ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ 作:天野ミラ
夕方か夜に更新を予定してます、お楽しみに
▼シノ視点
第2次試験から・・・1日が経った、夜
部室に皆集まったはいいものの、何処となく諦めのような感情が見え隠れしている
「ねえ・・・本当にどうにかなるの・・・?どんなに頑張ってもティーパーティのお偉いさんが私たちの邪魔をするなら・・・どうしようもないじゃん・・・!」
「コハルちゃん・・・でも、3次試験が最後のチャンスなんですよ?ナギサ様がそんな事を」
「・・・すると思いますよ、ヒフミちゃん。彼女なら間違いなく。」
「昨日会いに行こうとしましたが、部屋は既にもぬけの殻でした。おそらく試験が終わるまでは息をひそめているつもりでしょう。」
”・・・ミカとも連絡が取れないんだ。”
時間だけが過ぎていく、貴重な時間が・・・意味もなく
「一週間で90点を取れなんて、本当に可能なんでしょうか・・・」
「私なりに、頑張ったもん・・・。本当は頭なんて良くないのに・・・」
「コハルちゃん、ヒフミちゃん・・・」
「確かに現実的じゃない。」
「アズサちゃんまで・・・」
でも、発言とは裏腹に、アズサちゃんの目は・・・諦めた人の「それ」ではなくて
「でも、どうしても諦めたく・・・ない。」
「抗ってみないか・・・最後まで。」
本人たちが諦めてないのに、私たちが諦める訳にはいかないだろう
『勿論、私達も全力でサポートします。』
「皆が集中できるように頑張るから!だから、お願い!」
「確かに、まだ諦めるのには早いかもしれません。みんなで知恵を寄せ合えばきっと・・・!」
「ううう・・・分かったわよ!どうせ一週間後には退学になるなら!やれるとこまでやってやろうじゃない!」
「その意気だ、ヒフミ、コハル。」
部屋は先ほどとは打って変わり、熱意に満ち溢れている
ただ、もう時刻は深夜に近い、今日の所は・・・
”皆、私も精一杯頑張るね。とりあえず今日はもう遅いから寝ようか。”
『休息も仕事の内です、明日は6時には起こすので夜更かしせずに寝てくださいね。』
解散の運びとなる
第3次試験まで・・・残り6日。
深夜、隣の部屋の明かりが、ちらちらと窓の外に漏れ出ている
時刻は・・・深夜の3時か。まあ、消し忘れではないのだろう
今夜は少し冷えるから、ホットミルクでも淹れていこうか
ドアを開け、中をのぞくと案の定、先生が椅子に座って何か作業をしている
これは・・・テスト問題か
『こんな時間までご苦労様ですね、先生。』
”・・・シノ。ドアを開ける時はノックをするのが常識なんだよ?”
『どうせ声をかけたら寝たふりをするじゃないですか、これ差し入れです。』
”それは・・・否定できないけど。ありがと。”
私が来ても、先生は机から視線を外すことは無かった
それだけ切羽詰まっているのだろう
『まだ試験まで6日もあるんですが、毎日こうしているつもりですか?』
”あはは・・・まあ、その・・・こうなってしまったのは私のせいでもあるから。”
”私が、ナギサにあんなことを言ったから・・・”
『だから、責任を取ろうと・・・はぁ・・・』
揃いも揃ってお人好しばっかりだ
毎日こんな生活を続けて持つわけがないのに
”皆の為に、少しでも良い教材を用意しないと、ただでさえ難しいテストに挑むことになるのに”
『半分貸してください、手伝いますよ。』
”そんな、シノに申し訳ない・・・”
『いいから!貸してくださいよ。倒れられたら困るのはこっちなんですから・・・』
『それと、4時半には仮眠をとってくださいね。残りは私がまとめておくので。』
”うっ、ごめん・・・ありがと。”
「私にも半分貸して?ほら、先生は寝た寝た~明日は6時起きだよ?」
”ユ、ユメ・・・?えっと、あの・・・”
いつの間にか入ってきていたユメ先輩、私は声をかけていないので
私が起きたときに起こしてしまったのだろうか
