ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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蝶の羽の起こすような、小さな風が・・・世界に大きな差異を生み出す


暗躍

空がうっすらと明るくなってきた

泣いても笑っても、朝の9時のテストまでですべてに決着がつく

 

目標はティーパーティのナギサの護衛、およびアリウス兵力の掃討

そして、試験会場に辿り着きテストを受け合格する事

 

条件は恐ろしく厳しいし、そもそも前半の作戦が上手くいっても

テストに合格できるかもわからない・・・

 

けれど、私はきっと何とかなると思う

ユメ先輩みたいにちょっと楽観的かもしれないけど

皆の頑張りを、ずっと見守ってきたから

 

 

 

「ねえ、皆で円陣組もう~?」

『そういう歳でもないと思いますけど。』

”いいね、やろうよ!”

「あはは・・・まあその、そういうのも私達らしくていいかもしれませんね?」

「それじゃあ皆さん、こちらに集まって・・・一つになりましょう♡」

「ちょっと!変なところ触んないでよ!変態!」

 

 

”それじゃあヒフミ部長、お願い。”

「私ですか!?えっと・・・絶対に合格しましょう!!」

 

「「おー!」」

 

 

 

「それでは、作戦開始です♡」

 

 

 

 

 

 

▼トリニティ某所

 

 

ドアをノックする音が、暗い室内に三度ほど響く

 

「・・・紅茶のおかわりなら、結構ですが。」

 

返答は・・・ない。

代わりに返ってきたのは・・・扉が蹴破られる音だった。

 

入ってきたのは、ガスマスクをつけた白い制服の少女

校章は・・・薔薇の咲いた骸骨。つまるところ・・・

 

「アリウス生徒・・・ですか。何故ここが・・・っ!」

 

聞き終わる前に、床に叩き伏せられる

身に着けていたハンドガンは、からからと無情にも床を滑っていく

 

 

 

 

「何故ってそれは・・・すべて把握しているからですよ、ナギサさん?」

「中々時間がかかりましたけどね、87個のセーフハウスと使用ローテションまで・・・」

 

「当然、こんな不安で眠れない日は、この屋根裏部屋を使う事も・・・ですね♡」

 

 

「動かないでもらおうか」

「・・・っ!」

外部への連絡を取ろうとした所で、端末を取り上げられる

 

 

「それで、床から見る眺めはどうですか?少しは見下される人の気持ちがわかりましたか?」

 

 

「裏切者は二人という訳だったんですね・・・白洲アズサさん、浦和ハナコさん。」

 

「あら、悲しい事に無視されてしまいましたね・・・」

「ああ、指揮官は他にいますから安心してください♡」

 

「その話を聞いて何処に安心しろとっ・・・いえ、それは一体誰なんですか。」

 

 

「どうしても知りたいなら、こちらの質問に答えてもらってからにしましょうか。」

 

 

「・・・ここまでする必要、本当にありました?」

「勿論、補習授業部の件です。私や、アズサさんは怪しかったですからね・・・百歩譲って仕方ないとしましょう。」

「でも、コハルちゃんとヒフミちゃんは別です。」

「仲が良かったヒフミさんが、今回の事でどれだけ傷つくか・・・」

「少しは考えようとしなかったんですか?」

 

考えはした、が。

それでも私には止まれない理由がある。

 

「ヒフミさんには悪い事を・・・しました。」

「それでも、後悔はしていません。全てはエデン条約の・・・為。」

 

 

 

 

 

 

「そんなに必死になるのは、ヘイローを砕かれたセイアちゃんの為ですか?」

 

「・・・っ。あなたたちがっ!セイアさんをっ!」

 

「・・・」

 

「まあまあ、落ち着いてください。」

 

 

 

 

 

「大丈夫です、もうすぐセイアちゃんともミカさんとも会えますよ。」

 

それは一体どういう事だ、まさか・・・

 

「・・・あっ。違う、違います。違うんです。彼女は、ミカさんは関係なくて・・・」

 

 

 

 

