ユメ先輩のいないホシノvsユメ先輩しかいないホシノ   作:天野ミラ

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私達の歩いている日常は、存外脆い土台の元に成り立っている
だからこそ、日々の日常(奇跡)が愛おしい



薄々気づいてたけどラブコメとギャグ書いてる時が一番上手く書けてる気がする


台風の目

あの試験のあった日から、早いもので三日が経つ

 

その後のティーパーティの動向だが

あの後、聖園ミカは正実の管理する牢獄へ大人しく送られていった

百合園セイアは緊急搬送されていき、あの後目を覚ましてはいないらしい

そして桐藤ナギサは・・・

 

「そ、そうなんです・・・ナギサ様が牢屋の前に執務室を作って・・・」

 

『そこで執務をしているという訳ですか・・・困る訳ではないですが、なんと言うか。』

 

 

ヒフミちゃんの話によると失ったと思った反動からか、親友のふたりに付きっきりらしい

 

 

私達も流石にアビドスに帰って近況報告をしたかったので

補習授業部の皆に会うのは二日ぶりになる

・・・私もこの出張が終われば毎日顔を合わせることは出来ないだろうけど

 

このキヴォトスは広いようで、狭い。

会いに来たければ、いつでも来れば良いのだ

 

 

 

 

『それでは、ヒフミちゃん改めてになりますが試験合格おめでとうございます。』

 

「ありがとうございます。皆で頑張った成果ですよね・・・!」

 

間違いない、本当にここまでよく頑張った

何かご褒美を上げたいくらいだが・・・先生にも伝えておくか

 

 

「シノちゃんはもう帰っちゃうんですか・・・?」

 

『エデン条約。その調印式に先生も出席するので・・・それまではいる予定ですよ。』

 

「な、なら!ペロロ様のグッズが出るんです!カフェ限定なんですけど・・・行きませんか!?」

 

『親愛なる同志の頼みとあれば、断る訳ないじゃないですか。放課後に行きましょうか。』

 

 

 

 

お洒落な雰囲気のカフェ

トリニティの町中の一番大きな通りにある、そこ

どうやら、ここで注文をするとカフェペロロ様の特製コースターがもらえるらしい

問題は・・・

 

「では、ご注文を繰り返しますね?ペロ玉オムライスが二つと・・・」

「カップル様用の「ラブラブ♡ペロペロ♡フルーツジュース」をお一つでよろしかったでしょうか?」

 

「は・・・はい!おねがいしましゅ!」

 

「はい、注文受けまわりました。」

 

 

『あの。』

 

「・・・私も知らなかったんです・・・っ!でも!」

「ここで引くという選択肢は・・・ありませんよね!?」

 

 

いや、普通にあるが・・・

まあこれも彼女へのご褒美と言う事で私も腹を決めよう

 

 

『他の補習授業の皆は・・・』

 

「えっと、アズサちゃんが正式な編入手続き、コハルちゃんは久しぶりの正実の仕事があるみたいで。ハナコちゃんはシスターフッドに遊びに行くって聞いてますよ。」

 

『そうですか。』

 

料理が届くまで、少々気まずい

周りを見れば確かにカップル連れだらけだった

 

 

 

流石に食べる時は、ペロロのお面を外さざるを得ない訳で

まあ、ヒフミならいいかと言う気持ちもあるが

 

 

「ご注文の料理とドリンクをお持ちしました~」

 

デミグラスソースでデフォルメされたペロロの描かれたオムライスと

大きなグラスに注がれた黄色いフルーツジュース

 

ペロロの形をしたストローには、ご丁寧に飲み口が二つあるものの

ストロー自体は一本しかない

 

「わ、わぁ!とっても可愛いですね?」

 

『えぇ、そうですね・・・見てると癒されるというか。』

『えっと、ドリンクはヒフミちゃんがどうぞ?』

 

「そ、そういう訳にはいきません!折角来たのでシノさんにも味わってもらいたいですし・・・」

「あ、でも・・・私なんかとシェアって言うのも嫌ですよね。」

 

それは

『いえ、そんなことは無いです。』

『ちょうど喉が渇いたんです、頂きましょうか。』

 

彼女が偶に見せる自信の無さは何を由来としているのだろうか

普通、である事にコンプレックスのような感情を持っているようだけど

 

顔も可愛いし、性格も良い

それに、普通はまずここに来ないで引き返すと思う

 

「あ、えっと。よろしくお願いします?」

 

 

 

ドリンクを飲むために、ストローを吸うと

白っぽい色合いのストローに黄色いジュースが満ちていく

 

必然的に、触れそうな距離まで顔が近づくわけだが

 

「え、えへへ・・・照れちゃいますね?」

 

無自覚でやっているなら大したものだろう、先生やユメ先輩と同じ

人たらしの匂いがする

 

『なんかむかつくので、写真撮って補習授業部の皆に送りますか。』

 

「な、な・・・なんでですか!?」

 