「それとも、そんなに私とシノちゃんは頼りにならない?」
”そんなことないよ。頼りにしてる・・・けど。じゃあ、えっと。・・・おやすみ。”
「は~い!おやすみ、先生。」
やっぱりユメ先輩はよく人を見ている
ああいう言い方をすれば先生も断り辛いだろう
懸念点があるとすれば
『ナイスですユメ先輩。でもそんなに勉強得意じゃないですよね・・・?』
「うっ・・・えっと、分かんないところあったら聞いていい・・・?」
ユメ先輩も90点は取れるか怪しいという事だった
『ふふっ、全くもう・・・どうして後先とか考えないですか二人とも。』
「わ、笑わないでよ~!えへへへへ」
夜が更けていく
結局作業が終わったのは朝の6時で
ユメ先輩には寝てもらって、お昼くらいで交代して私が仮眠をとることになった
第3次試験まで、5日
結局その日も徹夜をしようとした先生を無理やり寝かせて
資料を作る、それと並行してティーパーティの動向と
本来の目的も調べなきゃいけない
戦争は、何によって引き起こされたんだ?
第3次試験まで、4日
なんと、全員90点以上を取ることができた
一重に皆の頑張りによるものだろう
特にコハルちゃんは嬉しかったのか大事そうにテスト用紙を抱えていた
何故かこっちまで泣きそうになる、試験はまだ始まってすらいないというのに
第3次試験まで・・・3日
今日は全員合格という訳にはいかなかったが、確実に皆実力は伸びてきている
残り三日しかないけど、後三日もある
ハナコちゃんはあれからずっと100点をキープしていて皆に勉強を教えている
ただ、皆寝不足に見える・・・のはしょうがないだろうが
特にアズサちゃんとハナコちゃんの目元には隈が見える
・・・それは、私達もか。
第3次試験まで・・・2日
今日はヒフミちゃんがついに100点を出した
凄い事だ、よく・・・ここまで頑張ってくれたこの調子なら。
きっと本番も合格できるはずだ
だから、頼むからこれ以上頑張っている人の足を引っ張るような事は起きないでほしい
第3次試験まで1日
あっという間に第3次試験の前日を迎える
あれから、ナギサからもミカからも何の連絡もなかった
今回変わったのは・・・テスト場所くらいのもので
その場所もトリニティの第19分館だった
時刻も午前9時・・・良心的な時間だ
間違いなく、何か・・・裏がある
「ふぅ・・・私はもうちょっと・・・勉強してから寝るわ。」
『コハルちゃん・・・明日万全なコンディションで挑むためにも今日は寝てください。』
「で、でも・・・!私のせいで皆までダメだったらっ・・・!」
『努力は・・・報われるべきだと、そう思っています。コハルちゃんが頑張ったのはよーくわかってますから。』
『だから、そのやる気は明日まで持っていってあげてください。その方がきっと上手くいきますよ。』
「う、うん。分かった、シノ、皆も・・・おやすみ。」
皆はもう眠れただろうか・・・
深夜、先生の部屋で先ほどやった模擬試験の〇付けも終わったろころだが
隣にいる先生は眠れないようで
しきりに部屋の中をうろうろしている
・・・かくいう私も落ち着かなくて、装備の手入れをしている訳だが
それでも明日は武力で何とかなるものじゃなくて
補習授業部の皆の頑張り次第だから・・・
誰かの成功を祈る事しかできないことが、こんなに歯痒い気持ちになるなんて
「二人とも~?気持ちは分かるけど、寝ないと明日頑張れないよ?」
『わかってはいるんですけどね・・・妙な胸騒ぎがして・・・』
”うん、一時間位したら寝るから、ユメはもう寝てていいよ。”
「ん~・・・いつまで起きてるのよあんたたち・・・」
『コハルちゃん?どうしたんですか・・・って。』
「あら、皆様まだ起きていらっしゃったのですね。」
「皆、起きてたのか・・・」
「あはは、これじゃ皆勢ぞろいですね・・・」
謀ったかのように全員集合したが・・・あまり顔色が良くない
十中八九、嫌なニュースだろう