「うふふ、最期の反応まで一緒なんて流石幼馴染ですね、少し妬けてしまいます♡」

 

「・・・あっ。あああ。」

 

ごめんなさい、セイアさん、ミカさん。

私は結局何も、為せなかった。

 

 

 

「それでは最後に私達の指揮官から・・・」

 

 

パン、パンと乾いた銃声が室内に響く

ナギサは倒れ伏したまま動かない、気絶したようだ

 

 

「あら、ここからが本題でしたのに・・・気絶してしまいましたか。」

 

「ハナコ・・・ブラフにしてもやりすぎだ。私も思う所はあったから止めなかったけど。」

 

 

 

「えっと、ヒフミちゃんや先生・・・皆の頑張りを嘲笑った分の、勝手な仕返しと言いますか・・・」

 

ᓀ‸ᓂ「じー」

 

「ご、ごめんなさい・・・!ちょっと演技に興が乗ってしまって・・・!」

「騒動が終われば誤解は解けるでしょうから・・・」

 

 

 

 

「後は気を失ったナギサさんを・・・」

 

『私とユメ先輩で守りつつ、アリウス兵力の掃討を行う・・・と言う事ですね。』

「任せてよ!傷一つなく守り抜いてみせるよ!」

 

まあ気絶させるときに傷はついている訳だが

 

 

▼シノ視点

 

二人と別れてから暫くして、ちらちらとアリウスの兵隊が見えるようになってきた

あちらでも爆音や銃声が響き始めている、上手くやっているようだ

 

『こちら、チームオウル・・・チーム名って本当に必要でした?殲滅は順調です、オーバー。』

 

「こちらチームウルフ、無線の傍受リスクを考えれば必要だ。」

「対象をポイントデルタに誘導した、トラップ・ファイブセブンを起動予定。オーバー。」

 

”こちらチームヴァイパー・・・いやぁ、こういうのやってみたかったんだよね!ロマンだよロマン!オーバー!”

 

「チームヴァイパー・・・作戦中の私語は慎むように。これより交戦する、アウト。」

 

いや、わからないでも無いですけど・・・

何で先生が一番ノリノリなんですか?いい歳した大人なのに・・・

 

 

 

 

「シノちゃん!次陣来るよ~!」

『了解です。』

 

先ほどの分隊が持っていたグレネードランチャーに神秘を込める

携行式で弾倉は6発、中々に殺意の高い武器を持ち込んでいる

ポン、ポンと言うその見た目からは不釣り会いな程に、軽い音で発射されたそれは

釣り合うだけの轟音とともに、部屋の外で爆発する

 

「シ、シノちゃん?廊下がボロボロになっちゃったけど・・・」

『・・・派手にやりすぎましたね。そろそろ移動するとしましょうか。』

 

 

 

 

ユメ先輩とナギサを部屋に残して

周囲の巡回と索敵をしている最中、トリニティの制服を着た生徒が見える

・・・こんな時間に珍しいな

巻き込まれると大変だから避難警告を・・・?

 

 

「あ、あなた!先生の秘書のシノとかいう子だよね!?ナ、ナギちゃん・・・桐藤ナギサを見てない!?」

 

ティーパーティの聖園ミカ・・・か、この様子だと何も知らないのだろうか

 

『いえ、見てませんよ。』

 

「そ、そう?じゃあ・・・どこにっ・・・話聞いてくれてありがと☆じゃあね!」

 

 

 

そう言って凄い速度で走っていく彼女。廊下の床が所々陥没している

 

 

「・・・もしもし?うん、私。聖園ミカだよ。」

「補習授業部が・・・じゃあさっきの子達も?了解。」

 

「・・・ナギちゃんを、アリウスより先に確保しないと。」

 

 

 

 

 

周囲を偵察してから、ユメ先輩とナギサのいる部屋に戻る

我々の目標は囮と護衛ではあるが、あまり人数をひきつけすぎるとナギサが守れない

別に、私単身であれば幾ら来てもらっても構わないんだけど

 