『冗談です、この何気ない日常の一頁も・・・写真に残しておきたいな、って思ったので。』

 

「ちょ、ちょっと恥ずかしいですけど・・・わかりました!」

 

 

 

 

食事も終えて、いざ帰ろうという所で・・・とある事実に気づく

 

『と、ところで・・・これ二人一緒に飲む必要ありました?』

「考えてみれば、ない・・・ですね?」

 

その日に飲んだ、フルーツジュースは少しだけ・・・

ほんの少しだけ甘酸っぱかった、気がした。

 

 

 

 

 

次の日、どうやら皆が予定を開けてくれたらしいので

補習授業部の皆が全員集まる

・・・食べ放題の焼き肉のお店に

 

”よし、本当にお疲れ皆!今日は先生の奢りっ!!楽しんでって!!!”

 

「焼肉だぁぁぁぁ!シノちゃん、私唐揚げとピザ持ってくる!!!」

 

『はいはい、いってらっしゃい。』

 

「見てくれヒフミ!ケーキがあんなに並んでるんだ!全部食べてもいいのか!?」

「こうしてはいられない、ケーキの確保ミッションを速やかに行う・・・!」

 

「あ、焦らなくてもケーキは逃げませんよ!?」

 

「シノは何食べたい?持ってきてあげる。」

 

『コーヒーだけ入れてきてもらっていいですか?食べ物は自分で持ってきます。』

 

「そう?私に任せなさい!」

 

 

「あらあら、皆さん元気で良いですねぇ♡」

 

『ふふっ、全くです。荷物は私と先生で見てるので行ってきていいですよ?』

 

「シノさん、貴方は・・・いえ。そうですね、私も行ってきます♡」

 

 

肉を焼くための網もあったまってきた

誰も肉を取りに行っていない気がするが、ハナコちゃん辺りが気を効かせて持ってきそうである

 

 

『それで、何か収穫はありました?先生。』

 

”まあまあ、かな。シノの方は?”

 

『アリウスの拠点は割れてません、つまるところ・・・』

 

”後手に回らざるを得ないって所かぁ・・・了解。”

 

『調印式、一週間後でしたっけ。』

 

”うん、上手くいくといいね。エデン条約。”

 

 

 

情報の交換を終えた後、雑談の流れになる

 

『そういえば、昨日ヒフミちゃんとデートしたんですけど。』

 

”えっ!?ズルい・・・!私も行きたかった・・・!”

 

『写真あるんですけど、見ます?』

 

”見る・・・!”

 

『これが反省を示しているホシノ先輩で。』

 

”ふふっ・・・これは・・・笑っちゃ悪いんだろうけど・・・っ。”

 

『で、これが寝ているユメ先輩ですね。本人には内緒ですよ?』

 

”可愛いけど、写真フォルダ・・・殆どユメじゃない?”

 

『そうですかね?それでこれはっ・・・』

 

金髪のショートカットの・・・忠犬のような表情の彼女

 

”この子は?”

 

『古い知り合い、です。暫く会ってないですけどね。』

 

 

「何見てるの~?シノちゃん唐揚げ1ついる?」

 

 

『いえ、自分で持ってくるので大丈夫ですよ。それでは先生、行きましょうか。』

 

 

食べやすいゼリー類を中心に取り分ける

アズサ達はまだ選んでいたのか、まあ楽しんでいるようで何よりだ

 

 

「ヒフミ!こっちには綿あめまである!お祭りにあるとは聞いていたが!」

「そういえば、なんであるんでしょうね・・・」

 

『悩むのは良いですけど、別に一回しか行けない訳じゃないですよ。』

 

「・・・うん。そうだな、また来ればいい。」

「でも、今度は皆で・・・海に行きたいな。シノはいつ頃空いてる?」

 

当然のように、私が含まれていることに

何と言うか、その・・・気恥ずかしいけど嬉しいなって思う

 

 

『出来るだけ空けますから、早めに教えてください、ね。』

 

 

 

 

 

「ひぃん・・・お腹一杯、もう食べられないよ~」

『唐揚げとピザとかいきなり行くからですよ。』

 

”うっ・・・ちょっとギブ・・・!お肉の油がこの歳だとキツイ・・・”

『子供みたいな事を・・・単純に食べすぎですよ。』

 

 

全く、どうして限度と言うものを知らないのだろうか・・・

 

”「それじゃ!アイスクリーム持ってくる!!!」”

『もう、好きにしたらいいんじゃないですか?』

 

甘いものは別腹とは言うけど・・・戻さないでくださいね

 

 

 

「シノ・・・あんまり食べて無くない?体調悪いの?」

 

ここで私を気遣ってくれるとは

皆暖かくて、私には不釣り会いな子達だ

 

『小食なだけなので大丈夫ですよ、コハルちゃんは可愛いですね。』

 

「ちょ、ちょっと?なんでそんなニマニマしてるのよ・・・?」

 