「私から良いでしょうか、調べてみたところ・・・」
「トリニティの第19分館。その建物全体を、「正義実現委員会」が封鎖するようです。」
「名目は・・・エデン条約に使用する重要書類の保護、と。」
「つまるところ・・・試験を受けるには正実を敵に回す必要があるということです。」
「な、なにそれっ・・・!ハスミ先輩やツルギ先輩と戦えって事・・・?」
『とんだ正義があったものですね。』
「いえ・・・おそらく、メンバーには試験の事はおろか・・・私達の事情も知らされていないのでしょう。」
「あの猫ちゃんが、やりそうな手です・・・」
正実を相手取ってどこまでやれるだろうか、このメンバーならきっと打倒は出来るだろうが・・・
その場合、補習授業部の彼女たちはこの学園にはいられないだろう
特にコハルちゃんはこの話を聞いて酷く動揺している、無理もないか・・・
『大丈夫です、コハルちゃん。例え正実を相手取る事になっても私は負けません。』
「そ、それは・・・頼りにしてるけどさ・・・正実の皆とはもう・・・いられないんだなって。」
「なんで、なんでこんな事になっちゃったんだろう・・・」
「・・・その事についてだけど。私からも言わなければならないことがある。」
『アズサちゃん。』
「いや、いいんだシノ・・・これ以上は隠してはおけない。」
「それに、明日には皆を危険に巻き込むことになってしまうから。」
10秒ほどの沈黙、本人もどう切り出せばいいのか迷っているのだろう
それがここまで長く感じたことは無かった
緊張で手を握りながらも、ゆっくりと口を開く
「私、なんだ。ティーパーティーの捜している・・・トリニティの裏切者は。」
「皆を巻き込んでしまったのも、私のせいだ・・・だから、私を・・・」
『そこまでにしてください、そして分かるように説明してください。』
よく見ると、握った手が震えている
怖かっただろう、それは・・・きっとこの後の処遇の事なんかじゃなくて
皆にバレるのが、軽蔑されるのが、失望されるのが・・・皆を裏切る事になるのが
「ど、どういうことですかアズサちゃん!?」
「私は・・・アリウス分校の出身なんだ。アリウスから戸籍を偽って潜入している。」
「与えられた任務は・・・ティーパーティーのナギサの・・・「ヘイローの破壊」だ。」
「そのために同じティーパーティのミカを騙して私を編入させた。」
「・・・それってつまり。」
『正義実現委員会とやりあうよりは、些か現実的ではありますね。』
「ちょっと、シノちゃん?」
『わかってます、しませんよ。』
今の所は、だけど
『それで・・・その事をわざわざ私達に打ち明けた理由があるんですよね?』
「私は、明日に予定されている襲撃から・・・桐藤ナギサを、守らなくてはいけない・・・」
「あ・・・明日ですか!?」
「確かに、正実を警備に回しているなら必然的にホストの守りは薄くなる・・・考えましたね。」
「それで、裏切者?のアズサがどうしてティーパーティを守ろうなんて言ってるの・・・?」
コハルちゃんの疑問はもっともだが・・・
ハナコの方は検討がついたらしい
「二重スパイ・・・目的は、エデン条約のため・・・ですか?動機が見えませんが。」
「・・・大体はハナコの推察の通りだ。アリウスには偽の情報を掴ませてタイミングを待っていた。」
「それとこれは・・・私の独断だ。もしあの平和条約がなくなればキヴォトスは更に混乱の渦に巻き込まれる。」
「そうしたら、きっとまたアリウスみたいな学園が・・・生まれてしまう。」
「そんな耳障りの良い話を・・・信じろと?」
「アリウスの事も私達の事も、ずっと騙していたって事なんですよね?」
「ハナコちゃん・・・」
「私の事を恨んでくれていい、皆がこんな目にあっているのも、すべて私のせいだ。」
「本当にごめん・・・ごめんなさい。」
”そうじゃない、そうじゃないよ・・・アズサ。”
”きっと本当に悪いのは・・・互いに信じられなかったことなんだ。”