『周囲の標的はあらかた排除しました。おそらくこれで暫くは安全なはずです。』

 

「お疲れさま、お茶用意してあるよ、シノちゃん。」

 

『ありがとうございます。』

 

 

今も苦しそうな顔でうなされているティーパーティのホスト

彼女にも彼女なりの信念がある事は分かった

まあ、それと許せるかどうかはまた・・・別の問題だけど

・・・気持ちは痛いほど分かるから

 

 

『あちらも順調のようです。さて、そろそろ合流しましょうか。』

「もう一踏ん張りだね。頑張ろう!」

 

おそらく、あそこが私たちにとっての最終局面となる

私達が本当の意味で仲間になれた、あの旧校舎が

 

 

▼先生視点

 

見慣れた、旧校舎の体育館。

此処を掃除したり、水着でいろんなお話をしたりしたんだっけか。

 

そんな感慨に浸れるのも、この戦いがもう終わりを迎えようとしているからなんだろう。

 

 

「こちら、チームウルフ・・・無線でないなら必要ないか、合流だ。」

「学園周辺のトラップも殆ど使い切った。結構な戦力を削れた・・・と思う。」

 

”お疲れ、アズサ・・・それにハナコも。”

 

 

 

「2つしか入り口しかないこの旧校舎・・・片方が塞がれているとなれば・・・」

 

これまでに聞いた中でも、一際大きな爆発音がする

 

「罠を警戒してバリケードを壊そうとする・・・そうすると思った。」

 

「流石ですね、アズサちゃん。ゲリラ戦のプロというだけあります♡」

 

「とはいえ、残った兵力が突入してくる。準備は良いか皆・・・いや、聞くまでもなかった。」

 

 

 

 

体育館にガスマスクをつけた装備の生徒が入ってくる

白い制服に薔薇とドクロの校章・・・彼女たちがアリウスの・・・

人数は・・・16人と言うところか

 

「待ち伏せ・・・か。」

「誘い込まれていたわけだ。だが、この人数で我々を相手取るつもりか?」

「たった、四人で。ティーパーティのナギサの位置を吐くなら今の内だぞ。」

 

アリウスの指揮官らしき子か、思ったよりも饒舌だが・・・

実際に厳しい戦いではあるだろう

それでも

 

「例え、スクワッドがいても・・・私たちは負けない。」

 

「大口を叩いたな!白洲アズサぁ!アリウス攻撃隊、発砲開始ッ!」

 

”行こう、補習授業部の皆!”

 

 

 

▼シノ視点

 

戦闘音が激しくなる

どうやら先生達もアリウスと正面戦闘を始めたらしい

旧校舎は包囲されているが・・・

 

『邪魔です、どいてください。』

 

立て続けに6発、拾ったグレポンを投射して道を開く

意外と便利だな、アビドスに帰ったら本格的に調達してみてもいいかもしれない

 

 

「ぐぁっ・・・!い、いたぞ!桐藤ナギサだ!」

「と、通すな!ぐぁぁ!?」

 

正面にいる生徒に12ケージの弾薬を叩きこむ

これだけ人がいると狙いをつける必要もなくて分かりやすい

 

 

「ちょ、シノちゃん・・・早い!待って!」

 

『包囲網が再形成される前に突入しますよ、ほら手を掴んでてください!』

 

「ナギサちゃんが意外と重いんだってばぁ・・・!」

 

持てる限りの爆発物を目晦ましに強引に突入する

体育館はもうすぐ先だ・・・!