 

『・・・えっ。』

 

思わず表情筋を触る、本当にそうなのだろうか

 

「あんた、意外と顔に出やすいから気を付けた方がいいわよ。」

 

『マジですか・・・』

 

「ほら、アイスなら食べやすいでしょ?口開けて?」

 

『えっ、はい。』

 

スプーンの上に乗った白いバニラアイス

冷たい、滑らかな口触りだけは分かる

口の中で溶けていくのでまあ食べ易くはあるか

でもこれ・・・

 

 

「シノ、私のもあげる。」

 

『アズサちゃん?え、えぇ・・・自分で食べれますけど・・・』

 

そうは言いつつ口を開ける、ああ

『コーヒー味・・・ですか。』

 

「ああ、好きなんだろう?」

 

『そうですね、ありがとうございます。』

 

「シノちゃん口開けて~私のもあげる~!」

 

『あの・・・どういう遊びなんですかこれ・・・』

 

そう言いつつ食べると口の中にさわやかな香りが広がる、ミント系・・・チョコミントか

 

「まるで、餌を待つひな鳥みたいですね♡私のは、食べてくれないんですか?」

 

『い、言わないでくださいよ・・・頂きますから・・・』

 

「ああ、シノちゃんに食べられてしまいます・・・♡」

 

「ちょ、ちょっと!?エッチなのは駄目ッ!」

「あれ、待ってこれ間接・・・?」

 

「コハルちゃん、どうしたんですか?アイスを食べないんですか・・・?」

 

「た、食べるけど何?ハナコには関係ないでしょ!?」

 

「ああ、でもこれでは間接キスになってしまいますね・・・四捨五入したらキスみたいなものです♡どうしましょうか・・・♡」

 

「ちょ、ちょっとハナコ!?ダメ!私が新しいの持ってくるから!」

 

妙に色気のある所作でアイスを食べようとするハナコと、それを止めようとするコハル

 

 

 

『あの、流石に恥ずかしいから・・・せめて本人のいないところでお願いしたいです。』

 

「あ、あはは・・・帰ってきたらとんでもない事になってますね・・・」

 

 

 

ラストオーダーまで残り20分らしいが、皆もそろそろ限界だろう

私も食後のコーヒーを飲み終えた所だし

 

 

「今度こそお腹いっぱい!」

 

”私ももう入らないよ・・・ベルトがきつい・・・”

 

『そろそろ解散にしましょうか、ほら体を起こしてください。』

 

会計は、先生が払ってくれるようで

お財布の中身を確認しながら

レジに向かっていった

 

「ありがとう、先生。今日はとても楽しかった。」

 

”それは良かった、えっとお会計は・・・うっ。”

 

『先生、ごちそうさまです。』

 

 

外に出た頃には、すっかり暗くなっていて

電柱の明かりがちらちらと揺れている

暖かい焼き肉屋の店の中にいたからか、頬を撫でる夜風が心地良い

 

「ふう・・・夜の街にいると、あの日のお出かけを思い出しますね♡」

 

「ハスミ先輩・・・」

 

「そっちは忘れてあげてください!?」

 

「あはは、楽しかったね~」

 

”あんまり遅くなるとまずいから、今日はここまでにしておこうか。”

 

 

 

「その、シノ?」

 

『どうしたんですか?』

 

「あのね、シノとホシノ・・・先輩には助けられたから、お礼が言いたくって・・・」

「その、ありがと。あんたたちが困ったときは私が助けに行くから。」

「それだけ・・・じゃあまた明日!」

 

『ふふっ、ありがとうございます。それじゃまた明日。』

 

 

 

”シノたちもまだこっちに残るんだよね?”

 

『えぇ、見つからないかもしれないは・・・探さない理由にはなりませんから。』

『それに私がアリウスなら先生を狙うので、護衛も兼ねてます。』

 

”評価してもらってありがたいけど、過大じゃない?”

 

『そんなことは無いと思いますけどね。まあ、帰りましょうか。』

 

「それじゃあ、また明日~!」

 

 

こうして何も事件のない今日は終わりを告げた

それが、まるで台風の目の中にいるようで、どこか不安に思うけど

今はこの日常を噛みしめていたかった




ヒフミ「どどど・・・どうしましょう!?」
   「ストローになったペロロ様も可愛くて、つい持ち帰ってきてしまいましたが・・・」
   「れ、連絡をしないといけませんね・・・」

シノ『え、えっと。それで捨てるじゃなくて・・・』
  『どうやったら私に許可を取るって方向性になるんですか???』

ヒフミ「お願いします・・・!」

シノ『お願いします!?え、えっと・・・』
  『本当に恥ずかしいので・・・その。』
  『よ、よーく洗っておいてくださいね・・・・・?』


次回 調印式編始まります

この小説で増やしてほしい描写

  • 会話文
  • 地の分(場面描写)
  • 地の文(心情描写)
  • 今のままがいい
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