”ナギサが、ミカが・・・皆の事を・・・お互いの事を信じあえたら。”
『それは・・・』
本当に難しい事だと思う。
他人は何処まで行っても他人でしかないから
”難しい事だとは思うけど。話し合うタイミングはあったはずなんだ。”
「確かに、誰かを信じるというのはとても難しい事です。」
「それでもアズサちゃんは皆を信じて・・・話してくれたんですね。」
「・・・それは。」
「もう少し早く教えてくれればよかったのにと思って、ちょっとだけ意地悪な事を言ってしまいましたが・・・アズサちゃんは本来いつだって逃げることができたはずです。」
「それでも逃げなかったのには・・・理由があるんですよね?」
「楽し・・・かったんだ。みんなと勉強して、色んな物を見て、色んな事を話して・・・」
「皆で一丸になって何かに進むのが、楽しくて・・・手放したくなかったんだ。」
「そう、ですよね。楽しかったですもんね。私もそう・・・思います。」
「実は私、この学園をやめるつもりだったんです。」
「そういうこと・・・だったんですねハナコちゃん。わざとテストの点数を下げていたのも。」
「えぇ、端的に言えば、価値がありませんでしたから。皆さんが求めるのは外面が良くて、頭が良くて・・・誰かを率いることのできる
「誰も、本当の私になんか興味がなくて」
「だけど・・・補習授業部に来てからは毎日が楽しくて。」
「・・・みんなと下着で勉強して、水着で色んな物を見て、裸で色んな事を話して・・・」
「ちょっと?今変な回想混じってなかった!?」
”ハナコなりに恥ずかしくなっちゃって、照れ隠しなんだよ。”
「そ、そういうのは黙っていてくれるのが先生なんじゃないんですか・・・・・・・?」
「と、ともかくですね。こんなところで諦める必要は無いと思います。」
「ナギサさんも守る、テストも受ける。それこそが私達の求めるもの・・・ですよね?」
「そんな事が可能なのでしょうか・・・いえ・・・」
「きっと皆となら乗り越えられる。」
「まあ!?私達にかかれば、おちゃのこさいさい?ってやつよね!」
『皆さんの安全は、私達で守ります。』
「そして策も・・・あります。私達で成し遂げましょう!」
「そして、皆で色んな物を見に行きましょう!」
「私は、海に行ってみたいな。果てが見えない程の大量の塩水があるって聞く。」
「アビドスにもおいでよ、果ての見えない砂漠が続いてるよ!」
変に張り合わないでください
作戦は立った、物資もある
私の方でも保険は立てておいた
この試験の日に向けてやれることはやった・・・と思う
だから、後は勝つだけだ
”ちなみに、策ってどういう・・・?”
「用意しながら話しますが・・・」
「とりあえず・・・半日でトリニティを転覆させてみましょうか♡」
「ど、ど、どういうこと・・・ですか!?」
窓の外が少しずつ明るくなってきた
夜明けは、近い。
コハル「あのさ、知らない訳じゃないんだけど・・・」
シノ『どうしたんですか?』
コハル「そもそもアリウスってどこなのかな・・・とか。」
「ほら、みんな知ってる流れで話してたけど。知らない人も多分いたんじゃないかな。」
「わ、私は当然知ってるけどね!?」
シノ『ご、ごめんなさい、コハルちゃん・・・そういえばそうですよね。』
コハル「なんで謝るのよ!?私は知ってるんだって!でも、ちょっと説明してみなさいよ?」
この小説で増やしてほしい描写
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会話文
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地の分(場面描写)
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地の文(心情描写)
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今のままがいい