ!えへへへ・・・可愛い・・・好き。」

「ありがとうヒフミ、一生大切にする。」

 

「そんなに喜んでもらえると私も嬉しいです。ただちょっと恥ずかしいですね、あはは・・・」

 

 

「あの、ヒフミ?私も貰ってもいい?」

 

「コハルちゃん!?な、どうしてですか・・・」

 

「何よハナコ、そんなに驚くこと?」

 

コハルちゃんも興味があったとは意外だったな

 

「い、いえ・・・ちょっと意外だったというか。」

 

「良いですよコハルちゃん、どの子が好みですか?」

 

「えっと、あのシノのお面と同じカバのやつがいい・・・」

 

「ペロロ様はカバじゃなくて鳥ですよ!?えっと、じゃあこのぬいぐるみとかどうですか?」

 

「うん、これにする・・・ありがと。」

 

 

”青春だねぇ・・・”

 

「青春だよねぇ・・・」

 

 

「えっと・・・私には若い子の趣味ってわかりません・・・」

 

結局おそろいがいいと言うハナコは、小さめのペロロ様のキーホルダーをもらっていた

 

 

楽しい時はあっという間と言うべきか、光陰矢の如しと言うべきか

残りの補習はあっという間に過ぎ、ついに第二次特別学力試験の前日を迎える

 

 

 

高級感のある扉の前に立つ

いつかこの日が来るとは思っていたが

思ったよりも早かったな

あまり、あちらにも余裕はないのだろう

 

中に入ると、椅子に座るように「彼女」に促される

 

 

「お呼び立てしてしまって申し訳ございません、トリニティには慣れましたか?」

 

『お陰様で、随分と過ごしやすいですよ・・・桐藤ナギサさん。』

 

「えぇ、それは良かった。ところで、紅茶はお好きですか?」

 

『折角の好意なので、いただきましょうか。』

 

「わ、私も貰おうかなぁ・・・」

 

 

「さて、先生の助手としてトリニティに来ているシノさんとユメさんをお呼びしたのは、他でもありません・・・お願い事をしたいのです。」

「もしかしたらお察しの通りかもしれませんが・・・補習授業部にいる裏切者を見つけてほしいのです。」

「お二人は秘書として先生に雇われていると聞きました・・・現在の報酬の倍額、いや3倍出します。私のお願いを、聞いては頂けませんか?」

 

『それは、聞けない相談ですね。』

 

「おや・・・そうですか。てっきり金銭目当てだと踏んでいましたが、あくまで先生の味方と。」

 

『いえ、そういう訳ではないのですが・・・金で裏切る奴だと思われると次がなくなるので。』

 

出来るだけ当たり触りのない回答を心掛ける

心情的には、補習授業部を退学に追い込もうとしている元凶に対して思うところはあるが

ここで波風を立てても誰も得をしないのだから

 

「信頼の価値、というわけですか。」

 

『とはいえ、私もエデン条約の成功を祈っていますよ、切実に。』

 

これは、本当だ

戦争にはならずに平和条約が結ばれることに越したことは無い

私の取り越し苦労であれば、それが一番良い

 

「えっと、お茶美味しいですね?あはは・・・」

 

 

 

お茶会を楽しむとは言えない、冷たい空気が流れている

お菓子に手すらつけていないが、もうじき解散の運びとなるだろう

 

「それでは最後に質問を一つよろしいですか?」

「・・・先生とはそこまで信頼するに値する人物ですか?」

「結局の所、他人である人間をどうして信用できるのでしょうか。」

 

『それは・・・』

 

「ナギサちゃん、私はね、裏切られることを恐れて救いの手を伸ばせないより・・・」

「裏切られてから後悔する方がずっといいなって思うな。」

 

「・・・そうですか。参考になるご意見ありがとうございます。」

「今日はここまでとしましょうか、今日はご足労頂きありがとうございました。」

 

 

 

『結構言いましたね、ユメ先輩。ああ見えて結構お怒りですよ彼女。』

 

「あのままナギサちゃんを放っておいたらいけないって思ったんだけど、迷惑だったかな・・・」

 

『今の彼女には私達の言葉は届きそうにないという事が知れただけ、収穫だとは思います。』

 

『それと・・・前も言いましたが、ユメ先輩は正しいと思った道を行ってください。』

『後の事は、私が何とかするので。』

 