 

 

 

部屋の中にいたのは・・・・・・・・先生達だ

 

アリウスの生徒らしき大隊が床に倒れ伏している

が、先生達も随分消耗したようだ

 

それほど多くの人数は捌ききれないだろう、もって10人、20人と言うところか

 

 

『お疲れ様です、先生、皆。一先ずはなんとかなっているようですね。』

 

「あ、シノ!遅い!どこで何してたの!」

 

『別動隊でナギサを守るって言ったじゃないですか・・・ほら、彼女も無事ですよ。』

 

「あはは・・・この人数でも何とかなっちゃうものなんですね。」

 

「うん、的確な指示だった。流石は先生だ。」

 

”皆が頑張ったお陰だよ。”

 

「ユメ先輩は奥の部屋に彼女を置いてきてください。入り口は一つしかないので大丈夫です。」

 

「は~い!守るのは得意だから任せてよ!」

 

 

「とはいえ、まだまだ相手は来ます・・・早く正義実現委員会が来ればいいのですが・・・」

「わ、私からもハスミ先輩に連絡したし!」

「えぇ、ティーパーティの命令下にある正義実現委員会もナギサさんの身に問題が生じたとなれば、駆け付けざるを得ない・・・はずです。」

 

 

そんな話をしている間に次のアリウスの分隊が入ってくる

人数は、20・・・30・・・まだ増えるのか

 

「あうぅ・・・これだけの人数が平然とトリニティに入ってこれるなんて・・・!?」

「大隊単位だ・・・アリウスの半数近くを動員しているのか・・・」

「正義実現委員会はまだなんですか・・・?」

 

 

 

 

「それは、仕方がないよ。」

「この人たちは、トリニティの公的な武力組織になるんだから☆」

 

体育館に悠然と歩いてきた彼女。

 

”・・・ミカ。”

「やはり、貴方が・・・!」

 

聖園ミカか、先ほどあった時より冷静に見える。いや、あれは「仮面を被っていた」のか

先ほどの焦った表情と今の彼女、どちらが本当の彼女なのだろうか

 

「やっ、先生。会えて嬉しいな。こんな形じゃなければ・・・もっと良かったんだけどね。」

「困惑するのも、無理はないよね?だから私が皆にもわかりやすいように説明してあげる。」

 

「本当のトリニティの裏切者。ナギサちゃんとセイアちゃんを襲わせたのも・・・私。」

「端的に言えば・・・黒幕登場☆ってとこかな?」

 

彼女がエデン条約が、戦争へと変わった犯人・・・なのだろうか

それは、また後で確認するべきか

今はこの場を乗り切るのが先決だ

 

 

”どうして、こんな事を?”

 

「ん~?聞きたい?先生がそう言うなら教えてあげちゃおっかな・・・」

 

 

「嫌いだからだよ。ゲヘナの生徒が・・・心の底から・・・ね、」

「あんな角の生えた連中、何考えてるかわかんないじゃんね?」

「ぜーったい、後ろから刺されるよ。そんな連中と平和条約とか・・・うぅ、考えただけでぞっとしちゃう。」

 

”ゲヘナの子達は・・・ミカが思うほど悪い子達じゃないよ。”

 

「何?先生もそういう人?あーあ。ちょっと幻滅しちゃったなぁ・・・」

「そういえばごめんね?武力同盟~なんてついちゃって。」

 

「おバカなナギちゃんがそんな事、できっこないもんね~」

「全くナギちゃんにも困ったものだよ・・・「手と手を取り合って」「大団円」~ちゃんちゃん」

 

「・・・なんて都合の良い、御伽話じゃないんだからさ。」

「私達「トリニティの生徒」はもっとドロドロしてて救いようがない住人だって、そろそろ分かってくれないかなぁ・・・」

「まあ、ナギちゃんには檻の中でゆっくり教えてあげればいいか。」

 

 

 

「という訳で、通してもらえる?ここにいる全員を消し飛ばしてからでもいいんだけど・・・」

「面倒でしょ?ナギちゃんとアズサちゃんを渡してスマートに解決と行こうよ。」

 

「どうしてそんなに時間稼ぎをしたいのかな?」

「もしかして、誰かを待ってる?」

 

「あはは。だったとしたら無駄な時間だったね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

正義実現委員会シスターフッドも・・・ここには来ない、よ?」




後編は明日更新予定です

この小説で増やしてほしい描写

  • 会話文
  • 地の分(場面描写)
  • 地の文(心情描写)
  • 今のままがいい
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