「うん!頼りにしてるね?シノちゃん!」

 

試験の日は明日だ、一体何が待ち受けているのだろうか

 

 

 

帰り際に掲示板の前に人だかりができているのを見て、足を止める

・・・これは。

 

『という訳で気になって、見てみた結果がこれです。』

 

”これは・・・”

 

――――補習授業部の第2次試験特別学力試験に関する変更のお知らせ――――

一.合格点を既存の60点から90点に引き上げ

二.開始時刻を深夜3時に変更

三.試験会場をゲヘナ自治区〇〇区の廃墟に変更

四.試験範囲を以下の通り変更

 

以上

 

「こ、こんなやり方が許されるの?試験範囲なんて殆ど三倍じゃ・・・」

 

『許すも何も、この学園で裁くのは彼女ですよ。』

『それに・・・許せるかはともかく、許されているんです。』

 

とは言え非常に面白くない

補習授業部の彼女たちの努力を嘲笑うような陰湿なやり方に虫唾が走る

 

『先生。』

 

”気持ちは分かるけど・・・悪意に悪意で返したら駄目だよ、シノ。”

 

『このまま指を咥えて見ていろって言うんですか、こんな・・・』

 

 

ティーパーティの指揮下には正義実現委員会があるわけで

特筆すべき戦力としては3年の剣先ツルギと、先日会った副委員長の羽川ハスミ

その他にも優秀なメンバーが揃っている

その上、本人には逃げられるはずなので消耗戦の形になる

時間をかけると正体がばれる可能性も増えると・・・面倒だな

 

「シノちゃん、ストップ。」

 

『なんとかなるか、考えてただけですから。』

 

”シロコみたいなことするんだね・・・”

 

こんなことを考えるなんて、いつのまにか私も、補習授業部の皆に絆されていたんだなと思う

一番の目的は今でも戦争の回避であることは間違いないが・・・

 

もし退学になったら、アビドスに来てくれるだろうか

 

 

 

あれから補習授業部の皆を集めた、放課後の教室

時刻は夕方にさしかかっていて、窓の外の風景は夕焼け色に染まっている

 

”という訳なんだ”。

 

「なっ、なんでティーパーティがそんなことをするの!?それに退学ってどういうことなの?」

「それに、試験に3回落ちたら退学なんて・・・」

 

「・・・なるほど。そういうことか。」

 

「ううぅ・・・なんで、こんな事に。」

 

「あり得ない!こんな時期にゲヘナで試験なんて何考えてるの!?」

 

「コハルちゃんの言う通り・・・確かに、少々強引すぎますね。」

 

 

「怒るのも、絶望するのも・・・抗ってからでも遅くない。」

「だから今は急いだほうがいい。皆装備の用意を忘れないで。」

 

「そ、そうですよね・・・私も用意してきます!」

 

『学園の前にタクシーを呼んであります。現地の近くまではそれで行けるはずです。』

『とはいえ、指定されたあたりはゲヘナでも危険な地帯・・・そこからは徒歩になるでしょう。』

 

「ちなみに、タクシー代は先生持ちだよ~太っ腹~!」

 

”うん・・・まあ、そうだよね・・・”

 

 

タクシーに揺られること数時間

皆は増えた分の範囲を必死に勉強している

先日の深夜、空崎ヒナと出会ったこの橋。

この橋を越えれば・・・ついにゲヘナの自治区に入る

 

『落ちついてください。試験会場までの障害は私が排除するので。』

『皆さんは試験に集中する事だけ考えていて大丈夫です。』

 

”頼りにしてるね、シノ。”

 

ゲヘナの自治区に入ってからは治安があまり良くない道が続くが

車に対してロケランを放たれたりはしなかった

流石に考えすぎか。でも、私たちはともかく先生は危ないから気を付けないといけない

 

このまま順調にいけば、目的地まで30分と言うところ

試験の時間まで残り2時間もあるので無事に辿り着けるだろう

このまま順調にいけば・・・の話ではあるが

 

どうやら検問をやっているようで、ゲヘナの風紀委員会の子に止まるように指示される

・・・面倒な事になったな。恣意的な何かを感じる。

 

「あ、シャーレの先生?何でこんなところに・・・すいません、実は匿名でゲヘナの自治区にトリニティの正義実現委員会が無断侵入してるっていうタレコミが来たんです。」

 

「それで・・・お連れさんのお顔を確認したいので窓のカーテンを上げてもらえませんか?確認して問題なければすぐに行ってもらって大丈夫なので。」

 

”えっと、実は今からテストを受けに行くんだ。トリニティの・・・”

”一応、書類もあるんだけど・・・”

 

「冗談ですか?先生、ここはゲヘナの自治区ですよ?」

 

彼女の疑問も当然だろう、私も冗談の類だと思う

とはいえ、このままでは時間の問題だろう

錯乱されると応援を呼ばれる可能性も高い

そうなると、試験どころではない

 

『先生、後は頼みます。ユメ先輩は皆を守ってあげてください。』

 

「うん、わかった!シノちゃんも気を付けてね?」

 

”え、えっと?シノ?”

 

 

愛銃を握りしめ、扉を勢いよく開き外へ出る

驚いた様子の彼女と目が合うが、鳩尾へ銃身を振るう

 

「うっ・・・きゅう・・・。」

 

「ちょ、ちょっとシノ!?あんた何してるの!?」

 

『ここは私に任せて、先に行ってください。試験会場で落ち合いましょう。』

 

「そ、そんな・・・シノちゃん一人を置いてはいけません!」

 

『いいから急いでください!』

 

運転手に頼んで、半ば無理やり車を発車させる

 

 

 

気絶しているのを確認してから、これから起こる事に巻き込まれないようにお手洗いの個室にでも置いておこう・・・何の罪もない彼女への申し訳程度の誠意として

 

「中々のお手前ですわね?えっと、シノさんでしたか。」

 

『美食研究部のハルナ?何でこんなところに・・・牢屋にでもいると思いましたが。』

 

「それが、温泉開発部が市街地のど真ん中でドカン★と爆発させたそうで、ゲヘナ自治区は今めちゃくちゃになっているんです。」

 

鰐渕アカリと言ったか、アサルトライフルにアンダーバレルグレネードランチャーのついた火力の高い装備・・・混乱を起こすには大いに役に立つだろう

 

「風紀委員会も蜂の巣をつついたように慌ただしく動いている状況で・・・」

「その機に乗じて脱獄に成功したというわけです♪」

「・・・逃げ終えたら、蜂蜜を使った一品を頂きましょうか。そういう気分になってしまいましたわ。」

 

『そ、そうですか・・・』

 

 

「ところで、何故貴方がゲヘナの風紀委員会に楯突くような事を?」

 

『話すと長くなるので割愛しますが、私も逃走をお手伝いしますよ。こちらに目を向けてもらった方が好都合なので。』

 

「それは百人力ですわ!ですが、よろしいのですか?」

 

『策はあります。知人?友人?の名を借りるのは心苦しいですが。』

 

「これは好きに使っていい」って言ってたし・・・

ゲヘナとトリニティの衝突問題は避けたい。相手がアビドスになるのも困るから。

それに、巡り巡って良い方向に進みそうだし

 

『ちょっと待っててください、この子を安全な場所において着替えてくるので。』

 

 

 

お手洗いの個室に入り、気絶した彼女を座らせる

 

『本当にごめんなさい、痛かったですよね・・・』

 

気絶する程度に強く殴ったので、きっと痛かっただろう

ボストンバックから折り畳み式の銃剣と着物・・・それと狐のお面を取り出し、身に着ける

 

『ん、あーあー。こんなもんでいいかな。えっと・・・』

 

所詮折り畳み式なので火力に期待はできないが、今回は必要ないだろう

あまり、遅くなるとあちらに警戒が向いてしまうから急がなくてはならない

個室の扉を開け、外へ出る

 

 

「どどど、どうしてここに・・・いえ、まさか・・・?」

 

途轍もなく動揺されるあたり、悪名は健在らしい

 

『ん、ん。アカリさん、ハルナさん・・・大変お待たせしました。』

『うふふ、それでは参りましょうか♥』




シロコ「ん。ボストンバックは良い。持ち運びもしやすいし、シノも一つ持っておくべき。」
シノ『ありがたくもらっておきますね。ボストンバッグが好きなんですか?』
シロコ「銀行強盗って言う会社のボストンバッグなの。」
シノ『冗談ですよね・・・?』
シロコ「ん。」

この小説で増やしてほしい描写

  • 会話文
  • 地の分(場面描写)
  • 地の文(心情描写)
  • 今のままがいい
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